建設住宅委員会95年11月21日
豊ヶ丘の環境破壊の住宅建設計画批判
◯曽根委員 それでは、私からは、多摩ニュータウンでの公団施行による住宅建設について質問いたします。
具体的には、多摩市豊ケ丘二丁目、新住地域の第八住区における二百五十五戸の分譲住宅の計画が、昨年来、既に公団から近隣住民に提案されていますが、近隣の住民の方々は、次の理由で全く納得しておりません。
私、ちょっと図面を地元からお借りして持ってまいりました。(図示説明)
南北に細長いこの地域に二百五十五戸をつくる計画なんですが、用地の北半分はかなり傾斜のきついのり面になっており、百メートルの距離で二十メートルの落差があります。この斜面の途中に十四階建てと十三階建てが計画されている、これが第一の問題。第二に、もともとこの住宅予定地の建設予定戸数は八十戸程度だったのが、三倍の二百五十五戸にふやされたこと。
第三に、建設予定地の南半分、こちらの細長いところ、こちらは平地なんですが、もともと近隣センター、つまり診療所やコミュニティ施設を予定していたものを全部住宅に変更してしまったこと。
第四に、建設予定の二百五十五戸の駐車場からの車の出口がほぼ二カ所に限られており、その出口が、曲がりくねった狭い道路の、しかもヘアピンカーブのそばだったり、立体交差になった見通しの悪い四つ角だったり、極めて事故の危険が予想されること。
第五に、この建設予定地が、この十年間この付近に残された唯一の自然の木立と緑の広場や斜面で、子供たちの遊び場などに活用されていること、そのほかもろもろの問題があるというふうにお聞きしています。
私も現場を訪ねてみたんですが、確かに北側の斜面はかなり急ですし、その途中に建つ十四階建てというのは、斜面の上にあります六階建ての住宅よりもさらに高くそびえ立つことになります。南は、ウナギがのたうったような細長いところに、三階から六階建ての集合住宅をびっしり詰め込むらしいんですが、これは無理があるなということを私も一見して思いました。
問題は、この何年かの間に、八十数戸程度の計画が、わざわざ住宅予定地というよりも診療所とか公共施設を予定していた土地まで分捕って加えて、二百五十五戸まで一遍にふやされてきた、この経過にあると思います。 そこで、お聞きしますが、もともとの八十数戸の計画から、この間、二百五十五戸まで変更されてきた経過とその理由についてお聞きします。
◯佐藤建設計画部長 ただいまの曽根委員のご質問にお答えいたします。
まず一点目は、住宅戸数が変更になった理由はどうしてかということでございますが、平成元年度に東京都の住宅対策推進本部におきまして、現下の住宅問題に積極的に取り組むために住宅戸数をふやそうということで答申が出まして、約一一%増ということで、多摩ニュータウンにおいても住宅建設戸数をふやすことに修正したものでございます。
二点目のご質問の中で、近隣センターの区域を減らして住宅にした理由はなぜかということでございますが、近隣センターにつきまして、最近の地理的条件、ここは区画整理地域の近くにございまして、その近くに同じような地区センターがあるということ、あるいは社会的条件で、車社会で、買い物は近くの大きな駅前等の商店街に行く傾向が出てきている、あるいは町医者等がなかなかはやらなくて、大手病院の方を利用されるという社会的変化がございますので、それらを十分検討した上で、住・都公団として変更したということでございます。
◯曽根委員 まず、戸数がふえた経過の大もとに東京都の住宅マスタープランがあるというお話です。これは、多摩ニュータウンの新住地域にも、大体ほかの地域と同じ割合で、一一%増ですか、割り当てられている。ところが、ニュータウンの新住地域というのは、東京のほかの既成の市街地とは、まちの成り立ちが根本的に違っておりまして、住宅が建ち始めてからまだ三十年ほどしかたっておりません。
したがって、住宅の建てかえとかそういうことは当分考えられない地域ですし、今までまちをつくってきたところですので、新たに農地が転用されたり、工場跡地で用地が生まれて、大量に住宅が建設できるというようなこともほぼ考えられません。
したがって、結局、新しい戸数増加の割り当てというのが、勢いまだ住宅が建設されていない部分に集中せざるを得なくなるということが考えられるわけです。
それで、この地域がそういう形になってしまったんじゃないかと私は思うのですが、多摩ニュータウンの新住地域で、東京都のマスタープランの策定によって、全体は住宅戸数が何戸計画上ふやされたのか、それと、その中で、多摩市の部分は何戸計画上ふやされたのか、お聞きします。
◯佐藤建設計画部長 住宅マスタープランの変更前と変更後の戸数でございますが、まず、新住宅市街地開発事業区域全体でございますが、変更前は五万九千二百三十戸に対しまして変更後は六万四千四百三十戸ということで、五千二百戸の増でございます。多摩市域に限って見ますと、変更前が二万七千八百八十戸に対しまして変更後が二万八千五百三十戸ということで、六百五十戸の増ということでございます。
◯曽根委員 多摩ニュータウンの新住地域全体では五千二百戸ふやす、その中で多摩市の部分では六百五十戸ということで、多摩市の戸数の割り当てが、全体の割合からいくと小さくなっていますが、私は、これは、多摩市の新住地域ではもともと計画戸数に対してかなり住宅建設が進んでいる、大体もう終わりかかっているからではないかと思うので、そこをちょっと確認したいんですが、現在、新住区域全体で計画戸数六万四千四百三十戸に対して何戸、何%ぐらいまで、着工したものも含めて供給されてきているか、それから多摩市についても、同じくどこまで来ているのか、これをお聞きしたい。
◯佐藤建設計画部長 新住区域全体計画での建設ベースでございますが、計画は六万四千四百三十戸に対しまして、四万七千七百二十五戸の建設実績でございまして、パーセントにいたしますと、七四・一%でございます。 多摩市域でございますが、これも建設ベースでございますが、二万八千五百三十戸の計画に対しまして、二万六千五百五十戸、九三・一%ということで、先生のご指摘のとおり、多摩市域については相当前からやっておりますので、進捗が早いということでございます。
◯曽根委員 そうすると、九三・一%がもう供給されているところに、新たに六百五十戸ふやさなきゃならない。空き地はもう余りないわけです。それで、この豊ケ丘の地域に、六百五十戸の純増戸数のうちの大体三分の一からそれ以上の数の詰め込み計画を出さざるを得なかったという流れがあるんじゃないかと、一つは思うわけです。
しかし、地元では、先ほどいったような理由から、既に六年前ぐらいに、八十数戸の計画の段階から、この自然の斜面のところに、八十数戸といえども住宅を建設することに対して反対の声が上がっているはずです。ましてや、今回、住・都公団が二百五十五戸にふやして詰め込もうという計画については、多摩の市議会こぞってクレームをつけているというふうに聞いていますが、東京都はこれをご存じでしょうか。
◯佐藤建設計画部長 昭和六十三年以降、請願が多摩市に出されておりまして、その中身についても、自然林を最大限生かしてほしいとか、良好な住環境をつくってほしいという請願が出て、採択されているということを存じております。
◯曽根委員 昭和六十三年に、自然林が最大限原形をとどめるよう計画の見直しを求める請願が多摩市議会に出されて、これは全会一致で採択をされております。八十数戸の計画の段階で、既にそういう議会での採択がされている。
にもかかわらず、住・都公団はこれに上乗せをして、三倍にして、用地も広げましたが、住宅戸数を上乗せしてきた。しかも、診療所などをつくる予定地まで住宅用地を広げてしまったことについて、つい最近まで地元の方々には何のお知らせもしていないという状況なんですね。これは私はひどいと思うんですよ。
大体周りの方は、もともとここいらに分譲で入るときに、ここの近くには診療所ができますと──特に南側の地域の方々ですね。診療所ができます、コミュニティ施設ができるし、保育園ができるというようなことを聞いて入ってきたら、最近になったら、今度はここに全部集合住宅を並べるというわけですから、本当にぎゅうぎゅう詰めになってしまいます。こういうことに対して地元が反対の声を上げざるを得なかったというのは、私はもう極めて当然のことだと思うのです。
しかも、ことし一月に阪神大震災がありました。私、非常に気になるのは、ここの地域では、この豊ケ丘の地域が、いわばオープンスペースで残され、しかも自然が残っている唯一の地域なんですけれども、このような形で、計画だからということで全部住宅を張りつけてしまうということは、防災上どうなのか。しかも斜面に建てる住宅の建設。十四階、十三階が建つ。確かに、多摩ニュータウンでは今まで斜面に住宅が建設をされてきました。
しかし、この阪神大震災の経験から、こういうやり方そのものを今後も続けていていいのかということを、私は今問われていると思うのです。
そこで、まずお聞きしますが、防災上どうしても考えておかなければならない、この地域の地盤の液状化の危険性について、このあたり一帯については地盤の液状化の危険性はないんでしょうか。
◯佐藤建設計画部長 まず、当地域は、宅地造成するときに、切り土あるいは盛り土した傾斜地でございまして──その下の方に区画整理区域がありまして、そこについては確かに低いわけですが、傾斜地でございますので、地下水位が低いということで、液状化は少ないというふうに考えております。
また、平成五年度に都市計画局から発表されました地震に関する地域危険度測定調査報告によりますと、豊ケ丘二丁目地区は液状化の危険性は小さいというふうにうたわれております。
◯曽根委員 東京都の地域危険度の調査の液状化に関する項目というのは、ランクは三つしかないわけですね。液状化の危険が高い、液状化の危険が小さい、液状化は考えられない、ほぼ可能性はない、この三つしかないんです。したがって、たとえ危険性は小さい、可能性は小さいとはいっても、液状化の可能性があるという地域に、この豊ケ丘二丁目が入っているということ。
それからもう一つ、この豊ケ丘二丁目のすぐ近くには、液状化の危険性が大きい地域がかなりあるんじゃないでしょうか。いかがですか。
◯佐藤建設計画部長 先ほども若干触れましたが、当該地域の下といいますか、土地的には低い場所でございますが、区画整理事業をした場所でございまして、そこのところについては液状化の可能性が大というふうにいわれておりますが、総合危険度では、建物、火災、人的避難危険度とも最低ランクの一ということで位置づけられております。
◯曽根委員 私は、資料をいただいて色塗りをしてみたんですけれども、豊ケ丘二丁目の地域は、確かに危険度が小さい黄色で色づけされている地域に入っていますが、その周りはピンク色、可能性の大きい地域に取り囲まれているんですね。この距離はもう二、三百メートルしかないわけです。
この地域は、田んぼだったり、もともと川があったのかもしれませんが、液状化の危険が高い地域が相当にある。しかも多摩ニュータウンは、先ほど私が申し上げたように、斜面を切り崩して、切り土、盛り土でつくっている団地街が並んでいるわけで、そういう意味でも、私は、この地域に住宅をどんどん張りつけていくこと自体、もし万が一首都圏で大きな震災が起きたときに、液状化が場合によってはこの地域一帯に起こるかもしれないという中で、阪神の経験からいっても考え直すべきではないかというふうに思うのですが、こういうことも含めて、地元では大変心配をしております。
そこで、今、住宅・都市整備公団から周りの居住者の方々に説明会が何回かされているというふうに聞いていますが、実際にこの用地は、既に住宅建設を目的として、住宅・都市整備公団の中で、開発局から東京支社というところに移っているというふうに聞いているわけですね。もし居住者、周りの近隣の住民との話し合いで、ここは住宅ではなくて、場合によっては一部目的を変更するというふうに話し合いがなった場合に、それではこの用地を住宅用地から別の目的に変更するということが、住・都公団としてできるんでしょうか。また東京都多摩都市整備本部としても、多摩ニュータウンの建設に責任を負う部署として、そのことについて働きかけるべきじゃないかと私は思いますが、そういうことはできるんでしょうか。
◯佐藤建設計画部長 当該地域の施行につきましては、住・都公団が責任を持って施行しているわけでございます。特に良好な住宅環境、それから事業採算性等も考えまして、その間に、地元市あるいは地域の住民の方にも十分説明をしている最中でございますので、その話し合いの結果を見守ってまいりたいと思っております。
もちろん、制度的には、戸数を増減することは住・都公団の裁量でできますが、私ども東京都といたしましては、良質な公的住宅をふやしてほしいという要請をしている関係で、私どもの方から住宅戸数を減らすということは望ましくないというふうに考えております。
◯曽根委員 今、佐藤さんがお答えになったように、東京都としては、もちろん住宅は建設促進していかなければなりませんが、あくまで良質な住宅じゃないといけないし、しかも住宅に新しく居住者が入るわけですから、その地域における住環境や安全性は守られなきゃならないわけですね。そういう点からいって私はやっぱり大変問題があると思う。改めて、東京都として、この計画について──もちろん今住民との話し合いが行われており、この話し合いがきちんとまとまらなければ、多摩市との住建協議──協議することは公団法の中で定めがあるはずで、地元市との協議が調ってから建設ということになりますが──これでの合意はあってはならないというふうに私は思います。それにしても、東京都として公団に対して、良質な環境の住宅、そして適切な住宅配置という点できちんと働きかけを行うべきだと思うのです。
それから、ちょっと緑に塗りましたが、(図示説明)今回、住宅用地に変更されなかった部分、ここに保育園の用地が残っています。この場所に行ってみますと、平地で大変よい場所で、むしろこういう場所の方が住宅にするならふさわしいかなというふうに単純に私は考えたんです。
しかし、今回ここは保育園用地のまま残っていて、住宅用地に変更になっていない。むしろこの先のこういう細長いところに、住宅用地を変更で持っていって住宅計画を立てている。非常に奇妙なことだというふうに私は思ったんです。なぜここだけ残したのか、このことについては東京都の方はご存じないと思いますが、ちょっと調べてみました。
住・都公団のある職員の方にも聞いてみたんですが、行く行くはここも結局住宅用地になるんじゃないかというんですよ、率直なところ。ただ、今回出すと、計画戸数が全体で余りにも大きくなるので、今回は住宅用地にしないで残しているけれども、多摩市でもまだ四百戸ぐらい計画戸数が残っているわけですね。ほかは余り空き地がない。結局ここも最後は住宅が変更で入ってくるんじゃないかということを、その職員の方はいっていました。私は十分あり得ることだと思うんですね。
これは非常に近隣の方を欺くやり方だというふうに思います。そういうことがあっては絶対にならないわけですが、私は、住・都公団の最近のいろんな意味での仕事の仕方から見て、大変危険性はあるなというふうに思うのですね。 例えば、賃貸住宅の建てかえについても、最近新聞でも書き立てられていますけれども、建てかえに応じない住民の方の職場にまで連絡をして、建てかえの承諾を迫るというようなことがやられたり、賃貸住宅でも、家賃が高過ぎて、周りの民間住宅よりもはるかに高い家賃になってしまっている。
非常に問題のある住・都公団の最近の住宅建設にかかわる状況から見て、非常に心配だと思います。改めて、東京都として公団に対して、私が申し上げた点も含めて、近隣住民との適切な話し合いの中で計画の見直しをするよう、また、近隣住民との合意がないままで多摩市との住建協議などを強引に推し進めて住宅建設を強行しないようにいうべきだと思いますが、最後にいかがでしょうか、もう一度。
◯佐藤建設計画部長 ただいま曽根委員の方からいろいろとご指摘いただきました。その件につきましては、私どもの方から住宅・都市整備公団に伝えるとともに、今後とも地元との話し合いを十分にして理解を得た上で施行するように、要請してまいりたいと思います。
◯曽根委員 私からは、二つの団地について、住宅改善及び建てかえ再生事業について何点か質問したいと思います。
初めに、東京街道団地の住宅改善事業について伺います。 現地を私も見てまいりましたが、ちょうど東京街道団地の中央あたりに、中層住宅の下に商店が入った建物が二棟、号数でいって十五号棟と十六号棟というのがちょうど向かい合って建っておりまして、ほかは大体住宅改善は終わっているのですが、この二つの建物だけがいまだに改善の手がつかずに、かなり老朽化しております。建物の手すり関係、鉄部などが根元がくさっていて、ちょっとさわるとぐらぐらするような状況と、壁の塗りかえその他、またサッシもまだ鉄のままであるとか、塗料などがはげているとかいう状況で、見るからにみすぼらしい状況になっているんですね。
ここは、多分、住宅改善の対象になっているはずなんですが、どうして改善の手がついていないのか、現状についてどのようにとらえておられるのか、お聞きします。
◯曽根委員 商店が下に入っている都営住宅はほかにもたくさんあるわけですが、私、ここの状況を、お店の方にもちょっと話を聞いて、また、上にお住まいの方にも話を聞いてみて、これから、商店が入っている都営住宅の建物を改善なり建てかえをするときにぶつかる共通の問題があるなというふうに感じたわけです。そこで、その問題を解決していかないと、こういう建物がどんどん残されていってしまうという心配がありますので、きょうはちょっと具体的に幾つかお聞きしたいんです。
この建物は、一階のお店は分譲になっていますよね。したがって、土地は東京都ですが建物はお店屋さんのものだ、その上に都営住宅が乗っかっているという形ですから、改善事業をやる上で、当然、下のお店を持っている、そのお店の事業者といいますか、経営者に了解を得なければ、建てかえも、もちろん改善もできません。 ところが、そのお店屋さんたちが、上で工事をやれば音も振動もある、やぐらを組まなきゃなりませんから店先をふさがれるような格好になってしまうということで、大変いろいろ不満を持っておられる。東京都は何度か話し合いを呼びかけたけれども、ご商売の都合や何かでなかなか時間が合わない。また、東京都の通知が、突然、前日とか当日になって舞い込むので、とても対応できないというふうな不満もお聞きしました。
それで、ここは二戸を一戸にするという工事を予定していたようですが、二戸を一戸にするということは、壁を打ち抜くなどの工事になりますので、相当音が出ますよね。その点で、下のお店屋さんたちの納得が得られるような別の方法を考えなければならないというふうに思いますが、そういった検討は今行われているのでしょうか。
◯曽根委員 別に厳しい追及をしているつもりはないんですけれど……。
私、二つ問題があると思うんです。 一つは、下側の分譲で建物を持っておられるということになりますと、例えば、その上にやぐらを組んで工事をやるとなれば、民間の建物の上に東京都がやぐらを組んで工事をさせてもらうとなれば、当然、金銭的なものを含めて補償というものは考えなきゃならないですよね、純粋に民間ならば。ところが、お聞きすると、東京都の住宅改善事業では、下のお店に対して補償が基本的にできないという関係になっているそうなんで、私、こういう制度のままでは、これから一階に入っているお店の協力を──今まではやられてきたというふうにいうんですけれども、今後、建てかえも含めていろんなことがありますので、果たして大丈夫かなというふうに思うわけです。この点は、お聞きしても余りいい答えが出そうもないので、制度の改善が必要ではないかということです。下のお宅は建物を持っているんですから、やっぱり何らかの補償をしなければ納得しないという状況じゃないか。
それから、不況でお店の方も大変らしいんです。工事の振動や何かで、また、やぐらが建ったりして、ちょっとお客さんでも減れば、もう廃業というようなことも考えなきゃならないというふうな状況もちょっとお聞きしました。大変厳しい状況ですので、商業者に対する補償の点はぜひ考えてもらいたい。これは要望しておきます。 もう一つの問題なんですが、先ほど建設部長がお答えの技術的な問題で、振動や騒音のなるべく少ない工法でやりたいということなんです。それが可能であれば、どんどん進めてもらいたいんです。しかし、そういう方法をいろいろやったって、音が全く出ない工事というのはありませんので、話し合いがつかないまま、ずるずるとこの先何年もたっていきますと、この建物は築後三十年を超えていますから、もう間もなく建てかえが可能な時期に入ってくるわけです。もうぼろぼろですよ、本当、表側は。
それまでずるずると延びたままにしておいていいのか。居住者の立場に立ってみれば、鉄のサッシがまだガラガラと、あけると音がして、さびついて動かなくなっている窓もあるような、そういう建物のままでこの先ずっと待たなきゃならない。改善事業の対象になっているから、計画の営繕も余り進まないんです。
そういう状況になっているぐらいだったら、場合によっては、何らかの方法で居住者の仮移転を先にやるということも考えなければならない段階が来る可能性があると思うんです。こういうことも考えていかなきゃならない。
そこで、改めてお聞きしますけれど、音や振動の少ない方法で、下の商業者の方に話し合いを申し入れて、きちんと今年度、少なくとも来年度中にはこの問題を解決して住宅改善事業に着手するという決意を、東京都として改めて示していただきたいのですが、いかがでしょうか。
◯曽根委員 内容はともかく、大変心配なんです。本当に大丈夫かなという感じがしてならないんですが、それにしても、私、居住者の方からお聞きしたんですけれど、この改善事業にはいつも話が出ますが、今の部屋の広さというのは、三十平方メートル台の非常に狭いところで、その方は家族五人で暮らしていたというんですけれど、本当にプライバシーも全く守れないような生活なんです。
子供さんたちが独立して少しゆとりが出たといっていましたが、これは法律上は厳密にいうといけないんでしょうけれど、もう既にベランダに自分でバスを置いて暮らしているんです。しかし、全く余裕のない広さですので、一日も早く改善をしてほしいと願っておりましたので、私、ぜひ早くやってほしいし、打開策を考えているということですから、頑張ってもらいたいんですが、やっぱりことし、来年、待っても進まないようだったら、思い切った手を打つことを考えなければならないと思いますので、私、今後とも注目をしていきたいと思っております。
もう一つの団地の問題ですが、村山団地なんです。これは長い経過があります。最初に建てかえの構想などが発表されてからも十年近くになるかと思います。先日も、村山団地よりよい住環境をつくる会という居住者の自主的な団体の方々と住宅局との間で話し合いも持たれたわけですが、長年、居住者の方々が、五千戸を超える都内最大の団地ですが、求めてきたことは、一つは、五年前ですか、武蔵村山、現地の市長と、居住者の連合自治会を初めとした関係自治会など住民組織、それから住宅局長、三者で結ばれた建てかえ再生事業にかかわる協定の趣旨をきちんと守って進めてほしいということと、それから住宅改善については先行して急いでやってほしいと。
先ほどもちょっと街道団地の方でもいいましたが、これは切実に希望が出ているということ。三つ目に、団地内で仮移転を行って、団地から遠く離れたところへの仮移転はできるだけ避けるようにしてほしい、新しくつくる住宅階数をできるだけ下げてほしい、それから、余り戸数を目いっぱいふやしたりしないで過密を解消する方向で取り組んでほしいという要望がかねてから出されております。その中で、超高層住宅まで計画されましたが、これは是正をされてきた。今、一番高い計画は十四階建てになっています。
また、もう一つは、一団地計画でつくられた団地ですが、今までに例のない、建てかえに先行して住宅改善を行うということも初めてですが、実例として具体化できたわけで、前進はしてきていますが、まだ多くの課題が残されています。
きょうは、そのうちから幾つかお聞きしたいんですが、その前に、いうまでもないことなんですが、やはり居住者との合意、納得を得ながら進めること、また、団地の周辺の住民の方、周辺地域にお住まいの方々に対しても、風害問題などなど、そういう問題で住環境に悪影響をもたらさないように進めていく必要があると思うので、この点で村山団地の再生計画についての基本的なスタンスといいますか、考え方を初めにお聞きしておきたいと思います。
◯曽根委員 居住水準を上げるとか、受け皿の住宅をちゃんと用意して進めるということは大変結構なことだと思うのです。
同時に、戸数増を図るために高度利用ということになりますと、地元の武蔵村山市は、何しろ市庁舎が六階か七階建てで一番高い建物で、それ以上高いものはないということなんで、現在、計画中の十四階建てを含めて、周辺から見て非常に高いものが建ってしまうということになりかねない。環境を守りながらというお話もありましたので、その点ではまだまだ課題が残されている点を指摘しておきたいと思います。
きょう具体的にお聞きしたいのは、一つは、この村山団地の敷地の中に昔の農道がありまして、これはいわば国有地で、通称赤道といっていますが、これがまだ未処理のままになっているというふうに聞いています。現在、市の持ち物になっているらしいんですが。この処理は、通常は非常に時間がかかるというふうにいわれていますので、団地の再生に間に合うんだろうかと非常に地元で心配をされております。この点の解決が、ちゃんと計画の前に行われて処理が済むのかどうか、この点の見通しをお聞きしたい。
◯曽根委員 今お答えがあったので、大丈夫だと思いますが、通常、こういう赤道問題というのは数年はかかる。それで、この団地の場合、処理が非常に中途半端な状態だったので、通常のやり方でいくと十年ぐらいかかるかもしれないというふうな話もありますので、何らかの迅速な処理、手続方法をとって、必ず再生に間に合うように、重ねてお願いをしておきたいと思います。
もう一つ、今、先行して住宅改善事業が始まりつつありますが、今行われつつある住宅改善事業は、三戸を二戸、二戸を一戸などにする内部改善の事業で、したがって仮移転が必要になります。建てかえの仮移転先は、今、建設途上ということですが、この住宅改善の仮移転先は、現在ある住宅の空き家を使うということになります。居住者の方からは、お年寄りの方が大変多いので、地面に直接建っている簡易耐火住宅、この空き家を仮移転先として利用できるようにしてほしいという要望が強く出されていますが、東京都からは一貫して、仮移転先としてはこれは使わないという返答が返ってきているそうです。私は、地元の事情からいいますと、簡易耐火住宅も仮移転先として使わなければ、なかなかこれは進まないんじゃないかと思うのですけれど、今後の中で、もう絶対だめなのか、それとも場合によっては使えることがあり得るのか、その点はいかがでしょうか。
◯曽根委員 原則だめというところから一歩前進だと思うのですが、建てかえの後期と、今お話がありました。ということは、建てかえはこれから十年ぐらい先の話になるわけで、簡易耐火住宅、確かに改修は、中層住宅に比べると、中をきれいにするのはお金がかかる。
百万円ぐらい超えるとだめなんだという話もちょっと聞こえていますが、私は、十年ぐらいの建てかえまでの期間があれば、住宅改善も含めて仮移転用住宅として使うわけですから、ローテーションとしては、二、三回は少なくとも使えるというふうに考えれば、ちょっとお金をかけても簡易耐火住宅をきれいにして、お年寄りの方などを──中層住宅ではなかなか一階の空き家は出ませんので、仮移転先として利用してもらうというのは決してむだではないというふうに思いますので、もう少し枠を広げて今後も検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。 何しろ全体で二十年近くかかる建てかえですから、これからも、今のような話も含めていろんな問題が出てくると思いますが、ぜひ居住者との合意を大事にしながら計画を進めるように求めて、質問を終わります。