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各会計決算特別委員会94年5月30日

 都の省資源・省エネルギーの取り組みの遅れを質す

 

◯曽根委員 私は、生文局で取り組んでおられる省資源、省エネルギー対策事業について、何点か質問したいと思います。

  生活文化局の事業概要の生活文化局の機能という欄を見ますと、六つの項目の中の第五に、消費生活環境の整備に関する施策、第六に、交通安全とともに省資源、省エネルギーのための施策というのが掲げられていて、また、沿革のところを見ますと、省資源、省エネルギー事業というのが、昭和五十五年に新たに加えられてきているということが書かれております。

  既に十年以上の歴史を持っているわけですけれども、一方で、最近の東京都の重点課題の一つとして、リサイクル型都市づくり、資源循環型の都市づくりということが掲げられている。

これは、主に清掃局の事業としてやるということになっているものが、最近、区市町村に事実上移されているという事態になっているわけですが、最近のごみ問題をきっかけとして、都民の中でも、分別収集、さらにリサイクル、またごみの減量化、そのほか省資源にかかわる多くの運動が広がってきていると思うんです。

  また、地球環境、地球的な規模の環境破壊の問題からも、やはり省資源問題が提起されているという点で、省資源というのは、狭い意味では、資源・エネルギーの消費量を減らすということですが、これが同時に、資源を有効に活用することや循環型の資源の利用を進めていくということにも広がってきていると思うんですね。

  そういう中で、都民の生活全体を見直していこう、文化の問題として考えていこうというような試みも進められていると思うんですが、こうしたことに対して、生活文化局として、省資源、省エネルギー問題の今日の流れ、発展について、どういう基本認識を持っておられるのか、この点をまずお聞きしておきたい。

 

◯阿部価格流通部長 省資源、省エネルギーを進めるには、資源・エネルギーの大量消費によって支えられた使い捨て消費スタイルの見直しをすることが必要であり、また、都民の省資源、省エネルギー運動がその大きな原動力となるものであると考えております。

  このため、地域において省資源、省エネルギー運動に取り組んでいる個人、団体の相互交流と連携強化を図り、都民運動としてネットワークされることが重要であると認識しております。

 

◯曽根委員 一般論としては結構だと思うんですが、現実に、じゃ、今お話のあった具体的な都民の運動というのは、どういうふうにやられているかといいますと、やはりこの問題にかかわっては、ごみの分別収集――廃品回収といわれていた歴史的ないろんな運動の流れもあって、リサイクルの実践ということで取り組んでいる団体が大半だと思うんですね。

しかし、実際には、そのリサイクルの取り組みの中からさらにごみを減らすということや、リサイクルだけではなくて、本当に資源・エネルギー全体の問題として考えていかなきゃならないというふうに発展をしてきている。

  それで、生活文化局としては、こういう新しい流れに、生活文化の問題として積極的に対応していくことが必要だと思うんですが、実際に今行っている生文局の省資源、省エネルギーの取り組みについては、どんなことが主にやられているのか、この点の事業をお聞きしたい。

 

◯阿部価格流通部長 生活文化局は、全庁的に資源・エネルギー施策を取りまとめていく立場から、都の資源・エネルギー施策を把握し、調整するための東京都資源・エネルギー対策会議を運営し、夏、冬における省エネ対策を実施するとともに、エネルギー需給構造調査など基礎的調査を実施し、施策の推進に活用されております。

  また、具体的な事業といたしましては、省資源、省エネルギーを推進するため、省資源、省エネルギー展やシンポジウムの開催、パンフレットの発行、小中学生のポスター募集など普及啓発を行うほか、地域活動団体の育成など、省資源、省エネルギー運動を広範な都民運動に発展させるための事業を実施しております。

 

◯曽根委員 今、具体的な事業として挙げられました省資源、省エネルギー展、またシンポジウム、これはどの程度の実績を上げているのか。

何回ぐらい開催されて、参加者、またはいつごろからやられているのか、この点をお聞きします。

 

◯阿部価格流通部長 省資源、省エネルギー展というものを開催しておりますが、それは平成三年度からやっておりまして、平成三年度には、六日間、一万八千人ほどの入場者がございました。平成四年度におきましては、三日間、二万四千人ほどの参加者がございました。

  また、省資源、省エネルギーを考えるシンポジウムにつきましては、平成三年度に四百五十名ほどの参加を得て、二十一世紀のエネルギー像を考えるというテーマのもとで、基調講演、パネルディスカッションなどが行われました。  それから、このシンポジウムとエネルギー展につきましては、以後一年置きに開催することにいたしまして、平成五年度にシンポジウムが開催されておりますが、そこでは、四百三十人ほどの参加を得まして、二十一世紀の都市生活とエネルギーを考えるというテーマのもとに、やはり講演とパネルディスカッションが行われております。

 

◯曽根委員 仕事の中身としては、十年以上の歴史があるんですが、具体的な事業のシンポジウムや展示会というのは、平成三年から始まっているわけですね。

  しかも一万八千とか二万人の参加というのは、都民ホールを使っているので、都議会、都庁の建物を訪れた方がついでに見ていくということも結構あると思うんです。

そのために、この目的で来るというシンポジウムでは、四百人ちょっとの参加ということで、私は、東京都が資源問題、エネルギー問題を掲げて行うシンポジウムとしては、極めて規模的にも小さいんじゃないかと。

  案内のチラシをいただきましたが、参加人員としては六百三十人を予定していたというふうにここに書いてありますが、三分の二ぐらいしか埋められないというのは、準備段階で、本当にこの問題を真剣に考え、また、実践している運動に参加している方々、都民の方に知らせて、それに役立つシンポジウムとして企画をし、準備をしていれば、私は、六百人前後の会場が埋まらないということはないと思うんですよ。

  しかも、一年置きに開くということで、やっぱり啓発、普及段階でとどまっていることを含めて、もっと本当に本気になって取り組む必要があるんじゃないかと思うんですが、そういう点で、後の方でお答えのあった実践団体、地域団体に対する支援、こちらの方はどういう事業を行っているんでしょうか。

 

◯阿部価格流通部長 都内の各地域におきまして、省資源、省エネルギー活動について、その思想の普及定着のための地域育成事業を実施しているわけでございますが、これにつきましては、具体的には、地域におきまして省資源、省エネルギー運動を推進しております団体に助成をしております。年間十団体でございます。

 

◯曽根委員 今、十団体というお話がありましたが、どういう種類の団体なのかということと、できれば、年間の助成の予算というのはどの程度なのか、それをちょっとあわせてお答えいただきたい。

 

◯阿部価格流通部長 この省資源、省エネルギー運動の地域育成事業につきましては、東京都新生活運動協会に委託しまして、その協会を通じまして、この運動を推進している団体に助成をしているものでございますが、その活動内容は、いわゆる生活学校等でございまして、講演会、研修会、見学会、それから実際の実践活動、そのようなものでございます。

 

◯曽根委員 予算的には。

 

◯阿部価格流通部長 予算的には、いわゆる直接、団体の方に参りますのは、年間三百万円ほどでございます。

 

◯曽根委員 これは、年間十団体の生活学校に、講演会や、そういう普及啓発に寄与できるような事業、活動をやっているところに援助をするというような考え方ですよね。

  私は、地元は北区ですが、北区だけでも十をはるかに超える生活学校が活動しております。全都的には何百もあると思うんですね。

リサイクルを含めてこうした問題に取り組んでいる団体は、生活学校に限らず、いろんな団体が多様な形で取り組みを進めている。その中で年間十団体、三百万円というお話でしたから、一団体三十万円程度の援助をする。これが省資源問題を都民に広げていくための促進の役割を果たすということでやっていらっしゃるということですね。

  実際には、この対象となる実施項目の中には、リサイクルフェアやリフォーム教室、資源回収などの省資源、省エネルギーに関する実践活動なども含まれておりますので、リサイクル活動そのものに対しても、こうした事業を活用して、生活文化局としてのいろんな援助、支援ができる可能性は私はあるんじゃないかというふうに思ったんですが、それにしても、余りにも規模、中身が小さいというふうにいわざるを得ないんです。

もっと本格的に、今実際に都民が行っているリサイクルの活動、それから、リサイクル活動の中を通じて――例えば、リサイクル商品がいろいろ開発されるけれども、今、普及がなかなか進まない、トイレットペーパーを含めてなかなか広がらないために、リサイクル活動そのものが、商品の価格の暴落などで行き詰まっているというような課題を抱えているわけで、そういうことに対する何らかの支援というようなことに取り組むというふうなことはできないものでしょうか。

 

◯阿部価格流通部長 省資源、省エネルギーを進めるためには、リサイクル活動が重要な役割を果たしていることは事実でございます。

  リサイクルの推進は、清掃局及び区市町村が、それぞれの役割に応じて実施しているところでありまして、都民のリサイクル活動への具体的な取り組みに対しては、区市においては、報奨金の支払い、ストックヤードの提供、器材等の提供などの支援が行われるところでございます。

 

◯曽根委員 私、東京都の行政というのが、いつも都民が実際に困っている問題や生活上の抱えている課題に直接役に立つというふうになっていない点が、この問題にもよくあらわれていると思うんですよ。

  今、区市町村に、リサイクルの過程でのいろいろな取り組みの問題がどんどん移されているというふうに話がありましたけれども、例えば北区では、リサイクル生活課というのが設けられて、ここでエコーライフ宣言という名前のリサイクル生活文化を目指すという宣言が出ているんですが、この中で掲げられているのは、一つは、住民自治を原点にし、産業界と行政が連携してリサイクルシステムを確立する、二つ目に、価値ある資源をごみにしない、第三に、環境破壊商品はつくらない、売らない、買わない社会を目指す。

こういう点でいうと、リサイクルそのものの活動、取り組みをかなり大きく広げて、やはり商品の生産の段階から消費、そして廃棄に至るまで、一貫して見なきゃならない、そういう循環の中で考えていかなきゃならない。

清掃事業の枠の中でおさまるものではなくなってきているし、また、そうしてはならないというのが今の流れだと思うんです。

  当然、フリーマーケットとか、さまざまな情報提供、リサイクル教室、学校教育での実践など、東京都でいえば、いろんな局にわたって対応しなければならない問題が出てきていると思うんですね。

  生活文化局というのは、生活と文化にかかわる問題を扱うわけですから、例えば、その中で置かれている価格流通部などは、消費者対策としての流通対策、価格調査、それから、消費者部の方でも適正表示、消費生活課、それから、文化の問題としてとらえればコミュニティ文化部、また、ごみ・環境問題が国際化している今日では、国際部にもかかわる。

生活文化局の中だけでもいろんな部にわたってこの問題は取り組むことができるし、また、積極的な対応が求められていると思うんです。

  そういう点で、私は、清掃局が清掃事業を、今度は全面的に区市町村に移管するという方針を出して、今やっているリサイクル、もう大分減らされてしまいましたけれども、それも含めて全面的に責任はお任せ、東京都は責任を持たないという方向で動きつつあるということを大変危惧しておりますが、一方で、こうした問題をもっと広くとらえて取り組むべき生活文化局がリーダーシップを発揮して、他局と連携して、こういう問題に本格的に都民の支えとなって動いていくということが、やっぱり必要なんじゃないでしょうかね。

そういう点で、どうですか、そうした連携体制をとって取り組みをさらに進めていく、根本的に充実させていくことが必要なんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

◯阿部価格流通部長 生活文化局においては、省資源、省エネルギーについての都民啓発を行うという、いわゆる省エネ思想の普及などを図るということをやっております。そのために、省資源、省エネルギーの意識を具体的な都民運動として発展させるため、先ほど申し上げました省資源、省エネルギー地域活動育成事業を実施しているところであります。また、清掃局においてはリサイクル推進事業を実施しており、それぞれの役割を踏まえ、十分な連携をとって事業を推進してまいります。

 

◯曽根委員 いろいろ質問しても、結局役割分担論で全部お答えが返ってくるんですが、今日の行政の、今の枠組みの中で、省資源問題は東京都の緊急課題の一つに上がっているにもかかわらず、枠組みの中でしか対応できないということでは、実際に都民のそうした要望には対応できないと思うんです。

もし、生活文化局だけでできない、二重行政になってしまうとかいうのであれば、プロジェクトをつくって、例えばフロン問題のように、清掃局でも、環境保全局でも、労働経済局でも対応しているというようなやり方だって、現にほかではやられているわけですから、当然この問題は取り組んでしかるべきだ。

二十三区の区長会が、リサイクルは私たちが取り組みますというような宣言を、おととしですか、出しましたけれども、この中でも、なおかつ区市町村では負い切れない問題がある。

例えばデポジット制度の導入や、こうしたリサイクルに協力する企業への税制優遇措置、流通対策、こういった問題は、やはり国や都が取り組まなければ、区市町村では解決できないと、当然のことをいっているわけですので、私は、遠からずこういう問題が東京都にさらに深刻に提起されてくるだろうと思います。

  そういう点では、もっと先取りして積極的な姿勢を示していただきたいということを指摘して、終わります。

 

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