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94年3月18日住宅港湾委員会質問全文
多摩の水道値上げ問題、マンション支援を質疑

(1)多摩の水道値上げは必要ないことを解明

◯曽根委員 私からは、多摩ニュータウンの水道事業会計の料金改定の問題で何点か質問します。
 この新年度のニュータウンの水道事業会計予算には使用料金の引き上げが含まれており、資料もいただきましたが、最初に、今回の改定の内容、それから、なぜ東京都の水道の会計と連動して同じ率で引き上げるのか、理由を示していただきたい。

◯坂庭管理部長 まず、料金改定の内容でございますが、都水道局と同様、本年六月一日から、平均いたしまして一六・一%の改定を実施いたしたいと存じております。
 その理由でございますが、大きく分けまして二つほどございます。  第一番目は、私どもの水道事業は、臨時東京都多摩、八王子、町田新住宅市街地水道条例によって行われているものでございますが、その四条によりまして、料金体系も含めた運用の大部分について東京都給水条例を準用しております。現在、多摩ニュータウンが属しております八王子、町田、多摩、稲城の各市は既に都水道と一元化をされておりまして、同じ料金水準等のサービスを行うことが必要であることでございます。
 第二番目は、私どもの水道は、昭和四十六年から建設、運営を開始しておりますが、既に本年で二十三年が経過しておるわけでございまして、このため、既に建設をいたしました施設につきまして、例えば料金徴収の適正化あるいは経営効率化のための漏水の防止、水質保全等を行うために、施設の改良、補修が必要でございまして、その経費を賄うために、現在、内部にございます内部留保金では賄えない状況に立ち至ったからでございます。

◯曽根委員 我が党は、水道局の料金改定についても、本来利益に計上すべき自己資本造成費を含めれば、収支は一貫して黒字であって、しかも値上げの根拠である今後の水源対策も、水需要の推移から見て過剰投資になっているので、値上げの必要はないし、改定は撤回すべきだと考えています。
 さらに、今回の多摩ニュータウンの水道事業については、事業として独立しており、東京都の水道局とは歴史も規模も、それから財政状況も全く別個であるにもかかわらず水道局の改定幅をそのまま横引きにすること自体が、もし独自に設定すれば上げなくてよい分まで利用者に負担を負わすことになりかねないという点を懸念しています。
 そこで、多摩ニュータウン水道事業について基本的な点に限って幾つかお聞きしたいのですが、多摩ニュータウンの場合は、まちづくりが先に行われて、人口が後からふえてくるということで、水道設備もやはり先行投資的な面が多いと思うのですが、多摩ニュータウン全域に水道管を普及する計画のうち何割程度今完成をしているのか、お聞きします。

◯坂庭管理部長 多摩ニュータウンの将来の人口を三十万人と想定をいたしまして、その方々に円滑に水を給配水するのに必要な配水管の総距離は三百八十三キロメートルでございまして、本年度末の予定でございますが、これまで三百五キロメートル、割合にして八〇%が完成をしております。

◯曽根委員 配水管の新設工事費用の財源はどこから出るのか。また起債を行っているのか。同じく、この施設の改良や補修の工事の財源はどこから出して、起債の有無はどうか。この二点お願いします。

◯坂庭管理部長 お尋ねのまず第一点の配水管等の新設工事費用の財源でございますが、これは多摩ニュータウン建設におきます道路、公園あるいは下水道と同様に、開発者の負担金を導入しております。これは、先ほど先生もご指摘のとおり、私どもの水道は先行投資性が非常に強いものでございまして、例えば現在、先ほど申し上げました人口三十万人に必要な一日最大配水量がおよそ十八万トンでございますが、現在現実に供給しているのは五・三万トンでございまして、割合として約三〇%でございます。そういった要するに先行投資性というものの時間の差を埋めるために、この開発者負担金というのが私どもの水道経営にとっての経済的な効果でございます。
 また、起債を行っているかどうかという点についてでございますが、起債は行っておりません。
 後段の施設の改良、補修工事の財源と起債の有無でございますが、一般論としては、施設の改良、補修工事には起債が充てられるわけでございますが、現在までのところ、これらの経費につきましては、多摩ニュータウンにお住まいの方々からちょうだいをいたします水道料金の収入で賄っております。

◯曽根委員 それから、収益的な収支について見ますと、これはいただいた資料で、平成四年度を除いて、この間ほとんど黒字が続いているようなのですが、これにより現在内部留保としてはどれぐらいになっているのか、お聞きします。

◯坂庭管理部長 平成五年度末の見込みでございますが、減価償却引当金を含めまして内部留保資金は約五億六千万円程度でございます。

◯曽根委員 何点かお聞きしましたが、水道局の会計に比べて多摩ニュータウンの水道事業は極めてシンプルだという私の印象なのです。施設の整備は開発者の負担で既に八〇%完成している。借金もないし、一方で自己資本造成費というようなものも設定する必要はないし、補修、改良の費用は収益の中で賄っていて、内部留保も若干ですがあるということで、これだけを見ると、使用料の引き上げは何ら必要ではないのではないかというふうに思うのですが、今回の料金改定で増収分は幾らになって、その活用計画はどういうふうになっているのか、お聞きします。

◯坂庭管理部長 まず、今回の料金改定の増収分でございますが、平成六年度から九年度まで四カ年の合計額は十八億二千八百万円でございます。
 それの使途と申しますか、活用計画でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもの施設が最初に建設されてから今年で二十三年たつわけでございますが、そこの施設の一部につきまして早急に改良あるいは補修を行う必要のあるものがございます。大きく分けまして二つございまして、第一番目は、現在布設をされております四〇〇ミリ以上の配水本管は約六万メートル、六十キロございます。このうち腐食防止が必要な、具体的にはさびどめの塗料を塗るということでございますが、それが必要な鋼管は七千メートルございます。これはいずれも二十年以上前のものでございまして、経営効率化のための漏水防止、水質保全のための汚濁防止等のために早急に腐食防止を行う必要がございまして、施設建設が峠を迎えるという状況を踏まえまして、平成六年度から四カ年計画で行うこととしたものでございます。所要経費は約十八億円でございます。
 二番目は、私どもの水道の特色でございます料金徴収等管理の省力化を目的にいたしまして昭和五十一年度より導入をいたしました自動検針システムにつきまして、料金徴収の正確性を期するため自動検針を行うのに必要な施設の一つでございます、いわゆるケーブル、総延長が七百二十キロメートルございます。このうち昭和五十年から五十一年に敷設いたしました約百二十キロメートルにつきまして早急に取りかえる必要があるものでございまして、これに要する経費はおよそ五億三千万円を予定しているところでございます。

◯曽根委員 今、約十八億円でその鋼鉄管の腐食防止の工事が行われるという話でしたが、現在使っているのは、お聞きすると、鋳鉄管を使っているということで、古い管に比べて腐食防止の改良工事は、非常に腐食に強いので当分は必要ないであろうというふうにお聞きしています。そういう点で、今回の補修は、起債をして、これから毎年の料金収入でも十分に償還していけるものですし、水道局に比べても、自動料金計算そして徴収のシステムもあって、これは是非はともかくとして職員もその分少ない、施設や管も二十三年でまだ新しく、漏水もほとんどないというふうに聞いていますので、独自に考えれば値上げの理由はないというふうに思うわけです。
 それを将来、水道会計と合併するとか、周りの市との関係だということで、今のうちから横並びにして高目に合わせるというのでは、私たちは納得できない。それから、利用者に対する負担というのは極力かけないように、あらゆる制度上の工夫も含めて努力を行うべきだというふうに考えます。
 それで今後ですが、水道局と多摩ニュータウンの水道事業会計というのが合併をするというふうに聞いていますが、いつごろというふうに展望しているのでしょうか。

◯坂庭管理部長 私どもの多摩ニュータウン水道につきましては、既に昭和五十五年に東京都公営企業等財政再建委員会から、都水道局と一元化すべしという提言を受けておりまして、多摩ニュータウン開発整備の進捗状況を踏まえまして一元化をすることとしております。
 現段階での見通しでございますが、基幹施設の完成がおおむね平成七年度で終了するということでございます。その後、ニュータウン水道の廃止、変更に伴う諸手続、例えば関係市の議会のご同意でございますとか、あるいは厚生省の認可等が必要でございまして、こういった諸手続に要します時間を考えますと、現段階での判断といたしましては、おおむね平成十年度ごろと考えております。

◯曽根委員 きょうはこの合併問題の是非を論じるつもりはないのですが、平成十年ごろに展望されている合併が行われるころは、もしニュータウンの人口が予定どおり三十万に近づいていくというふうに仮定しますと、この多摩ニュータウンの水道事業は完全に毎年黒字という大変な優良会計になっているのではないかと思うのです。
 そうすると、合併によってその黒字分が水道局にどんどん吸い取られていってしまうということになってしまうのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

◯坂庭管理部長 お答えするのに大変難しい問題でございますが、私どもの現段階での判断といたしましては、まず第一番目に、先ほど来るる申し上げております既存の施設の補修と申しますか改良、それは先ほど申しましたように料金収入をもって充てるわけでございますが、それがどの程度の規模と申しますか、あるいは金額になるのかという点が第一点でございます。
 それから、水道局と私どもの事業規模でございますが、財政規模で申し上げますと、平成五年度の水道局の財政規模は四千三百五十六億円で、私どもの財政規模は約四十九億円でございまして、その割合が一・一%でございます。そういったことで、現時点で、ただいまご指摘のような状況になるかどうか、的確にお答えできないことをお許しいただきたいと存じます。

◯曽根委員 財政の規模が大きく違うのはわかるのですが、多摩ニュータウンの住民にしてみれば、せっかくその水道、それから下水道の方も同じだと思いますが、施設の整備は開発者負担で料金にはね返らなくても済むような仕組みになっているのに、二十三区と横並びで、非常に高いといわれている東京都の水道料金を払わされていると。
 おまけに値上げまでおつき合いさせられるということでは、どうにも住民の側からいえば納得のいかないこの仕組みだなというふうに思わざるを得ないので、そのことを指摘しておきたい。  下水道についても同様の問題がやっぱりあるということを指摘して、私の質問は終わります。

(2)公社家賃値上げ、都民住宅、マンション問題を質問

◯曽根委員 私から初めに、予算の中には供給公社に対する補助が入っておりますので、関連して、公社賃貸住宅の家賃改定問題について若干触れさせていただきます。  四月一日を期して一七・九%、平均五千五百八十円の値上げが行われる予定で今、公社は動いておりますが、居住者団体である東京都公社住宅自治会協議会から私ども住宅港湾委員に要望書が最近届きまして、この不況のもとで、何とか大幅な値上げを食いとめてもらいたいという切なる要望が届いております。
 その中で、ぎりぎりの選択といいますか、家賃の値上げがどうしても必要だというのであれば、家賃の改定時期は三カ月おくらせて七月にしてもらいたいということと、いわゆる、あるべき家賃といわれている調整家賃と現在の家賃の差額、この半分を埋めるというやり方ではなく、三分の一程度に抑えてもらえれば値上げ幅がかなり減額をされるというようなことも含めて要望が公社に差し出されている。ぜひそういう点での話し合いをということで、私たちにもそういった趣旨の要望書が届いております。
 こういう要望が出されて、また公社に対してこれが通知されたのが三月十七日ですから、きのう付なのですけれども、その一カ月前に、「都公社だより」という供給公社のニュースの中に、今回の家賃改定についての一問一答というのがありまして、その中の質問に「一部で、四月の家賃を『旧家賃で支払おう』といっていますが、公社は旧家賃でも受け取るのですか?また、旧家賃で供託した場合、どうなりますか?」という質問があって、この答えの中に「旧家賃で供託した場合は、あなたが今回の家賃の額を不服として公社と『争う』ということをご自身で意思表示をしたことになります。この場合、公社としては不本意でありますが、やむを得ず法的措置を取らざるを得なくなります」と。
 まあ私から見れば、まだ公式に何も団体の方から公社に通知もされていないのに、早々と二月のニュースの中で供託問題を取り上げて、法的な措置ということまでちらつかせて、これは私、大変脅しに近いやり方ではないかと思うのですが、このニュース、「だより」が出ていることについては住宅局の方では把握しておられますか。

◯曽根委員 私やっぱり、これは居住者の方が、前回並みの家賃改定のルールといいますか、やり方に今回も合わせてほしいというぎりぎりの要望を出されているわけですから、供給公社としては当然居住者とぎりぎりまで話し合って、値上げの時期それから幅についても、撤回をすべきだというふうに私たち会派としては意思表明をしておりますけれども、居住者の方の要望は当然話し合いの場を持って反映をさせるべきだというふうに思うのです。
 そうした点で、住宅局の方としてもこの問題をこのまま放置しておくのではなくて、公社に対して何らかの働きかけ、指導があっていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯曽根委員 話し合っているというのは公社の方のいい分だと思うのですが、実際にはちゃんとした話し合いの場というのは持たれていないわけなのですね。そういう点でもう少し実態をつかんでいただいて、居住者の意見が今回の改定の中身についてもきちんと反映される最大限の努力を住宅局としてもしていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 それから、私も、先ほど五十嵐委員の質問された、今回の都営住宅家賃改定の中での応益調整、とりわけ立地指数の問題について質問をしたいのですが、前半予定していた質問は五十嵐委員のとぴったりダブりましたので、半分ぐらい省略しまして、途中からお聞きしたいのです。
 先ほどもお話があったように、区市町村係数というのは国の公示地価をもとに出されてランク分けがされているわけですが、墨田区は住宅地の標準地が一カ所しかないということで、私は、こういうことだけで区市町村を縦に並べるというのは非常に大ざっぱ過ぎるのではないかと思うわけです。
 それで、ちなみに、東京都が出している基準地価というのが一方であるわけですが、これは平成五年七月一日、直近の都の基準地価で比べてみるとどうなるかと。この区市町村係数で、今回の答申の中では墨田がGランクになっています。それからFランクに葛飾区があり、Eランクに江戸川区、Dランクに江東区というふうに並んでいるのですが、それぞれの区内の基準地価格の平均額を比べるとどういうふうになるか、お答えください。

◯曽根委員 国の方は宅地についてのみやっているのですが、やはり近隣に商業地の高いところがあるところは住宅地も高いのではないかという仮説を立てたとしますと、あながち乱暴な推計ではないのではないかと思うのですが、江東区が百三十一万九千七百円、墨田は百三十一万八千円台ということで、これで比べるとDランクの江東区と同等というふうなデータも出たわけです。
 確かに墨田は商業地が圧倒的に多いわけですから単純に比較はできませんが、データのとり方によって、かなりこのランク分けというのは左右されるのではないかということの一つの端的な例になると思うのです。
 この場合、DランクとGランク、指数でいいますと区市町村係数では〇・三違うわけですが、先ほど五十嵐委員からもお話があったように、この指数の違いは、わずかではあっても家賃に直接はね返ってくることになるのですね。仮に区市町村係数が〇・三異なってくる場合、第一種の都営住宅家賃で新しい答申を適用しますと、年間どれぐらい違ってくることになりますか。

◯曽根委員 そのようにランクが三ランクも変わりますと、年間でいえば二万六千円強の家賃の違いが出てくる。これは個別家賃ですから、この後また住戸ごとに家賃というのは変わってくるわけですが、これだけ大きな影響があるものです。Gランクには墨田のほかに八王子などもありますが、八王子は国の基準公示地価で見ますと平均価格が二十七万六千円、墨田の五十一万円に比べて約半分ですよね。
 上位の価格で五十一万円ですから墨田と並んでいる。下位の価格では十三万九千円というのが八王子のレベルです。これと同ランクに墨田が位置しているというのは、どうもやはりこのランク分けの基準のとり方については、私はどうしても疑問を呈したいというふうに思います。
 それからもう一つ、立地指数というのは、そのうち三割が今いった区市町村係数、残り七割は固定資産税評価額相当額によって別の指数で決まってくるわけですが、固定資産税評価額についても同様のランク分けの問題というのがやはり出てくると思うのです。今まではさほど影響しなかった都営団地周辺の固定資産税の変動が、これからは団地の居住者に家賃として影響を与えてくる。仮に固定資産税評価額相当額の指数が一ランク動いた場合、また二ランク動いた場合の第一種での年間家賃はどれぐらい違ってくるか、お答えいただきたい。

◯曽根委員 年額四万円ということになりますと、例えばこの春に予定されている東京都の公共料金の値上げを全部足し合わせて平均的な標準家庭に割り戻しますと三万五、六千円ぐらいだと思うので、それを超えるぐらいの規模の金額が家賃で差が出てくるわけです。二ランクの差というのは決してこれから現実的に起こり得ない数字ではないという点で、一例だけを挙げておきたいのですが、間もなく固定資産税の評価額が改定をされるわけですね。それで、これは四月ぐらいに縦覧になるそうですが、公示地価の七割を原則に、平均四倍程度評価額そのもの全体が上がるわけです。
 この評価額を使って制度改定を、もし今回の家賃改定に使ったとしますと、縦覧が始まってから膨大な数の団地の周辺の評価額を押さえて、それから、この指数表が使えなくなりますので、改めて分布をとって、どこを一・〇にするのか等を決めなければならない。第二回定例会に条例提案をされるというようなお話を聞いていますが、実務的には到底間に合うとは思えないのです。同時に、この固定資産税評価額の上がり方には相当でこぼこが出ます。
 私は、ある専門家の方に、地元の北区の中で十四カ所の都営住宅について、周辺の評価額の上がりぐあいを推計してもらったのですが、それによると、高いところで五・二倍、低いところで三・四五倍という試算をいただきました。これは私の個人的な試算なのですが、上がり方に大体これぐらいの差は出てくるであろう。すると、これは五・二倍と三・四五倍ですから、指数に換算して二ランクぐらいは違ってくる可能性がある。
 もちろんそれは最近の地価の動向を反映しているといえばそれまでなのですが、前から住んでいる居住者にとっては、その地価の動向は今までは影響がなかった。今度は大きくそうやって違ってくる。で、二ランク変わると年間四万円も差がついてくるということですから、これは非常に影響から見て、基準のとり方については厳密さが求められる。もし実施するとしても、非常にこの点については慎重でなければならないというふうにいわざるを得ません。
 私たちは、こうした立地指数を応益調整の中で四割に拡大をするというやり方が、こうした点でいろいろな矛盾を起こしてくるというふうに指摘をして、こうした応益調整のやり方については反対なのですが、もともとこういうふうな立地指数を大きく見るということの中に、やはり市場家賃の動きに都営住宅家賃を合わせていくという考え方が貫かれているわけですね。そして、都営に今住んでいる人にはとにかく新しい制度に無理やりでも従ってもらう、先に制度ありきという姿勢が露骨過ぎるのではないかというふうに思えてなりません。
 これは公営住宅の運営の仕方としては私はふさわしくないと思いますし、しかもその先には何が待っているかといえば、公営住宅と民間住宅の家賃の区別がだんだんなくなっていくことで、結局、都営住宅の存在意義が薄まっていってしまうのではないか、公営住宅が安楽死の方向に向かうのではないかということを大変危惧しているわけで、そういう点を特に強調しておきたいと思います。
 次に、都民住宅の話、先ほどもありましたが、今後の都民住宅の活用について何点か質問したいと思います。都民住宅の新しい制度が発足して二年目を迎えましたが、我が党は、この住宅制度について、これまでの地域特賃、一般都民住宅よりは制度上改善されていることを評価しながらも、居住者の定住という点で、毎年の家賃上昇など大きな弱点を抱えている問題を指摘してきました。住宅局の予算案では、平成六年度、都民住宅の建設は大幅に拡充される予定になっています。
 今後も、法人施行も含めてこのタイプの住宅がかなりつくられていくという見通しですが、その中で、都が直接つくる都民住宅及び公社の施行によるものなどは一戸当たり数千万円の公費をかけてつくるわけですから、公共住宅としてよりふさわしいものに改善していくべきではないかというふうに考えるわけです。また、都営住宅を明け渡す高額所得者の受け皿として今後考えていくとしても、やはり応能型の家賃制度への改善が必要ではないかという観点から幾つか質問したいと思います。
 まず初めに、都民住宅は既に幾つか募集もされていますが、当初は施行者が契約家賃を決めて募集するわけですね。その後、契約家賃の見直しが行われていくわけですが、どのようにこの家賃の見直しは行われていくのか。法人施行型と東京都や公社が直接施行するものとではやり方が違うのかどうか、この点をお聞きします。

◯曽根委員 それでは簡潔にやっていきたいと思いますが、今のお話では、法人施行型は市場を勘案して鑑定士などにお願いしてやると。東京都の場合は東京都が独自に決めるのですが、勘案して決めることができるという、できる規定になっているわけです。それで、上限としては法定限度額があると思うのですけれども、この契約家賃の下限、下の限度額というのは決まっているのですか。

◯曽根委員 したがって、法人施行の場合はどうしても採算が重視されるというお話が先ほどもありましたが、都の直接施行、この場合には都がかなりいろいろな政策的な配慮を行う余地が法的にも残されていると思う。例えば今、毎年五%ずつ上昇して契約家賃にすりついていくわけですけれども、そのすりつく先の契約家賃を東京都が適切な額に抑えていくことによって、過重な居住者への負担を避けることはできないか。
 こういう余地は今後十分に検討できると思うので、ぜひこの点は要望しておきたいのですが、同時に、毎年の居住者負担額が五%ずつ上がっていくということも、これは特優賃制度のもとで決められているものですが、仮に東京都が独自の上昇率を設定し、国の家賃補助が五%を前提として行われるのに対して、そのずれを東京都が何らかの形で穴埋めをするというようなことがこの制度の中でできるのかどうか、この点もお聞きしておきます。

◯曽根委員 では、国の制度と同じにしてあるよということなので、仮にその独自の上昇率を設定して穴埋めをするというようなことになると、この制度が使えなくなってしまうのかどうか。その点ではいかがですか、もう一度ちょっとお答え願います。

◯曽根委員 そうしますと、契約家賃の見直し、それから上昇率の設定についても、かなり東京都で、いわば予算を使えばいろいろな政策的な手だてが打てるという制度だと思うのです。
 それで、このままのやり方でずうっと二十年間五%ずつ家賃を上げ続けて、負担を上げ続けていくことになると、結局最終的には、都民住宅というのは、たとえ都が施行し、または公社が施行したものであっても、一般の民間の賃貸住宅と変わらないものになってしまうのではないかというふうに思うのです。二十年たった後の都民住宅の中身というのは実質どのようなものになるかということですが、いかがですか。

◯曽根委員 都が直接施行したもの、さらに公社がつくるものについても、実質、建設費は東京都が負担をするわけですが、一戸当たり数千万円かけてせっかくつくった公共住宅が、二十年たつと一般の民間と変わらなくなると。まあこれは推定でありますけれども、この地価の動向などが変わらないとすればかなり高額な家賃負担を都民にかけることになるというのでは、大変公共住宅としてはもったいない話だと思うので、この点については、ぜひ公共住宅によりふさわしい制度の改善ができないかと思うわけです。
 仮に、法人施行のもの、それから東京都の施行のもの、差ができてしまっては不公平ではないかという問題があるとすれば、私は、今後発生する空き家ですね、こういう後に入る入居者についての配慮というのは、これは制度上もできるのではないかと思うのですが、現在の制度でこの都民住宅に空き家が発生した場合、その次に入居する方の家賃負担というのはどういうことになりますか。    〔小林副委員長退席、委員長着席〕

◯曽根委員 私は、東京都が自主的に負担をしてつくる都民住宅については、最初は都民住宅ということで一律に募集をしますので、なかなか法人と差をつけるのは難しいかもしれませんが、途中で空き家が発生した場合はまた募集されるわけですから、こうした改善によって、一般の都民住宅よりもさらに、本当に住宅に困っている方のために、家賃負担を適切なラインに抑える形の制度というものが可能なのではないかというふうに思いますし、この今の制度のままでいきますと、五%ずつ上がれば、十年を待たずして空き家は相当発生してくるのではないかと予想されるので、そういう点も含めて改善の方向をぜひ検討していただきたいというふうに要望しておきます。
 最後にマンションの、特に分譲マンションの問題について何点かお聞きしたいのですが、最初に、平成六年度の予算案の中で、マンションの改良工事の助成制度、これはリフォームローンに対する利子の補助ですが、昨年に比べて一千戸分予算がふえております。大変要望の強い制度だというふうにいわれていますが、五年度の申込実績はどうであったのか、何件あったのか。それから、予算戸数が一千戸なのに実際上はオーバーしているというふうに聞いているのですが、オーバーした部分の対応はどういうふうにやったのか、二つお聞きします。

◯曽根委員 予算の戸数見込みは一千戸であったわけですが、実際には二千九百戸、三千戸近い戸数であったが、補給額は戸当たりが少なかったので予算内でおさまったと。ことしも同様の単価といいますか、戸当たりの金額を予定されていると思うのですが、申込戸数が計画をオーバーしても、これは要望の強いもので、ぜひ受け付けを行っていただきたいわけですが、その点の新年度の見通しをお聞きします。

◯曽根委員 これはぜひ、予算が切れましたので今年度はこれで申し込みは受け付けませんというようなことのないようにお願いしたい。強く要望しておきます。
 それから、昨年も私この委員会で要望しましたが、リフォームローンは有担保物件についてはまだ適用されていない。ここへの拡充が必要であることと、最近若干金融公庫の利子も上がりましたので、利子補給を一%から二%にふやすべきではないかという点もあわせて強調しておきたいと思います。
 それから、分譲マンションについては、最近特に築後三十年以上たったものが都内でもかなりの数あらわれてきて、そこでの補修問題や──社会的な問題になろうとしていると思うのです。九三年度の住宅白書の中でも、今回、マンションの問題の記述が大変ふえているわけですが、その中で、管理の問題についてかなり今回は触れているわけです。
 管理の適正化や修繕への対応の方策をさらに多方面から検討することが必要だというふうに指摘して、具体的には、長期修繕計画の作成方法や修繕積立金の算出及びその運用方法、劣化診断の実施方法、管理組合における合意形成の手続等について検討、長期修繕計画マニュアルの作成等がその中身として挙げられようというふうに指摘をされているわけです。
 私、こういう積極的なことにぜひ東京都も取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、ここで、白書の中に、このようなマンションの現状について盛り込まれているその基礎には、何らかの実態調査なりがあったと思うのですが、これのもとになっているのはどういう調査が行われたのか、まずお聞きします。

◯曽根委員 総務庁の調査をもとにしたものだということですが、私はぜひ東京都に、分譲マンションの現状また管理組合がどうなっているのか、建物の維持保全はどうなっているのか、こういった実態について調査する部門を設けるべきではないかというふうに思うのですね。
 といいますのは、分譲マンションというのは今の制度のもとでは、事実上、区分所有法の不備といいますか、それによって、建てかえの道がまだ制度的には確立をされていない。このままいきますと、事実上放置されたマンションがスラム化をしていくというような事態も、私は十年を待たずして都内あちこちで起きてくるのではないかと思うわけです。治安問題それから崩落その他、事故にもつながるような問題が起きかねないというふうに危惧しているわけで、それに対して行政はやはり無関心ではいられないであろうというふうに思うわけです。
 それで、まず前提となる東京都の専門体制をぜひつくるべきではないか。それから、老朽度の診断についても公的な基準が必要ではないか。区市町村で既に先行的にマンション対策をとっているところとの連携や、またシンポジウムや講習会、講演会などで都民に、特にマンションの居住者に対する何らかの普及啓発事業にも取り組まれる必要があるのではないか。
 これは今後の問題ですが、私からは要望として提案をさせていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。

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