住宅港湾委員会95年6月16日
都営住宅落選者への優遇措置を求める
◯曽根委員 一般会計の繰り越しについて、一点だけ質問させていただきます。
説明書の七ページの説明欄に、利島港の整備事業で、船客待合所の一部、今年度に繰り越しになっているのですが、これは私、おととしの十一月、事務事業の説明のときに、地元の強い要望がありまして、毎年一万人以上の方々が利用する船客待合所が、たしか漁協の倉庫か何かの建物を使って大変みすぼらしいので、ぜひきちんとした待合所にしてほしいという要望がかねてから出されているということで質問したのですが、このときに、平成六年度に新築ということのお話がありました。
で、昨年度いっぱいでできるのかなと思っていたら、ことしに繰り越されたということで、この辺の経過等、では実際に完成しオープンするのはいつごろになるのか。地元でぜひ待たれている施設でございますので、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
◯高見離島港湾部長 工事が遅延いたしました経過でございますが、建設場所の背後が、がけ地となっておりますことから、擁壁の工事を先行させたわけでございますが、落石防止の措置を講ずる必要があったことなどから、この先行工事が遅延したわけでございます。このために二カ月ほど工事延期をいたしました。
そして、工事の状況でございますが、この船客待合所の工事は既に完了しております。去る六月十三日に竣工検査が行われ、来る六月二十二日に供用開始の告示をし、一般の人が使用できるよう手続を進めているところでございます。
◯曽根委員 この陳情六第七二号の陳情者の方は、たまたま北区の赤羽南にお住まいの方で、陳情の趣旨は、今、住宅局の方から説明があったようなことなのですが、私、この陳情者の方が、公団住宅の募集の例を挙げて優先制度をこの都営住宅にもとおっしゃっているわけなので、最初に、公団住宅で現在行われている落せん回数による優先もしくは優遇も含めて、この制度はどういうふうなことが行われているかについてお聞きしたいと思います。
◯曽根委員 同じ公共住宅である公団住宅では、優先制度、優遇制度それぞれ、その活用のされ方はともかくとして制度は現にあるという意味では、都営住宅についてもこうした制度が全く考えられないということではないというふうに思います。また、住宅供給公社が行っている一般賃貸の住宅でも優遇制度が現在とられており、かつては優先制度もあったというふうにお聞きしたところなので、私は、こうした、何回応募してもなかなか当選できないという方について、住宅困窮度の一つの目安としてとらえていくことは当然あってしかるべきであろうというふうに思います。問題は、それがほかのいろいろな困窮度との関係でどの程度重みがあるのかというところだと思うんですね。
この問題を考える場合の根本的な大きな問題は、都営住宅が、特に新築の場合は平均でも百倍近い倍率になっていると。
空き家募集はもうちょっと倍率が低いわけですが、それにしてもなかなか倍率が高くて入りにくいという状態があって、団地によっては倍率が数十倍、数百倍あるという状況のもとでは、何回落せんしたから最初から入れますという優先制度がなかなか成り立ちにくいのだというふうに行政側ではどうしても考えがちだと思うんですね。倍率が例えば五、六倍であれば、五、六倍程度まで一般の募集の倍率が下がっていれば、五回か六回申し込めば一回は当たるというのがまあ倍率になっているのだけれども、十回申し込んでも当たらないという方はちょっと運が悪いと。倍率の二倍ぐらい申し込んでも当たらないと。
そうすれば、これだけ申し込んできて当たらないのだから優先的に入れてあげられるのではないかと、これが一般都民から見ても、ほかに応募されている方から見ても、こういう運が悪い方を救う道があってしかるべきだというのは、私は、一般の受けとめもそういう点で公平さを失わない制度として成り立つであろうと思います。
しかし、現在百倍を超えているような状況のもとで、十回、二十回申し込んだけれども当たらないから、もう即、無抽せんで入れるようにするというのはなかなか難しいということが今いわれているのだろうと思うので、私はやはり、都営住宅の申込倍率を一けた台まで下げる努力が基本であろうと思うんですね、この問題では。
そうすると、この方の場合は、個人的な事情もちょっと要旨の中にお書きになっていますが、恐らく年金収入だけだと思います、お聞きしたところでは。それで、現在九万円。三年ごとに値上げになりますから、公団住宅家賃がだんだん上がっていくと年金で払えない金額になっていくと。
しかも、お年寄り夫婦でお住まいだということで将来不安があると思うんですね。こういう方が繰り返し応募しているけれど、確実に入れる保証がいつまでたってもないということによる不安ですね。何とか、確実に入れる道を、何回か申し込んだ方にはあけてほしい、道を開いてほしいという希望は、私、申し込む側の実感からすれば非常にわかるわけなんですよ、切実だなあと思うんです。これを何とかかなえられるような、やはり都営住宅の大量供給をすべきであろうというふうに思います。この点は私たちの基本姿勢でもあります。
ただ、現状ではなかなかそういうふうにはなっていませんので、私、ご本人にもちょっと問い合わせをしてお聞きしたのですが、そういう制度が今すぐは難しい、無抽せんの優先制度は難しいとすれば、倍率を下げて、つまり、当せん確率を上げてもらえる優遇制度だけでも拡充し、また新しくつくってもらえれば、理想とはいわないまでも、次善の策としては評価できるのだというお話がありました。その点で今、ポイント募集で一部導入されている優遇制度、これを高める方向も考えていきたいというお話なので、このポイント募集で今、優遇制度はどういうふうにやられているのか、それで、今後の見通しについても、できればあわせてお聞きしたいと思うんです。
◯曽根委員 ポイント方式の中ではありますけれども、ポイント方式というのは、住宅困窮度をいろいろなポイントでもって点数制で積み上げて、その点数によって優先的に入居を決めていくという制度ですね。
その中で、今までの例では、この前回申し込んでいるかどうかというのが一〇%程度を占めたことがあるということですから、東京都としても、何回申し込んでも当たらないでいる方、しかも住宅環境が悪く、都営住宅に入れる資格を持っているにもかかわらず何回申し込んでも当たらないという方については、住宅困窮度の一つとして考えようというとらえ方はされているということだと思うので、この点を大きく拡充していく道をぜひ考えていただきたいということと、それから、一般募集の中で公団や公社がやっているような別枠を設けて、落せん回数に応じた枠をつくると。優先とまではいかなくても優遇制度でやるということは既に公団、公社で行われていることですので、これも考えていいのではないかというふうに私は思っています。
したがって、基本的には優先制度ができるような−−倍率を下げるという申込環境の改善とあわせて、優先制度が私はやっぱりつくられていいのじゃないかというふうに思うんですが、今すぐは難しいとすれば、せめて優遇制度を拡充する、もしくは創設するという制度でこういう陳情の方の切なる願いにこたえていただきたいという点で、議会側として私は、こういった趣旨も踏まえて広く解釈して、趣旨を踏んで採択をできる内容ではないかと思うので、この点を私の意見としてつけ加えまして、発言とさせていただきます。