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94年4月11日各会計決算特別委員会質疑全文
高速道路への都財政投入の急増問題を追及

◯曽根委員 資料の四ページでいただきました首都高速道路関連街路の整備について、何点か質問をいたします。  初めに、昭和三十四年から平成五年にかけて、首都高速道路関連街路の整備事業費に対する国の補助率が何度か変更されているわけですが、こうした補助率というのは、基本的にどのような形で決められているのか、お聞きします。

◯土屋道路建設部長 首都高速道路関連街路事業費に対する補助率の推移でございますが、お手元にお配りしてございます資料四ページにもございますように、当初、三分の二の補助率であったわけでございますが、その後、国の財政事情等によりまして、現在では、補助率が二分の一になっております。

◯曽根委員 国の財政事情ということで、かなり補助が減らされているというのが実態なんですが、かつては、東京オリンピックに間に合わせるということで、国が何としても東京につくるということで、その分、補助率も三分の二を持つよという話が、今日では東京都にどんどんお任せという流れが、やはり大きな歴史的な経過だと思うんです。
 その中で、最近の動きがまた若干変動があって、実際に国費などと都費の割合を見ますと、平成元年あたりから、いろいろ割合が変化しているように思うんですが、これは、どういう形でこうした変化が出てきているのか、この点をお答えください。

◯土屋道路建設部長 まず、先ほどちょっとご説明を落としたわけでございますが、関連街路事業費全体のうち、三分の一が首都高速道路公団の負担になっております。
 残りの三分の二に対しまして国の補助があるわけでございますが、ただいまご質問の、この資料でいきます国費等と都費の負担割合の変動の関係でございますが、今、申し上げましたように、国費等には、首都高速道路公団の負担金が含まれております。
 この首都高速道路の負担金につきましては、平成元年度より、社会資本整備事業として渋滞対策特定都市高速道路整備事業が認められておりまして、都市高速道路のランプから主要交差点までの密接関連部分の街路事業整備につきまして、公団が一〇〇%負担することとなっております。この結果、平成元年度からは、首都公団が負担する割合が高くなってきております。
 一方、平成二年度以降でございますが、新宿線関連街路環状六号線の事業に着手しております。非常に急がれます地下鉄十二号線関連、この地下鉄十二号線と同時施行となる区間につきましては、都費を積極的に充当し、施行しているわけでございます。

◯曽根委員 つまり、お答えによると、二つの要素が平成元年以降の負担割合の中に含まれているように思うんですね。
 一つは、平成元年から始まった渋滞対策特定都市高速道路整備事業、通称渋特事業といっているようですが、これが入ってきた関係で、一たん都費の負担割合が下がった。しかし、これは後でも指摘しますが、一〇〇%という首都高速道路公団の負担の中には、三分の一、東京都が無償貸付を行っている部分が含まれているわけですね、これは都市計画局の範疇ですけれども。ところが、平成二年から、今度は地下鉄十二号線と立体化してつくる部分の新宿線の工事が始まって、その用地買収も始まった関係で、こちらは大急ぎでやるために、国の補助がつかなくてもやらなきゃならないみたいなことで、都費の割合がふえている。一番高いところでは、平成四年に、全体の事業の半分以上、都費を投入しなければならないというところになっている。
 こういう流れなんですが、急がれるというふうにお答えになった地下鉄十二号線との立体化について、これは、首都高速道路がその部分でどうしても立体化しなければできない形になっているんでしょうか、それとも、たまたまそこが十二号線と立体化、ちょうどいいので、そこの工事をやっていくようになったんでしょうか。

◯土屋道路建設部長 環状六号線のうち、地下鉄十二号線と競合する区間でございますが、構造的には、地下鉄十二号線が下に入りまして、その上に首都高速新宿線が入る。いずれも地下構造でございますが、そういう構造になっておりまして、どうしても同時施行せざるを得ないことになっております。

◯曽根委員 どちらも地下だから同時施行しなければならないというお答えなんですが、結局、地下鉄をつくることと、高速道路──新宿線の場合は地下になったわけですが、これはそれぞれ独自の事業であって、路線が近いということで、確かに全体の費用からいえば効率的になるかもしれませんが、しかし、十二号線が急ぐからということで、わざわざ国の補助も入らない道路をあわせてつくっていくという考え方、このために東京都の負担分が莫大にふえているという点は、私はやっぱり道路の事業としてはおかしな話だというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 平成三年あたりから都費の割合がふえているんですが、国費などの割合が減っているように数字では見えるんですけれども、実際金額的に見ますと、平成三年、四年、五年の国費などの方はどうなんでしょうか。

◯土屋道路建設部長 平成三年度以降の国費等の推移でございますが、金額を申し上げますと、平成三年度では約五百四十億円、四年度は約六百三十億円、五年度は約九百七十億円でございます。

◯曽根委員 比率は下がっているんですが、金額的には上がっているわけですね。平成三年が五百四十億、平成四年が六百三十億ですから、一七%ぐらい増額をしているにもかかわらず、割合は二割下がっている。
 これで計算しますと、都費の方の投入というのが、平成三年から四年にかけて三倍近くふえているということになるわけです。この期間、大変な費用が道路建設に投入されたということになるわけなんですが、こうした新宿線の工事などが始まって、この辺で膨らんできたという中身として、先ほど道路建設の八割方は用地買収という話もありましたが、バブルが崩壊した直後ぐらいの時期に、こういうふうに用地買収がどんどん進んだという要因はどういうところにあるのか、バブルの崩壊との関連ではどうなんでしょうか。

◯土屋道路建設部長 先ほど申し上げましたように、新宿線の関連街路であります環状六号線が平成三年三月に事業認可を受けております。したがって、これ以降事業費が増加したわけでございますが、また、今委員ご指摘のように、地価の下落に伴いまして、この区間の買い取り請求が非常に多くなってきております。これに対応するための予算措置を積極的に行ってきてもおります。

◯曽根委員 この時期は、都心を中心に、先ほど四割も下がっているという話がありましたが、どんどん地価が下がったわけですね、バブルの崩壊の中で。この首都高にひっかかった沿道の方、今までは環境問題、いろいろあって、営業も大きな影響を受けるということで反対をしておられた方もいっぱいいるんですけれども、地価がどんどん下落していく。しかし郊外の方で、自分たちが移転をしなければならない、そちらの方では余り下がらない。都心がどんどん陥没していくという中で泣く泣く手放さざるを得なかった、これ以上下がったら生活設計のやり直しができないと。特に幹線道路ほど、沿道はご商売をやっている方が圧倒的に多いわけですから、営業の再生という点で、だれも喜んで出る人はいないわけですよ、全部やり直しですから。
 そういう点で、一般的にも道路建設の場合、追い出しになるわけですけれども、重ねてこの地域の方、この時期の道路買収にかかった方は、バブルのいわば後遺症という傷跡をかぶらなきゃならなかったということが、私はこういう数字の中にもあらわれているんじゃないかと思うんです。
 そういうことを残しながらこの事態が進んでいったわけですが、資料としては、国費等ということで、公団と国の補助の、本当は分けて出してほしかったんですが、こういう形でしか資料をいただけなかった。平成元年のところで、国費等九一、都費が九、それぞれパーセントと見ていいわけですが、この段階ではまだ地下鉄と立体化新宿線の工事は始まっていないんですから、国と都の補助割合が一対一、二分の一ずつというふうに考えれば、国の補助割合というのは、平成元年の段階で東京都と同じ九%程度というふうに見てよろしいんでしょうか。

◯土屋道路建設部長 平成元年度につきましては、委員ご指摘のとおり、都負担と国費、同じ割合でございます。

◯曽根委員 したがって、平成元年では、東京都と国の、首都高の負担を除いた国の割合は九対九で同じぐらいだということなんですが、平成二年以降は、私が聞いたところでは、平成二年度が七%、平成三年度は五%、平成四年度が四%、平成五年度が三%と、毎年着実に負担割合が、国のだけ見ますと下がっているというふうに聞いているんですが、これは間違いないでしょうか。

◯土屋道路建設部長 平成二年度以降の国費、先ほどの資料の国費等のうちの国費分でございますが、ただいまおっしゃられましたように、平成二年度は七%、平成三年度は五%、平成四年度四%、平成五年度三%でございます。

◯曽根委員 そうしますと、平成元年は事業費が四百億円程度ですから、東京都の負担、国の負担ともに三十七億円弱というところになるわけですが、国の方の負担は、平成五年度が──全体の事業は一千五百六十七億円ですから四倍近く膨れ上がっている、中でも、パーセンテージが下がった分だけ、負担は四十七億円程度で十億円ぐらいしかふえていないわけですね。
 しかし、東京都の方は、ここで見ますと三八%ですから五百九十五億円、大体六百億円ぐらいになっているわけで、平成元年を境にして、国と都の実際の負担割合というものがこれだけ開いてくるというのが、先ほどお話のあった地下鉄十二号線との立体化によって、都費をとにかく国の補助がつかない分も含めてどんどん投入した結果だというふうに思うんです。
 もう一つ指摘をしておきたいのは、首都高の負担の中で、先ほどもいいましたように、国が無利子で貸し付けた分がある。これが現在三百億円を超えておりますので、それも含めると一千億円、またそれ以上、今年度などは貸し付けも含めて膨らんでいる。国の方は四十七億円程度ですから、かつては国が全体の三五%ぐらい、三分の一を負担していた状況に比べて、東京都が負担する金額は、はかり知れない大きさになっているんじゃないかと思うんです。
 もちろん、道路だけつくっているのが東京都の仕事ならば、それはそれでいいかもしれませんが、この部分がこれだけ膨らんだ一方で、先ほどお話のあった生活道路を含めて、都民にとっては欠かせない道路の進捗がおくれている問題、それから、ほかのさまざまな東京都の仕事が削られているような事態が進んでいるわけですから、こういう首都高の東京都の財政的な投入のツケは、私は大きいと思います。
 それから、先日も都市計画局のところで私は指摘したんですが、高速道路王子線、新宿線というのは、いわば渋滞解消の目玉ということで建設をされているわけですが、現在、レインボーブリッジが開通したところで、若干渋滞が解消するけれども、これから三割ぐらい台数がふえると、結局渋滞はもとに戻ってしまうだろう。今度は、高速道路王子線、新宿線ができると、環状線がつながりますから、かなり渋滞解消になるんだというふうにおっしゃる専門の方もいるんですが、私は、今流入規制がない以上は、またまた台数がふえて、渋滞がもっと大きな規模で再び起こってしまうんではないか、そうならない保証はどこにもないと思うわけです。
 これだけの巨費を投入して首都高を整備して、結局渋滞が最終的になくならないとすれば、一体このお金は何のために使ったのかということが厳しく問われることになる。そういう点でも、これは建設局に申し上げるだけじゃなくて、都政全体の問題でもありますが、モータリゼーション一本やりの首都高建設、私は本当に見直さなきゃならないということを指摘して終わります。

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