建設住宅委員会96年5月23日
板橋、狛江の道路計画の見直しを求める
● 五第四二号 板橋区の補助二六号線建設促進に関する陳情
〔要旨〕 板橋区の補助二六号線の東武東上線から川越街道までの区間を早期に建設していただきたい。
◯曽根委員 板橋区の補助二六号線について、意見だけ申し上げます。
この陳情者は地元の町会の会長さんで、以下四千七百二名ということで促進の陳情が出されておりますが、同時に、板橋区議会また本都議会に対しても、計画の変更、見直しを求める訴えも出されております。
地元にお聞きしますと、地元は真っ二つに意見が分かれているという、大変難しい道路問題になっているようです。
私も非常に判断に苦しむところですが、確かに、陳情に意見が述べられているように、この地域の防災対策はどうしても必要です。しかし、防災対策は道路計画だけではなく、もっときめ細かい細街路の整備、それから地域内での空地の確保など、さまざまな工夫によって行うべきではないかという意見もあります。
それからこの道路計画は、大山ハッピーロードといわれる商店街を真っ二つに割ってしまうために、商店街の営業、居住者の住環境に重大な影響を及ぼすということは明らかです。
その点で、この道路計画については地元で非常に意見が分かれており、住民の合意が得られているとはとてもいえない状況であります。
したがって、建設促進に本委員会が結論を出すのは、これは正しくない、道路計画については見直すべきではないかというふうに考えますので、本陳情には賛成をしかねるという態度を明らかにしておきたいと思います。
●六第十四号の二 都立港養護学校の児童及び生徒の健康と安全の確保に関する請願
〔要旨〕 都立港養護学校の児童及び生徒の健康と安全を守るため、次の事項を実現していただきたい。 2 移転するまでの間に、通行車両の増加により児童及び生徒の危険が増大することが見込まれるので、産業道路を横断する児童及び生徒の安全が確保できる対策を講ずること。
〔説明〕 養護学校前の産業道路は、一日約二万二千台の車両が走行している幹線道路である。産業道路の横断は、信号付きの横断歩道により行われており、養護学校の生徒も約八十人が横断して通学している。
これら児童及び生徒の安全を確保するため、平成六年〜七年にかけて、スクールバスの出入りに対する安全確保及び通学路標識等、所要の安全対策を実施したところであるが、さらに交差点横断時のより一層の安全を確保するため、当該交差点部において、通学路標識の増設と大型化及び横断歩道手前に注意喚起のためのすべり止め舗装を実施する。
◯曽根委員 本件については、以前、地下歩道を設置してほしいという内容の要望が、今回、審査に当たって請願者から、生徒の安全が確保できる対策を講ずることということで、一部内容の変更が行われて、私は趣旨採択ができるようになったのじゃないかというふうに思います。
それで、この養護学校が移転を計画されているようですが、移転までの期間、前が国道になっており、大型車両を含めて車の通行が大変激しいということで、この横断歩道の安全対策とあわせて、学校からスクールバスが送り迎えで出入りするときに非常に危険なので、先生方が道路に飛び出して、車をとめてバスを停車させているという状態で、ぜひ改善をしてほしいという要望が前から出されておりました。これは、私たちの同僚議員のたぞえ議員が、二年前に決算委員会で教育庁に対して安全対策を求める質問も行っております。
この点で、建設局の方でその後、このスクールバスの出入り問題についての改善は行われたかどうか。また、教育庁での対応について何かお聞きしていることがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
◯古川道路保全担当部長 請願の趣旨を踏まえまして、教育庁とも協議いたしまして、港養護学校の前面道路であります産業道路におきまして、スクールバス出入り口手前百メートルに「この先百メートル、スクールバス出入り口」の路面表示、及び出入り口付近に注意喚起のために滑りどめ舗装を実施するとともに、通学路標識を二カ所、ブリンカーライト二カ所及び「スクールバス出入り口あり」の看板三カ所を設置して、所要の安全対策を講じたところであり、これらの対策について学校関係者から感謝の言葉をいただいておるところでございます。
◯曽根委員 教育庁にお聞きしたところ、そういう対策もとっていただき、また教育庁としても、施設の方では、バスが出入りする際の点滅灯も何か移動式のものをつけて、とにかく先生が飛び出して国道の車をとめてからバスが出入りするというようなことがないようにということで頑張っておられることをお聞きしましたので、この際、私たちの取り上げた問題にこたえていただいたことを評価したいと思います。
それから、今回、請願の趣旨を一部変更して、地下歩道ではなく、横断歩道を使用する際の安全対策ということで具体的に求めがあったのですが、これに対しての建設局として今考えている対策はどのようなものがあるでしょうか。
◯古川道路保全担当部長 先生ご指摘のとおりに、当初の請願では地下通学路の設置要望がなされておりましたが、地下における新幹線の橋台が支障となり設置が困難であると説明いたしましたところ、産業道路を横断する児童及び生徒のため、より一層の安全対策を実施してほしいということが請願の真意であるということで、このたび一部内容の変更が行われました。
この請願の趣旨を踏まえまして、これまで実施してきた安全対策に加えて、交差点進入車線四方向に対して、横断歩道手前に滑りどめ舗装を実施するとともに、交差点内には現在一カ所設置されております通学路標識を大型化して四カ所に増設することにより、ドライバーへの注意喚起を促すことで、横断歩行者の安全確保を図ることといたします。
◯曽根委員 わかりました。それでは、ぜひその対策を急いで実施していただいて、それから、これから移転の問題が具体化していくと思いますので、移転後についても、もし必要があれば今回のようにきめ細かい対策をお願いしておきたいと思います。
以上、要望して終わります。
◯山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
●府中市の美術館整備問題
◯曽根委員 私は意見だけ申し上げておきたいと思います。
陳情者にお聞きしたところ、美術館の建設自体に反対ではないのだと。しかし、都立公園の一部、現在野球場として利用されているところをつぶしてまで急いで美術館をつくらねばならないという状況ではない、もっと適地を探すべく時間をかけてもいいのではないかという趣旨なのだ、というご意見でした。
経過についていろいろと聞いてみたのですが、これはもとの米軍の用地で、空軍司令部があった跡地が都立公園になっているそうなんですけど、今回の美術館の予定地というのが、野球場二面のうち一つを使ってそこに建てるということですよね。しかし、当初はむしろ別の場所、日本庭園のところとかサッカー場の場所とか、いろんな案が浮上したり消えたりしているということがあったらしいですね。
今回のこの陳情が平成七年の九月に出されていますけれども、この陳情があるということで、いわばこの計画について市の意向がどうなんだということが東京都から問い合わせがあったらしくて、十二月の市議会には促進の陳情が出された、市議会でそれが採決をされたということで、市議会の意向が明らかになったという形で、一月、東京都の公園審議会の計画決定ですか、そういう形になってきた。
その一方で、この陳情に関しては先に出されているにもかかわらず審査されないまま後回しになって今日出てきている。陳情者としては、こういう扱いについて大変不満を述べておりました。
私もそれは大変わかります。もともと、計画についてもう少しきちんと時間をかけてといっている訴えが議会に出ているにもかかわらず、計画を進める立場からの訴えが後で出てきてそれがすいすいと通ってしまうというのでは、やはりこの問題について公平に扱ったといえないのじゃないかという気がしています。
それから、都立公園の中で野球場として利用されていて──市の説明では、野球場の利用率が低いからということが理由の一つにあったようですが、こうした利用されている施設をつぶして美術館にしてしまうということについて、きちんと検討がされているとはいえない状況だということは、これは市議会の方で我が党の議員も指摘をしています。
そういう点で、本委員会でこれを不採択にしてしまって建設を認めてしまうということについては、拙速に過ぎるのではないかというふうに考えますので、今回の陳情者の趣旨はぜひ生かしていただきたいということを主張したいと思います。
●狛江市の補助114号線道路建設問題
◯曽根委員 先ほど来質問がありましたように、この道路の計画は大変長い経過があったようです。私も請願者と都合四回ほどお会いしましたが、最初の三回ぐらいはよく全体像がのみ込めないで、やっと四回目になって形が見えてきたなというわけですから、大変複雑な経緯をたどっているのじゃないかというふうに思います。
それで、基本的な点だけをまずお聞きしておきたいんですが、今もちょっとお話がありましたけれども、昭和五十四年、五十五年に事業説明会が行われようとしたときに、地元の方々から計画の変更に対する疑問が集中的に出されて、流会になりました。
これは事実として先ほどご紹介がありましたが、その際に住民側から、都市計画の変更についてきちんと説明し、疑問に答えてほしいという要望があり、狛江市は、計画変更の問題についてちゃんと納得のいく説明を行うと。その後に東京都は事業説明会を行うと。
したがって、住民の納得がいく説明がされるまでは、東京都は事業計画の説明会を強行するなという点で、東京都も含めて約束があったのじゃないかというふうに聞いているんですが、このことについて、東京都は事実として認識をしているでしょうか。
◯沼尻道路建設部長 お尋ねの約束があったというふうには私ども承知しておりませんが、昭和五十五年の説明会後に、狛江市が地元の方々と路線変更問題に関する話し合いを何度となく行い、理解を得るように努めてまいりました。その結果、一定の理解が得られたものと私どもでは考えております。
◯曽根委員 そこが、やはり東京都はちょっと遠くに離れて物を見ているというふうに私は感じたんですよ。
これは昭和五十六年五月十四日の狛江市議会での一一四号線整備促進特別委員会の記録ですけれども、ここで当時の都市計画部長は、二月の説明会で、地元と東京都の間で、この次は都市計画道路が変更された理由についての説明会を開催してほしいという要望があったわけです、その設定は地元の方でするから、説明してほしいという要望があったわけですと。
一応そういう約束がなされているわけですが、いまだに設定されていない、という状況報告をされていますが、このときに、東京都もかんで地元との間でちゃんと計画変更について説明をしますということは、東京都も約束の一員であると。
これは別に文書を取り交わしたとかそういうことではなくて、その場での素朴な意味での約束はあったはずだと。
請願者の方はまずその点について、東京都は誠意がないじゃないかということについて批判を持っていらっしゃるわけです。
しかもその上に、その後昭和五十六、七年ですか、また説明会が行われようとした経緯もあります。
結局、平成五年一月二十八日に、当時の建設清掃委員会で、建設促進に関する請願が審査され、趣旨採択されたわけですが、この際、我が党の池田委員が、地権者の方たちの意見を都はどのように把握しているかという質問をしました。
このときに東京都は、このときは答弁は建設局ですよ、まだ事業化の説明に入っていないので、直接意見は聞いていない、まだ地元からの意見をくみ上げていないというような趣旨を答えていますね。
私は、今までの経過から見て、地元の意見をちゃんとくみ上げていないとか、直接聞いていないとかいえる状況ではないだろうと。
事業説明会に入っていないとはいえ、少なくとも東京都は、もう既に何回か、流会になりましたが、説明会をやろうとしたし、この計画については狛江市とともに深くかかわっているわけですから、反対意見があるならばあるで、ちゃんとそのとき報告すべきじゃなかったかと私は思うわけです。
その後も地元住民の意向の把握は不十分なままでこの間推移しているのじゃないか。
そのことが、今回、請願者が大変長文にわたる東京都に対する不信を込めた請願を出さざるを得なくなった経緯の一つの背景にあるのじゃないかというふうに思うんですが、住民の意向の把握という点で、建設局いかがでしょうか。
◯沼尻道路建設部長 先ほど来お答えを申し上げてます内容とほぼ同じになります。ご指摘のように平成五年三月に開催しました説明会では、都の都市計画変更の経緯が不明瞭であったということで理解が得られずに、事業化に至っておりませんでした。
都は、市とともどもに関係住民の方々と話し合いを重ねまして、昨年四月に出されましたいわゆる市長の陳謝文を一つの大きな契機といたしまして、その後の話し合いの結果、大方の理解が得られたというふうに判断をしております。
その結果、本年三月、事業化に向けての説明会を行ったところでございます。そういう中で、説明会の場ではごく一部に事業に対する反対もございましたものの、大方の理解が得られたというふうに考えております。
この間、本請願の代表者の代理の方にも、市とともに何回となく、先ほど来ご説明いたしましたように説明を行い、今も理解が得られるように努めているところでございますけれども、理解を得られるまでには至っておりません。
今後とも、関係住民の方々のより一層の理解と協力が得られるように努力しながら事業を実施して、その中で対応してまいりたいというふうに考えております。
◯曽根委員 今沼尻さんがおっしゃったようなことになっていれば、もう少し事態は好転したのじゃないかと思うんですよ。
きょう、実は同じ時間に都市・環境委員会も開かれておりまして、ここも請願陳情の審査をやっているんですが、同じ案件のその一ですか二ですか、振り分けで同じ請願及び前に出されていた請願の積み残し──この道路問題について諮る予定だったんですが、きょうは審議は見送りということになったと聞いています。
その原因の一つとして、都市計画局がつくったこの道路の問題についての現在の状況の説明の中で、狛江市及び都が事業化に向けて地元との話し合いを進め、平成七年七月八日に、本件請願者である狛江市和泉地区都市計画道路対策協議会の代表阿部光子外一名を除き、過去の経緯も含めて和解したという説明がされていたと。
つまり、反対者はこの請願を出している代表阿部光子さん外一名、ほかは全部和解したんだという説明書きを各委員に配布したわけですよ。
これはさすがに唐突だったので、事実とも違っていたので、その後変更されたんですが、今週になってから急遽この説明書きは、和解したというのではなく、一部の住民を除き歩み寄りが見られたと変更されました。
これは当然のことですけれども、反対者は阿部光子さん外一名だけではないわけですよ。
これは、今説明会に出席をしている住民の方の中にも、道路計画に賛成の人ばかりじゃないということを、私は肝に銘じなきゃならないと思うんですね、賛成じゃないけれども参加している人だっているわけです。
もちろん、説明会を拒否して頑張っている反対者も一軒だけじゃありません。ところが、少なくとも都市計画局にこういう認識がついこの間まであったという、ここは私、大変驚いたんですけれども、この請願を審査するに当たっては、日程的にも同じ日にかかっているということは、建設局の方も日程の調整はされたんだと思うんです。 そういう点で、改めて、建設局について、こういう誤った認識を持っていたようなことはないと思いますけれども、確認をしておきたい。
◯沼尻道路建設部長 私どもの理解は、先ほどの答弁のとおりでございます。
◯曽根委員 最後に意見を申し上げたいと思うんですが、私は、この請願の趣旨はくみ上げられるべきだろうと考えています。しかし、事前に各会派の意向を聞いていただいたところでは、私どもだけが趣旨採択を主張しているということですので、このままでは不採択になると思います。
ただ、ここで申し上げておきたいのは、都議会として、この都道一一四号線については、既に平成五年の一月に建設促進の陳情が採択をされており、都議会の意思は既に明らかになっています。
これは私がいうのも何なんですけれども、都議会としては既に意思を表明しています。
今回の請願者の請願文、大変長いものですが、一部ちょっと要約が違っているなというふうに思った点もありますが、それはともかく、これを読みますと、道路計画に絶対反対とは書いてありません。
納得のいく説明がないということに対して厳しいクレームをつけているわけです。
したがって、都議会としてこれ以上この請願者に対して、この請願を不採択にして、反対者に対する意思表示をする必要が私はあるのかというふうに思います。
そこまで私たちが何も重荷を背負う、本委員会で重荷を背負う必要はないのじゃないか。
請願者に対して、これから建設局は引き続き話し合いを続けるとおっしゃってますので、委員会としても、それをしっかり見守っていくことこそ大切ではないか。
このままいきますと──私は身近に、北区に住んでいますけれども、北区の道路の一部が、一軒の家が立ち退かないためにくびれた状態になって、そこだけ一車線、それを相互通行するというような状態のまま都市計画道路が行き詰まっている状態をずっと見ておりまして、こういう不幸な状況になりますと、頑張っている人ももちろんですけれども、周辺住民、それから交通の障害、そして交通事故と、だれもが望まない方向に事態は進んでしまうと。
こういうふうにならないように、私はもう少し話し合いのパイプをきちんとつくっていく、そういう努力がそれぞれに必要ではないかというふうに思います。
したがって、趣旨採択を求めているわけですけれども、もし本委員会の皆様のご同意がいただけるならば、審議留保ということもあり得るのじゃないかということを申し上げて意見としたいと思います。