住宅港湾委員会93年11月25日
有明北の埋め立て反対陳情の採択を主張
◯曽根委員 まず、請願の五第二七四号、有明貯木場の埋立て中止と「大親水公園」の造成に関する請願について、私は、請願者の、都民のための臨海部開発を求める江東区民の会の要請の趣旨については、都議会として真剣に受けとめるべきであるという立場から、関係当局の港湾局にお聞きしたいと思います。
区民の会の代表は千田さんというお名前になっていますが、代表の一人である江東区の区議会議員の鈴木源太郎さんという方が、この場所に隣接をした豊洲・晴海の埋立事業に関する環境影響評価についての公聴会に公述人として出席をしておりまして、ここで関連して、この有明貯木場の埋め立てについても意見を述べています。そこを参考のために読み上げますと、「この豊洲の南側に位置する有明貯木場は、シーズンともなると釣り船が数十杯入って大にぎわいをしています。
魚の産卵場としても貴重な場所です。魚釣りの場所としても最適なところです。最近は水もきれいになって都民の憩いの場」になっており、「ここは埋立てるのではなくて、都民のための大親水公園をつくるべきだ、既に陳情も都に出されております。」これは請願ですが、このように述べておりまして、有明貯木場は、このお話にあるように、地元の江東区民を初めとして都民の水辺の憩いの場、釣りを楽しむ場所として親しまれている。ご存じのとおりです。
都は、この大部分を埋め立てるという方針で、水面はごく一部しか残らないということなんですが、まず最初に、この埋立問題で東京都は基本的に東京湾、特に港湾区域についてとにかく埋め立て可能なところはどんどん埋め立て、陸地として活用を広げていくという考えなのか、それとも埋め立てはできるだけ最小限に抑えて海面を残していこうとしているのか、基本的な姿勢についてお聞きしたいと思います。
◯中村港湾整備部長 東京都の港湾区域におきます、これからの埋め立てに対する基本的な考え方のお尋ねでございます。
ご案内のように、東京都の地先の海域というのは、船舶の航行や停泊、また都民のためのレクリエーションとか漁業の場、それだけではなくて、水域そのものが気象の緩和機能とか、水質の自然浄化機能とか、そういった環境保全の面からも重要な機能を果たしております。
そういう意味で、こういう状況を踏まえますと、東京港の港湾区域内に新しい埋め立て、現在計画しています新海面処分場を建設した後、さらに大規模な埋立地を造成することは困難であると考えます。
◯曽根委員 東京都の基本的な姿勢として今計画のもの以上は難しいだろうと、環境を守っていく上でも海面を残すということは大事だという基本的な見地が示されました。
しかし、実際、今お話があった点にもありましたように、この間、臨海部開発地域を含めて東京都はかなり埋め立てを進めてきているというのが実態だと思います。
また、これからも、この有明の貯木場を初めとしてかなり埋め立てていくという計画になっている。 そこで、八六年秋の臨海副都心の構想が固まった時期を境にして、その後、臨海部の開発地域の中で埋め立ててきた面積、それからこれからやろうという面積、これをお示しいただきたい。
もう一つは、東京港湾地域の中で、例えば臨海部に隣接する豊洲・晴海、それから竹芝、芝浦、日の出のふ頭、それから羽田沖海面処分場、こういうところで今までどれぐらいの埋め立てをやってきて───この臨海部の開発の計画と並行してですね───また、これからどこまで埋め立てをやろうとしているのか、それぞれの面積を示していただきたい。
◯鈴木臨海部整備担当部長 私からは、臨海部副都心にかかわる区域についての埋立経過についてご答弁申し上げます。
臨海副都心開発事業におきましては、計画区域四百四十八ヘクタールのうち青海地区、有明南地区、有明北地区の三カ所で合計八十一・四ヘクタールの埋立地造成を計画しております。地区別に申しますと、まず青海地区二十八・九ヘクタールにつきましては既に平成五年六月二十九日に竣功しております。
有明南地区九・六ヘクタールにつきましては現在埋め立て中でございまして、平成七年三月に竣功の予定でございます。
また、これから埋め立てるものといたしましては、有明北地区四十二・九ヘクタールでございます。
◯中村港湾整備部長 副都心地域以外の港湾区域内におきますこれまでの埋め立ての経過と今後の計画でございますが、八六年以降といいますと、第二次長計以降と思いますが、既に竣功した面積が約千三十六ヘクタールでございます。
その千三十六ヘクタールのうちには、ついこの間竣功しました羽田沖、それから中防の内側、竹芝、芝浦等がございます。それから現在工事中といいますか、未竣功の面積が約四百二十七ヘクタールございます。これには芝浦の残り分とか中防の外側、中防内側等がございます。
それからまだ未着手といいますか、これからアセスメントをして、免許を取ってという部分も含みますけれども、これから計画しておりますのが約五百七ヘクタールでございます。
これには、平成八年度に予定しております新海面処分場、それから豊洲・晴海、日の出ふ頭、こういったものが含まれております。
以上、臨海副都心以外の地域でご質問の面積を足しますと、約千九百七十二ヘクタールになります。
◯曽根委員 臨海地域関連で九十ヘクタール弱、それからそれ以外で千九百七十二ヘクタールと、かなり広大な面積をこれまでもやってきて、これからも埋め立てていくという中で、今計画されている以上の埋め立ての地域はもう大体ないというところまで来ているというお話が先ほどありました。
ですから、海面を残す努力をするという基本姿勢は結構だと思うんですが、実際のところはもうぎりぎりのところまでやってきたと、また計画も立っちゃっているということだと思うんですね。ですから、それだけにこれから埋め立てる部分でまだ改善の余地がある、ここは埋め立てなくてもいいんではないかというものについては、やはり見直しもあってしかるべきだと。
海面というのは一度埋めればもとに戻らないわけですから、そういう点で慎重に吟味をしていく姿勢は私は必要だと思います。
我が党は、東京湾の湾岸地域については、海辺の自然環境を保全しながら都民の憩いの場として活用を進めていくべきだと考えていると同時に、東京港の港湾としての機能を都民の合意できる都民本位に充実させるための最小限の埋め立てについては否定してはおりませんけれども、先ほどいいましたように、ぎりぎりまで計画をされているわけですから、有明貯木場も含めて今後の埋め立ては慎重に進めていくべきだ、また、見直しも当然あってしかるべきだと思うわけです。
それでまず、この有明貯木場の埋め立て予定の面積、ここは臨海部開発の中で住宅用地に予定されているようですが、その中で住宅の敷地として使う面積はどの程度になるのか、お聞きします。
◯鈴木臨海部整備担当部長 有明北地区で埋め立てる面積は約四十二・九ヘクタールでございます。このうちどの程度を住宅用地として充てるかというお尋ねでございますが、この地区につきましては、本年七月に再開発地区計画の整備及び開発に関する方針が決定された段階でございまして、個々の区域別の住宅戸数あるいは全体として住宅をどういう面積に張りつけるかということにつきましては、現在、所管局でございます都市計画局で検討中でございます。そういうわけで、具体的な住宅面積につきましては現在のところお答えできません。
◯曽根委員 それから埋立事業そのものにかかる費用は、この貯木場の部分ですね、試算の中でどの程度と見積もられているのか。
それから、たしか三年間かかって埋め立てた後、三年ぐらい地盤改良した後に建設を始めると。この期間が非常に短いというのがこの場所の特徴なんですが、そのための地盤改良費も当然かなりかかるんじゃないかと思うんです。この点の地盤改良費にどれぐらい見積もっているのか。
◯鈴木臨海部整備担当部長 埋め立てに要する事業費につきましては、平成五年度価格におきまして約三百二十億円と試算しております。
また、お話の地区全体の地盤改良費につきましては、現在のところデータその他が不足してございますので、算出できませんが、当面埋め立てをするための護岸の地盤改良につきましては、液状化対策あるいは護岸の沈下対策などとして実施するものでございますが、これに要する費用は同じく平成五年度の価格で約六十億円と試算しております。
◯曽根委員 有明北地区で予定している住宅の建設戸数、そのうち何戸ぐらいがどれぐらいの割合でこの貯木場の埋め立てたところに建てられるのか、その辺わかりましたら、お願いします。
◯鈴木臨海部整備担当部長 有明北地区全体の住宅戸数につきましては、平成二年四月の臨海副都心住宅マスタープランにおきまして、約一万四百戸としております。
そのうち、埋め立てた部分にどの程度住宅を配置するかにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、まだ詳細な計画が煮詰まっておりませんので、現在のところ不明でございます。
◯曽根委員 今いろいろお聞きしてきたのですが、開発の中では、有明北地区を住宅地域として活用していく上で、埋め立てを行ってその上に住宅を建てる。
しかも、超高層住宅がやっぱり建ちますわね、あの絵を見ても。そうすると、地盤改良費、埋立事業費で、合計少なく見ても三百八十億円。年数がたてば建設費も上がる可能性があるし、それだけで済むかどうかについても、これはまだ推計の段階ですからわからないわけです。少なくとも三百八十億は下の地面をつくるだけでかかるわけですね。
そこに、全体で一万四百戸で、そのうちどれぐらいの割合であの埋め立てた部分に建つのかは、まだ決まっていないようなんですが、仮に、面積的に考えて、埋立部分が有明北地区の中で大体三分の一ぐらいと見て、一万四百戸の三分の一程度、三千五百戸ぐらいが建つと考えた場合には、大体一戸当たり一千万円ぐらいの埋め立て、地盤改良の費用が、住宅をつくるという行為全体の中でやっぱり乗っかってくるわけですね。
これをだれが負担するかというふうな問題は別にして、それだけかけるわけです。仮に、半分程度の住宅をこの貯木場跡地を埋め立てた後に建てるというふうに仮定してみても、戸当たり七百六十万ぐらいは、やっぱり海から埋め立てていって建てるという中で上積みされてしまう。
それで、同じ臨海部の台場地区の方で、この間契約がありまして都営住宅建設を発注しましたよね。これで戸当たり単価は、建設費で幾らぐらいですか。
◯鈴木臨海部整備担当部長 現在工事に着手しております台場地区K街区の都営住宅におきましては、戸当たりの建設費は、工事費のみで約二千九百万円になろうかと思います。
なお、先ほど先生がおっしゃられました有明北の埋め立てその他三百八十億という数字でございますけれども、私がご説明申し上げた中で、全体工事費が三百二十億円でございましたが、地盤改良費の六十億円につきましては、この三百二十億円の内数でございますので、よろしくお願いいたします。
◯曽根委員 それは失礼しました。その点を訂正しても、大体戸当たり、仮に面積的に考えて三分の一ぐらいの数の三千五百戸程度が埋め立てた後にできるとしても、八百万から九百万ぐらいが一戸の住宅に、台場地区の場合には二千九百万かかるところに上積みがされるということは間違いないわけで、わざわざ海を埋め立ててそこに住宅を建てる必要があるのかという点でいうと、費用の面ではこれだけかかるのだということが、一つあります。
それから、今臨海部でオフィス用地として、業務用地として予定されているところの全体の面積はどれぐらいですか。
◯西澤開発部長 先日ご説明を申し上げました長期収支試算上で、業務・商業用地として予定をしてございますのは、全体で約六十八ヘクタールというふうにしてございます。
◯曽根委員 三月に行われた第一次公募で、十二グループ予定していたところが、一つが辞退、二つが保留になっている。第二次公募以降はそうならないようにということで、この間方針が示されまして、私たちは批判しましたけれども、長期貸付に第二次公募以降転換すると。
そのときに、第一次公募で既に進出をして契約をした企業ないしグループに対しては、第二次公募以降長期貸付になるところに比べて不利のないように措置を、当然精算をするというふうなお話があったと思いますが、その点についてもう一回確認をしておきます。
◯西澤開発部長 土地の処分方式を、新土地利用方式から通常の長期の貸付方式に改めるということで方針を決めてございますが、これを実際に具体的に予定をしておりますのは、第二次公募以降というふうに考えております。まだその新しい方式の詳細な条件を詰めてございませんが、いずれにしましても、二次公募以降、その新しい条件が決まりますれば、第一次公募でご契約をいただいた企業とは、条件の面で不利が出ることのないように措置をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
◯曽根委員 東京都がそういう方針を発表したのは九月ですが、その後、第一次公募の契約を保留している二つの、住商さんと東京玩具組合ですか、そこから、今度の新しい条件のもとで保留を解除して契約をしたいとか、またそのための具体的なお話はありましたか。
◯西澤開発部長 今現在、保留といいますか、契約の猶予をしておりますのは、お話しのとおり住友商事グループと東京玩具製問協同組合でございますが、今回といいますか、九月に私どもでお話を申し上げました土地の処分方式の変更、これは今ご説明を申し上げましたけれども、あくまでも第二次公募以降ということでございます。
多分この方々は、その同じ条件で進出をするかどうかということのご判断をされるのだろうと思いますけれども、それはあくまでも第二次公募以降、平成八年四月以降そういう条件になるという前提で、恐らく経営収支の計算でありますとか、あるいは相手方との折衝を、そういう条件を前提にして多分されているだろうとは思いますけれども、そういう条件が緩和されたからすぐに契約をするよというふうに、今私どもの方にお話が来ているわけではございません。
◯曽根委員 いろいろおっしゃいましたが、第二次公募以降については長期貸付なんだと。で、第一次公募でせっかく最初に新土地方式で進出した企業には、少なくともそれより損はしない、不利にならないような措置はとるよという基本姿勢は示された。
しかし、保留している二つのグループからは具体的な問い合わせはまだない、契約をしようという話にはなっていない。
ということは、今度の新しい条件のもとでも、今のオフィスを中心とした不況のもとで、そう簡単にぱっと飛びつけるかどうかという点では、企業の側では相当慎重だろうなというふうに見ざるを得ないと思うのですが、もし第一次公募並みに四分の一ぐらいが契約が来ない、もしくはまとまらないというふうなことが今後も続くとすれば、またさらに、ビル不況は今進行中なわけですから、さらに厳しい状況も考えられる。
これは前々回の委員会で私も質問をして、鈴木さんも大変厳しいという状況はお認めになったところなんですが、仮に、そうしますと、六十八ヘクタール予定しているオフィス用の敷地の中で、例えば四分の一があくとして、二十ヘクタールぐらいはあいてくる可能性がある。これは可能性としては私はゼロではないと思う。むしろかなりの確率。一方では海を埋め立てて住宅を建設している、片方ではオフィス用地はなかなか埋まらない、更地のまま残っているというような事態になったとすれば、これはわざわざ海を埋め立てて住宅をあそこにつくるべきだったんだろうか、それとも、オフィスや住宅の配置を含めた今後の計画全体の見直しが本当は必要だったのじゃないかという意見が、臨海開発───私たちは開発計画に対して反対していますが、賛成している人の中でもやはり意見が出ざるを得ない状況というのはあり得ると思う。そういう点で、この点についても当然見直しの検討をする段階に来ているのではないかというふうに意見を申し上げます。
以上質問をした上で、一つは、臨海部開発を進めるという立場に立っての有明貯木場の新たな埋め立てという点で、これは開発の一環ですので、私たちは基本的に開発に反対している立場から、埋め立てをこれ以上やるべきではないという点。
それから、東京港の港湾区域全体の埋め立てはもうぎりぎりのところまで計画が進んでおり、新たな埋め立てに対しては、必要のないものについてはやり直すべきだ、そういう決断をすべきだという点。そして、今お話ししてきましたように、わざわざ海を埋め立てて住宅を建てなくても、開発地域の中で、オフィス街などを中心にして別の活用方法も考えられるという点を含んで考えても、この請願については、この趣旨を酌んで採択をすべきであるという意見を申し上げておきます。
それから、もう一つの陳情五第一一一号については、意見だけを申し上げますが、この陳情は、臨海部副都心開発事業を、いわばこれを認めて進める立場からの陳情でありますので、私たちは臨海開発の凍結と見直しを求めておりますので、この陳情については採択をすべきではないというふうに考えます。