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94年2月4日各会計決算特別委員会質問全文
都市計画局に首都高速公団への貸付問題を追及

◯曽根委員 私からは、都市計画局の歳出決算の中で、各種の事業団体に対する補助金や出資金または貸付金など、これらはかなり大きい部分を占めているんですが、これのあり方について、特にきょうは具体的に、首都高速道路公団への貸付金の事業について質問をいたします。
 都市計画上、都民の立場から見ても当然必要な貸し付け、出資等はもちろんあるわけですけれども、それぞれについて莫大な費用を出費しているわけですから、きちんと吟味されるのは当然だと思います。で、これらの貸し付け、出資、補助金などの中で、一つの事業に対して歳出が大きいという事業を挙げるとすれば、どういうようなものが挙がりますか。

◯長尾施設計画部長 出資金、貸付金あるいは補助金の中で、主な事業といたしましては、地下鉄十二号線建設貸付金が約四百五十一億円でございます。また、地下高速鉄道建設助成が約三百五十五億円でございます。首都高速道路公団出資金等が約二百二十五億円でございます。

◯曽根委員 首都高速道路公団への貸し付け、出資は三番目という位置にいるわけですが、いただきました資料の八ページを見ますと、平成四年度で貸し付けが百九十七億、出資の方では二十八億、平成五年度、これは予算ですが、二百九十八億に貸し付けが大きくふえているというふうになっております。ちなみに、平成六年度、来年度についてはどの程度の予算を見込んでおられるのか。

◯長尾施設計画部長 来年度の予算については今ちょっと手に持っておりませんので、申しわけございませんが……。

◯曽根委員 予算のことなんであれなんですが、私のいただいた内示の資料によれば、貸付金は三百五億、出資金が三十三億八千万円ぐらいということになっているようですが、着実に今ふえてきているわけですよね。
 それで、この首都高への出資と貸し付け、以前は出資と助成金の交付でありまして、数十億円の規模だったわけですが、資料によりますと、平成元年の貸付事業の開始から、百億円単位の規模の事業に大きく増額をされてきているというわけです。  それで、この貸し付けが本当に必要なものかどうかという点なんですが、まず、制度の創設されたいきさつ、それからこの事業の目的、対象、内容についてお答えいただきたいと思います。

◯長尾施設計画部長 まず、貸付金でございますが、今ご議論になっております貸付金は、社会資本整備事業制度ということで、別名渋滞対策特定都市高速道路整備事業の制度でございますが、これは都市高速道路の現状の大きな課題でございます慢性的な渋滞、それを抜本的に解決するためには、現在進めております中央環状新宿線等のネットワークを整備することが不可欠でございます。
 しかしながら、これらの路線は、過密した市街地を通過いたしまして、近年非常に地価も高騰しておりますので、高速道路と関連して整備する道路事業費が非常に急増し、その進捗がおくれているわけでございまして、財政面からも、その進捗を図り、都市高速道路の整備を円滑に進めるために創設された制度でございまして、都市高速道路の新設、改築とあわせ、その附帯工事として実施する密接関連街路の整備、こういうことでございます。
 制度といたしましては、NTT資金、これを国が活用して三分の一を出しまして、地方、いうなら東京都でございますが、東京都が貸付金として三分の一を出し、そして事業者である公団が三分の一を出すということでございます。これは無利子貸付でございまして、返済期間といたしましては、五年据え置きの十五年間で返す二十年間払いでございます。制度創設といたしましては、平成元年度でございます。  それから、対象とする事業といたしましては、高速道路建設事業、関連街路の事業、それから、それに伴う利子等の問題でございます。

◯曽根委員 貸付金が今実際に出されている、出費されている対象の路線というのは、この資料によりますと、板橋・足立線、通称王子線ですね。それから中央環状新宿線、この二路線ということになっているようですが、私は北区が地元なんで、この板橋・足立線、通称王子線が通過するわけですけれども、地元では、商業地のど真ん中を高架でこれを通すということで、町が分断されることと、もちろん騒音や大気汚染がさらに悪化するということで、かなり長い期間、粘り強い反対の住民運動が続いてきました。
 しかし、東京都は、高速道路の整備は都市計画上どうしても必要だ、また、これをつくることで、さっきお話があった渋滞の解消にもつながるから、渋滞のときの排気ガス公害の緩和に役立つんだというふうに盛んにいいわけをしてきたわけです。ところがその後、地価の暴騰で建設費が大きく膨らんで、このままでは予定どおりできない。
 首都高が悲鳴を上げて国と都に泣きついたかどうかは知りませんけれども、結局、今まで自前で高速道路本体は首都高が資金を調達してきたけれども、それでは当座の莫大な建設費が間に合わないので、国と都が建設促進という立場からお金を出す、貸し付けという形ですが、出すようになったというようないきさつですよね。  この根拠となる法律、また東京都の条例その他についてはどうなっているんでしょうか。

◯長尾施設計画部長 ただいまのご質問でございますが、これは道路整備特別措置法の改正によりまして、国のNTT資金を無利子貸付を行うことを根拠にしてございます。そして、私どもの方といたしましては、東京都渋滞対策特定都市高速道路整備事業貸付金貸付要領というのを平成元年八月二十三日に制定いたしまして、それに基づきまして支出しているところでございます。

◯曽根委員 これだけ大きな金額、今三百億円レベルになっている金額を無利子で貸し付けるわけですね。それなのに、国の方は道路整備特別措置法の特例という形で対応していますが、東京都では、条例はもとより要綱もない、要領で対応しているという点で、私は非常に位置づけがあいまいではないかと思うんです。議会にもかからないわけですよね。
 それで、一般的にいえば、貸し付けには担保がつきものですが、この貸し付けには担保はとっているんですか。

◯長尾施設計画部長 特に担保はとっておりません。しかしながら、首都高速道路は都道でございます。都はこれまでも国と同額の出資金を公団に支出しておりまして、本事業についても、国と公団とともに事業を推進するという立場から、国と同等分の無利子貸付を行っておるところでございます。

◯曽根委員 無利子で貸し付けて、しかも担保もとっていないと。行く行くは東京都の財産になるものだからということであっても、返済がどうなるのかというのはかなり心配になるわけです。
 しかも東京都は、ほかのことでは、例えば公共事業であっても担保をとってきた例があります。これは前に我が党も取り上げてきましたけれども、昭和六十三年に東京都は交通局に対して、その春の補正予算で千五百五十億円の無利子貸付を行っていますが、このとき担保として、交通局の所有する東京電力株式会社の株券四千二百万株そのほか、当時の株価からして一千五百億円以上に相当する担保を財務局に差し入れさせているんですね。
 身内ですよ、交通局は。身内に無利子で貸し付けを行う、そのときでさえそれに相当する額の担保をちゃんととっているんです。だから、行く行く都の財産になるものだからということで、担保もとらないで貸し付ける、一方で身内に対してさえ厳しく担保をとっているのに、東京都はなぜ首都高にはそれを要求もしないのか。非常に私は甘いんじゃないかと思うんです。  それで、こうした事業の対象になっている、国の法律では首都高だけではないと思うんですが、ほかに自治体で例があるのでしょうか。

◯長尾施設計画部長 同じような渋特事業、いうならば渋滞対策特定都市高速道路整備事業でございますが、これは阪神高速道路でこういう制度を行っております。 ◯曽根委員 阪神高速道路にもこの法は適用されるというふうになっていますが、実際に適用されている路線が阪神高速道路であるんですか。

◯長尾施設計画部長 今手元に資料は持っておりませんが、具体的にございます。

◯曽根委員 そうすると、この対象は東京の首都高と阪神高速道路、大阪の方ですね、こちらに限って適用されていると。ここは大都市だから、渋滞解消には特に力を入れなければならないということで、国が行うNTT資金の貸し付けに自治体として協力をさせられているということですけれども、もともと首都高の建設には、関連街路事業として、東京都は首都高の下に入る都道の拡幅などで、かなり費用をかけてきたわけですよね。この内訳も、聞くところによれば、平成五年度から国の補助割合が減らされていると。それから、実際は関連街路なのに、国が関連街路と認めなければ、そこには補助が出ない、その範囲も広がっているというふうに聞いています。ここはきょうは触れるつもりはないんですが、別の機会に取り上げたいと思います。
 高速道路の建設というのは今日莫大な費用がかかるということで、そこに、今まで道路本体だけは自前の資金で建設していた首都高に、今度は東京都が、貸し付けだが、金を出してやるという仕組みができてきたと。莫大な費用だということで、どんどん建設に東京都も片棒を担がされてきているんじゃないかという気がしてならないんです。  それで、先ほどお話もありました、担保がないからには返済をきっちりやってもらうということですが、貸付金の返済、これは本当に計画的にしっかりやらせなければならないのは当然ですが、首都高がこれを返済する財源というのは最終的にはどういうものになるんですか。

◯長尾施設計画部長 首都高といたしまして、これを返済するお金は料金収入で返還するということでございます。

◯曽根委員 首都高は営利団体じゃないということですから、別の事業をやっているわけじゃないので、車が通る通行料金の収入しか最終的には返済の道はありません。ところが、首都高というのは均一料金体系になっていますよね。
 つまり一般の高速道路のように、新しい路線が開通したら、そこに新たに通る車の分だけ料金がふえるという仕組みにはなっていないわけです。新路線が開通しても、全体で統一料金になっている、これはプール制というそうなんですが。そうすると、返す財源としては、料金を値上げするか、もしくは車の台数、通行台数がふえるのを待つしかないということになりますね。
 それで、今度五月に首都高が料金の値上げを実施する予定ですが、この値上げは公団としての借り入れの償還計画としてどういうふうに位置づけられているのか、今回の都の二路線についての貸付金の返済が、この値上げによる償還計画の中に含まれているのかどうか、この点いかがでしょうか。

◯長尾施設計画部長 今回の料金値上げに入っております新線といたしましては、レインボーブリッジの台場一一号線と、それから羽田への延伸部分、さらに、今後開通いたしますベイブリッジまでの延伸部分等でございまして、この中央環状新宿線あるいは王子線の償還の金額は入っておりません。

◯曽根委員 そうしますと、首都高速道路の料金改定についてのいただいた私の資料では、平成四年度までにつくった路線で償還対象が二百二十キロ、今お話のあったレインボーブリッジや羽田への延伸ということで二十七・八キロが追加されたと。平成五年、六年ですから、まだこれから間もなく追加というのもあるのでしょうが、既に供用された路線が対象事業費として一兆九千六百九十億、追加路線が一兆四百三十六億円、合計三兆百二十八億円という莫大な費用を償還しなければならないということで、償還期間も非常に長くなっていますよね。全部終わるのが平成三十八年だと。あと三十年以上、三十二年間、返済がこれだけでかかるわけです。
 それで、それでもなおかつこの料金の値上げでは返済が無理なんじゃないかなと思って、実際にはこの返済計画の中で、自動車台数ですね、これが現在よりも若干ふえるということを想定しているのじゃないかと思いますが、どのぐらいまで自動車台数がふえると想定しているのか、平成五年、六年、最終的に平成三十八年まで、首都高を通る一日の通行台数を想定しているのか、お答え願います。

◯長尾施設計画部長 先ほど申し上げましたとおり、この中央環状新宿線、王子線は、今回のプール計算の中では入っておりませんが、この道路をつくることによって、渋滞解消がされ、そしてそれによりまして全体の利用台数もふえてくるということで、それらが償還材料になるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の首都高速道路のネットワークを完成することによって効率的な利用を図る、それによりまして東京の交通渋滞を緩和していくということが主眼になるわけでございます。
 また、交通量でございますが、全体の交通量というのは現在ちょっと把握しておりませんが、例えば王子線の交通量でございますが、平成十二年、約七万一千台、それから中央環状新宿線ですが、平成十二年で五万二千台から十万台ぐらいの交通量を予測しております。

◯曽根委員 首都高速道路の料金の今回の改定に当たって、要するに返済計画に乗っかった改定ですね、台数が同じならば、その料金を掛け合わせれば返済金額は出ます。しかし、渋滞が解消されて円滑になるから、台数がふえるだろうという想定になっている。
 その台数は、この返済計画の中でどの程度推定されているのか。私は、先日都市計画局にお願いして資料はいただいているのですよ。ですから、そちらもお持ちのはずなんで、それを示していただきたい。平成四年、五年、六年、最終的に三十八年で、一日首都高の通行台数何台になると推定されているのか、この首都高の返済計画の中で。

◯長尾施設計画部長 今回の首都高速道路の料金認可における推定交通量は推定されておりまして、平成四年度が、これは実績でございますが、百十三万一千台でございます。平成五年度、これは推計交通量でございまして、百十五万一千七百台。それから平成六年度でございますが、推計交通量で百十八万六千四百台。平成三十八年の最終でございますが、これは百四十四万一千百台でございます。あくまでも、これは今のネットワークが完成されただけの中での推計交通量ということでございます。

◯曽根委員 つまり、王子線、新宿線はまだできていないという想定で、羽田までの延伸とレインボーブリッジができてくる平成六年までの供用の中でこれぐらいふえていくだろうというふうに推定したということですね。
 それで、実績では平成四年度百十三万台、平成五年度の推計ですが、百十五万、平成六年百十八万六千四百、大体二%から三%ずつ毎年ふえるというふうになっているのですが、このペースでそのままふえていきますと、三十二年後の平成三十八年度にはもっと大幅にふえていいはずなんですが、百四十四万台というのは、大体平成四年度の三割増しというところなんですが、どうしてこの程度にとどまるのか、その辺の推計のやり方でどうしてこういうところにおさまっているのですか。

◯長尾施設計画部長 ただいまのご質問、よく趣旨が読み取れないのですが、今申し上げました推計交通量に料金収入を掛けて、この料金とこの台数で償還し得るという計算にのっとって料金の七百円が決められたということでございます。

◯曽根委員 これは交通の専門家に聞いてみました。素人考えでもわかるのですが、路線としては二百二十キロに二十七キロが加わっただけで、一割ちょっとふえただけです。確かに、円滑になる部分も含めても、大体今の交通量の三割ふえれば、これで満杯なんですよ。だから、頭打ちになってくると。これは、今までの新しい首都高の路線ができた後の経過を見ても大体そうなっていますね。一、二年は三%ぐらいずつふえていく、しかし、一定のところまで来ると頭打ちになる。それがこの推計の中にももう既に盛り込まれているのですね。
 頭打ちになぜなるかというと、要するに一般道と比べて、首都高に入っても目的地まで早く着けなくなる、つまり渋滞をするということなんですよ。今までと同じような渋滞が、一定の期間がたつとまた起きるであろうと。そうなれば、そうなった段階で頭打ちになっていくということが、この返済計画の中でも想定をされているのですね。それで返済計画が成り立つという形になっている。それでも三割交通量はふえているわけですから、渋滞も三割増しになっているわけです、この時点では。
 で、こうした返済計画を立てなければ、つまり建設費を返していくことは、首都高の仕組みからしてできないわけなんですが、結局そうすると、板橋・足立線、それから新宿線の貸し付けについては、これから返済が始まる。この返済については、今償還計画が立てられている上にさらに料金を上げて、それから交通量も、この板橋・足立線と新宿線が開通したときの交通がよくなるということによる、さらに台数がふえるということも想定して償還計画を新たにまた上乗せをしていくということになるのだと思うのですが、それはそのとおりですか。

◯長尾施設計画部長 中央環状新宿線あるいは王子線、さらに、今後環状線としてネットワーク化されるためには品川線とか、そういうものが整備されますと、都心を通過する交通、それが──今首都高がどうして渋滞しているかといいますと、都心環状線に非常に渋滞の原因がございまして、都心環状線を通る車が約半分ぐらいございます。そのうち、都心に用事のあるのはその半分だと。
 ですから、首都高を走っている四分の一が都心に用事があるのですが、ほかの四分の一は都心に関係ない交通でございまして、そういうのが環状線を通ることによりまして、全体的に交通渋滞がすいてくると。そして、効率的な利用が図られるということになってきますと、交通渋滞も減りますし、交通容量もアップするということで、ただいまの中央環状線新宿線、あるいは王子線が完成した段階では、また再度、全体のプール制の料金の再検討をいたしまして、必要な場合には料金を値上げする場合も起こりますが、これは、首都高速道路のネットが完成してないという上ではやむを得ない問題ではないかというふうに考えておるところです。

◯曽根委員 結局、料金の中で返すしかないと。首都高のいただいたパンフレットにもはっきり書いてありますが、総収入と総費用、総収入の方の中身は、ご利用台数掛ける通行料金、これしか総収入には道はないわけですから、これだけたくさんのお金を借りれば借りるだけ、結局収入をふやす、その道は通行料金を上げるか、台数をふやすか、それしかないわけです。台数は意識的にふやそうと思っても、なかなかふえませんから、自然に流れがよくなって台数が上がっていくのを待つということになるかもしれませんが、それを前提として返済計画がつくられているのですね。
 確かに、渋滞が一時解消されて通行がよくなる、その分の一時的な、例えば先ほどありました自動車排気ガスの削減が一定期間あるかもしれない。しかし、結局は、流れがよくなれば利用台数がふえて渋滞がまた始まっていくという繰り返しだったのですね、今までも。これが完全に解決されるという保証が、私はどんな計画を立てても、それはないというふうにいわざるを得ないですね。それは、だれも計画上予想はできないわけですから。
 東京都は、窒素酸化物総量削減計画を出しています。この中では、今おっしゃったように、通行量がふえていくことを想定するというような考え方とは全く逆の考え方を示しているのですね。例えば、調査研究の推進というところでは、物資輸送貨物自動車から、鉄道や海運等の大量輸送機関に転換を図るための方策を検討すると。それから、結局台数がふえていく限りは、低公害車等の普及が進まなければ、これはもう窒素酸化物がふえていくわけですから、それに対して削減目標量を担保することが困難と予想される場合には、事業者に対する総量規制、それから濃度が高い地域には交通流対策の強化など、新たな方策を導入せざるを得ないのだという方向を出している。
 ですから、環境保全局の方で出しているこうした東京都の削減計画からすれば、自動車台数はこれ以上どんどん、一方でNOx規制が実効性のあるものがまだない中で、ふえていっちゃ困るのだという考え方は既に示されているのですが、今の貸付金の考え方は、むしろ台数はどんどんふえていくということを想定しているし、想定しなければ貸したお金は戻ってこないという仕組みなんですね。私は、国のモータリゼーション一方の都市交通政策が悪循環に陥っているのは、首都高のこの建設の仕組みからいって明瞭だと思いますし、しかも、東京都がこれに片棒を担いでいるわけですね、貸付金を出して。
 これはやっぱり今後は考え直すべきだ、やめるべきだと思うのですが、その点で、これからの板橋・足立線、新宿線以降の首都高の計画路線はどうなっているのか、それについてこの貸し付けをまだ適用していく見通しを持っているのかどうか、お聞きします。

◯長尾施設計画部長 まず、王子線あるいは中央環状新宿線のほかにネットがあるのかということにつきましては、中央環状品川線というのがございまして、これをやりますと、一応都心から六キロ圏で一回りぐるっと回る環状道路ができますので、これによりまして都心に集中する車を排除することができる、迂回させることができるということで、ネットワークの効率性を担保できるということがございます。また、構想でございますが、一号線が上野でとまっておりますが、これを上野から中央環状線、今の足立線でございますが、そこに延ばす構想もございます。
 これらによりまして、ネットワーク化されるわけでございますが、また、そのときに貸付金制度がどうであるかということは、今の段階では何とも申し上げかねますが、私どもとしては、多額にかかる事業費、それをいかに安くすることによって料金にはね返らせるかということで、その一つの案として出てまいったのがNTT資金の無利子貸付でございまして、有利子で今までやっていたところを無利子貸付により、その利子分を安くすることによって料金へのはね返りを抑えていくということで進めている事業でございますので、今後、品川線あるいはその他の路線をやる際に、そういう面も考えながら料金の問題は考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。

◯曽根委員 最後に申し上げますが、国のNTT資金、一説によれば、もう思ったようには額が上がっていかないということから、このNTT資金も枯渇してきているという話で、この事業そのものがどうなるのかというふうな話もあります。
 しかし、これは国のこうした資金がどうかという問題ではなくて、高速道路にこれだけのお金をつぎ込んでいく、そのことによる道路政策が本当に都民のものになっているのか、それから東京都の大都市としての都市計画上、本当に意義のあることなのか、ここをやっぱり踏まえて考えなければならない、東京都の独自の立場を確立しなければならない。国の資金があるなしではなくて、東京都として、これ以上こうしたところにお金をつぎ込めば、結局貸したお金を取り戻すために、都民にとっては、騒音問題や大気汚染問題などの環境問題を犠牲にしながら進めなきゃならないというふうになってしまう。

 私は、こういう形での貸付補助というのは、これはきっぱりと考え直す、やめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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