94年1月31日各会計決算特別委員会質問(都立大学・防災)全文
(1)学生は増やすが、職員は削減して人のいない大学に。
◯曽根委員 私からは、資料でいただいた三ページにあります教職員定数の推移に関連して、キャンパスが八王子に移って以降、大学として都立大学が全体どういう方向を目指しているのかという問題も含みながら、質問をさせていただきたいと思います。
九一年春に目黒と世田谷のキャンパスから現在の八王子に移って、それと同時に、学生数、また、講座の数も大きくふえつつあるわけですが、計画を見ますと、間もなく学生数で約千名ふやすと同時に、講座も百九十三講座まで拡大するということで、学生数で大体三割、講座数もそれに近い割合でかつての規模から大きくなるわけで、仕事の内容も大変拡大をする、機構も大きくなるということだと思います。
ところがその中で最大の問題と私たちが考えるのは、教職員の総定数がこの十年間全くふえていないということなんです。
しかも奇妙なことに、都立大学の場合には、教員定数と職員定数の合計の八百九十八ないしは八百九十六、この人数がずっと固定されておりまして、その中で教員の数は講座の開設などに伴ってふえていく、その分、同じ数の事務系職員が減らされていくというふうな数の推移になっている。ここに一体何があるのかという点について、私たちは、大学としての機能が失われてしまうのではないか、失われつつあるのではないかという点を非常に心配しております。
それで、最初に、講座をふやしていくということで、当然教員はふえると思うのですが、このふえる割合を見ますと、講座の数をふやすに見合った各講座の教員の配置ができるんだろうかという気がするわけですが、もともとありました各講座、教授、助教授、助手、それぞれの定員が今どうなってきているのか、一講座についての定員数の基準の見直しがあるというふうに聞いていますが、それについてお聞きします。
◯岩本次長 講座拡充計画におきましては、それまでの講座編成基準について見直しを行いまして、原則として四人体制であった文系講座は、教授、助教授、助手各一人の計三人に、また五人体制でありました理系講座は、教授、助教授、各一人、及び助手二人の計四人としたところでございます。
なお、平成五年度の定数要求に当たりましては、各学部教授会等の理解を得まして、新設講座及び一部の既設講座については、助手を未措置としているものでございます。
◯曽根委員 今のお話ですと、まず、計画そのものの中でも、文系でいうと四名から三名に、理系でも五名から四名に減っている。さらに、これから助手を置かない講座も出てくるというお話ですから、極端な話、教授と助教授だけで講座の院生、学生の面倒を見なければならぬのだというようなことになりますと、学生が一講座に行く人数というのは、学生がふえた分、講座もふえてますので、一講座に行く学生の数、院生の数もふえることはあっても減ることは余りないと思うのですけれども、先生の方は余りいないと。
今ふえつつある学生が来年四学年を迎えるわけですけれども、各講座に配属されて、卒論があるし、就職の問題もある、それから大学院を受ける方もいるでしょう。そういうところにちゃんと教授、助教授の方々、助手の方々がマン・ツー・マンに近い形で面倒見れるのかなというところを、私大変心配するわけなんです。
ほかの大学と比べてもこの点で遜色が出てしまったのでは、都立大学の設立の意義が失われてしまうのではないか、この点を第一に指摘をしておきたいと思います。
それから同時に、それでも講座がふえる分、先生はふえているわけですが、一方で事務職員というのはどんどん減らされているんですね。特に大学が移転をした際に大きく減っているんですけれども、例えば今年度から来年度にかけての事務職員についての増員要求はされているのかどうか。内示の段階なんですけれども、それについての定員はどういうふうに来年度はなる見通しなのか、お答えいただきたい。
◯岩本次長 五年度から六年度の定数の要求は、人文学部の庶務係、事務量の増に伴いまして一名、都市研究センターの大学院、都市科学研究科の設置に関しまして事務長一、事務担当一の計三名を要求いたしました。
査定の結果は、人文学部の庶務係と、都市研の事務長が一認められまして、その他、看護婦等は、事務量の見直しによりまして、五名の減ということで、二増五減、純減三と、そういう状況になっております。
◯曽根委員 結局、プラス・マイナスしますと三名の減ということなんですが、先ほど質問しておくのをちょっと前後しましたが、教員の方は、さらに五年度以降、最終的に何名までふえていくのか、それをお聞きします。
◯岩本次長 当初の講座拡充計画におきましては、新設講座の設置等によりまして百六十九人増、また、既設講座の見直しによりまして八十二人減、差し引き八十七人の定数増となっておりましたが、先ほどの平成五年度の措置に基づき、今後もそのように行ってまいりますと、新設講座の設置等による増員分が二十七人減じられまして、平成三年度から七年度までの計画全体では六十人の定員増となります。
◯曽根委員 そうしますと、平成元年度が六百二十九人ですから、六十人増ということで六百八十九名が最終的な数ということになりますね。あと九名、六年度、七年度でふえていく見通しであると。
事務職の方は、一部ふえているんですが、来年度三名減、今までの事実上十年間続いている法則にのっとりますと、来年あたりまた六名ぐらいは減らさないと、総数が八百九十六でおさまらなくなるというようなことを私大変危惧するわけなんです。この枠がはめられているという問題が大変大きなしわ寄せになっている。
教員も、もともとの基準で──それでも減らしているわけですよね。理系で四名、文系で三名だとしても、八十七名ふやさなければならないと。これではちょっとふえ過ぎてしまって、事務職がもっともっと削られてしまうというふうになるので、さらに助手を切ることによって、事務職の数を、辛うじて減らす数を抑えているというふうに私たちは受けとめざるを得ないんです。この枠の中で非常に苦労してやりくりされているんじゃないかというふうに思えてなりません。
それで、実際にほかの大学と比べてどの程度学生に対してちゃんと先生や職員の方が配置されているのかという点が、やはり比べてみる必要があると思うのですが、事務職についてお聞きします。平成四年、九二年度、九三年度について、現在いる総学生数に対して、事務職員の人数で割った、つまり一人の事務職員が何人の学生に対応しているのかという点を、昨年度と今年度についてお示しをいただきたい。
◯岩本次長 五年度はちょっと手元にございませんが、四年度で申しますと、都立大学は事務の職員一人当たりの学生数は二十二・三人ということになっております。
◯曽根委員 先ほど今年度の資料もお願いしておいたんですが、ちょっと間に合わなかったようなので、私が入手した資料で、これは九三年度の公立大学白書というので、全国の公立大学の一覧表が出ているんですが、現在、学生総数で五千四百六十六名現員でいるのに対して、ことしの段階で、先ほどの資料で事務職員は二百十六名ですから、二十五・三と、また一人の職員に対する学生数は多くなっているわけです。
同じような規模のという点で、大阪府立大学はよく比べられるんですが、同じ今年度のデータで見ますと、大阪府立大学では、五千六百十二名の学生総数に対して、事務職員は三百六十八名ですから、十五・三。ですから、職員一人に対して学生は、都立大では現在二十五・三、大阪府立大学では十五・三と、二倍とはいかないまでも、二倍近い開きがあるんですが、これはいろいろやりくりをしたとしても、この差というのは大きいんじゃないかなと。同じ都道府県単位でつくっている大学でこういう開きがある。東京都立大としては何とか埋めていく努力が必要じゃないかというふうに私は思わざるを得ません。
特に矛盾が大きいなと思うのは、一つの部署が非常に人数が少ないところですね。例えば学科事務職、それから学科によっては理工系で技術職というのを置いているところもあります。それから先ほどちょっと話が出ていた看護婦さん、この人数が今どんどん減ってきているというふうに聞いているんですが、それぞれについて、定員がどういうふうになろうとしているのか、また、非常勤などの体制についてはどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。
◯岩本次長 職員の定数につきましては、職務内容の属性や業務量などを考慮しつつ、必要な見直しを行いながら措置されるもので、ご指摘のように職員にしわ寄せがされていることはございません。
また、少人数の職場の職員の確保についてでございますが、理学部及び工学部の学科事務については、従来から一人職場の解消や新設学科に対する措置等について検討してきたところですが、平成五年四月に、常勤職員の定数の一部を再雇用職員に振りかえて措置したことによりまして、移転直後には配置できなかった新設学科を含め、原則として二学科を単位として常勤職員一人、再雇用職員一人の計二人を配置し、課題の解決を図ったところでございます。
学科技術につきましても、常勤職員と再雇用職員との組み合わせにより対応しているところでありまして、再雇用職員については、学校教員経験者などの活用を図りながら、適切な業務の執行に努めてまいりたいと存じます。
さらに、医務室の看護婦については、平成六年度の査定における業務の見直しにより、定数が一人削減となりましたが、再雇用職員の活用を図ることとなっておりますので、こうしたことにより、適切に職員を確保し、事務執行体制を確立してまいりたいと存じます。
◯曽根委員 お聞きしておりますと、結局、いろいろ事務的な仕事、技術系の職員の人材の確保などが難しいというようなことから、例えば技術職でいえば、そういう経験を持った先生の退職者などを非常勤でつけていく。看護婦さんについても、常勤職を外して非常勤で対応する。事務系も今まで一学科に一名だったものが二学科で二名、うち非常勤一名入れていく。だんだん常勤職が減らされて、非常勤に置きかえられていくという流れを私は強く感じるんですね。
結局これは、学科、学部の研究や勉学の一定の成果を学生に対して伝えていく、そのためにその補佐をするといいますか、先生方の補佐をする役割も含めた──私は、学生に対して大学が行う授業だけではなく、いろんな実習を含めたそうした教育的な指導の中身にとって、こうした事務職の人たちの役割は大変重要なんじゃないか、いわゆる専門職として重要なんじゃないかと思うのですが、そういうものが、経験のある人が少ないとか、いろいろな理由によって、非常勤に置きかえられてしまうというのは、結局職業として先細りになっていく。待遇もなかなか一人前の待遇が用意されないということのために、ますます人材が確保しにくくなっていくという危険性を感じます。
そういう点で、こういう点にしわ寄せしていくことに矛盾があらわれてきているんではないかと指摘せざるを得ません。
それから看護婦さんについても、今度常勤二人ということです。
全体で七千名近い大学ですから、理工系では事故も時々起きるという中で、看護婦さんが二人、非常勤が若干穴埋めしているといっても、結局何か事故があったときにはすぐ救急車を呼ばなきゃならない、学内では対応できないという事態に現実になっているという話もお聞きしました。そういう点はどうしても改善が必要じゃないかと思います。
それで、こうした問題が次々起きてしまう大きな原因は、このキャンパス移転を含めた東京都立大学の移転計画基本構想というのが昭和六十一年に策定されていますが、この計画の段階にやはり問題があったんじゃないかというふうに思えるんです。
この冊子をいただいてずっと見ましたけれども、確かにキャンパスについての構想などについてはかなり詳しい計画などが出ておりまして、建物、設備、研究施設、図書館など、どういうふうになっていくのかはかなり詳しく計画されているんですが、どういうわけか、教員と職員の定数をどうするのかという計画がないんですね。
私は、当然素案をつくる段階では、講座を二割五分ふやし、学生も三割ふやすんですから、それに対応した先生や職員、どれぐらいまでふやさなければできないんだという計画はあったと思うのですが、実際にこの基本構想にはどうしてないんでしょうか。
◯岩本次長 移転計画基本構想は、新キャンパス移転を契機として、教育研究の飛躍的な充実を目指して策定されたものであり、その重要な柱の一つである講座拡充計画は、新設講座の設置と既設講座の見直しなどについて定めております。
教職員の定数につきましては、教員、職員にかかわらず、事務事業の効率的な運営に努めることを前提に、その職務内容の特性を考慮しながら、毎年度の財政状況をも勘案しつつ見直しをするものでございます。
◯曽根委員 結局、器を広げる計画は決めたと、しかし、その中で働く教員、職員の数は、その年その年の東京都の財政その他の事情によって決まっていくということになるわけですね。
そうしますと、一般的にいって、東京都の職員の定数抑制だということで、減らすことはあっても、ふやすことはほとんどないわけですから、この一般論で都立大学も押し切られてしまうということでいいますと、この十年間の定数が、がちっと総定数枠がはめられた中でしか調整ができないという原因が、この計画の段階でやはりそれに見合った職員、先生の数を決めておかなかった、このところに大きな問題があったと私はいわざるを得ません。
それで、毎年毎年の職員増員要求をされてきたと思いますが、実際にこの間ほとんどふえていないという中で、改めて、これから大学を本当に発展させていく上で──もちろんキャンパスも立派です。私はつい先日行ってまいりましたが、確かに広々としたすばらしい建物が建っておりました。それはなかなかすてきな大学だというふうに見学した段階では思ったんですけれども、そういう施設や建物、それから図書館だとか、研究施設や実験機器、こういったもののレベルというのはもちろん大切です。
しかし、もう一方で、教育の場でありますから、当然研究者を初めとした職員、学生によって、人によって大学というのは成り立っている、そちらの方の柱を欠いた計画というのでは、やはり本当の発展はないんじゃないか。
必要な大学の人員を確保するために、さらに強くこれは都知事サイドに、特に大きな犠牲を強いられている職員、それから研究者についても増員を求めていくべきじゃないか。このままの流れでは、私は、大学として、非常に残念ながら、発展はないんじゃないかというふうにいわざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
◯大塚都立大学事務局長 次長が先ほど来お答えいたしておりますけれども、移転前と移転後の状況というのは大きく大学自身が一変をしております。かつて目黒区、それから深沢の両校舎に分かれてキャンパスがあり、しかも江東区潮見にグラウンドがあったという、この分散された体制を八王子のキャンパスに一本化したわけでございますから、事務職員につきましては、事務の見直しやら、一本化による簡素、効率的な事務執行によって、職員の見直すべき点が出てくるのは当たり前でございまして、そういう見直しをした結果、しかも学生定員増や講座増に伴う教職員の増については、毎年毎年の定数査定の中できちっと対応してきたつもりでございます。
おっしゃるように、常勤職員のみでなければ対応できない部署もございますが、一方で再雇用とか、あるいは委託とか、事務全体がOA化によりまして効率化される部分もございますので、そういう見直しを不断に行っていく中で毎年の定数が決まっているわけです。
一方、大学は移転に当たりまして、都民に開かれた大学としての一層の充実を目指すべく、講座の拡充計画を平成七年度まで立てたわけでございます。これは長期計画にも実施計画にも講座の拡充ということで担保されてきたわけでございますので、それに伴う教員の定数を一部見直しましたけれども、それによって教員定数を、一部はカットしておりますけれども、講座に必要な教員配置をしてきたところでございますので、結果として、トータルでは、総定数抑制という中での保留定数解除も含めた現実的な対応をしてきたつもりでございますので、私どもは、今後とも予定どおり、講座拡充計画を進め、さらに事務についても見直すべきところ、ふやすべきところについては、毎年度の定数査定、予算査定の中で努力をしてまいりたいと、このように考えております。
◯曽根委員 今いろいろとお答えありましたけれども、私は、やっぱり学生の立場に立つと、まず、講座に行くと先生が非常に少ないと、学生にとって、面倒を見てもらえる職員も少ない。私が行ったときにも感じたんですが、学生は確かにたくさんいるんです。それ以外の方がほとんど見当たらないんですよね。そういう意味で人けのない大学という感じが非常にするわけです。
都民にとってせっかく都立大学が、東京都として持っている、それが、そこに入学される学生さんが安心して、研究職に進む方も、就職する方も、大学生活を通じて学問に接し、それを身につけて出られるということができるようにするために、人によって成り立つ部分、人がちゃんといなければできない仕事、これは必ずあるわけですので、先ほどの大阪府立大学と比べてみても、やはりどうしても埋め合わせようのないこの差を埋める努力をしていただきたい、そのことを強く要望して、終わります。
(2)ロス地震を教訓に、戸の直下型地震対策の強化を要求。(総務局)
◯曽根委員 私からは、都の防災対策費についてお聞きします。
東京の直面する地震というのが、関東大震災型よりも、むしろ南関東直下型が切迫をしているんだというふうに指摘をされてからもう十年前後たつわけです。しかし、その直下型がいつ起こってもおかしくないというふうにいわれているほど切迫しているにもかかわらず、それに対する対策が大変おくれているというふうにいわれてきました。
そういう中で先日ロサンゼルスで直下型地震が起き、これは東京で想定される地震にも共通する内容を含んでいるので、大いに教訓、参考にしなければならないというお話があったんですが、私からも、その現地調査、二月中旬というお話がありましたが、どういう体制で行かれるのか、それからどういう調査のポイントを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
◯曽根委員 東京では、新しい建造物については比較的丈夫にできているというふうにいわれているんですが、一方で大変古い木造住宅の密集地域を広範に抱えているという特徴もありますし、また、全体として液状化問題の可能性が非常に高い軟弱な地質や地層が多い。また、がけ地も多いという特徴がありますので、これに特に重点的に対応した施策が強められなければならないと思うんですが、それで、以下何点か簡潔にお聞きしていきたいと思います。
一つは、液状化対策の現状なんですが、今とられている主な液状化対策としての施策を挙げていただきたいと思います。
◯曽根委員 情報システムをつくって、液状化の危険性について情報を提供すると。現在の被害予測では五百メートル四方の範囲で調べられている段階ですから、まだまだ非常に個別的に起きやすいといわれる液状化に十分に対応しているとはいえないという点で、この点の調査は当然充実させなければならないと思いますが、その点が一つと、それからもう一つは、公共工事などで地盤改良その他液状化対策、当然だと思いますが、民間の建築への指導について、実際にはどのように、だれに対して指導が行われているのか。その点、二つお聞かせください。
◯曽根委員 五百メートルメッシュというのが一番小さい単位だということなので、これはもうぜひ、もう少し小さい単位での、例えば道路それから、かつてのいわゆる用水路その他の跡地ですね、そういうところについてさらに細かく見ていく必要があるんじゃないかというふうに指摘をしておきます。
それで、建築指導の方なんですが、これは実際には、個々の建て主ではなくて、建築関係団体の方に指導していると。実際に建築費を出すのは建て主さんなんで、私も区議会の経験ありますが、区の建築指導なんかに聞きますと、実際にはほとんど取り入れられていないと。最近不況ですから、なおのこと、基礎にコンクリートを相当の高さに入れなければならないというようなことを──個々の住宅の建てかえなどでは財政的にほとんどやれないというのが実態だということなんですね。
そういう点では、やはり有効な施策としては、例えば不燃化促進事業、あれも十分とはいえませんけれども、それに匹敵するか、またはそれ以上の財政的な援助、これがやはり考えられなければならないんじゃないか。この点は要望をしておきます。
それで、液状化との関連で、特に液状化が起きやすい地域でのライフラインですね。これを液状化によって切れないように安全を確保したり、また切れた場合の復旧、こういう対策が急がれるわけですが、その体制や施策についてお聞きします。
◯曽根委員 要するに、今のところ安全だよというようなお話が多かったんですが、実際には、液状化の中で個々のライフラインが本当に大丈夫かと。
例えば最近東京都の下水道の実態が、地面の中で道路の下の圧力によって折れていたり、相当痛んでいるというような報道もありましたように、決して安全な状態にあるものばかりとはいえないという点で、いざ切れた後の復旧体制についても含めて、やはりより安全確保に努力していく必要があると思うんです。
それで、ライフラインの安全確保の上で、各事業者がそれぞれ事業者ごとに対策をとっている。これをもう少し統一的に、まとめて安全確保から復旧体制をとれないかということで、それには共同溝形式をとることが有効だというふうにいわれているわけですが、この共同溝について、液状化対策として都内でどの程度行われているのか。臨海地域でもありますが、それぞれについて、都内の各地域と臨海地域について教えていただきたいと思います。
◯曽根委員 臨海部開発地域は九〇%ぐらい液状化の可能性があるというふうにいわれているんで、これは液状化対策として当然最初から位置づけて行っているんだと思うんですが、国道や都道の下に、今いわれた、都道は十カ所、国道が延長九十四キロ、このうち液状化の危険がある地域ではどの程度やられているのか。
◯曽根委員 実質的にこれは液状化対策で共同溝をつくったわけじゃないということなんですよね、建設局の方にもお聞きしたんですが。道路を直すときに、その方がいろいろ管理上いいだろうということが主な目的であって、液状化対策として共同溝を設置したというのは、事実上臨海だけなんです。こちらには二十五キロの計画だということで、現在都道の下にやっている十二・九キロの約二倍。まだ人が住んでいない臨海部地域に今一生懸命つくっている。
もちろん最終的には人が住むことになる予定なんでしょうけれども、何か今、ビルに企業が入るかどうかもわからないというところで、がらがらになったと仮にすれば、そこは地震が起きても安全だけれども、残り一千万人以上の都民が住んでいる地域でライフラインに大被害が起きたというようなことがあったんでは、何のための液状化対策かということになってしまうと思うんで、これはやはり、今人が住んでいるところ、特に液状化の危険が多い地域が半分を超えている区なんかもたくさんあるわけで、こういうところでどうするのかということを独自にやはり計画を持って進めなければならないんじゃないか。共同溝については、この点やはり指摘しておかなければならないと思うんです。
それから、がけ地対策の問題なんですが、私、地元北区で、がけ地が多いものですから、いざ地震のあったときに心配だという声がちょくちょく聞かれるわけです。現在の地域防災計画、これは平成四年に修正されていますが、危険箇所として指摘されている箇所数、それと、平成三年の被害想定で、がけの崩落による被害戸数というのが出されていますが、これは整合しているのかどうか。危険箇所が崩れるということを想定して被害想定の戸数が出ているのか。その点についての関連をお聞きしておきたいと思います。
◯曽根委員 ちょっと聞き方が悪かったかもしれませんが、私がお聞きしたのは、急傾斜地崩壊危険箇所という形で、平成四年現在で、私のいただいた地域防災計画の資料では、区部で五百二十七カ所、多摩地域で二百三十六カ所、島で四十一カ所という危険箇所が挙げられていて、このうち危険度の高いものから順次、先ほど答弁があった、急傾斜地崩壊危険区域に指定されてきていると伺っているんですが、そういうことではありませんか。
◯曽根委員 危険箇所としては八百カ所余り指摘をされていると。
そのうち、この急傾斜地崩壊危険区域の指定というのは、この指定を受けると、国と都の公的な補助で、がけ地の補修が自費負担でいえば実費の五分の一程度でやれる制度なわけですよね。これが非常に実効性のあるがけ地の補修の制度として、これまで二十三カ所指定をされてきたということなんですが、ずっとこの間の経過を見ますと、平成三年には五カ所ほど指定されているんですが、平成四年に一カ所、昨年も一カ所ということで、一年大体一カ所ぐらいしか指定をされない。八百カ所ぐらい今危険なところがあるんですが、このままでは、指定をされて補修が始まる、全部が終わるのはいつのことやらという状況になってしまうんですけれども、この指定についてはどういう条件で指定をされていますか。
◯曽根委員 実際には、三十度以上あり、五メートルの段差があって、五戸以上の関係住民がいるにもかかわらず、なかなか指定が受けられないという話を私は聞いているんですね。その中にはもちろん地権者同士の話し合いがうまくいかない場合もありますが、東京都に問い合わせると、それほど毎年十分に予算がつけられないんだという話も聞いているというふうに、地元の方からは話が来ているんですよ。
ちなみに建設局の方にちょっと聞きましたら、そんなことはないんだというようなお話をしていましたけれども、いずれにしても八百カ所危険が指摘されている。今指定が二十三カ所で、まだ相当数の危険な箇所が残っており、被害想定でもかなりの崩落による家屋被害、これは全体で七百戸ぐらいというふうな数が出ていましたが、指摘されているわけですから、これは何としてもこの制度を思い切って実施をできるように、円滑に進むような方向をとっていただきたいということを求めておきたいと思います。
最後に、避難地域のことなんですが、都内で、被害が起きたところから避難地域として指定されているところまでの距離が最も遠くて、いわば避難場所として非常に有効性が薄いというふうにいわれているのはどの地点でしょうか。
◯曽根委員 つまり、品川区の平塚二丁目、ここは液状化の危険も高い地域を抱えているところなんですが、ここから中原街道を通って、大田区を横断して、多摩川まで逃げなければならないという指定になっているんですね。
しかし、その途中の、もっと距離の短いところに避難場所は別にあるんですけども、ここはほかの地域の方の避難場所に指定されているんで、結局、大田区を渡って多摩川まで行かなければならない。
しかし、実際にいざ地震が起きたらどうするかといえば、みんななるべく近くの広いところに逃げますよ。だから、実際上本当に有効性のある避難場所になっているのかという点では、私、大変疑問があると思うんです。
それで、よく地図を見てみましたら、この平成四年の防災計画の、十一月に修正されているんですが、そのちょっと前に、同じ品川区で林試の森公園というのが都立公園で平成四年の六月にオープンしているんですね。ここは、面積が十二ヘクタールぐらいある相当広い公園なんですが、私、修正にどうして間に合わなかったのかと思うんですが、ここを避難地域として指定すれば、少なくとも平塚二丁目のあたりの五・八キロというのは解決できたんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
◯曽根委員 不燃化を周りにするのに時間がかかるので、それまでは指定がなかなか難しいというお話なんですけれども、実際にはここに逃げますよ、実際に災害が起きれば。ですから、その避難路としてきちんと東京都がその避難路の安全も確保するという点でいえば、現実に住民の人たちが逃げるところに避難地域を指定して──ほかの地域との矛盾がなければですよ。そこを指定して、途中の安全を確保する、できるだけ早くそういう修正をしていくというのが当然だと思うんで、この点はそういう方向で動いているそうですが、できるだけ急いでそうした避難地の拡充をしていただきたいというふうにお願いしておきます。
最後に、先ほどもちょっとお話がありましたが、直下型地震に対する体制、これが決して私十分でないと思うのは、国の方では、東海沖地震に対しては法律による規定がありまして、国の方でも相当予知の体制をとっているんですが、直下型地震については、地震の予知連絡会でも観測体制が空白であるということを懸念して、地下深部の地震計、ゆがみ計などを高密度で配置するなど、対策を緊急にとるように提起をしているという報告がされています。
十年前に我が党もこれを国会で指摘したんですけれども、現状どうかというと、国の方では気象庁でわずかな研究をやっているという程度なんですね。そういう点で私は、これが今、国の大綱という形になっていますが、やはり法律できちんと安全対策をとる、予知体制をとるということで格上げをすると同時に、国の方もこれに対する予知対策の予算をきちんとつけるべきだというように考えるんですが、東京都としてもこの辺要望すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。