住宅港湾委員会95年2月2日
阪神に学び港湾の強化を求める
◯曽根委員 前の何人かの方たちとダブらないように,神戸港のふ頭の被害を中心に何点かお聞きしたいと思うのですが,今回の神戸港の,特にコンテナふ頭二十五カ所が全部使用不能になったという,かなり大きな被害を出した原因については,先ほど神戸港のふ頭がケーソン工法だといわれているというお話があったのですが,このケーソン工法が今回のような地震に対して技術上弱点があったというふうに,港をつくってこられた専門の立場から見て判断できるかどうか,もう一度この点をお聞きしたいと思います。
◯新渕港湾整備部長 今回の地震は大規模な直下型地震ということでございまして,神戸港での岸壁等の耐震設計の内容はどうなっているのか,私ども十分承知しておりませんものですから,ケーソン工法が弱点だというように結びつけて考えるわけにはいきません。
ケーソン工法はケーソン工法として一つのちゃんとした工法でございまして,その場所等にふさわしい工法の一つとして採用されるものでございまして,今回の神戸のところがどうだったかということにつきましては,これから再度もっと詳細に調査したいと思います。
◯曽根委員 この点は非常に重要な問題なので,国の基準をこれからまた見直すことがあり得るとすれば,この問題も取り上げられると思いますので,ぜひ調べていただきたいのですが,先ほど昭和五十八年に運輸省の通達が出て,それ以降については液状化対策というものも一つ盛り込まれた。
それ以前のものと,それ以後のもので一応区別してお答えがありました。
私は,六甲アイランドも昨年伺ったのですが,あそこはポートアイランドよりもさらに新しいところで,多分昭和五十八年以降につくられたコンテナふ頭もあると思うのですけれども,国の基準との関係でいうと,ケーソン工法の中身も含めて,一番新しい耐震基準に一応合致したからつくられたのじゃないかと思うんですが,その点はいかがですか。
◯新渕港湾整備部長 神戸におきましても,あるいは東京におきましても,どこの港でもそうですが,構造物を設計するに際しましては,その時点での最新のいろいろな技術的な成果を踏まえまして,現場の状況に一番合った工法なりを採用するものでございまして,そういう面では,設計の考え方というのはそういうふうに承知してございます。
◯曽根委員 そうしますと,神戸の場合は,昭和五十八年以降につくられたものも含めて,神戸の港についてはケーソン工法かどうかは確認はまだできないということですけれども,その工法を適切として使った。東京港では神戸と同じというか,ケーソン工法でやっているふ頭が少ないというお話が先ほどありましたが,どの程度――同じ工法なのか。それ以外については水平力に強い工法を使っているというお答えがさっきありましたけれども,どういう理由で東京港には神戸と違う方法が使われたのか。
◯新渕港湾整備部長 東京港でケーソン式の岸壁を採用しておりますのは,芝浦ふ頭で六バースでございます。それ以外は,矢板式とか桟橋式というのが大半でございます。芝浦ふ頭につきましては水深が比較的浅いところ,私どもの方とすれば,水深の深いところではケーソン式の採用はなかなか難しいのじゃないかなと考えてございます。
◯曽根委員 そうすると,神戸で高規格のバースももしケーソンでやっているとすれば,高規格のバースというのは水深が十三メートルか十四メートル以上あるわけですから,コンテナバースとしては一番深い水深を確保しなきゃならないわけで,その点はちょっと疑問がありますが,これはよく調べていただいて,東京の矢板式や桟橋式も含めて,基準そのものの信頼性が根幹から問われているところなので,その点はよく調査していただきたいと思います。
それで,現地に行かれて見た方もいらっしゃると思うのですが,現地の神戸港のコンテナバースについて,ガントリークレーンもかなり損傷を受けている,ヤードも亀裂が入っている。
これらが正常な機能に復帰するのに,大体どれぐらいの期間かかるというふうに調査されて考えられていますか。
◯新渕港湾整備部長 復旧にかかる時間といいますのは,やはりどれだけ被害を受けたか,その規模とか,復旧に対する困難性とか,それによって期間が変わってくるわけでございますけれども,私どもがいろいろ新聞等で拝見していますと,完全復旧には三年ぐらいかかるのではないかというような記事が多いように見受けられました。
◯曽根委員 私もテレビだけでしか見ていないのですが,先ほどお話があったように,埋立地を取り囲んでいる構造物そのものが外側に倒れ込んでいるか,もしくはずれているということですから,ほとんどふ頭を初めからつくり直すぐらいの工事になるだろうなと思うので,東京の大型バースをつくっている期間を考えれば,三年ぐらいはかかるといっても不思議じゃないと思います。
そうしますと,神戸港の二十五カ所の大型バースなどの機能が復帰するまでのかなり長期にわたって,これをバックアップするほかの港の体制をとっていく必要があるだろうと思います。
したがって,当面の処置と,もう少し中期的な対応というのが求められてくると思うのですが,それをあまり細かく聞くつもりはないのですけれども,太平洋岸の主要港で高規格のバースは,東京港を含めてどこに何カ所ぐらいずつあるのでしょうか。
◯久保田港営部長 一般的にいわれます高規格コンテナバースは,岸壁延長が三百三十メートル以上,水深はマイナス十四メートル以上,こういったコンテナバースが該当いたします。現在,国内におきましては,神戸港に五バース,名古屋港に一バース,横浜港に二バース,東京港に二バースでございます。その港を合わせて,合計十バースでございます。
◯曽根委員 神戸が一番多いわけですね。半分は神戸にあった。残り半分がほかの港で,名古屋,横浜,東京で,東京に二バースある。これは,大型バースだけ見ても,東京港の役割は非常に重要になると思うのですが,向こうからも依頼があって,臨時のコンテナのヤードを確保している。現在どれぐらい確保ができていて,その臨時のヤードによってどれぐらいの期間対応できるというふうに考えておられますか。
◯久保田港営部長 神戸港を利用する船社や関係の港湾事業者から臨時のコンテナ置き場についての要望が出されておりますので,こうした要望をきめ細かく調査しながら,段階的にコンテナ置き場を確保していくこととしております。さしあたり,大井ふ頭背後に緊急に約三ヘクタールを確保したところでございます。とりあえず,これで対応できるという判断をしております。
◯曽根委員 とりあえずというのはどれぐらいかということが一つと,三ヘクタールというお話ですが,新聞記事によると,横浜が十五ヘクタールを確保できそうだということ,名古屋港についてはさらに大きい面積のヤードを確保できる見通しで,大体二けたのヘクタールで各港がバックアップ体制をとっているのに比べて,ちょっと小さいんじゃないかなという気がするわけです。
大体高規格バースの場合には三百三十メートル以上の横長さがあって,バックも大体三百から五百あるわけですから,大型バースのヤードでいえば,一つのバースで大体九ヘクタールから十ヘクタールぐらいのヤードがあるわけですね。それから見ても,三ヘクタールというのはその三分の一程度ですから,とりあえずはともかくとして,今後神戸が正常化するまでの期間,これで十分持ちこたえられるというふうにはちょっと考えにくいのじゃないか。
その点では,今大井を考えて取り組んでいらっしゃるようですが,さらに今後も,青海のバースも含めて,使える土地は使っていくということを考えなきゃならないのじゃないかと思います。港湾局で管理しているところだけではなくて,いろんなところに働きかける必要がある。
私どもなんかは,青海は臨海副都心地域とつながっていますから,そういうところも含めて,どこも聖域にせずに,こういうものに対応できるところを考えなきゃいけないと思うのですが,先ほどもちょっとお答えがありましたが,今後のことについてお聞きしたい。
◯久保田港営部長 基本的に東京港を利用する船社,港運業者から要望があれば,どんどん対応していく,こういう姿勢でございますが,その期間として,先ほど期間を申し上げませんでしたが,当面一年間程度は要望に対応できるだろう,具体的に要望があれば,さらに具体的に対応できるということでございます。
また,コンテナターミナルの中のコンテナの受け入れだけではなくて,具体的には,各船社が搬出の計画もどんどん進めております。
先ほど五千四百個のコンテナが入ったということでございますけれども,もう既に三千個以上が搬出をされてございますので,そういう意味で,蔵置能力的にはあまり不足が生じてきていないのが現状でございます。
しかし,まだこれからふえる可能性がございますので,とりあえず三ヘクタールを用意した,そういうことでございます。
それから,コンテナターミナルが約十ヘクタールというお話でございますけれども,ここにはクレーンを置く場所,管理棟,あるいは作業すべき空間が全部必要でございまして,十ヘクタールの中にはコンテナの置ける範囲が限られてまいります。
一方,三ヘクタールの方は,そのままコンテナのみを,そういったほかの空間は一切必要なしで置けますので,通常のコンテナターミナルに置ける容量よりはるかに余分に置けるというのが実態でございます。