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94年3月21日住宅港湾委員会予算審議質問全文
公園料金値上げ、処分場。臨海ビル計画を質す

◯曽根委員 私からはまず初めに、海上公園条例の改定案について質問させていただきます。  今回は、まず一つ目に、スポーツ施設の使用料の一連の値上げが提案をされているわけですけれども、ものによってはかなり大幅な値上げが含まれております。スポーツ施設全体について今回料金を引き上げる主な理由はどういうことでしょうか。

◯西澤開発部長 今回、海上公園のスポーツ施設のうち利用料を改定をさせていただきたいと思っておりますもののうち、陸上競技場あるいは球技場、野球場、庭球場につきましては、昭和六十一年に改定をしてございます。それから、ゴルフ場につきましては、平成二年に開設をしたときに料金を設定をしておりますが、それからこれまでの間、物価あるいは人件費の上昇、あるいは施設を充実をしてきたということに伴いまして、維持管理経費が大変増大をしておりますので、改定をしたいというふうに考えたわけでございます。

◯曽根委員 今の料金引き上げの理由の中で、特に人件費の上昇というのを使用料の値上げの理由にしているということは、結局、使用料のいわば収支のコストの中に人件費を入れる考え方というものが基本になっているんじゃないかと思うんですね。  我が党は、一般都民が利用する公園施設やスポーツ施設については、原則として無料もしくは無料に近い低廉な料金負担とすることで、都民が日常的に利用しやすいようにするというのが基本ではないかと考えております。
 特に公的な施設ではこのことは可能であるし、またやらなければならないことだと思うんです。当初の建設費用、これを入れないのは当然なんですが、人件費についても、これは経常経費の中には入りますけれども、この施設の運営に本来的に付随する経費でありますし、例えば利用者の利用率や利用による施設の消耗度、そういうものには左右されにくい部分ですから、公的な負担がふさわしいもので、料金収入のコスト計算に入れるのはおかしいんじゃないかと思うんですね。
 今回値上げされる施設の利用率をお聞きしましたら、スポーツ施設によって利用率が一割台というものもありますが、例えば、テニスコートなどはかなり利用率が高い。七割、八割の利用率がある。そうしますと、かなり使用料なども収入があると思うんです。テニスコートについて今回千五百円から千八百円に休日の料金が上がるわけですが、現行の料金で、もし人件費を収支計算に入れない場合に、使用料の収入とランニングコストとの見合いでどれくらいの収支比率になっているのか。それから、今回料金を上げた場合にテニスコートの収支比率はどれくらいになるのか、二つの点をお聞きします。

◯西澤開発部長 私どもといたしましては、料金を算定する場合の維持管理経費に人件費を含めるということで考えているわけでございます。現在の使用料の収入と管理費の収支比率を試算いたしてみますと、現行では五七・九%になっておりますが、これがお話のように、仮に人件費を入れないということで計算をいたしますと、一一三・九%になります。  それからまたさらに、料金改定後のことでございますが、仮にお認めをいただいたとすれば、この改定後の収支比率というのは六〇・四%になりますが、これも仮に人件費を入れないという計算をしたとすれば、一二〇・〇%になる計算でございます。

◯曽根委員 もし人件費を入れないで、管理経費、ランニングコストだけで収入との見合いを見ますと、もう収入超過になっているわけです。ほかの公共施設でもいろいろな考え方がありますが、どちらかというと、今人件費は年々上がっていくわけですから、これを収支に入れないで、純粋に施設の消耗、それから管理経費、こういうもので計算をしている公共団体もかなりあるわけですね。私は、こういう考え方に立つべきであり、そう考えるならば、もう既に収入がオーバーしているこういう施設については、料金改定はやっぱりふさわしくない、値上げはふさわしくないというふうにいわざるを得ないんですが、ちなみに都内の公共施設のテニスコートで、国立の施設、それから都立の中で公園施設以外の、例えば教育庁の施設、それから区立の施設などでどの程度料金の違いがあるのか、幾つか例を挙げてお示しいただきたいと思います。

◯西澤開発部長 まず、国立の施設でございますが、国立代々木競技場、これは一時間当たり千五百円だそうでございます。それから、都の教育庁が管理をいたしております駒沢オリンピック公園、ここでは一時間当たり千円となっております。それからさらに、世田谷区の区立の総合運動場、ここは一時間当たり八百五十円ということになっていると聞いております。

◯曽根委員 お聞きした範囲で見ても、地元の基礎的な自治体といいますか、住民に近いところの自治体では、高くすると直接苦情が来ますから、できるだけ抑えようというところがやっぱり多いんですね。私の地元の北区でもやっぱり千円以下で抑えようということでやっているんですね。そういう点でいいますと、東京都の施設でも教育庁の管理のものでは千円という料金のものもあるという点で、低い方に合わせていく努力が私は必要だと思うんですね。そういう点で今回の改定案を見ますと、大体国立の施設に横並びになる水準かなというふうに思うんですが、こういう公共施設の中でも高いところの国の料金に合わせていくというやり方は、利用者の立場から見て納得できないと思うんです。
 スポーツ施設というのは日常的に繰り返し利用するものですし、またそうしなければ健康の維持、体力の向上という点では意味をなさないものですから、やはり繰り返し利用できる料金、そういう点でも低料金が望ましいということを改めて強調し、一連のスポーツ施設の使用料金の引き上げについては、私どもやっぱりこれは撤回すべきじゃないかというふうに考えていることを申し上げておきます。
 それからもう一つ、海上公園の中で野鳥公園の料金の改定についてなんですが、野鳥公園というのは、聞くところによれば、設置された経緯が、特に自然保護を熱心に求めてきた団体の方々の運動、地元の住民の方々の運動などがあって、それで、当初の市場ですか、建設予定地を変更してつくられたというふうに聞いているんですが、こうした経過から見て、また貴重な自然の保全、それからそれを子供たちを含めて都民に親しみながら理解してもらうというような観察用の施設もつくったわけで、また、いろいろな野鳥の種類が飛来できるように、自然の維持の仕方も工夫しているというふうに聞いております。
 そういう点で、自然に関する学習の役割を持った施設、それから、都民に対するこうした自然保護の啓発、そうした役割が大きい施設ではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

◯西澤開発部長 東京港野鳥公園でございますが、これは大都会の真ん中にあるオープンスペースといいますか、そういったものとしては全国的に見ても余り例のない、しかも野鳥観察のできる貴重な場だというふうに私どもでは考えてございまして、都民の皆さんが自然に親しむとか、あるいは憩えるといった公園でございます。それと同時に、自然学習等の教育的な役割も果たしているというふうに存じております。

◯曽根委員 ここの料金が、今度二百円から三百円ということで、五割増しに引き上げが提案されているんですが、ここでは日本野鳥の会などが毎月探鳥会というんですか、鳥を観察する会を開いていて、こうした団体の方が誘い合って来園する。こういう入場者が来場者の中で少なくない割合を占めていると思うんですが、その点どうかということ。  それから、今回の料金改定について、野鳥の会など、こうした設立にもかかわり、またその後も多く利用している団体などに事前に相談や話し合いが行われたのかどうか、この二点お聞きします。

◯西澤開発部長 野鳥公園の来園者を平成四年度の場合で見てみますと、開園日数が三百七日でございましたけれども、八万九千八百三十五人ご来園いただいております。そのうちで、ただいまお話のございました野鳥の会に委託をして実施をしている日曜観察会等に参加をしていただいた方は、行事を開催した日数が百十七回ございましたけれども、二千百三十九人でございましたので、来園者総数の約二・四%に当たっております。それから、日本野鳥の会が実施をしておりますこの観察会等の催しは、私どもの方から委託をして実施をしていただいている行事でございます。  それからまた、料金改定につきましては、これは都の責任において行うものだというふうに考えております。

◯曽根委員 都の責任で料金改定を行うということは、こうした団体に対しては事前に相談をしていないということだと思うんですが、その点は相談していないということですね。確認で。

◯西澤開発部長 お話のとおりでございます。

◯曽根委員 それから、もう一つお聞きしたいんですが、野鳥公園に来園するための公共交通手段は、大体都バスの路線しかないというふうに聞いているんですが、どうでしょうか。

◯西澤開発部長 現在、野鳥公園へ来園される方がご利用できる公共交通手段、これは都バスが一系統ございます。そのほかに京浜急行バスが三系統ございます。それから、十五分ほど歩いていただくことになりますが、モノレールも利用できる、こういうことになってございます。

◯曽根委員 利用者の方にお聞きすると、大体バス路線しか、事実上便利な利用経路はないと。今回、都バスも料金改定を六月から提案をされておりまして、これも実施されると、こうした観察会を開くのにも、その観察会でかかる実費のほかに、こうした入園料の値上げ、それからそこに行くためのバスの値上げと、二重三重にかかってしまうという点から、せっかく教育的な役割を持った公園なのに、来園者に対して、費用の面から足かせになってしまうのではないかということで、できる限り、これはせめて現行料金に抑えてほしいという強い要望が利用者から出されているわけです。
 私は、野鳥公園というのは本来無料で開放してもよいくらいの施設じゃないかと思うんですね。東京の中で本当に貴重な、残された自然のところで観察ができるところはもうほとんどないわけですから、こういう考え方を基本にして料金も考えるべきじゃないかと思うんです。
 今回の料金改定というのは、都立の庭園と同じ料金ということで当初から設定されていて、庭園は一斉に今回同じように二百円から三百円というふうに改定が提案されているんですが、それと横並びという位置づけになっている。これはやはり基本的にこの公園の持つ役割にふさわしくないんじゃないか。せめて今回の改定についてはこれをやめて、もっと多くの都民が来園できる努力を、この野鳥公園として料金の面からも考えるべきじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

◯西澤開発部長 野鳥公園につきましては、先生もご案内と思いますが、池、干潟、草地、こういったさまざまな形態の自然環境、そういったものの中に観察小屋ですとか、あるいは各種施設、人工的なものを配置をしておりまして、これらが一体となって機能をしている施設だというふうに考えております。特に人工の干潟でございますとか草地、こういったものの環境といいますのは、自然と人工、これが微妙なバランスの上で成り立つということのようでございます。したがいまして、どうしても適切な環境管理というのが大事だということになってくるわけでございます。そういった環境を保全するとか、施設を良好に維持していくということのためには、大変きめ細かな管理をしておるところでございます。したがいまして、施設の維持管理全体を通しますと、やはり相当の経費を必要とするということでございます。
 ちなみに申し上げますと、現行の使用料収入と管理経費の収支の比率、これは六・九%でございます。そういったこともございまして、今後とも良好な自然環境を維持していくためには、さらに良好な環境の維持に努めるとともに、ご来園の皆様に親しめるような、野鳥や自然観察会等の催し物の充実を図っていきたいというふうに思っております。
 なお、学校行事でございますとか、お体の不自由な方々がご利用される場合には利用料の免除等も行っております。

◯曽根委員 確かに、独特のといいますか、特殊な施設の一つですから、それを維持していくために経費がかかるのは当然だと思うんですが、だからこそなお、こうした貴重な形で残されているものに多くの都民に接してもらうというためにも、低料金がふさわしいんじゃないか。もともと料金で元を取るというような施設ではないわけですから、この点を特に強調しておきたいと思います。
 それから次に、今回、客船ターミナルの管理の委託先の変更について、条例提案で出されているんですが、それについて何点か質問しておきたいと思います。  今回条例改正が提案されている晴海の客船ターミナルですが、この変更についてですが、ターミナルが建設されてから今日まで、どういう経過で現在の埠頭公社に委託されてきたのか、まずその点を聞いておきます。

◯久保田港営部長 管理の委託につきましては、平成三年でございますが、当初、みなと祭や客船誘致を展開しております社団法人東京都港湾振興協会の事業等から判断して、同協会に客船ターミナルの管理を委託することが望ましいと考えておりました。しかし、当時の協会は施設管理のノウハウを持っていなかったことや、人的にも組織的にも受け入れ態勢がなかったことなどから、財団法人東京港埠頭公社に管理を委託したものでございます。

◯曽根委員 東京都の側としてはもともと振興協会にお願いしたかったが、協会がまだ体制が不十分だったのだと、それで仕方がなくといってはあれですけれども、埠頭公社に委託したんだというようなことになるのかもしれませんが、委託された埠頭公社としては、一つの仕事として与えられた以上はしっかりやらなきゃならぬということで、これまで三年ぐらいですか、やってきたわけで、今回、振興協会に委託先を変えなければならないようなミスやトラブルが具体的に何かあったんでしょうか。

◯久保田港営部長 ご指摘のような、特にミスがあったというわけではございませんで、むしろ発足当初、埠頭公社に運営上のご苦労をかけたことに私ども感謝しているところでございます。

◯曽根委員 すると、改めて今回振興協会に管理を移す、これは、今までの経過から見て埠頭公社でもやれたわけですから、ある意味ではそのまま続けてもよさそうなものなんですが、振興協会に委託先を変えるというのは、今回の委託先変更というのはどういう理由からなんですか。

◯久保田港営部長 まず第一に、港湾振興協会は客船誘致やみなと祭の実施など、晴海客船ターミナルにおいて事業活動を展開しており、その事務所が晴海客船ターミナルの中にある、こういう事情にございます。このため、これらの事業と管理が一体的に行われることによりまして、事業の効率的な執行が行われるものと判断したのが一点でございます。
 第二に、同協会は平成五年八月以来、レインボーブリッジの展望遊歩道施設の管理を受託し、施設管理を行うノウハウが蓄積されていると判断したところによるものでございます。  これによりまして、東京都港湾振興協会は財政的にも人的にも強化されておりまして、東京港の振興に重要な役割を果たしていくことができるものと考えております。

◯曽根委員 こうした委託先の変更とか、またどこに委託をするのかという決め方、その点では、例えば公社には海上公園などの管理も委託されているわけですが、同じ海上公園である若洲のゴルフ場なども委託先が違う、公社以外のところに委託をしている、こういうこともあるわけですね。若洲のゴルフ場の委託先を決めるに当たっては、二転三転があったというふうに聞いているんですが、若洲財団に委託されたときの経過、また理由について簡潔にお答えいただきたい。

◯西澤開発部長 若洲の海浜公園につきましては、下が大部分ごみの埋め立てによって造成をされた土地でございまして、あそこをどう有効に活用していくかということでいろいろ考えた末、とりあえずゴルフ場を中心にした公園として利用するのがよかろう、こういう考え方でゴルフ場を中心にして整備したという経緯がございます。したがいまして、あそこの若洲海浜公園はゴルフ場を中心とした経営的なノウハウがないと、なかなか運営が難しかろう、こういうことがございましたので、既成の組織とは違う組織をつくり、それによって運営をした方が有効適切な管理ができるだろうということで、特別の組織をつくったものでございます。 ◯曽根委員 私は、海上公園ですから新しいノウハウが必要だとしても、今回の客船ターミナルのように、埠頭公社に委託しても、これはできないことではないと思うんです。そういう点で、最近ここ数年の管理委託のやり方について、やはりちょっと場当たり的な面があるんじゃないか、一貫性に欠ける面があるんじゃないかという印象がぬぐえないんですけれども、こうした第三セクターへの委託のあり方については、やはり職員の意見もよく聞いて、きちんと整理をしてやっていかなければ、無用の混乱を起こす面もあるんじゃないかという点で、こういう検討をしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

◯石川総務部長 一般的に都が公の施設を管理委託することにつきましての考え方は、都みずからが直接施設を管理するよりも効果的に都民サービスを提供することができる場合を基本としております。こうした視点に立って委託を行ってきているところであります。
 今回の客船ターミナルの委託先の変更は、ただいま港営部長からもお話がありましたように、開設後の施設の利用実態や、利用者にとってより効果的なサービスが期待できるということなどを総合的に判断をいたしまして行ったものでございます。いずれにいたしましても、委託につきましては、局内でも十分、あり方を含めて慎重に検討をしてまいりたいと思っております。

◯曽根委員 いずれにしても、これからのあり方としては一貫性のある整理されたやり方について特に要望しておきたいと思います。  次に、新しい海面処分場の建設計画について何点かお聞きしたいんですが、この処分場の建設計画については、我が党の態度は、港湾審議会その他で明らかにしておりますように、清掃局が新しい処分場が必要だということで、何としても埋め立てだというような形で進められてきた計画でありますが、一方で、ごみの減量化、リサイクルの促進などについてきちんとした抜本的な対策が、これは清掃局の問題になりますけれども、示されていない。このままでは次々埋め立てということになって、自然破壊だけではなく、本当に東京湾がこうしたごみの処分場だらけになってしまう、そうした危険性をぬぐえないということで、私たちは今回の計画の安易な問題を批判してまいりました。
 しかし、これは港湾局の所管で仕事が進められるということになりますので、現状どこまで来ているのかということについて、きょうはお聞きしたいんですが、まず、この埋立計画については、港湾区域の拡大、それから都県境の問題があります。国との協議が当然必要なんですが、国との関係での協議はどこまで進んできたのか、これをまずお聞きします。

◯石渡参事 国との協議の経過についてでございますけれども、新海面処分場予定水域及びその周辺の水域は、検疫錨地や待機泊地として利用をされております。新海面処分場を整備するためには、これらの代替水域の確保が必要でございます。しかし、現在の東京港の港湾区域の中にこれを求めることは非常に難しい状況になってございます。このため、港湾区域を拡張することが望ましい、こう考えておりましたけれども、港域のみの拡張によって対応すべく、運輸省、海上保安庁等、国の機関に要請をしたところでございます。国におかれましては、これに対しまして一定の理解を示してくれたものと認識をしております。

◯曽根委員 国が一定の理解を示したという新聞記事を私も見たわけですが、国の理解をもとに千葉県との交渉ということを今進められてきていると思うんですけれども、この千葉県との協議、これは何かまとまったという話もちょっと聞こえましたけれども、どこまで来ているのか。それから、今後の見通しはどうなっているのか、その点についてお聞きします。

◯石渡参事 東京都は新海面処分場整備に関する都県境問題等につきまして、千葉県と協議を重ねてきましたけれども、都県境問題は引き続き協議をするということにいたしまして、港域の拡張で対応できるよう、国へ要請することになったわけでございます。千葉県との間でも、新海面処分場整備の緊急性にかんがみまして、港域の拡張により事業の進展が図られるよう、総務局を通しまして、協力を得る努力をしているところでございます。できるだけ早期に合意が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

◯曽根委員 今のご答弁ですと、総務局を通じて折衝中であるということで、そうしますと、まだ具体的な事業を行うところの窓口にはなっていないんだなと思うんですが、早期の合意で努力ということは、これから合意を得て、それから具体的な窓口が開かれるというような、そういう順番になっているわけですね。
 この間の折衝の中で、この都県境問題については、なかなかこれは難しいから、平たくいえば・$6742・上げにして、港域拡大ということでやっていこうというふうな方向で今東京都は考えているということだと思いますが、これはなかなか難しい問題が出てくると思うんですね。それで、最初にまず都県境の問題と港域拡大についてはどういう関連があるのか、その点についてお聞きします。

◯石渡参事 都県境問題につきましては、先生ご案内のとおり、かねてからの経過を踏まえて考えてみますと、早急には解決が難しい状態になっている、こういうふうに認識をしてございます。
 現在進めております港域の拡張は、港則法の規定に基づきまして、海上保安庁においてその区域を設定するものでございますので、都県境問題とは直接かかわりのない問題というように理解をしてございます。

◯曽根委員 確かにこの港域の拡張については法律上の規定で海上保安庁の管理だから、都県境とは別に扱うことはできるというふうに、規定上はそうなるかもしれませんが、実際にはこの港湾区域を拡大しますと、千葉県が現在千葉県側だよといっているところに港湾区域を広げて、そこに検疫錨地なども移さなきゃならないと。そこは東京港の範囲内ということになりますので、東京都にも東京港内の管理責任といいますか、そういうものは発生すると思うんです。そういう点で、東京港の港湾区域が拡大された場合、どういう管理責任が東京都側に生ずるのか、この点をお聞きします。

◯石渡参事 今私どもが進めておりますのは、港湾法上の港湾区域ではなくて、港則法上の港域を拡大することによって対応していこう、このように進めているところでございます。  今お尋ねの港湾区域と港域の間の水域の管理の問題でございますけれども、例えばそこで沈船等の航行障害物があった、あるいは海上でのごみの浮遊物があった、こうした場合の管理につきましては、東京都におきまして責任を持ってこれを処理し、水域の維持管理が適正に行われるよう努力してまいりたい、このように考えております。

◯曽根委員 失礼しました。用語でいうと、港域の拡大になるわけですね。それで、こうした問題から見て、今回港域の拡大で対応したとしても、いずれにせよ、都県境問題をなるべく近いところで解決をしなければ、いろんな問題が起きてくるだろうと思うんですね。千葉県の領域だといってるところに、やっぱり清掃その他で東京都が行かなきゃならないというふうになってしまうわけなので、この点は指摘をしておきたいと思うんです。
 それから、今後、検疫錨地を移す関係でいいますと、千葉県の漁民の方との交渉の問題というのが出てくると思うんですが、この点についてはどういうところまでいっていて、どういう見通しなのか、この点をお聞きします。

◯石渡参事 新海面処分場の整備につきましては、先ほどお答え申しましたように、港域の拡張によって対応すべく、国の機関や千葉県に協力を要請しているところでございます。港域の拡張につきまして、これからの非常に大きな課題は、先生ご指摘のとおり千葉県の漁業関係者の同意を得ることである、このように認識をしてございます。現在は総務局が交渉窓口となっておりますけれども、私ども港湾局と千葉県関係当局との交渉窓口が開かれたならば、直ちに千葉県水産当局のご協力をいただきながら、千葉県漁業関係者と接触をし、誠意を持って交渉に当たりたい、このように考えております。

◯曽根委員 そうしますと、これから千葉県との合意が得られたとしても、具体的な交渉はそれから、千葉県の協力も得なければならないという点で、なかなか先行き難しい問題が出るだろうというふうに思うんです。
 それで、現在の処分場が来年度いっぱいが限界というふうに先ほどお話もありましたが、新海面処分場整備までの手続上超えなければならないハードルがありますね。それで、新海面処分場はいつから供用が開始されなければならないのか、それに向けて東京都としてやらなければならない埋め立てのための手続、そのタイムリミット、スケジュールはどうなっているんでしょうか。

◯石渡参事 新海面処分場整備までのスケジュールでございますけれども、現在の最終処分場であります中央防波堤外側処分場の処分計画から見まして、新海面処分場は平成八年中には供用開始をする必要がある、このように考えてございます。このための手続でございますけれども、昨年の十月から東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価の手続を進めているところでございます。平成六年中には公有水面の埋立免許申請をいたしまして、平成七年には免許を取得して、護岸整備工事に着手する考えでございます。

◯曽根委員 今のお答えでは平成六年中ということですから、ことしじゅうですね。ことしじゅうに公有水面の埋立免許の申請をするということですので、この申請は当然千葉県の漁民の方との話し合いで合意されたことが前提となると思うんです。その点は確認ですが、どうでしょうか。

◯石渡参事 公有水面の埋立免許の申請をする前までには、先ほどご答弁申し上げましたように、港域の拡張についての条件整備が必要でございます。そしてその条件整備の中に千葉県関係事業者の基本的なご理解をいただくということが入ってございますので、そのような形で私どもこれから進めていきたいと思っております。

◯曽根委員 私、なかなか日程的には厳しいところに来ていると思うんですね。これは清掃局の仕事に必要な施設を、埋立関係ですから、港湾局が取り組んでいるわけですけれども、当初の計画が非常に慌てて立案されて、この埋立問題についても十分検討されたとは思えない経過の中で今回の処分場が計画された、何が何でも必要だという経過が私はあったように思うんです。実際にやってみたら、このように千葉県側との問題、特に漁業関係者との交渉、これは簡単にはいかないし、今までの実例もそういう例が余りないわけですから、そういう点でも非常に厳しい条件があると思うんです。
 もともとこの埋立処分場については、東京のごみを、もし本格的にリサイクル、減量に取り組めば、現在の半分程度までは減らせるという専門家の意見も出されているぐらいですから、そういう問題に本当に力を入れていくということがどうしてもなければ、きちんとした見通しのもとに進めることができないんじゃないか。今回は清掃局ではないので、この程度にしておきますが、私たちの見解を申し上げておきたいと思います。
 それから、これに関連して、東京湾の埋め立てという点でいいますと、ほかにもいろいろと東京湾を新たに埋め立てる計画というものが出てきているわけなんですね。最近ですけれども、JAPICという、これは前にも委員会で私ども取り上げたことがありますが、鉄鋼、土木、建設業界などが中心につくった財界の組織なんですが、ここが政府に対して、新たな需要を喚起するというか、不況対策として公共投資計画を百兆円以上上乗せをしろというような要求を出しているわけですね。その中に、東京湾のフェニックス計画の早期実現を図るべきだという提言が含まれているわけです。東京湾のフェニックス計画というのは七都県市ぐらいかかるというふうにいわれていますが、事実上のまた大規模な東京湾の埋め立てなんですね。これについて東京都としてどのように考えているか。この点基本的な考え方をまずお聞きします。

◯石渡参事 現在私ども手続を進めております新海面処分場の整備に当たりましては、廃棄物等の発生抑制、あるいは資源化の徹底を図りまして、できるだけ長期にわたって有効利用を図る考えでございますけれども、いずれにしろ、新たな最終処分場の確保が必要になってくるんじゃないか、このように考えられております。今お尋ねの七都県市首脳会議におきます問題でございますけれども、現在、都圏域を超える広域処理のあり方について検討している、そのように私どもとしては聞いてございます。

◯曽根委員 大変一般的なお答えなんですけれども、具体的な計画は東京湾の、これは東京都の都内の地先になるかどうかわかりませんが、大幅な埋め立てがまたやられようという提案なんですね。
 この計画がもし進められることがあれば、昨年の十二月のこの委員会ですが、有明北の埋立問題の陳情の審査のときに、東京港内、ここの埋め立てはこれ以上は困難だというようなお話があったわけですけれども、東京湾に広げてみれば、またこうした新たな埋立計画が出てきてしまうということで、私はこういうのはいろんな意味から許されないことじゃないかと思うんですが、昨年の十一月二十五日の委員会でこういうご答弁を港湾整備部長がされています。
 船舶の航行や停泊、都民のためのレクリエーションとか漁業の場、さらに水域そのものが気象の緩和機能や水質の自然浄化機能など、環境保全の面からも重要な役割を果たしているということから、これ以上の東京港の港湾区域内での埋め立ては困難だという理由を述べていますが、この認識というのは変わっていないというふうに見てよろしいですね。

◯中村港湾整備部長 変わっておりません。  
  〔「フェニックスは心配しなくて大丈夫だよ、できないよ」と呼ぶ者あり〕

◯曽根委員 今、心配しなくていいというお話がありましたが、私はこの計画は、JAPICというようなところが出てきて、政府に提言をしている以上は、必ず具体化がされてくる危険性があると思うんですよ。そういう点で、先ほどの認識は変わりないというお話があったんで、自然環境を保全するという面から、東京港については埋め立てはできないというお考えですから、東京湾全体についても、この自然環境保全の見解というのは基本的には同じだというふうに考えるべきだと思うんですね。
 そういう点で、今後の東京港、さらに広げて東京湾内での埋立問題について、局長に基本的な見解をお聞きしておきたいと思います。 ◯植野港湾局長 東京港の港湾区域におけるこれからの埋め立てに関する基本的な考え方、こういうことでございますが、先ほど港湾整備部長からも、そのとおりだというお答えを申し上げましたように、この東京港の水域は、船舶の航行、停泊等の港湾機能のほか、レクリエーション、漁業等の場として、また環境保全の面からも重要な機能を果たしております。
 東京港の図面を見ていただきますとおわかりのように、水域が大変少なくなっていることも事実でございます。したがいまして、現在進めている新海面処分場のほか、大規模な埋立地を造成するということは甚だ困難ではないか、このように考えております。

◯曽根委員 東京港の港湾区域というふうに限られたんですが、環境保全の面からの重要な機能、これを守っていくためには、東京湾全域についてこの考え方を広げる必要がある。これは繰り返しになりますが、強調しておきたいと思います。
 そういう点で、現在計画をしている埋立処分地も、いわば水面を新たに埋め立てるわけなんで、この点についてもこうした環境保全の考え方を当てはめるならば、私はその点からもっと慎重な検討があってよかったんではないかというふうに思います。その点をいっておきます。
 それから、東京湾全体についても、これは東京都としてももちろん無関係ではありませんので、このようなフェニックス計画などが促進されることがないように、政府に対して、国に対してきちんと物をいうべきだということを申し上げておきます。
 それから、私も臨海副都心開発の関連で一つだけお聞きしておきたいんですが、先日、予算特別委員会の総括質疑で渡辺議員の方から質問いたしました第三セクターのモデルビルについて、時間の都合で残さざるを得なかったんですが、今議会に提出されたこの経営見通し、これは一カ月坪四万円の賃料で計算されたもので、我が党はこれが現実離れした試算であることを予特でも明らかにし、ほかの試算をやっていないのかとお聞きしたら、局長は、試算はしているが、具体的営業活動に関係するので明らかにできないとお答えになりました。ほかの試算は公表できない、営業活動への影響があるということですが、この坪四万円の試算というのも今回新たに出したものなんですね。この四万円の試算というのはどうしてこれだけは明らかにしたのか。その理由からお聞きします。

◯鈴木臨海部整備担当部長 臨海副都心建設株式会社の今回の事業収支試算におきます賃料につきましては、これからモデルビルの営業活動を進めるに当たりまして、基準となる賃料を示す必要があることから、坪当たり月額四万円と設定したものであると聞いております。
 また、昨年九月に、第二次公募時期から土地処分方式が通常の長期貸付方式に変更されたことや、社会経済状況、さらには現時点におけるオフィスの需要状況などを勘案して、一定の入居率を設定し、モデルビル事業の収支を計算したものであると聞いております。

◯曽根委員 この四万円の賃料とか、それから数年後には九七%まで入居率が高まるというような設定が基準となるものだというふうに今お答えがありましたが、基準となるという意味は──私たちは、現実的な計算からいえば、この都心地域でもそんな賃料で貸しているビルはほとんどない、新しいところでももうその半分程度まで下がっているというのが実際だというふうにいってきたんですが、基準となるという意味は、現実的ではなくても、とにかく基準になるんだという意味なんでしょうか、その点ちょっとお聞きしておきます。

◯鈴木臨海部整備担当部長 基準となると申しますのは、臨海副都心建設株式会社に出資をしている方、あるいは融資をしている融資先に対しまして、先ほど申し上げました諸状況を勘案して、これからのビル事業の運営について収支の見通しを示す必要があった、こういうことから、先ほど申し上げましたような試算を行ったものと聞いております。

◯曽根委員 同じお答えなんですけれども、融資先に対しては、この程度の賃料ということで試算結果を出さない、今後の資金繰りにも影響すると。しかし、実際に今度は借り主の方には別の正札が出てくるということだと思うんですね。これは実際に来年十一月にオープンしますと、結局どれだけのテナントが入居するのか、賃料は幾らかということも決算などで出てくるわけですよ。これは公になっていくわけですよね。この試算がどの程度現実的であったかどうかは、もう遠からず明らかになってしまう。その時点で改めて厳しく今回の試算の結果、それから、これまで進めてきたこのビル事業を含めての臨海副都心のあり方が問われることになるとは思うんです。
 しかし、ビルが一たんオープンして、入居の募集を始めてしまえば、それはもうスタートですから、取り返しはつかないわけですよね。これはビルの事業のいろいろな専門家に聞いても、オープンすれば、ビル全体のランニングコストが、たとえ一社も入らなくとも当然かかる。それから利子払いもある。この利息払いとランニングコストのその分だけでも回収できなければ、ビルを続けている分だけ赤字が膨らんでいくということになるわけですよ。それがどの程度のものなのか。
 現在のモデルビルの事業計画や副都心の計画、現在の都内のビル状況を見ますと、まさに私たちは、このモデルビルの状況というのはそこに極めて近づいているというふうにいわざるを得ないところまで来ていると思うんですね。そういう点で、私は、来年の十一月オープンし、その後若干の期間がたって、やっぱり失敗でした、これは大変ですということになっても、もう取り返しのつかない被害が東京都に、そしてさらに都民に降りかからざるを得ない、こうした事態になることを一刻も早く食いとめなければならないというふうに思うんです。
 先ほど西田委員からも副都心問題については凍結しかないんだということが強調されましたが、このモデルビル事業一つを見ても、どこから見ても副都心事業が行き詰まっているという点を、やはりここではっきり申し上げなきゃならないというふうに私の意見を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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