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中間本会議討論97年3月11日

 消費税増税中止要求、区の財源きり下げる財政調整に反対

 

◯十五番(曽根はじめ君) 私は、日本共産党都議団を代表して、第百十七号議案、一九九六年度東京都一般会計補正予算外五議案に反対する立場から討論を行います。

  今回の補正予算案は、今年度の都税収入の伸び三千二百二十九億円のうち、一千億円で起債による各事業の都債発行を減額して一般財源に振りかえ、残りを財政調整基金に繰り入れることが中心です。

都債発行は当初予算で八千億円を超え、累積債務は九七年度には七兆円を超えようとしていることを見れば、都債発行を減額することは当然ですが、都の補正予算案は、各事業予算から都債分を一律に減らし、一般財源に振りかえるだけで、事業そのものが変わるわけではありません。

  我が党は、当初予算に対して、今回財源を振りかえる予定の首都高速道路関連街路整備費など浪費的な投資的経費は削減をして、都民施策の充実と都債発行の減額に回すよう予算組み替え動議を提出しました。

ところが、都は、こうした改善は全くやらないばかりか、予算執行が決まっていた都立学校校舎の耐震補強や体育館、プールの整備、養護学校の送迎バス停車場の屋根設置まで執行を停止し、不用額として繰り越すという全く逆立ちしたやり方を進めてきたではありませんか。

都民の立場に立つなら、財政調整基金に積み立てようとしている分を含めて三千二百億円余りの余裕財源の都民サービスへの活用を図るべきであります。予算執行自体を何ら改善しない今回の補正は到底認められるものではなく、よって、一般会計補正予算には反対します。

  九六年度都区財政調整の再算定では、長期不況の影響で、特別区民税や利子割交付金などが当初見積もりより四百億円以上減収となるのに対し、逆に都の調整財源が当初予測より伸びた分で穴埋めをするものですが、九二年度以来続いている財調の算定見直しによる需要費の削減や算定の繰り延べなどの異常な圧縮措置はことしもほとんど解消されず、来年度も引き継がれて、六年間の圧縮分の累積は一兆六千五百億円を超えようとしているのであります。もし算定分の圧縮をするのでなく、逆に調整率の方を見直すならば、九七年度においては、調整率を現行四四%から六二・七%まで引き上げなければならないはずであります。

  我が党は、昨年の再算定の際、都も、都区財調の特質として掲げている総額補てん主義の原則に立って、調整財源の不足は都が補てんをすべきだし、本来、この矛盾の解決には調整率の引き上げを行うべきと提起しました。

その後、二十三区のうち十八区の区議会で調整率の引き上げと繰り延べ措置の復元を求める意見書が採択され、調整率引き上げは、今や特別区の共通した世論になっているのであります。

  今、区側が財調算入を要望している新規事業は、バブル経済の地価暴騰による住宅費の過重な負担に苦しむ区民に負担可能な家賃の住宅を確保するための住宅対策や、高齢化がこれまでの予測を超えて進む中での必要な福祉施策の拡充、さらには、阪神大震災後、公共施設の必要な耐震補強や新築施設の耐震基準見直しなどによる防災のための費用の増大などなど、区民にとってこの間新たに必要となった切実な行政需要が盛り込まれており、これらは、バブル景気で一たん膨らんだ財調の財源が今不況で減ったからといって、切り捨てられてはならない性格のものではありませんか。したがって、新たな行政需要に対応するための調整率の引き上げは、もはや避けて通れないことは明瞭であります。

  本来なら、この間の都区協議でこうした切実な区民需要こそ標準化し、単位費用化して財調に盛り込み、財調上の事業内容とその総額を区民需要の実態に合わせていくための徹底した見直しこそ行われるべきだったのです。しかもこの課題は、四年後に迫っている特別区の普通公共団体への自立に向けて新しい財調制度を確立していく上でも、絶対に避けて通れない問題として早急に解決しなければならないはずであります。毎年の協議においてこの努力を怠り、あいまいにしたまま矛盾を拡大させてきた都の責任は重大です。

  都が大規模開発に湯水のようにつぎ込んで財政危機を招いた責任は棚に上げ、二十三区民の行政サービスの要望がいかに切実であろうが、都区間の調整率の見直しで区側の財源をふやすのを拒否し続けるという姿勢を何ら反省もせず、見直そうともしない今回の都区財調の補正には、反対するものであります。

  次に、渋谷清掃事務所及び職員住宅の建設工事契約議案についてであります。

  本清掃事務所の建設については、関係町会と渋谷区及び都の三者による建設連絡協議会での確認事項の中で、渋谷地区清掃工場が渋谷区東一丁目の用地に建設されるものであれば、清掃事務所を建設するのもやむを得ないとされており、現在、その建設に近隣住民から環境問題を初め強い批判が出されている渋谷区清掃工場の現計画と明らかに一体の案件であります。我が党は、特別区の自立を果たすために、地方自治法の改正を急ぐとともに、都が広域的自治体としての本来の役割を自覚し、区との協力、共同を強めることを主張してきました。また、清掃工場のあり方も、再資源化を徹底して行う資源循環型に抜本的転換を図るよう求めてきたところです。

  渋谷区の清掃工場の現計画については、周辺住民の合意を得られていない以上、これと一体の清掃事務所についても、工事契約を強行すべきではありません。よって、本契約議案には反対いたします。

  去る三月五日、衆議院を通過した政府予算案は、消費税増税を含め、前代未聞の九兆円もの国民負担を押しつけるものです。我が党は、少なくとも四月からの消費税の五%への増税は中止すべきであるという、都民の総意でもあり、都議会でもこの一点で合意し得る内容で意見書案を提起し、国会審議に間に合わせるため、本日の採決に付すよう提案しましたが、他の会派の賛同が得られなかったことは極めて遺憾であります。

  消費税増税分をそっくり上下水道料金に上乗せしようとする都の態度とともに、消費税増税を何としても食い止めたいという圧倒的な都民の声に正面からこたえることもなく、背を向けようとする都議会の各会派の姿勢も、都民の強い批判を免れないことを厳しく指摘して、討論を終わります。(拍手)

 

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