各会計決算特別委員会(94年2月14日)質問全文
東村山ナーシングホームの職員配置を質問
曽根委員 私からは、板橋と東村山のナーシングホームについて、特に職員の配置について、何点か質問させていただきます。
ナーシングホームという名前のとおり、区市町村の、もしくは民営の特養ホームに比べて、医療的なお世話も必要な高齢者を受け入れるという形で施設運営が行われているというふうに聞いています。
したがって、入所する方は、一般の特別養護老人ホームに比べても、寝たきりでもかなり体が弱っている方、それから痴呆症でもかなり重い状態の方が、特に区市町村の中で、福祉事務所の対応の中で都の施設に回されてくる、入所の願いが来るというふうに聞いているわけです。
職員の配置基準については──特別養護老人ホーム、東京都は革新都政時代に国の基準よりも一人多くしたというふうに聞いています。お年寄り三人に対して一人配置されている。これは都の施設でも変わりないわけですので、そういう点では入所される方の状態に対応して、私は特に都の施設の場合、職員の負担が重くならないように特段の配慮が必要ではないかというふうに思いまして、その点をちょっとお聞きしたいわけです。
職員の配置について、板橋と東村山の両ナーシングホームで、直接高齢者のお世話をしている職員、これは看護婦さんもいらっしゃるわけですが、看護婦さん、もしくは看護士さん、それから介護の職員、それぞれ何人ずつ配置されているのかをまずお聞きします。
◯石井管理部長 両ナーシングホームの直接処遇職員の配置状況でございます。平成五年一月一日現在で申し上げますと、板橋ナーシングホームは、看護婦が六十九人、老人養護職が百五十六人、計二百二十五人でございます。それから東村山ナーシングホームは、看護婦が四十九人、老人養護職が四十三人、計九十二人でございます。
◯曽根委員 板橋の方では介護職員が百五十六名に対して看護婦さんは約四割の六十九名、東村山は逆に四十三人に対して看護婦さん四十九名ということで、こちらはほぼ同数、どうしてこのような違いが出てきているのか。東村山の方が新しいわけですが、この間の経過について聞かせていただきたいと思います。
◯石井管理部長 両ナーシングの看護婦の配置割合と申しますか、その辺の違う経過でございますが、まず板橋ナーシングホームは、昭和四十五年に和風寮、それから五十一年に光風寮ができまして、現在両方あわせて板橋ナーシングホームと称しております。
それぞれの寮ができました当時、福祉局の配置基準といたしまして、看護婦さんは利用者百人当たり九人の配置を行うという基準がございまして、それに基づきまして板橋ナーシングホームの看護婦さんの配置を行ったわけでございます。
また、東村山ナーシングホームでございますが、このホームは昭和六十三年に開設しました。したがいまして、板橋ナーシングホームから約十二年ほど後でございますが、そのときは看護を重視する立場から、看護婦さんと老人養護職をフィフティー・フィフティーで配置しようということで配置をいたしたものでございます。
◯曽根委員 やっている仕事はお年寄りの世話なので、看護婦さんといえども医療のことだけをやっているわけじゃないというふうにお聞きしているわけです。共通部分が多いと。
ただ、日常的にも体が弱っている方が多いので、いつ医療的な対応が必要になるかわからない、そういう状態のお年寄りが多いということで、どうしても看護婦さんが必要になる。
これは東京都の施設の特徴だと思うんですが、このときに当然、共通する介護という仕事に加えて、医療の専門職としての看護婦さんが一定数配置されている、これはどうしても必要なことだと思うんですね。
その上で、特に私が心配なのは、夜勤などのように、一つの介護単位というんですか、フロアというんですか、そこでの職員の数が日中よりもうんと減ってしまう場合、そういうときに医療的な対応が必要な場合に、やはり夜勤の職員の中に看護婦さんが各単位別にいるということが、私は最小限必要なのではないかというふうに思うわけですが、そういう点では、今紹介された東村山と板橋ではどういう配置になっていて、今後どういうふうな方向を考えていらっしゃるのか、この点をちょっとお聞きしたい。
◯石井管理部長 現在、老人養護職と看護職の配置割合でございますが、先ほど人数で申し上げましたが、東村山では大体一対一、板橋では七対三ぐらいの割合だろうと思います。
夜勤の体制でございますが、東村山の方は、各介護単位といいますか、私どもは寮と申しておりますが、一寮当たり二人夜勤でございます。
これは東村山も板橋も同じく二人夜勤でございますが、東村山の方は同数配置ですので、二人のうち一人は看護婦さん、一人は老人養護職というふうになっております。
板橋の方は、二つの寮で必ず一人の看護婦さんが夜勤につく。二つの寮ですと、夜勤は四人おりまして、そのうち少なくとも一人は看護婦さんで、二つの寮を夜間は見てもらうというふうな体制になっております。
なお、板橋の方はお隣に老人医療センターがございまして、夜間の場合は、老人医療センターの医者が、それぞれ各寮ごとの担当を決めておりまして、医者が宿直をしております。それと緊密な連携をとりながら、夜間には対応しようというような体制をとっているわけでございます。
今後、板橋の方は看護婦の配置をどうするのかというご質問でございますが、利用者の状況といいますか、医療あるいは日常生活動作、そういったもろもろの状況を考えながら、より適切な職員配置の検討についてなお一層深めてまいりたいと、このように考えております。
◯曽根委員 これは看護婦さんをただ多くふやせばふやすほどいいというものでもないらしいんですね、私も職員の方にもちょっと聞いてみたんですが。最小限の数は当然確保しなければならないわけですが、看護婦さんが多過ぎると、どちらかというと医療施設的な側面が強くなって、お年寄りの生活の場という老人ホームとしての性格が弱くなってしまう。管理運営上いろいろそういう面も出てくるということで、微妙な問題もあるらしいんですが、いずれにしても、最小限やはり医療的な対応が必要なときにできるだけ近いところ、現場のところに看護婦さんが配置されているというのが望ましいのではないかというふうに思うわけで、その点はぜひ今後も研究しながら、改善すべきところはしていただきたいということを要望しておきます。
次に、仕事の性格から、お年寄りを抱え上げるような力仕事もかなり必要になると思うんですが、男性の職員がやはり必要ではないかと思うんですが、これの配置状況はどうなっているんでしょうか。
◯石井管理部長 平成五年一月一日現在の男性の二つのナーシングホームの直接処遇職員の数を申し上げます。 板橋は九人でございます。それから東村山は十九人でございます。
◯曽根委員 板橋は定員が多いですから、人数が九人といっても四・一%で、東村山は十九人で二〇・七%で、かなり開きがあると思うんですが、東村山で男性の配置数が多いというのはどういうような原因があるんでしょうか。
◯石井管理部長 まず板橋の方ですが、これは設備上男性職員の配置に制約がございます。更衣室であるとか、便所であるとか、建設当時はやはり女性を想定しましてつくられた設備上の制約がございます。東村山ナーシングの方は、先ほど申しましたように昭和六十三年に開設された新しい施設でございまして、当初から男性職員の配置を行ってきたために板橋より多くなっております。
◯曽根委員 男性職員がやっぱり一定数必要なことは当然だと思うんですが、また最近、職員になる就職希望者もふえているということは、私は喜ばしいことだと思うんです。
ただこれも、先ほどの話と同じように、男性が多ければ多い方がいいというものでもないらしくて、入所者の多くが女性なので、同性の職員が介抱しなければならない部分がある。どの程度の配置が適切かはやはり現場の様子を見ながら考えていかなければならない問題だと思いますが、少なくとも板橋の方が施設的に、例えばおトイレが男性の方が限られているとか、そういうことから配置できないために職員の配置が東村山に偏っていくということがあっては非常に残念なことなんで、これは直ちに改善をしていくべきだと思うんですが、今後の改善の予定というのはどうなっているんでしょうか。
◯石井管理部長 現状では構造上かなり難しいというのが、今のところの結論でございます。ただ、板橋のナーシングホームはもう古くなっておりまして、現在改築計画がございますので、改築の際には当然その辺は十分配慮していきたいというふうに考えております。
◯曽根委員 改築は大分先になりそうなんで、ぜひ改善できるものは、こういう施設問題は最大限工夫して頑張っていただきたいということを要望しておきます。
それから、職員の方で最近職業病として腰痛、また頸腕症が大変多いというふうに私は聞いているわけです。二年ちょっと前に東村山ナーシングホームを視察したときに、施設は大変立派になった直後でしたので、所長さんに最大の問題点は何かというふうにお聞きしましたら、大半の職員が腰痛の悩みを抱えている。
したがって、働いている職員の方の健康問題をどういうふうに対策をとっていくのか、ここが最大の悩みであるというふうにお聞きしました。
それで、両ナーシングホームでそうした腰痛などの職業病の発生については、どの程度つかんでいらっしゃるのかをお聞きします。
◯石井管理部長 職業病ということをおっしゃいましたが、私どもとして公務災害として、例えば認定された腰痛あるいは頚──首ですね、そういったところの傷病についての発生状況を申し上げますと、平成二年度から平成四年度の三カ年で、二つのナーシングホームで五件の公務災害の認定を受けております。
◯曽根委員 公務災害として病気と認定されるというのは、明らかに頸椎などが変形しているなどの症状があらわれて、外的にもわかるというふうになってからのわけですけれども、それに至る前の段階で、痛みを日常的に感じているとか、コルセットを当てているとかいう状況というのは、私はその五件の認定がされているすそ野にかなり広範にあるんじゃないかと思うんです。
例えば、職員組合の方が、東村山ナーシングホームについての資料を私はいただいたんですが、健康調査というのを組合員を対象にして、特に老人を直接お世話している方についてやったところ、これは九一年と九〇年の調査の結果を私はもらったんですけれども、腰痛について、あると答えた方が、九〇年で七九・六%、九一年で八三・七%、かなりあるんじゃないかというふうに思うんですね。
そういう点では、自覚症状を持っている方は相当いるというふうに私は思うんですが、この点では当然対処が必要じゃないかと思うんです。これは私の意見なんですが、養育院の方では、こうした腰痛や頸腕などに対してどういうふうな、例えば設備面などでの対処、そのほかの対策をとられているのか、その点をお聞きします。
◯石井管理部長 職員の腰痛や、あるいは頸肩腕といいますか、肩やひじの予防対策についてでございます。 まず第一点といたしまして、直接処遇職員全員を対象といたしまして、毎年予防のための検診を実施いたしております。この検診の中身でございますが、まず基礎調査がございます。
これは直接処遇職員全員を対象といたしまして、自覚症状、あるいは腰痛等の過去の疾病の状況や治療の状況をアンケート調査いたします。
その調査が集まりますと、今度は専門医がその調査書を見まして、専門医による直接の問診、診察が必要な方を第一次検診に回します。第一次検診を受けた方で、さらにエックス線や血液検査等の精密検査が必要な人には第二次検診をしていただきます。このような検診の結果を生活指導あるいは症状の予防、こういうことに役立てていただくということで検診を実施しております。
そのほか、腰痛等の予防対策の一環といたしまして、予防あるいは疲労回復等に役立つ備品といいますか、そういうのを各ホームに設置しております。
例えば、平成四年度におきましては、板橋ナーシングホームにローラーチェア、一種の疲労回復機、マッサージ機でございます。あるいは板橋老人ホームにはベルトマッサージャーというような機器を設置いたしております。こういうことで、毎年全施設につきまして、各年度を通じていろいろな機器の整備を行ってきております。
さらに、日常の動作も重要でございまして、日常の負荷を軽減するための、例えば機械浴槽の導入であるとか、あるいは電動ベッドの設置であるとか、こういったことで職員の負担軽減を図るということも行ってきております。
そのほか、腰痛予防については、各職員の自覚、あるいは予防のための知識が重要でございまして、予防のための研修を毎年実施しております。
例えば、昨年度ですと、板橋、東村山、千葉の三カ所で腰痛予防の研修会を実施しております。 そのほか、コルセットが必要な職員には無償で貸与をするというような事業も行っているところでございます。
◯曽根委員 いろんなメニューを用意されているように思うんですけれども、ただ、お聞きしたものの大半は、実際に発生する腰痛にどういうふうに対症療法で対策をとるか、軽くするためにマッサージ機を置いたり、それからコルセットを貸与したりという形のものですね。負担かけないように電動のベッドとか、そういうものは、予防のための効果も当然あるとは思うんですけれども、日常非常に忙しい中ではなかなか使いづらいという話も聞いています。
そういう点で、根本的に腰痛や頸腕などが起きないようにしていく最大の対策は何かというふうに率直に働いている方にお聞きすると、とにかく人が足りないんだというお話になるんですよね、最後は。
とにかく休みなしに働いているんだ、だからマッサージ機を置いてあっても、とにかく行く時間がない、マッサージ機にかかる時間がないというんですよ。休憩室があっても休む時間がないということで、私はやっぱり根本的には人が足りないんじゃないかというふうに痛感をしたわけなんです。
それで、現在のお年寄り三人に介護職員一人という基準が定まってからもう三十年になるんですけれども、この見直しは何とかならないのかということ。痴呆性のお年寄りのための特別介護棟が東村山にできましたよね。
ここは先ほどのお話でも二・五人に一人と、若干厚くしているわけですけれども、夜勤のときにはここもやっぱり二人なんですよね。特に夜勤のときに──私が訪れたときには、ミドルステイの方が、十人の定員で、大体常時七人ぐらいは利用していると。
この方々が大変不安定な状況で、利用を始めてから大体二日ぐらいは夜寝られないと、本人が。それで、私が視察したときの直前だったんですが、非常に不安定な精神状態になって、その辺にあったいすを特別介護棟の窓口のガラスに投げつけた人が出たということで、そのときにちょっと騒然となったらしいんですが、そういうことが大変起きる。ふだん入所している方が四十人いて、そのほかに、そういう入れかわり入ってくるミドルステイが多ければ十人、常時七人ぐらいは入っているというところに、夜勤では一般の介護棟と同じ二人しか夜はいないと。
これは本当に何とかしなくちゃならないじゃないかというふうに、私も、素人考えですが、思うんです。この辺も含めて、この定員の見直しというのは何とかならないものですか、要望は出ていないんでしょうか。
◯石井管理部長 配置基準の問題でございますが、まず特別介護棟は、今ご指摘のように現在の配置基準は二・五対一でございまして、ミドルステイを含めまして、五十人に対して二十人の職員配置でございます。
二十人ですと、夜間は二人がどうしても限度でございます。私どもといたしましても、夜間の問題行動に適切に対応していくには、やはり三人夜勤が必要なんではないかと、実はこの辺が懸案になっておりまして、私ども、この実現にはぜひ今後も努力していきたい、このように考えておるところでございます。
それから、一般介護棟は職員配置基準は三対一でございます。今、一介護は五十人が単位でございますので、十七人から十八人の職員がおるわけでございますが、この三対一の基準は民間の特別養護老人ホームと同一基準でございまして、この辺との兼ね合いでなかなか一挙にふやすというような状況には至っていないわけでございます。私どもといたしましても、適切な職員配置については今後とも一層の努力はいたしていくつもりでございますが、なかなか私どもだけでは解決できない面がございます。
◯曽根委員 今、民間との兼ね合いというお話もありましたが、確かに養育院でどういう基準で職員を配置するかということは、他に与える影響は相当大きいらしいんですね。
かつて国も、特別養護老人ホームの職員配置基準を決めるときに、養育院が行っている事業を参考にしたというふうにも聞いています。
そういう点では、かつて革新都政時代に国よりも一人多く配置をしたという先進的な経験が、もう一歩養育院が前進をすれば、それはほかに影響を与えると。
これは他の影響を考えて手控える問題ではなくて、働いている職員の方はもちろんですけれども、むしろ、これから痴呆性の方も含めて高齢化がどんどん進んでいく、痴呆性の介護棟にしても区市町村でもどんどんつくっていかなければならないというときですから、その基準を決めていく上で大きな影響を与えるという点でも、この懸案になっている夜勤の問題も含めて、ぜひ職員の配置を厚くしていくという努力を強く求めて、質問を終わります。