住宅港湾委員会94年9月12日
臨海開発問題で港湾審議会答申、住友商事契約問題、住宅街の環境問題を質疑
◯曽根委員 ただいま報告のあった港湾審議会答申は、さきに審議会の最終報告として私どもが冊子でいただいたものと同じものというふうに理解してよろしいと思いますが、これについて何点か質問させていただきます。
最初に、基本的な点として、前回第五次の改訂港湾計画、これは昭和六十三年につくられていますが、このときにつくられた計画と比べて、今回答申された長期構想及び第六次の改訂港湾計画の基本方針は、基本的な点で何か変わった点があるのかどうか、この点をまずお聞きします。
◯新渕港湾整備部長 基本的な考え方について、何か変わった点がございますかというようなご質問でございますが、今回の港湾審議会の答申では、おおむね三十年先を展望した長期ビジョンを明らかにした上で、第六次改訂港湾計画の策定に当たっての指針となる基本方針を提言したものとなってございます。
基本的な考え方につきましては、第五次改訂港湾計画も今回の第六次改訂港湾計画に向けての答申も、東京港が都民生活や都市活動に必要な物資を供給する物流基地として、また、都民のためのスポーツ・レクリエーション空間の提供や、東京のまちづくりを支える場として多様な役割を果たしていくことを踏まえて検討されておりまして、都民生活や都市活動のための東京港の整備という視点では共通したものとなってございます。
ただ、今回の答申では、東京港の持つ機能が都民生活に及ぼす影響について、必ずしも相応の評価を得ていないとの認識から、特に物流基地としての東京港の役割の重要性につきまして強調された提言になっているということでございます。
◯曽根委員 確かに読んでみますと、今回の答申は、物流基地としての東京港の役割の重要性について大変強調されている。これからの東京港の機能としては、第一義的にこの物流機能を充実させていく必要があるという点が、前回の改訂計画に比べても強調されているように思うんです。
それが、確かに答申の最初の方に出てまいりますように、東京港の持つ機能が都民生活に及ぼす影響について、必ずしも相応の評価を得ていないという、こういう認識が示されているわけですが、かなり一般的な物のいい方をしてるわけですね。
しかし、前回の計画では、それまで港湾施設用地にしていた部分のかなりの部分を臨海副都心に振りかえたと。また、青海地区で、当然海岸沿いの大型コンテナふ頭などに活用できると思われていた場所を臨海副都心に回すことによって、大型のバースが一個ないし二個つくることができなくなったなど、明らかに都市機能の役割を重視するような方向にかなり大きな転換が行われたという印象を持つんですが、今回の計画では、むしろこの都市機能の重視の結果、港湾機能の整備が立ちおくれているということから、これからは第一義的には港湾の物流機能重視なんだというふうに認識がされたんではないかというふうに、私はこれを読むと思えるんですが、その点はいかがですか。
◯新渕港湾整備部長 港湾機能の整備が立ちおくれているというような状況の認識についてのご質問でございますが、物流基地としての東京港の役割の重要性が強調されているという点につきまして、もう少し詳しくご説明いたします。
今回の答申では、第一に、将来を展望すると、今後さらに海外からの食品等の輸入物資が増大するとともに、省エネルギーや環境重視の視点から内航海運の利用促進の高まりが予想され、東京港の重要性が一層増すと考えられます。
第二に、一方で、今後東京港に残された利用可能な空間が、中央防波堤外側埋立地と新海面処分場に限られてきていること。このような状況認識のもとに、物流基地としての東京港の役割の重要性が強調され、新しい埋立地の利用において、港湾機能の充実が第一義的に図られる必要性があると提言されたものでございます。
◯曽根委員 私は、今回の提言の基本認識として、物流機能を第一義的に重視するというその原因は、第五次の計画の中で都市機能の方にかなりの部分を割いたために、物流機能のおくれを来したのが原因ではないかということを質問したんですが、そのことに直接お答えはなかったんですが、お答えの中で一つ、私の質問について否定されてなかったことと、これからのいわば港湾用地として考えてみれば、埋立処分場、それから、これから埋め立てを行うという新海面処分場ぐらいしか新しい展開の用地がなくなっていると。
したがって、そこに本当に物流機能を重視しなければならないんだというところを見ますと、先ほど指摘した青海の件、これはさきに決算委員会の中で、私も質問で取り上げたことがあるんですが、このときの港湾整備部長のお答えでは、仮定の話としながらも、臨海副都心開発が行われなければ、十三号地その一、つまり青海の北側ですね、ここにコンテナふ頭を建設することは可能であったと思われる、しかし、東京の一極集中型の都市構造を多心型都市構造へ転換するなどの必要性から、臨海副都心計画に回したというような答えがあったんです。
したがって、港湾機能施設用地はいろいろありますけれども、海岸沿いのふ頭用地として用意されていたものが――ここは、やはり何といっても港湾機能の第一義的な場所ですよね、船が着けられるところですから。
それを臨海副都心に回したことが、結局はしわ寄せとして、今後、利用がいつになるか、まだまだ見通しの立ちにくい埋立用地などを考えなければならなくなったことにつながっているという点では、私の先ほど質問した点は的外れでないというふうにいわざるを得ないと思うんです。
そういうことを踏まえますと、今回の改訂計画の中で、前回新たに盛り込まれた臨海副都心計画について、着実に推進をしていくというふうな表現になっているわけですね。
私は、五次計画から、昭和六十三年からこの間の臨海副都心開発の開発状況を見ていると、だれの目にもこのままいくとは思えない。都民の中にもいろんな批判の声が次々上がっているし、現実に財政的にも破綻を来してきているということは、私たちも強く指摘してきましたけれども、また、大方の都民の皆さんの認識でもこれは一致していると思う。そういう点について、何らかの反省に立って、着実な進展というような書き方については改める必要があると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか、副都心計画の着実な進展という表現について。
◯新渕港湾整備部長 臨海副都心計画は、東京の都市構造を一点集中型から多心型へと転換しますとともに、国際化あるいは情報化の進展への対応や職住近接の都市形成を目指して計画された長期にわたる計画でございます。 そういうことから、答申では、今後とも社会経済状況の変化に対応しながら事業の着実な推進を図っていくことが提言されたものでございまして、答申に沿って対応してまいりたいと私は考えてございます。
◯曽根委員 この答申を受けて港湾局としては、これからの東京港の将来に責任を持つ担当部局として、当然この答申に盛り込まれた、これからの都民の生活、消費を支える物流機能の拠点としての東京港の発展に、本当に努力をしてもらわなきゃならないと思います。そういう点で私は、今回、特に環境保全の問題、それからリサイクル型の都市づくりの一環としての東京港の役割、こうしたことが新たに強調されましたし、生活、消費を支える物流機能という点を今後第一義に考えていくんだという点、この点については、当然そういう方向をとらざるを得ないだろうし、その点は努力が必要だろうというふうに思っています。
これが第一の点なんですが、しかし一方で、副都心計画が今までの経過の中で、港湾機能として将来使える可能性のあった場所も含めて奪い去っていったという、このだれの目にも明らかな事実を、やはりきちっと見直すべきじゃないかという点、そういう点で、着実な推進という表現は私たちは納得できないという点を指摘しておかなきゃなりません。
それからもう一つ、これは意見として申し上げておきますが、港湾審議会の中で、我が会派の西田委員も意見として申し上げましたが、清掃事業の大変な立ちおくれとリサイクル型への転換のおくれの中から、現在、焼却できない可燃ごみまでも埋め立てているという状況の中で、慌てた形で新海面処分場を計画されました。こういう経過から見て、新海面処分場の建設については、私たちは了承できないという態度をとっている、この点は指摘しておきたいと思います。
しかし、今後これらの埋立地も活用しながら港湾機能を発展させていくということは当然必要なことですが、その中で、将来一億二千万トンぐらいの物流機能を持たせると。この中で、特に海外の生産品を輸入してくる形がふえていくだろうというふうに予測していると。この問題については、例えば日本の大手の企業がどんどん今海外進出をして、逆輸入というんですか、向こうで生産して国内に持ち込むような形、これはいわゆる産業空洞化に直結をしている問題なので、こういう形のものについては我々は認めがたいということも、あえてこの機会に指摘をしておきます。
海外との交流が大いに進むのは我々も当然と考えますが、これが日本の企業のいわば新しい形での海外への経済侵略みたいな形になるとすれば、これは極めてまずいことだというふうに考えるわけです。その点でも、東京港は都民の生活、消費を支える、特に国内での物流機能もあわせて持たせて発展させていくことを強く求めて、意見としたいと思います。 以上です。
●住友商事契約問題
◯曽根委員 続けて、私からは、住友商事の契約がおくれていましたが、進出をすることになった台場地区の資料5の1の方について質問したいと思います。 何人かの方が既に質問されていますので、なるべく重複を避けたいと思いますが、先ほどのご説明や質問の答弁を聞いていますと、一年半にわたって契約がおくれて、ようやく進出が決まったと、契約が八月末日で行われたということですが、これについて特段のペナルティーは科せられていないということのようです。
そうすると、とにかく一年半も契約がおくれ、しかもそれに付随して、先ほど指摘があったようにバッテリータウンの開発がおくれることを東京都は認めざるを得なくなったと。目玉にしている世界都市博覧会にもかなりの部分が間に合わないという、事実上被害も生まれるという中で、あえてペナルティーも科さないということになれば、今後の契約その他で民間企業の進出に関して、これは当然前例になってしまわざるを得ないというふうに思いますが、この点の評価はいかがですか。
◯安樂開発部長 今回の契約に当たりましては、住友商事グループが応募案の中で示しました生活文化創造型商業施設を建設するというコンセプトを維持しながら、厳しい商業環境の中で、竣工期限の平成八年二月末までに商業施設の基本的な部分を完成させるという企業としてのぎりぎりの努力を行った結果に対して、都としてこれを認めたものでございます。
◯曽根委員 つまり今のご答弁ですと、とにかく商業環境が厳しいと。しかし、開発をめぐるこの間の環境の変化というのは、開発に携わっている東京都も含めて、みんな苦しみを背負っているわけですね。我々、だからこんなことはやめなさいというふうにいってきたわけです。
しかし、同じ苦しみを負っている中で、住友商事については、この程度の努力をすればペナルティーなしでオーケーだということを東京都が今回認めるということは、今後もこの程度のことならば、契約がおくれようが、一たん決まったのが一年半延びようが、そういうことはあり得るよということを認めたことになりますよね。その点をもう一度確認したいんです。
◯安樂開発部長 ただいま申し上げましたように、大変厳しい商業環境の中で、竣工期限の平成八年二月までにどうしてもここに商業施設を確保するという基本的な要請がございます。この中で企業としてのぎりぎりの努力を行ったということに対して、東京都が認めているものでございます。
◯曽根委員 先ほど西田委員からも有明南の地区についての指摘をしましたが、つまり行政としては公正さを欠いていると。しかし、とにかく開発を成功させるためには、悪いいい方をすれば、なりふり構わず、とにかく民間企業に出てもらわなければならないということになりますと、一たんこうした筋が通らない話が生まれていけば、これはどこまでも広がっていく、前例になっていく。これは当然、次の第二次契約にも影響を与えるということは考えざるを得ないと思うんです。
お聞きしたところ、第一次契約は新土地利用方式で、現在もそれでやるということなんで、権利金が新土地利用方式は毎年六%ですか、上がっていきますから、金額的には権利金が大分上がっているんで、昨年の三月に契約したのと金額的にさほど違いはないというふうなお話でしたが、第二次契約は長期貸付になるわけです。そういう点でいいますと、今度は契約がおくれれば、その分東京都に入ってくるものが少なくなるという点では、これが前例になれば、財政的な被害も当然これから生まれてくることも考えなければならない。そういう点で自治体として、いろんな形での開発その他の事業はあり得ますけれども、こうした公正さを欠いたやり方をすれば、後々ツケは必ず回ってくるということを、まず第一に指摘をしておきたいと思います。
それで、今度変更になって、第一期と二期に分けてつくられる住友商事の施設について、先ほどご質問もありましたが、第一期でどのような形のものがつくられ、第二期はそれとの関連でどういう計画になっているのか、まず簡潔にお聞きしたいと思います。
◯安樂開発部長 現時点で計画の内容がまだ具体的にされていない部分がございますが、第一期計画の商業施設は公募条件にありますように、都市を楽しむという観点から、物販、飲食、アミューズメント施設から構成されます複合商業施設として計画がされるものでございます。第二期計画につきましては、第一期計画との相乗効果を生み出すような商業施設が考えられておりまして、今後具体的な案が作成されるというふうに聞いております。
◯曽根委員 そこで、今回アミューズメント施設を含む四万二千平方メートルの床面積の部分が第一期で行われるわけですね。このアミューズメント施設について、お話のあったようにセガが提携相手として進出をしてくると、責任を持つということのようですが、今までアミューズメント施設の内容として計画されていたものが変更されるんじゃないかと思いますが、今までどういうものが予定されていて、セガの進出によってどういう内容に変わろうとしているのか、その点についてお聞きします。
◯安樂開発部長 当初応募案で提示されましたアミューズメント施設の内容は、スポーツトレーニングジムとディスコでございました。今回は現在の厳しい商業環境の中で、より集客力のあるアミューズメント施設を設置するという必要がございますので、セガの進出が決められたということでございます。具体的な内容については、これから決定されていくというふうに聞いております。
◯曽根委員 この点でも、これからどういうものになっていくのかという点が非常に心配されるのです。特に、この地区はすぐ隣が台場の住宅用地なんですね。一本道路を挟んで、すぐ隣が公共住宅がお台場海浜公園を取り囲むようにしてつくられるわけで、小中学校もできるわけです。
そこにアミューズメント施設ができる、セガが進出して何がつくられるかはこれからだと。しかし、この内容については、当然進出企業に任せられるということになっています。今まではスポーツトレーニングジムというような形で、多少なりともその辺に住んでいる居住者の方やビジネスマンに対応したものが考えられていたようですが、セガの持っている今までの実績などから見ると、より娯楽性の高いもの、そして住んでいる人というよりは、外からやってくるお客さん、世界都市博などが想定されると思いますけれども、そういうお客さんを中心的な対象にした施設になっていく可能性が大変強いのではないかと思います。こういうアミューズメント施設を目玉にして商業展開するわけですから、本当にすぐ近くに住んでいる住民に対する商業的な役割としてはどうなんだろうかと、この点は大変疑問に思います。そういう点での計画は出されているんでしょうか。
◯安樂開発部長 ただいまも申し上げましたように、アミューズメント施設の内容そのものにつきましては、これから詰められていくということになっております。ただし、現在の時点ではっきりしている点について申しますれば、このアミューズメント施設は子供も含めたさまざまな客層が気楽に楽しめる施設ということで、最初のコンセプトに合ったまちづくりの内容から大幅にずれたものではございません。
◯曽根委員 基本コンセプトは変わらないというお話ですが、しかし、その中心になるアミューズメント施設の中身がかなり大きく変わってくれば、それに付随して商業施設をつくっていくと、その相手になるお客さんはどこにターゲットを絞るのか、民間の方は採算重視ですから、いろいろ変わってくる可能性が大いにあると思うんです。
それで、台場地区のこの同じ時期に入居する都営住宅、その他公共住宅は何世帯で、人口としては何人ぐらいを想定しているのか。そして、それに対応するいわば日常生活のための商業的な販売というのは、この住友商事のつくるところでは考えられるのかどうか、この点はいかがですか。
◯安樂開発部長 平成八年三月には台場のK、ALの住宅が完成いたしますが、住宅戸数は千三百五戸でございます。居住人口は約三千九百人と推定されております。
住友商事グループの計画している商業施設は、基本的には臨海副都心を訪ねる幅広い客層を対象とした広域的な商業施設でございます。しかし、地元住民や臨海副都心で働く人たちの利用も当然に考慮した事業展開を計画しているというふうに考えております。
◯曽根委員 千三百五世帯、三千九百人くらいの人口、商業施設の大きさは四万平米以上あるわけですね。これが三千九百人程度の人口だけを対象に商業展開するということは、私は規模からいってあり得ないと思う。今お話しがあったように、外からやってくるお客さんを中心的な相手とするということは、お答えのあったとおりになってしまうと思うんですね、必然的に。
生鮮食料品その他、これが住友商事のところで売られるかどうかという保証は、私は率直にいってないと思う。そういう点では、当然居住地区の方にそれに対応する商業施設をつくらなければならない。日常生活に必要な公共サービスの施設も含めて確保しなければならないと思うんですが、こちらの方の手当てはちゃんと行われるんでしょうか。
◯安樂開発部長 居住者の日常生活に必要な商業店舗、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店などは、住宅棟の中に合築する予定になっております。
◯曽根委員 私は、この台場地区というのは臨海開発の中で最初に入居者が入ってくる地区ですから、ここで本当に東京都が夢を描いたように、この地区がオフィス街を中心にしながらも、居住者にとっても快適な居住空間になっていくということが実現されるかどうかが試される地区だと思うんですね。
そういう点で、最初に入居するのが千三百世帯、四千人弱と、全体の町の規模からいえば極めて少ない人数の居住者ですが、住まわせる以上は、この人たちの日常生活に対して東京都は開発者として責任を持たなければならないと私は思うんですよ。日常生活がちゃんと送れるかどうか、何しろ島ですから、新都市交通か、それからレインボーブリッジ、高速料金を払って入ってくるか、込んでいる道路を清掃車と一緒に入ってくるか、それぐらいしか交通の道がないんですから。そういう意味で、その町の中で日常生活が十分に送れるようにしていく責任が開発者の側にあるだろうというふうに思います。
そういう点では、四千人を相手に公団や公社の建物の中に商業店舗を誘致するということになると思いますが、これについてちゃんと、今後ともずうっと営業ができるようにさせていく責任を開発者の側で負うことができるんですか、その点はいかがですか。
◯安樂開発部長 ただいま申し上げましたように、居住者の日常生活に必要な店舗等は住宅棟の中に合築されます。 一方、住友商事グループの計画している商業施設というのは、先ほど申し上げましたように、基本的には広域的な商業施設であります。一方、住宅棟の中の商業施設は日常の必需品を扱うものでありますので、これらについては両立していくものというふうに考えております。
◯曽根委員 両立するかどうかではなくて、私は、住宅棟の中に入る店舗について、開発している側として、その店舗の誘致、それから今後の営業の継続について、ちゃんと行わせていく責任を持てるんですかという点を聞いているのです。
◯安樂開発部長 ただいまの点につきましては、住建業者とも相談しながら対応してまいりたいというふうに思います。
◯曽根委員 これは公団住宅や公社住宅、都民住宅、それから都営住宅ですが、そこに入居する店舗については住宅供給公社、もしくは住・都公団、これが直接的には誘致して入居させるわけですよね。私は、こういう条件のところに入ってくる店舗は今極めて少ないと思う。というのは、付加価値が高い商品については、大体住友や今後できてくるバッテリータウンが販売をやるわけで、大規模店のすぐ隣に小規模な団地の人のお店として展開しなければならない。生鮮食料品、日常買い回り品ぐらいしか営業品目が持てないという制限つきですよ。そうでなくても、多くの団地で、大体公団住宅の下、都営住宅の下のお店は次々と今、転廃業に追い込まれているんですよね。
多摩ニュータウンを私は調査したことがありますが、鹿島地区という五百世帯ぐらいの団地があって、その下に十二店舗の商業地があるんですが、ほかの場所からちょっと離れているためにほかのお客さんが来ない、上の五百世帯だけを対象に商業しなければならない。十二店舗の区画のうち五店舗が廃業しちゃって、供給公社が幾ら呼んでも入らないですよ、そういう状態になっているのです。ここはもう少し世帯数は多いですけれども、そういうことは十分考えられる。しかし、港湾局、開発者側はこれには直接責任を持たない、公社公団がやらなければならないということで、私はこういう問題というのは次々と起きてくるだろうと思うんです。
まちづくりの基本的なあり方として、どんなに少なくても人口を呼び寄せて住まわせる以上は、開発者としてきちんと居住者本位に町をつくらなければならないという責任があります。オフィス街が中心だからといって、居住者を無視することはできないはずで、私たちは住民本位に町をつくらなければならないというふうに思います。
その点でのまちづくりの基本的なゆがみがあると。何しろ後ろはレインボーブリッジの取りつけ道路ですから、車はどんどん斜面を上がっていって、排気ガスがどんどん出るところですね。そのそばに住宅を建てる。景色はいいかもしれませんが、ずっと住み続ける住宅としてどうなのかという点で大きな問題がある。しかも、すぐ隣にセガという、どういうものを出すか私もよくわかりませんが、相当娯楽性の高い大規模な施設ができて、相当音も出るでしょう、そういうすぐ隣に住まなければならない。しかも、日常的な生活用品の商業施設は十分に展開されるかどうか、保証が今のところ私はあるとはいえないと思うんですが、こういうふうに二重三重にまちづくりの点でゆがみを持っているといわざるを得ないと私は思う。
その上に、今回不況だということで進出を渋っている民間企業を、とにかく開発に引っ張り込むために筋を通せないやり方で、公正さを欠くやり方でこのような契約を行えば、あとは民間企業の都合によって幾らでも店舗展開、それから施設の中身も変えられてしまい、そこに住んでいる人たちにとってはますます不利なことが起きてくる可能性も出てきます。 こういう点で、私は、今回の契約の経過に見られるように、また有明の方でも同様ですが、開発を成功させんがためにということで、自治体としてのあるべき姿を見失うと、開発だけではなくて、そこに住もうとしている住民に対しても多大な迷惑をかけるという点で、この開発については凍結するとともに、やり方を根本的に都民の立場から見直すべきだということを意見として申し上げて、質問を終わります。