本会議討論96年3月12日
国保料値上げ反対、区の財政保障を要求
◯十五番(曽根はじめ君) 私は、日本共産党都議団を代表して、第百六十五号議案、東京都一般会計補正予算(第五号)外二十五議案に賛成し、第八十一号議案、特別区国民健康保険事業調整条例の一部を改正する条例外八議案に反対する立場から討論を行います。
最初に、来年度大幅値上げとなる特別区国保料の改定についてであります。
二十三区の国民健康保険料は、これまでも十六年間で十四回もの値上げ、値上げの連続でした。その上に、今回の調整条例案でとりわけ問題なのは、均等割の大幅引き上げによって、年収が四百万円未満の世帯への保険料が二五%から三〇%近く増額され、高齢者や低所得者、長期の不況や企業のリストラ、合理化による失業などで一番苦しんでいる都民の生活を直撃することであります。
実は、昨年十一月に都が特別区に提案したのは、均等割を三千六百円引き上げるという史上最高の値上げ案でした。これには関係者や都民から厳しい批判が相次ぎ、特別区長会も、これでは区民が納得しないと反発したのであります。今回の提案が、その値上げ幅を若干引き下げたものであるかのような見方がありますが、実際は、昨年提案した値上げの中身はそのままで、ことし四月からの実施を七月からに三カ月おくらせるだけのことではありませんか。
ある商店主は、大手スーパーの影響で、ただでさえ売り上げが落ち込んでいるときに、この先、消費税の引き上げや、ごみまで有料化されたら大変だと思っていたが、それに加えて国保料値上げで追い打ちをかけるとは、われわれ業者は踏んだりけったりだと怒りをあらわにしています。
今回、最高限度額も年五十二万円に値上げされますが、現状でも、年収約八百万円を超えた程度の中堅所得層ですぐに最高限度額となってしまい、政府管掌保険の二倍もの高過ぎる保険料を払わされているのに、これがさらに重い負担となるのであります。
国保への都の支出金は、七九年度には国保会計の一九%だったものが、その後、都の予算規模は三倍近くになっているのに、九四年度の支出金は五%台に大幅に下がっているのです。
国保は福祉であり、国保加入者の多数を占める高齢者、中小業者などの生活がますます深刻なことを考えれば、国保への都の支出金を思い切って増額し、国保料は、値上げではなく、引き下げこそ行うべきなのであります。したがって、我が党は、国保料改定の関係議案に反対いたします。
次に、都区財政調整の関係議案についてであります。
今回、九五年度都区財政調整の再調整で、基準財政需要額に不足する財源補てん策として、都の一般会計から三百億円の貸し付けが都区の合意として提案されました。都区財政調整として不足財源の補てんは当然ですが、実際の不足額は、特別区民税の減収額を加えた四百三十億円であります。残り百三十億円の不足を来年度に繰り延べたのは、条例上定められている総額補てんの原則を都側から打ち破ることであり、認められません。
しかも、より重大な問題は、都が財調財源である税収の低迷を理由に、区の行政需要額を低く押さえ込み、区財政を圧迫していることです。来年度は、保育料について、区が徴収している額の三倍近い国基準額を算定の基礎とするなど、実態を無視した算定の見直しで六百五十億円を押さえ込み、その上、区債の元利償還金などは算定そのものを繰り延べ、都の支払いを後回しにして二千八百五十億円、合計三千五百億円もの見直しによる区財政へのしわ寄せを行おうとしているのであります。
しかも、こうしたやり方が九二年度以来続いており、二十三区の財政にしわ寄せされた累積額は一兆円を超え、もはや都区財政調整制度の制度のあり方そのものが問われる事態となっているのであります。つまり、地方自治法施行例に定められているように、調整財源と行政需要との大きな乖離を是正するために、現行四四%の調整率の引き上げを行うべきときに来ているのであります。
都は、財源不足を二十三区にしわ寄せしてきた姿勢を改め、基礎的自治体である二十三区の住民サービスの充実を保障するため、都区協議において、調整率引き上げを含む財調制度の抜本的な改善に取り組むべきであります。
次に、今年度補正予算に盛り込まれているコスモ信用組合の破綻処理費用の執行にかかわる問題です。
今、住専問題で国民の怒りは頂点に達しています。圧倒的世論が、母体である大銀行の引き起こした問題を、何の責任もない国民に押しつけるな、住専処理に血税を投入する予算案の採決強行などとんでもないというものであります。
追い詰められた政府・与党は、母体行に追加の負担は可能であるし、負担を求めていくことをついに認めました。このことは、六千八百五十億円の税金投入が、ぎりぎりのものでも、最終的なものでもなかったことを明白に示すものであります。
したがって、政府・与党は、直ちに六千八百五十億円を予算案からきっぱり削除し、何の道理もない採決強行が前提となった審議日程を白紙に戻して、国会に言論の府としての徹底審議の場を保障するとともに、橋本首相元秘書などの住専絡みの疑惑に対し、みずから真実を明らかにすべきなのであります。
国民は、国民のためにこそ使われるべき血税が、こんな住専など乱脈金融機関の処理に投入されることに腹の底から怒っているのです。昨年九月の都のコスモ信用組合問題での二百億円の支出の決定は、結果として、破綻した金融機関処理への税金投入に道を開くものとなったことは明白です。
今、都民は、コスモ問題の処理に都民の税金が投入されることに怒りを新たにしています。コスモ信用組合の破綻処理は、あくまで大銀行と親会社のエスエス製薬、そして乱脈経営の直接の責任者、泰道三八氏の責任で処理すべきであります。
この立場から、我が党は、都のコスモ処理のための今年度分二十億円の支出について予算執行を中止し、処理策の見直しを行うべきであることを重ねて強く要求し、討論を終わります。(拍手)