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各会計決算特別委員会94年4月4日
多摩ニュータウンのまちづくり問題を質す

◯曽根委員 私からも、多摩ニュータウンの問題で大きく二点ほどお聞きしたいんですけれども、先ほど本部長のお話の中に、多摩ニュータウンについてはまちづくりの総仕上げの段階に入りつつあるという話がありましたが、私は、今まで確かに住宅を中心に市街地を整備し、道路をつくり、公園その他公共施設もつくってきたわけですが、それでまちづくりが本当に総仕上げになっていくのかというと、これからいよいよ本当の意味で、時代の流れの中でまちが本当に生き生きと住みやすいまちとして発展するのかどうか、これから問われてくる問題がいっぱいあるんじゃないかと思うわけです。
 そういう中の問題の一つとして、一つは、医療施設の問題についてお聞きしたいんですけれども、当初の多摩ニュータウンの計画の中で、直接住民の方がかかる第一次医療、それから二次医療、さらに高度医療とあるわけですが、それぞれのレベルの医療をどこでどういうふうに担っていくのか。そういう医療施設や医療機関の整備、配置について、どのように計画されたのか。その後、まちづくりの中で計画どおり進んでいるのかどうか、まずお聞きします。

◯大久保企画担当部長 多摩ニュータウンにおける医療についてでございますが、多摩ニュータウンにつきましては、多摩ニュータウン医療保健施設計画という計画が策定されておりまして、これに基づき計画的に配置されております。
 まず一次医療につきましては、内科、小児科、歯科の診療所をニュータウンの各住区ごとに配置し、また外科等の診療所を各地区に配置することとしておりまして、内科等の一般診療施設につきましては大体百二十施設程度、歯科診療施設を、全体ですけれども、四十施設程度配置する計画であります。
 また、二次医療施設としましては、永山及び多摩センター、さらに南大沢の各駅勢圏に急性短期病院を設置することとしております。
 それから三次医療施設の計画でございますが、急性短期病院に附属して設置する計画となっております。
 この医療施設の設置の状況でございますけれども、平成六年三月現在におきまして、内科等の一般診療所が三十九カ所、それから歯科診療所が二十カ所設置されております。二次医療施設でございますけれども、永山駅付近に日本医科大学永山病院、それから多摩センター付近に多摩南部地域病院が開設されております。三次医療施設としましては、日本医科大学多摩永山病院に救急センターが整備されております。

◯曽根委員 整備状況を見ますと、特に一般診療を行う内科、小児科、歯科などの診療を行う第一次診療施設が百二十カ所ぐらいの計画の中で三十九カ所ということで、まだまだ半分に達していないという点では、計画どおり総仕上げの段階に入っているとはなかなかいえない状況ではないかという印象を持つんですが、最近、もう既にまちづくりが始まって二十年以上たった地域で、個人の分譲という形で入居した開業医の方が集まっている、今、通称医者村というふうにいわれていますが、そういうところで個人開業医の方の診療内容の変更や縮小、さらには休業や廃業が出ているというふうに聞いているんですが、その点についての実態を把握していらっしゃるかどうか。

◯竹内建設計画部長 医療施設の休廃業についてでございますが、現在、十七住区、多摩市の和田でございますが、産婦人科診療所が一軒廃業いたしまして、内科の診療所が一軒休業してございます。これらの開設者の高齢化とか、病気による理由でございます。また、公団施行区域でございます五住区、これは多摩市の諏訪でございますけれども、ここでも歯科と小児科が廃業しているということでございます。

◯曽根委員 数はまだ数カ所というところなんですが、私は、その廃業、休業が出ている状況の背景には、このニュータウンに個人分譲で入居されたお医者さん、個人開業の方全体が抱えている問題が相当あるんじゃないかと思われる。ほうっておくと、次々と廃業、休業に追い込まれていきかねないのではないかという危惧を持つわけなんです。
 それで、こうした個人開業のお医者さんが、今、医療法がいろいろ変わってくる、私たちから見れば大変改悪が進んでいる中で、跡継ぎの問題も含めて非常に経営が難しくなっているといわれているんですが、これをいわば全体のまちづくりの中で支援し、支えながら、患者さんである住民の方々が安心して日常的にお医者さんにかかれる。必要な方は入院ができるというふうにしていくために、大きな病院の役割は重要だと思っています。
 そこで、昨年オープンした多摩南部地域病院で、開設の当初から一般外来を受け付けない、いわゆる紹介制度、それから地元の開業医の方の紹介で入院した患者さんを、その開業医の方にも診療をしてもらうという共同診療というんですか、いわゆるオープン診療制度というものを行っているというふうに聞いているんですが、まだ開設して間もないですが、その点の実績はどういうふうになっているでしょうか。

◯竹内建設計画部長 ただいまの多摩南部地域病院に確認いたしましたところ、平成五年七月に開設いたしまして、十二月末現在、約半年でございますが、百八件あるそうでございます。

◯曽根委員 最初に、開設の当初から一般外来を受け付けないわけですから、多摩ニュータウンの地元の直近の方であったとしても、まず近くの個人の診療所に行って、そこで受けて、これは大きい施設でないとという方を紹介して病院に診てもらうようになる。住民の方にとっては、近くに個人開業医がもし次々なくなっていくとすれば、病院にかかりたくても、かかるルートが難しくなるという問題が一方であるわけですね。
 その点で、個人開業医の方にとっても、また住民の方にとっても、医療が安心して続けられ、また受けられるという体制をつくるためには、やっぱり個人のお医者さんと病院の連携というのがもっともっと強められなきゃならないんじゃないか。百八件という実績のお話、これはオープン制の実施されている例についてお話がありましたが、病院がこれから三百床程度まで大きくなっていく中で、さらにこの点はきちんとされなければならないというふうに思うわけです。
 また一方で、実態として個人開業医が身近にないという方にとって、一般診療をしたいという希望を病院としてどう受けとめていけるのか。ここはこれで、やはり住民の皆さんにとっては不安があるわけですから、解決の方策を考えていくべきだろうというふうに思います。医療の専門的な話になりますので、この程度にしますが、そういう点でのいろんなレベルの医療機関、医療施設の連携をこれからやらなきゃならないということがまず第一点です。
 それから、先ほどお話のあった産婦人科のお医者さんの廃業がありまして、先日いただいた多摩ニュータウン内の個人診療所の診療科目についての資料を見ますと、産婦人科のお医者さんがこれで一カ所になってしまったわけですね。第五住区に産婦人科が一つあるきりで、多摩ニュータウン内に現在個人診療という形では、その方が一軒だけ。そのほかに少ない診療科目としては、眼科が三軒、耳鼻咽喉科が三軒ということで、全体の中でこうした診療科目のお医者さんが非常に少ないというのが実態であります。
 先ほどお話の中で、内科、小児科、歯科などはかなり数としては配置する。それ以外の診療科目は、もう少し重点的に配置というような話がありましたが、眼科とか、耳鼻咽喉科などについては、日常的に通院をしなければならない。特に子供さんなんかでかかる場合には、例えば一カ月とか、そういう長期にわたって、最近、アレルギー性の病気などもふえておりますので、通院が必要だ。そうすると、かなり遠いところに車などで送り迎えしなければ通えないという実態を聞いているわけです。
 そこで、少し絞ってお聞きしたいんですが、こうした個人診療のお医者さんの配置の中で、八王子の市内に位置する部分については、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科が一軒もないわけですけれども、これは計画上、最初から計画をしていなかったのか、それともこれからつくるのか、その辺の見通しはどうか。この点についてお聞きします。

◯竹内建設計画部長 先ほど企画担当部長からお話ししましたように、もともと計画の中で配置してございまして、実際に設置するのは科で指定して決めるものではございませんので、現在のところ、この場所に何科というふうに決定はしてございません。 ◯曽根委員 八王子市には、駅としては堀之内、南大沢と京王の駅もあります。仮に今までの方針どおり、重点的に駅の近くに、こういう診療科目を整備するというふうにしても、二カ所のところには当然つくる計画でなければならないんですが、今できていない。
 それから、これからつくる見通しかというと、それもはっきりしていないということになりますと、八王子のニュータウン市民にとっては、これは今までも八王子市というのは医療機関が非常に足りないということで、例えば救急車が患者さんを乗せたまま、北は日野に行ったり、町田の方に行かなければならないという事態がありましたし、本当にお医者さん不足ということでいわれていた地域ですから、なおのことお医者さんの配置については、やっぱり日常的に通院が必要なお医者さんは配置がされなきゃならないのじゃないかと思うんですが、その点がまだ非常にあいまいだという点は、私は大変大きな危惧を持つわけです。
 それから大きな病院も、永山病院や多摩南部病院、もう一つは島田療育センター、これも多摩市の方にあるわけで、八王子には大きな病院もニュータウン計画の中では置かれていないという点で、この先のまちづくりの中での医療施設、特に八王子の医療施設の配置が心配なんですが、その辺の見通しはいかがでしょうか。

◯竹内建設計画部長 医療の問題につきましては、今まで幾つかお答えいたしましたが、医療関係者と非常に深いかかわりがあります。それを利用する居住者とか、医療行政を担う地元市、あるいは都の衛生局、こういうものと非常に大きなかかわりがあるわけでございます。本部といたしましても、やはり地元市の要望とか、住民の要望とか、あるいは意向、それから医療関係者の意向を踏まえて、衛生局など関係機関とこれから協議をしていきたいと考えております。

◯曽根委員 やっぱり八王子はまだまだこれから開発が残された部分があります。ですから、総仕上げというよりも、これからまちづくりにかかっていく。当然、これから子育てをする、子供を産み育てる世代の方もたくさん入居してくるということを想定しなければなりません。したがって、産婦人科、小児科を含めて、またそのほか子供たちのための医療施設などの問題も含めて、相当これからやらなきゃならない仕事があると思います。
 ところが、先ほど指摘したように、医療法が相当厳しくなっていまして、今までのように、個人のお医者さんに分譲方式で住居を兼ねた診療所を本人の資産で建ててもらう、そういう形でお医者さんに進出してもらう、あとは、十年間ぐらいの特約があるそうですが、本人の責任で経営してもらわなきゃならないというやり方で、本当にこれからずっと地域のお医者さんが安心してやっていけるだろうか。また、住民の方にとっても、そういうものが維持されていくだろうか、これはなかなか厳しいものがあると思うんですね。
 そこで、例えば賃貸方式で診療所に出てもらうやり方とか、それから個人のお医者さんではなくて、何らかの共同診療所なり、そういう形での診療所の経営ができないだろうかとか、新しい手法も考えていかないと、今までの個人病院と大きな病院というだけでは、医療施設の整備はなかなか難しい状況ではないか。もちろん医療法の改悪が大変問題なわけですけれども、その中でそうした方法も考えていくべきだと思うんですが、具体的にその点での見通しをお聞きします。

◯竹内建設計画部長 先ほどのお答えとほとんど同じでございますけれども、医療関係者と非常に深い関係がございます。それで居住者や医療を担当する地元市とか、衛生局と十分協議をしながら、地元市の要望、あるいは医療者の意向を踏まえて今後協議を重ねていきたいと考えております。

◯曽根委員 ニュータウンも、もうまちができ始めてから三十年近く、準備期間も入れればそれ以上になるわけですが、一方で高齢化が進んできている。一方でまちはまだできていない部分がある。そういう点でいいますと、高齢化問題とそれから新しい、今、少子化というふうにいわれていますが、子供たちを安心して産み育てることができるようにしていくという両方の問題を医療の面で抱えておりますので、総仕上げなどといっている段階ではないと私は思うので、その点を指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、商業施設の問題なんですが、最近、団地の中にある商店街、通称げた履きというふうにいっていますが、建物の下に、一階に商店街が張りついている形のところで空き店舗が目立つというふうにいわれています。そういう団地内の、いわゆる近隣型の商店街で空き店舗はどれぐらい出ているのか、その率をお願いします。

◯竹内建設計画部長 空き店舗の状況についてお答え申し上げますと、多摩ニュータウンの住区内商業施設である近隣センターには、スーパーと小売店舗で構成されてございまして、現在、十三のスーパーと百七十九の小売店舗で構成されてございます。そのうち、空き店舗は十三店舗でございます。

◯曽根委員 私が聞いたところでは、これは東京都の施行区域ですが、特に鹿島の商店街が空き店舗率が大変高いというふうに聞いたんですが、何店舗中、どれぐらいが空き店舗になっている状況か教えてください。

◯竹内建設計画部長 鹿島地区の空き店舗は五店舗でございます。

◯曽根委員 何店舗中ですか。

◯竹内建設計画部長 約二十だったと思います。

◯曽根委員 私が聞いたところでは、十二店舗ぐらいというふうにお聞きしたんですが、五店舗あいているということは、もし私の調査が事実だとすれば半分近い空き店舗が出ているということだと思うんですね。それで、こういう半分近くのお店があいてくる。率にして全体でも一割近くあいているわけですので、商店街としては、いわゆる歯抜けといわれる状態で非常に活気を失う原因になるわけですね。
 そういう点で、当然ここは東京都の施行区域ですから東京都に責任があるんですが、店舗については公社に委託をされているということなので、公社の方と、そのお店を今やっていらっしゃる方々の間で話し合いもされていると思います。具体的には、どういう対策をとって空き店舗問題を解決しようとされているのか、その現状をお聞きしたいと思います。

◯竹内建設計画部長 今ご指摘のとおり、ここは公社が管理者になってございますが、公社では商工会議所などと相談して、新規開業に向けた努力をしているというふうに聞いてございます。

◯曽根委員 この鹿島の商店街というのは、駅から行っても坂の上の方にあって、上り下りが非常に必要な場所で、買い物にはちょっと不便な場所にあるということから、車をお持ちの方はほかの地域に行ったり、駅前に通勤する方は駅前の商店街などで買い物ができるわけですが、お年寄りとか、子供たちにとっては、やはり身近な直近の商店街というのは、どうしても必要になるわけです。
 身の回りの、または日常の生活用品などを買うには不可欠な商店街だと思うんですが、そういうところがほかにも各団地にあって、それぞれそういう近い状態、似たような状況を抱えているという点では、やはり思い切った小規模な団地内の商店街の活性化の対策が必要ではないか。そういう要望も地元から当然出ていると聞いているんですが、東京都として、都市整備本部として、そういう小規模商店街の生き残りのための支援を何らか打つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◯坂庭管理部長 それぞれの住区にございますお話の小規模商店街、いわゆるげた履き商店街が、そこにお住まいの方々に対します日常生活に必要な商品やサービスを供給をいたします上で重要な役割を果たしている、あるいは果たさなければならないということはご指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、ニュータウン整備の進展に伴い、立地をしておりますデパート、スーパー、あるいは専門店街の動向などを踏まえるとともに、住民の方々のご要望、商店経営者のお考えを十分把握いたしまして、対策を講ずる必要があると考えております。

◯曽根委員 こういう商業対策の問題も都市整備本部でやるとすれば、これからの大きな課題になるのではないかと思うんですが、もしこういうものに取り組むとした場合、どこの部署で扱うことになるのか。もしそれが本格的なものがないとすれば、これからそういう体制もやはりつくっていかなきゃならぬのではないかと思うんですが、その点の見通しはいかがでしょうか。

◯坂庭管理部長 商店街振興の体制についてでございますが、まず、これらの商店街の設置者でございます公団、公社、都住宅局と十分協議をいたしますとともに、地元市、あるいは地元商工会議所、商工会と連携を図りまして、さらに労働経済局の実態把握や対策の立て方のノウハウ、あるいは各種助成施策の活用を図るなどいたしまして、総合的に対処していく必要があると考えております。

◯曽根委員 確かに労経局の今までの経験や仕事の中身とかなりダブりますので、そういう点でのノウハウといいますか、実績は活用しなければならないのは当然ですが、多摩ニュータウンのまちづくり全体に指導、助言というお話も先ほどあったように、ある意味で大きな責任を持っている多摩都市整備本部としては、これはそういう分野についても、やはり専門的な担当者も置いて、せっかくつくった商店街がこれからも住民の方にとっても利用できる、また経営も成り立つようにしていくための対策は、当然体制をとって、とってもらいたいということを要望しておきます。
 今、医療問題、それから商業活性化等の問題についてお聞きしたんですが、まちづくりは今までは施設を中心に取り組んでこられたわけですけれども、本当にそれが長い年月を経てつくった施設、もしくはそれの持っている機能がマッチしたものだったかどうかはこれから問われてくる問題で、その段階でもう多摩都市整備本部の仕事は終わりましたということになると、これは私はやっぱり責任を果たしたとはいえないというふうに思うんです。
 そういう点で、通称ハードとか、ソフトとかいわれていますが、住民に対する行政のサービスと同時に、その地域全体が持っているサービス機能を本当に充実させていくという点での多摩都市整備本部のこれからの仕事も当然あると思うので、最後に本部長にお聞きしたいんですが、その点での決意をお聞きしたいと思います。

◯森多摩都市整備本部長 多摩ニュータウン建設でございますけれども、多摩の自然と調和した良好な居住環境を整備するとともに、教育、文化、業務、商業等の機能も備えた活力のある新市街地を形成することを目指しまして、鋭意事業を進めてきたところでございます。そういう中で都市基盤の整備など、いわゆるハード面の整備は順調に進捗してきているところでございます。
 しかしながら、ご指摘のように、医療施設の問題、あるいは商店の活性化の問題等、ソフト面の充実という点ではまだまだ配慮しなければならない課題もございますので、今後とも住民の方々のご要望等を踏まえつつ、地元市及び関係機関とも十分連携を図りながら、住民の方々が真にゆとりある生活を営めるよう、そのようなまちづくりの推進に努めてまいる所存でございます。よろしくご指導のほどをお願いいたします。
◯曽根委員 終わります。

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