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建設住宅委員会95年12月11日

 被災者の都営住宅入居、立体化費用の地元負担を追及

 

◯曽根委員 甲斐副委員長の質問と若干ダブるところは省略して質問させていただきます。

 この都営住宅条例の改正の主な内容は、今お話があったように、国の被災市街地復興特別措置法の施行に伴って、都営住宅の使用申込資格の特例を定めるということですね。これは、災害で住宅が滅失した人や、復興事業で移転を余儀なくされた人が対象ということですが、こういう人たちが自動的に空き家の都営住宅などに入れるということではなくて、今回の条例改正は、入居の申し込みの資格を認めるということですよね。その点を確認しておきたいと思います。

 

◯那須管理部長 今回の都営住宅条例の改正の内容は、大規模災害によりまして住宅が被害を受けた一定の市町村の区域内におきまして、災害により滅失した住宅に居住している者等につきまして、現に住宅に困窮しているということが明らかになりますれば、被害発生の日から三年間は、都営住宅の申込資格を具備する者とみなすとしたものでございまして、これはあくまでも申込資格の特例について定めたものでございます。

  したがいまして、都営住宅への入居を直ちに認めるものではございません。

 

◯曽根委員 私たちは基本的に、すべての自然災害のために住宅を失った、もしくは住めなくなった状態の人に対して、こういう方々が路頭に迷うことのないように、入居資格だけではなく、原則として、東京都に移転して都営住宅に入居を希望する人には、空き家があっせんされるようなところまで前進をすべきだと考えております。そのためには、都営住宅をもう少し余裕を持って、大量に建設しなければなりませんが、しかし、現在の過渡的な段階として、今回の法制定、それから条例改正については、一歩前進だというふうに思います。

 現実に今入居しておられる、神戸からの、阪神の被災者の方々は、二月ごろからですから、一年間、来年の早春ごろに期限が切れるわけで、そういう方々の大半がこの条例の適用になるだろうというお話も今ありましたので、当然、一たん出て、申し込みをやり直すというようなことは、まさかないとは思いますが、しゃくし定規にならないようにということは、私からもお願いをしておきたいと思います。

  もう一つひっかかるのは、住宅の滅失という基準が、実際には住めない状態なんだけれども、法の定めるところの滅失にならない場合、全壊、半壊にならない場合というのがかなり考えられると思うので、そういう点で、今神戸から来ておられる方の中で、実際には戻れない、しかし滅失ではないという方が宙ぶらりんの状態にされてはならないということについて、東京都住宅局としての配慮をお願いしたいと思います。

 それから、今後のことで一つお聞きしておきたいんですが、今後も阪神大震災のように──今回の場合は、一時的に行政の機能が麻痺して、住宅の滅失証明も出せないような状態になったということから、人道的な見地から、住宅局として受け入れの住宅を確保した。こういうような大規模災害が起きた場合は、この条例の中身からはみ出すことになりますけれども、人道上の見地から、今後も、今回とったと同じような緊急受け入れの措置をとるべきだというふうに思うのですが、この点の考え方をお聞きしておきたいと思います。

 

◯那須管理部長 大規模災害の被災者に都営住宅への入居資格を認めるためには、今回の条例改正案にお示しさせていただきましたように、国の認定する被災市町村におきまして、災害により滅失した住宅に居住していたことといったような要件が必要となるわけでございます。しかしながら、今お話のございましたように、災害発生後間もない段階では、災害の規模にもよりますけれども、申込資格がありながら、これが直ちに認められない、そういった状況も想定されるわけでございます。

例えば、国が被災市町村の認定に時間を要しましたり、あるいは被災市町村が滅失証明書を発行することが困難な場合等が考えられるわけでありますけれども、そのような緊急時におきましては、今回行いましたように、目的外使用許可という方法をとりまして、一たん都営住宅への仮入居を認めまして、一定期間経過後、入居資格要件を確認させていただきました上正式に入居できるような、そういった対応をしてまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 東京都自身も、大規模な災害がいつ起きても不思議でない状態にあるわけですから、今、十三大都市の相互応援協定というのがありますけれども、そういう大都市に限らず、東京都が全国で最大の公営住宅の枠を持っているわけなので、今答弁があったように、今回の震災時にとられた措置と同様に速やかな対応をぜひとってもらいたい、こういう大規模な災害の場合にはぜひお願いしたいと思います。

 それから、前の方からもお話があったんですが、今入っている住宅がたまたま広くて、ひとり住まいでは大変恐縮しているという方の声を私も聞きました。もう少し狭いところでいいですから入居資格を認めてほしい、また申し込みし直すようなことがないようにしてほしいという要望がありました。そういうふうに、被災された方々は、やっぱり都民の方の理解、ご近所の方の理解も得ながら──東京に住み続ける場合には、そういうことも考えていかなきゃならないというふうに皆さん思っていらっしゃると思うのですよ。そういう個々の事情については、ぜひ温かい配慮を私からもお願いしておきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

 

◯曽根委員 第二百五十号議案、多摩都市モノレールの工事請負契約の議案について、二、三質問させていただきたいと思います。  今回の、前期事業の部分についてのモノレールのけたの製作と、これを乗せる工事の発注ということですが、事業全体について、今の進捗状況はどういう段階になっているのか、駅のうちどの程度が進んでいて、どの程度の区間の施設ができてきているのかをお聞きしておきます。

 

◯中西参事 現在までに、モノレール建設工事に必要な用地の約九割を確保いたしておりまして、全延長の約六割の区間の支柱と、十九駅のうち十五駅で工事を進めているところでございます。

 

◯曽根委員 開業が平成九年度末ということだそうですが、私たちも、貴重な南北の公共交通機関として、一日も早い完成を期待しているわけですが、このモノレールは、ほとんどの橋脚が一本なんですね。それで、地域の利便性の向上の上では当然必要な施設であると同時に、安全性の確保も重要な課題ということは、阪神の経験からもいえると思うのです。それでお聞きしたいんですが、鉄筋コンクリート製で、しかも一本という橋脚が、阪神では被害に遭ったものもあるということで、多摩都市モノレールの場合、この鉄筋コンクリート製、一本の橋脚というのは何本ぐらいあるんでしょうか。

 

◯中西参事 モノレールは道路内に設けますために、支柱は中央分離帯に設置することになりまして、一本が基本となっております。ご質問の鉄筋コンクリート製の一本柱でございますが、全体計画で四百三十四基となっております。

 

◯曽根委員 これはもう既に平成二年に着工しているわけですね。阪神の震災の前に完成もしくは、もうつくりかかっているということで、工事の方法を変更できなかったものはあると思うのです。しかし、震災が起きた直後に、現地のいろんな調査の結果から、こういうふうに補強すればいいんだということが国段階でもいろいろと研究されてきていると思うのですが、そういう震災後の対応については、この橋脚四百三十四基の中で、どの程度、どういう形で対策がとられたのかをお聞きしたいと思います。

 

◯中西参事 阪神大震災の教訓を踏まえまして、国で、兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様をまとめまして、五月には各都道府県に対し、既存の橋梁ですとか、新たに設ける橋梁で重要なものについては、このいわゆる復旧仕様を準用するよう通達しております。多摩都市モノレールにおきましても、新たに設計施工するものにつきましては、この仕様を踏まえて進めております。既に施行したものもありますが、全体の四百三十四基のうち二百四十五基、この仕様に基づいて進めているところでございます。

 

◯曽根委員 そうしますと、引き算すると、残り百九十基弱が従来の方法でつくられているわけですが、これについては、やはり点検、必要な補強が早急に求められるのじゃないかと思うのですが、この点でどのような対策を考えておられるのかをお聞きしたいと思います。

 

◯中西参事 既に完成しております鉄筋コンクリート製の一本柱は百八十九基でございます。これらにつきましては、今年度、耐震性につきまして調査を進めておりまして、今後必要な補強計画を作成しまして、順次対策を行う予定でございます。

 

◯曽根委員 開業が平成九年度末ということですから、できるだけその開業の前に対策がとられていることが望ましいと思います。この点は、期待されている交通機関ですので、一日も早い完成とともに、安全性の点でも地元に心配をかけないように、ぜひ事業の中身を、必要なところの見直しを行って充実をさせていただきたい、このことを要望して、終わります。

 

◯山本委員長 ほかにございますか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

◯山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

◯山本委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  それでは、本案に対して意見のある方は発言を願います。

 

◯曽根委員 第二百五十一号議案、五日市トンネル整備工事の請負契約について、意見だけ申し上げておきたいと思います。  地元のあきる野市では、このトンネルの建設について、日の出町や旧五日市などの採石場からのダンプカーが狭い道に現在集中しているため、バイパス道路として期待する声があるのは事実です。しかし一方で、網代の出口付近の大気汚染の悪化を心配する声や、それから、トンネルを出た後、道路を二またで建設する方法について地元地権者が反対しており、関係住民の基本的合意が得られているとはいいがたい状況です。地元の議会では、我が党は、地元住民の合意と納得の上で着工することを強く求めてきたところでもあり、現状のままトンネルだけ工事を進めていくことには、時期尚早と判断せざるを得ません。したがって、本契約案件は賛成できないことを意見として申し上げておきたいと思います。

  それから、第二百五十二号議案、愛宕トンネルについては、これは要望ですが、トンネル上部の権利者の方々について、移転のための代替地などをきちんと保障すること。特に代替地については、都が青梅の土地を提示しているとのことですが、青梅では、地元の奥多摩に比べ若干地価が高いため、移転した上に敷地が狭まることになるので、権利者の皆さんは奥多摩町の中で代替地を希望しており、この要望にこたえる努力を求めておきたいと思います。  以上で意見表明を終わります。

 

◯山本委員長 発言は終わりました。  お諮りいたします。  本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

◯山本委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。  以上で契約議案の調査を終わります。      ─────────────

◯山本委員長 次に、付託議案の審査を行います。  第二百二十八号議案、平成七年度東京都一般会計補正予算(第四号)のうち、歳出、債務負担行為、建設局所管分及び第二百五十七号議案を一括して議題といたします。  本案につきましては、既に説明を聴取しております。  これより質疑を行います。  発言を願います。

 

◯曽根委員 第二百五十七号議案、中央線の連続立体交差事業の費用について、関係市の費用負担を決定する議案ですが、三鷹より西側の立川まで、この立体化と複々線の事業は、多摩地域全体の長年の強い要望であり、我が党は、一日も早い事業の完成を求めております。同時に、国鉄の民営化に伴って、立体化事業の地元負担が非常に過大になっているということで、これが立体化の促進にも非常に悪影響を及ぼしているといわざるを得ないわけです。  そこでちょっとお聞きしたいんですが、今回は三鷹より西側、立川までですが、以前、三鷹より東側の部分が立体化されたとき、関係市である三鷹市の負担はどうだったでしょうか。

 

◯沼尻道路建設部長 中央線の三鷹駅以東の立体化についてのお尋ねでございますけれども、荻窪−三鷹駅間の立体化につきましては、当時の国鉄が単独で輸送力増強のため実施したものでございます。ですから、市の負担はございません。

 

◯曽根委員 国鉄がJRに変わろうと、鉄道事業は公共性の強い事業です。しかも、地元市にとっては、立体交差事業にかかわる事情は基本的に変わっていないと私は思います。輸送力増強という点でも、今回もそういう趣旨は同じだというにもかかわらず、相当な負担を関係市に負わせようとしております。それと、関係市の負担の振り分けは、通過延長距離に応じて振り分けられているため、その市の財政力に関係なく、重いところと軽いところのアンバランスが大きいわけです。

 そこで、今回負担額の大きい小金井市と国立市の負担の実情について聞きたいと思うのですが、小金井市と国立市の予算規模は、関係六市の中の何番目でしょうか。

 

◯沼尻道路建設部長 関係六市の平成七年度の一般会計予算でございますけれども、小金井市は五番目でありますし、国立市は六番目でございます。

 

◯曽根委員 もちろん偶然なんですが、最も延長距離の長い二つの市が、最も財政力が弱いわけであります。距離で案分しているために、こういう偶然が今回起きてしまっています。小金井市と国立市の立体化事業の全期間にわたる負担の合計額はそれぞれ幾らになるのか、それから、その額は、二つの市の今年度の一般会計年間予算に対してどれぐらいの規模になっているのかを教えてください。

 

◯沼尻道路建設部長 中央線連続立体交差事業費の総額のうち、小金井市負担総額は九十九億円であり、国立市は五十五億円でございます。また、両市の平成七年度の一般会計予算と事業終了までの連続立体の負担総額との比較では、小金井市は約三三%であり、国立市は約二六%でございます。しかし、負担総額は事業年度に分割して負担するものでございますので、ちなみに平成七年度では、小金井市は約〇・九%でありますし、国立市は約〇・七%でございます。

 

◯曽根委員 余計な答弁が一つくっついたんですけれども──事業は確かに分割ですよ。しかし、予定ではこれは九年か十年ですよね。そうすると、仮に九十九億円を九年ないし十年に分けても、小金井の場合は、年平均にしてみれば、やっぱり一般会計の三%以上を十年近くにわたって負担するわけですよ。たまたま今年度は初年度だから〇・九%になっているにすぎないんで、東京都でいえば一般会計七兆円ぐらいですから、毎年二千百億円ぐらいの、またそれ以上の事業ということになってしまうわけですね。これが負担として重くないということは、私はいえないと思うのです。

 それで、関係市の中、とりわけ小金井や国立などについて、市の財政を圧迫しているという実情について、東京都はまずきちんと認識を持つべきだと思いますが、この点ではちゃんと理解をしておられるのかどうかをお聞きしたいと思います。

 

◯沼尻道路建設部長 連続立体交差事業は、都道のみならず多くの市道を同時に立体化することによりまして、交通渋滞の緩和、踏切事故の解消を図るとともに、鉄道によって今まで分断されておりました地域の一体化や高架下の利用などができまして、地元のまちづくりに大きく寄与するものと考えております。このような共同事業としての性格、また関係市が極めて受益を多く受けることから、都が地方財政法に基づきまして関係市の応分の負担を求めているところでございます。

 

◯曽根委員 いろいろメリットがあるのは事実です。したがって事業は急がれております。しかし、これは関係市が横並びで取り組まなければやれないわけです。そういう立体化事業で、これだけ負担に偏りを生んでしまうと、関係自治体で事業への熱意は同じであっても、取り組みの具体化についての財政負担という点で、どうしても足並みがそろいにくいという問題がやはり生じてしまうと思うのです。

  私は、こうした多くの市町村にわたる広域の立体化事業は、基本的に国や都が財政負担を含めて事業に責任を持つことと、JRにも当然の負担を求めて進めるべきであって、地元負担を負わせるやり方を根本的に改めるべきというふうに思いますが、建設局はどうお考えでしょうか。

 

◯沼尻道路建設部長 立体交差に伴います地元市の負担でございますけれども、先生もご存じのように、五十五年三月に、都と区市では一対一というふうに受け持っておりました。その後、区市から軽減の要望がございまして、六十一年五月に現在の七対三に至っております。これらにつきましては、今現実に都内でやっております南武線、小田急線、西武線等で実施しておりまして、今回の負担割合につきましても、関係市の合意を得ておりますので、このルールで実施していきたいというふうに思っております。

 

◯曽根委員 最後に意見を申し上げておきたいと思うのです。  関係市の合意という話が今ありました。確かに市長さんは合意したのかもしれませんが、この経過については、そんな簡単なものじゃなかったということを、事実上、関係市長の中で音頭をとったといわれています武蔵野市の土屋市長が議会でも答弁をしているんですね。

 土屋市長によると、昭和五十八年五月に市長になったときに、沿線市長会議が開かれて、そのときに、地元負担ゼロといっていたんでは、もう絶対に進まないんだから、地元負担やむなしと方針を転換しようということを、沿線六市プラス二市の正副会長会議で話したと。市長会議には珍しく二時間半もかかって、途中休憩もとってかんかんがくがくやったと。結局、幾ら負担するかは別にして、負担やむなしということに決まったんだというふうに、この問題については議会で答弁をしているわけであります。

 つまり、小金井市などについては、市長会の中でも相当抵抗があったわけですよ。当然だと思います。しかし、とにかく地元負担をやらないということでは、ほかのところに立体化事業が持っていかれてしまうと。しかも、その関係市が幾つもあると、負担の割合でまたもめなきゃならない。そういうことのないように、とにかくまとめましょうということで、私にいわせると、かなり強引にまとめて合意ということになったということが経過のようなんです。

  したがって、先ほども申し上げましたが、こういった事業については、いろいろ立体化事業、多摩の方はかなりの市町村にわたった形で行われますので、現在の七対三というのが実態に全く合わないこともこれから出てまいります。そういう点でも、基本的に、東京都がやっぱり財政的にも責任を持つという姿勢に改めることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 

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