総務委員会96年11月28日
23区自立への改革、
◯曽根委員 私からは、初めに、報告事項について若干意見を申し上げたいと思います。
資料第3号の改善検討委員会の報告については、後ほど秋田委員の方から質疑がありますので、残る二つの、行革大綱の実施状況及び職員定数の配置計画について意見を申し上げておきたいと思います。
これは、昨日決定をされました財政健全化計画とあわせて、三月発表の行革大綱のいわば具体化の一連の大きな節目ということになると思います。
行革大綱が発表されたときに、私たち日本共産党は、一部に確かに都民要望の反映、開かれた都政への前進面もあるけれども、しかし一方で、六十数項目にわたる都民施策の大幅な切り下げ、例えば、既に実施年度になっている事業系ごみの有料化や私立幼稚園保護者負担軽減事業の補助の削減など、そのほか、これからやろうとしていることは、私学助成、老人福祉手当などなど、都民のかけがえのない施策を次々と削減、見直しを行っていくという内容であって、このような都民犠牲の押しつけは許されないということを申し上げたと思います。
そして、きょう報告された内容は、この春の行革大綱の中身が、一部先取りも含めて具体化がどんどん進められているということを示しています。
特に職員定数の配置計画については、今年度は千六百人削減の予定が、千六百二十五人と計画を上回る削減が実施される。中身を見ると、一番メスを入れられたのが学校職員の定数であって、知事部局の合計とほぼ同じ九百三十八人の削減になっている。削減の半分以上が学校であります。
東京都は、養護学校を初めとする給食調理員の民間委託などでこういう削減を行い、また公立の小中学校などでも、今、専科の先生が長期の療養もしくは死亡したときに補充もできない、先生のリストが、ストックがないという状況があちこちで生まれているわけです。
改めて私たちは、このような行革大綱の具体化は許されないと。
もともと今日の深刻な都財政をつくり出した要因は、ゼネコン大企業のための大型開発など、浪費的支出にあると私たちは指摘をしてまいりました。ここに抜本的なメスを入れることこそ真の財政再建の道であり、そうすれば、財政再建と都民施策の充実を両立させることができると主張してきたわけです。
しかし、現実には、都の方針はそういうふうになっておりません。例えば、臨海副都心開発に参加している進出企業には、世界都市博を中止するとかいう前から既に破綻が見えていた新土地利用方式の地価の下落によるこのツケを、結局東京都の側が負わされて、六百億円近い権利金の返還や賃料特別減額をする。
その一方で、今年度予算で決まっていた老朽校舎改築など教育施設整備が執行停止にされる事態も起きているわけであります。
外郭団体、第三セクターについて、先ほどちょっとお話もありましたが、例えば、都が臨海部などで銀行などと一緒に不動産業を行うためにつくった民活型第三セクターなどの乱造、そして経営危機、これが都財政の負担拡大の原因となっており、その全面的な見直しが求められているにもかかわらず、例えばきのうの財政健全化計画では見直しは先送りされているという事態。
どこにメスが入っているかは明瞭であって、私たちは、本当の行政改革、東京都の行政を正すというのであれば、後ほど質疑をいたします飲食を伴う会議費の問題等々を含めて、また、ゼネコン大企業向けの乱開発、大規模開発や幹線道路計画などを含めた、ここにこそメスを入れるべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。 さて、次に、私は、事務事業の質疑で、特別区制度の改革について何点か聞いておきたいと思います。
東京都の特別区というのは、ほかの一般の市町村に比べて、区長が七五年から公選制になりまして、また、各区議会の定数、住民一人当たりの議員の数も大変多く、住民の声をきめ細かく代表できるという代表制の制度としてもすぐれている、それだけに住民自治の可能性を大きく秘めているということを考えております。
しかし、反面、特別区が一般の市に比べて、権限その他で自治体として不完全な立場に置かれてきたことが、この住民自治の推進の上で大きな問題でもありました。
したがって、都区間の改革を実らせて、特別区がより完全な自治体に前進することによって、大都市の自治体として、全国的にも意義を持つ新しい発展になるというふうに考えている次第です。
そこで、お聞きしますが、現在取り組まれている都と区の合意に基づく都区制度改革の取り組みの内容について、簡潔にまず述べていただきたいと思います。
◯有手区市町村連絡担当部長 今回の都区制度改革は、特別区を基礎的な地方公共団体として位置づけ、清掃事業を初めとした、住民に身近な事務事業をできるだけ特別区に移管し、都区の役割分担を明確にするとともに、特別区の財政自主権の強化を図ろうとするものでございまして、平成十二年四月の改革実施を目指しているものでございます。
都は、特別区及び関係者との合意の上、平成六年十二月に、国に対し、法改正の要請を行ったところでございます。
◯曽根委員 平成六年、おととしの暮れに都と区で法の改正の要請をしたということですが、国の方、自治省の方は、この法改正についてどういう問題意識を持っているのか。何が課題になっているというふうに国の方は考えているのか。
これは国会等でも質疑がその後あったと思いますので、それに基づいてお答えをいただきたいと思います。
◯有手区市町村連絡担当部長 先ほど申し上げましたように、都と特別区の制度改正の要請を受けまして、国におきましても、この要請を前向きに受けとめ、その実現に向けて鋭意検討を進めているところでございます。
都区制度改革にかかわります法改正の課題についてのお尋ねでございますが、昨年十月の参議院地方行政委員会での国の答弁によりますれば、国は、法改正に当たっては三つの課題があるといっております。
その第一は、特別区を基礎的地方公共団体として位置づけることについての法制的な問題でございます。
第二は、移管後の清掃事業が円滑かつ効率的に処理できるのか、また、清掃事業移管に伴う施設等の整備が確実にできるのか、こういった問題でございます。
第三は、平成十二年度実施の制度改革について、今この時点で法改正しなければならないのか、こういった三点の課題があるというふうに申しております。
◯曽根委員 国は前向きにとらえているんだというお答えがありましたが、本当に前向きならば、既におととし、都と区で共同して法改正を要請しているわけですから、もう少ししかるべき動きがあっていいんじゃないかというふうに思うのです。
私は、必ずしもそういう動きになっていないのではないかということを心配をするわけであります。
私たち日本共産党は、今回の都区の合意の内容については、福祉や衛生、教育関係、そして清掃事業など、区民に身近な事務事業の区への移管、また一方で区の財政自主権の強化など、基本的には現在の特別区の不完全な権限の改革を前進させるものというふうにとらえております。
そこで、国の方で、前向きとはいいながらも三つの問題を出してきている。これに対して、具体的にこれらのネックを解決して、法改正まで持っていくという上で、都は現在具体的にどういう取り組みを、この法改正の要請後進めているのか、その点をお聞きしたいと思います。
◯有手区市町村連絡担当部長 都と特別区は、早期法改正を目指しまして、知事及び区長会代表等が機会をとらえまして直接自治大臣に面接し、ここで要請を行うなど積極的な働きかけを行ってまいっております。
また、制度改革の推進に必要な課題の整理及び関係者間の連絡調整を行うため、昨年十一月に、都、国及び特別区で構成いたします都区制度改革連絡調整会議を設置し、実務的な整理を行っているところでございます。都といたしましては、都区制度改革の実現に向けて、この会議を積極的に活用してまいりたいというふうに考えてございます。
◯曽根委員 国と都及び特別区で構成する都区制度改革連絡調整会議、例えば昨年の十二月の「都政新報」などでも、この合同会議が開かれたという報道がされているんですが、確かに自治省は制度改革をやると明言はしているけれども、法改正の時期については言及されなかったというふうに報道されています。
この会合は、中身、非公開だということで、私たちはこういうことこそ公開すべきだと思いますが、それにしても自治省の動きには非常に懸念すべきものがあるだろうと私は思うのです。
そこで、自治省が問題としている具体的な清掃事業の問題についてちょっとお聞きしておきたいのです。
これは、ことしの四月につくられた特別区協議会による特別区制度改革のパンフレットなんですね。
これを見ますと、清掃事業がどのように移管されるのかということがかなりわかりやすく書いてあります。清掃工場がない区ではどのように清掃事業を行うのですかという設問に対して、車庫のない区は、移管時までの整備を目指し、清掃工場がない区については、移管の時期までに該当区すべてに建設することは困難なため、移管後も当面清掃工場のない区が存在することになる。そこで、収集と運搬はみずからが行う一方で、焼却は暫定的に他の区に委託する。そして余裕のある隣接区などと委託処理協定を結び云々と、このように、清掃工場の建設は平成十二年の移管までには客観的に間に合わないので、それに伴う特別区間の協力体制といいますか、連携といいますか、こういうものもやっていこうということが書かれています。
私、この立場は大変大事だと思っているんです。つまり、単純に今、東京都から清掃事業を、広域的に行っているものを移管すればそれで済むということじゃなく、特別区同士のいろいろな協力が必要だろう。こういう立場で、もちろん区の方も準備を進めているんだろうと思うのですが、自治省の方が、効率的に清掃事業が移管できるのかというふうにいっていることについて、私は、清掃事業の施設などの建設が個々にスケジュールがいろいろ前後するということをもって、法案提出をおくらせる理由にしてはいけないというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
◯有手区市町村連絡担当部長 清掃事業の移管のための条件整備等についてのお尋ねでございますが、この条件整備につきましては、清掃工場については所管局である清掃局で、特別区が行う直営車の車庫整備につきましては関係区において鋭意取り組んでいるところでございます。
法改正に当たっての条件整備の見きわめ、これが極めて重要なポイントになっておりますが、この見きわめにつきましては国が判断することとなります。都としましても、条件整備の成果を踏まえて、先ほど申しました都区制度改革連絡調整会議等の場で調整に当たってまいりたいというふうに考えております。
◯曽根委員 私、言葉は悪いですが、自治省が清掃事業の準備状況を口実にして法改正をおくらすようなことがあっては絶対にならないと。
そのためにも、これは自治権の拡充の運動ですから、特別区のいろいろ努力をしている準備状況を踏まえて、東京都も区と協力をして国に働きかけていく必要があると思うのです。
また、現在、都と区の間では、都区財政調整制度の問題をめぐっていろいろと論議が行われているということも聞いています。これは指摘をしておきたいと思いますが、将来の区が独立した段階での都区財調の制度のあり方については、これは、現在の財調制度がいわば破綻に近づいている、破綻を来しているという状況と混同してはならないだろうというふうに私たちは考えているわけです。
それで、最近、ことしの十月四日に、特別区長会の会長の大場さん、それから特別区議会議長会会長の橋本さんが連名で、いわばこの法改正について政党としての努力をお願いしたいと各党に要請に来られました。
日本共産党も東京都委員会がこれを受け取りました。この要請書の中には、一昨年十二月の要請によって自治大臣に正式に受理していただいたので、早期の法改正が行われるものと大きな期待をしていた。しかし、残念ながら、その後、この改正法案は検討中の法案扱いとされて、いまだ国会への上程を見ていない。
区の方では、清掃事業の移管に備え、受け入れ準備に万全を期しているのに、今日の状況を極めて深刻に考えているんだと。
したがって、次期通常国会での改正法案の成立に向けて、あらゆる力を結集して、自分たちも頑張るけれども、政党にもぜひお願いしたいというふうにいってこられたわけです。私は、この心配は当然だと思います。
一方で、なぜその心配があるかということについて、「都政新報」の十月四日付の中に、現在政府の方は、二十六次地方制度調査会の中で、都道府県と市町村の関係を見直す抜本的な地方自治法の改正を検討されると。
それは、平成十二年七月に現在の地方分権推進法が失効するので──これは時限立法ですから──その前に、平成十一年度には、いわば地方分権の具体化の法律、つまり地方自治法の大改正をやらなきゃならぬという問題意識があると。
そうすると、今回法案提出がおくれると、この平成十一年ごろの地方自治法の大改定に巻き込まれて、特別区の本当の独立というのが大混乱をするんじゃないかという心配があるわけなんですね。
いろんな意味で、この地方自治法がこれからどうなっていくのかというのが心配されており、我が党は、例えば、国がみずからの行革という名のもとに公務員を減らすという中で、全国の市町村の統廃合などをどんどんやれるようにして、今の中核市ですか、三十万人ぐらいの自治体にまとめていくというような、とんでもない話が出てきかねないと懸念をしている立場から見ても、これはやはり早期に法改正をやっていく必要がある、また国にそのことを強く働きかけていく必要があるだろうというふうに考えているわけです。
この点で、早期の法改正に向けて、東京都としても知事を先頭に意欲的に行動すべきじゃないかと思いますが、最後に局長に決意をお伺いいたします。
◯渡辺総務局長 ただいま担当部長からるるお答えいたしましたように、この問題は二十三区にとりまして最大の課題でございます。
東京都といたしましても、これまで知事を先頭に、また先ほど申し上げました調整会議、これは副知事がメンバーでございますが、その調整会議等を通じていろいろ調整に当たってきたところでございます。
今後とも、早期法改正を国に対して要請いたしますとともに、都区間で清掃事業移管のための条件整備を確実に進めるなど、法改正の条件整備、環境づくりに努めまして、平成十二年の都区制度改革の実現を確実なものとするよう努めてまいります。
◯曽根委員 残念ながら、まだ通常国会の予定法案の中に入っていないそうなので、次期通常国会への提出のために具体的に行動することを強く要望して、終わります。