トップページへ 議会質問目次へ 質問要約記事へ 質問93−97リストへ
経済港湾委員会93年10月4日
臨海部都有地の現物出資の違法性を追及
◯曽根委員 本日、議案及び報告で出されております臨海部開発事業関連の問題で、何点か質問いたします。
初めに、臨海部副都心開発についての我が党の基本的な態度、これまでも繰り返し申し上げてきましたけれども、これが副都心計画になる前のテレポートセンター構想の段階から、東京都民の財政や土地を使って、大企業のためにしかならない情報基地をわざわさ提供するものとして厳しく批判し、私たちは反対してまいりました。
しかしこの計画は、その後、バブル経済とそれに悪乗りをしたというべき金権疑惑絡みの経過をたどって、十倍の面積を持つ四百四十八ヘクタールもの副都心計画に膨張してきたわけであります。
これが単に大企業に情報都市として企業活動に便宜を与えるだけではなくて、まず都民の共有財産である広大な土地と莫大な都財政をつぎ込んで、大規模に、また環境も破壊しながら新しい都市をつくり上げるものである。しかも、その建設に携わる大手のゼネコンに途方もないもうけ仕事を提供するという、何から何まで都民犠牲かつ大企業奉仕の開発としてエスカレートしてきたといわざるを得ません。
東京都はこれに対して、こうした大企業奉仕の実態を糊塗するために、当時の地価高騰を前提にした新土地利用方式なるものを打ち出して、あたかもこの開発が、そこにかかる費用を自前で生み出し、またさらに、新たな開発利益さえ生み出すかのような幻想を振りまきながら事業を推し進めてきました。
しかしその後、バブルははじけ、都心を中心にオフィスビルは入居者が激減し、不況の風は日本を吹き荒れています。我々が繰り返し厳しく指摘したとおり、臨海開発の財政は見事に破綻しております。しかしその中でも工事だけは猛スピードで進んでいる。
これは、壊れた鉄橋に向かって突っ込んでいく列車みたいなもので、こんなばかな話はありません。 この中で、今回、新土地利用方式を長期貸付に切りかえるという方針の変更が出されました。また、これによって生ずる進出企業からの地代の減収を穴埋めするために、臨海に使う埋立地を有償売却から現物出資に切りかえ、また幹線道路などの開発者負担を減らすなどの方針変更が出されております。
我が党は、今回の長期収支の見直しで示されたものは、開発の中身を変えないで、これをごり押しするために、進出する大企業に対しては権利金や地代を当初の予定の三分の一にまけてやること、逆に、それを埋めるために総額一兆円に及ぶ都民の税金をつぎ込み、また都民の財産である埋立地を開発に事実上無償で提供するもので、都民に対し犠牲をとことんしわ寄せするものであるということを代表質問などで明らかにしてまいりました。
その中で、私からは、今回の見直し措置について具体的に幾つか質問させていただきますが、初めに、この議案で出されております臨海会計の羽田沖埋立事業会計からの借り入れの問題で質問をいたします。
資料を見ますと、羽田沖の埋立地の処分が、これまで国との間の交渉で、昭和六十二年と平成四年の二回、協議不成立になってきましたが、今回はちょうど交渉がまとまって売却額が確定した。それを臨海が三百億円余り借りることになった。私どもから見ますと、妙にタイミングが合い過ぎているんじゃないかという気がしてならないわけですが、この点は、先ほど別の方からの質問がありましたので、細かい経過については若干省略しますけれども、これまで協議が何回も不成立になってきたのに、ここに来て急転直下まとまった。
しかもその額が、昭和五十九年、九年前に暫定的に決めた平米単価六万三千円の、当時の原価価格に極めて近い額で時価として決定をしたということは、何か交渉を非常に急いだんではないかというような印象をぬぐえないわけですが、この点についてはいかがですか。
◯石渡参事 今回、国との交渉の経過につきましては、先ほど佐々木理事のご質問に対しましてお答えを申し上げましたけれども、ことしに入りましてから、国は、景気対策として新経済総合対策というものを検討する時期に当たりまして、公共用地の取得につきまして見通しが立ったということでございます。
それから、ことしの九月に第二期の供用開始が予定されているということから、空港整備計画を実施する上で、早い時期に国は用地を取得したい、こういうような希望がございました。そういった国の事情を受けまして、かねて東京都が主張しておりました時価処分ということについて合意に達したものでございます。
◯曽根委員 今のお答えを聞きますと、国の方で公共用地取得に見通しが立った、また羽田の空港もオープンする、そうしたタイミングに合わせて国の方から話が進むような機運があったというような感じに聞こえるんですが、東京都の側でむしろ売り急いだというような事態がなかったのかどうか。
私はこれについてはちょっと疑問があるわけです。
というのは、先ほどご質問がありましたが、これまではこの問題は、羽田空港の沖合展開による跡地の開発のための用地取得と一体にして解決をするんだというふうに、繰り返し態度表明されてこられた。
ところが、沖合展開が延びる、平成十一年ごろになるということで───延びるんだったらば解決を、いわばその時点までずらせばいいわけですが、もうそこは見限って、先にこっちを決着してしまう。
交渉としては極めて不利な立場に身を置くことになりかねないという疑問が素人考えでも出るわけですが、こういうことがなかったのかどうか、改めてもう一回お聞きします。
◯石渡参事 この件につきましては、本会議の中で港湾局長が答弁を申し上げておりますように、今まで東京都といたしましては、埋立地処分に関する考え方といたしましては、埋立地処分問題と跡地問題、こういった問題は一体的に解決を図ることが望ましいということを基本な考え方として据えてまいったところでございます。
しかしながら、空港の沖合展開事業の第三計画につきましては、平成七年度の完成予定が平成十一年度末に延びた、それから跡地の発生時期もおくれる、跡地の範囲についてもまだ未確定であるというようなことがございまして、埋立地の処分を先行したものでございます。
◯曽根委員 結局、羽田空港の沖合展開がおくれるということで、埋立地は昨年もう造成ができている、もう処分を待っている、しかし、こちらの計画が一方でおくれているので、それを待ち切れないというところに、何か早く売ってしまいたいという印象を受けざるを得ない。
いずれにしても、この売却が行われることによって、一方の跡地の開発のための用地購入についてはまだはっきりしていないようですが、これから国との交渉ということになる。当然地元の大田、品川の関係区民の意向をきちんと尊重しながら国との交渉に当たるべきだということは当然なんですけれども、その点での今後の見通し。
それから、跡地購入の財源として今まで一体としてきた埋立地の売却処分益ですね、こういう財源を考えているのかどうか。
また、そのためにも、いずれにしても一般財源に最終的には繰り込まれるわけですが、この埋立地の売却収益をできるだけ多く一般財源に繰り入れるということが、この会計としては求められていると思いますが、この三点をお聞きします。
◯石渡参事 まず、跡地の問題でございますけれども、跡地の利用につきましては都市計画局の所管でございますが、都や地元区が過去におきまして、それぞれ計画あるいは調査を実施してまいったところでございます。
今後はこれを踏まえながら、都や地元区の意向を十分反映させ、より具体的な計画を策定する必要があるということから、跡地の範囲と土地の利用につきましては、国と都と地元区で構成する委員会をつくり、共同で調査を行うことになったものでございます。
二点目の剰余金の使い道でございます。先ほど佐々木理事のご質問の中でもご答弁申し上げましたが、今回の羽田沖の埋立地の処分等によりまして、最終的には約千三百億円程度の剰余金が発生する見込みでございますけれども、国からの収入が平成九年度までの分割でございますし、直ちに利益剰余金が発生をするというわけではございません。このような状況を勘案しまして、その使い道につきましては今後慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
それから第三点目の、この剰余金でもって跡地を買うかどうかというお尋ねでございますけれども、先ほどお答え申しましたように、この使途につきましては今後慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
◯曽根委員 いずれにしても、羽田沖埋立事業会計として、若干あと数年、浅揚の埋め立ても仕事として残っているわけですが、最終的な売却収益をきちんと一般財源に入れられるというふうにすることが、重要な責任の一つであろうと思います。
しかし、今回その売却収益の一部を臨海開発の会計に貸し出す、長期貸し出しを行う。三年後に返却ということになっていますが、こちらの事情の問題なんですけれども、これは、去る七月に行った二回目の地代の引き下げ、これに対する権利金や地代の値下げ分ですね。
これまでの第一次公募の契約企業に対して五百五十億円余りですか、これを返還するということですが、これに対して臨海会計では足りなくて、羽田沖から借りなければならないと。
なぜ三百億円以上も別会計から借り入れをしなければならないのか、どうしてこれほど臨海会計の資金繰りが苦しいのか、この点について、今回の借り入れの理由についてお聞かせいただきたいと思います。
◯石川総務部長 まず、平成五年度の臨海会計の当初予算を計上するに当たりまして、ご案内のとおり、企業への貸付用地につきましての減額率が不明であったということです。それからまた、契約の辞退、あるいは猶予する企業についても不明でありました。
したがいまして、そうしたことから、むしろ全額というんですか、計上してきた経過があります。ここへ来まして、例えば用地につきましては、去る七月、財価審の議を得まして平均二三%の減額になる、あるいは平成四年度の年度末ぎりぎりで、企業につきましてですが、三社が辞退または猶予したというようなことから、臨海会計の財源不足になりましたので、今回羽田沖会計から資金を借り入れるものでございます。
◯曽根委員 そうすると、現実に臨海開発会計というのは、この三月の第一次公募で進出予定企業の撤退や保留があった、またさらに二三%の地代、権利金の値下げがあった影響で、資金がかなり底をついているんじゃないかという印象を受けるんですが、それでは、これから平成八年、次の第二次公募予定まで、来年、再来年とまたさらに借り入れを行う予定があるんですか。
◯石川総務部長 ご案内のとおり、臨海会計は権利金と地代を中心として賄っております。一方、基盤整備等につきましては、実は収入よりもかなりオーバーして支出をしている、こういう仕組みになっておりますので、当然その間つなぎということで借り入れを行うということは、この臨海会計の持っている性格だろうと思います。
したがいまして、平成六年度、七年度、両年度にわたりましても、事業費の財源の不足のために他の会計から借り入れを行う予定でございます。
◯曽根委員 そうしますと、今回借りた羽田沖会計からの借り入れについても、三年後返済しなければならない。この財源はどこから出す予定ですか。
◯石川総務部長 平成八年度に予定をしております第二次の公募企業からの権利金収入を返済財源に充てる予定でございます。
◯曽根委員 そうしますと、結局、今回の借り入れも、また来年以降の借り入れについても、返済の見通しというのは第二次公募の成り行きいかんということになるわけであります。もし景気の回復がおくれるとか、またビル不況などが続いているなどして、第二次公募が今回の第一次公募並みに不調に終わるとすると、この被害は、例えば今回の借入先の羽田沖会計の起債の償還にまで及ぶことになりかねない。
そういう点で、ある意味では危険なかけといいますか、そういうことに───来年も再来年もどこの会計から借りるかわかりませんけれども、ほかの会計をどんどん巻き込むようなやり方になっているんじゃないかと思わざるを得ない。
我が党は、これが臨海開発の促進の措置であるということに対して反対すると同時に、その財政の破綻にほかの会計を巻き込んでいくということに、ひいては都民の財政を食いつぶしていくことになりかねないということで、厳しく反対をいたします。これは意見として申し上げておきます。
次に、やはりほかの会計にしわ寄せという問題なんですが、埋立地を、有償売却から現物出資に切りかえた問題について質問します。 最初に、この現物出資というやり方に切りかえたことについて、その理由、それから根拠となる法令について聞かせてください。
◯西澤開発部長 出資の法的な根拠でございますが、これは地方公営企業法の第十八条第一項に、「一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に出資をすることができる。」というふうに定めがございます。それからまた、東京都の埋立地開発規則の第二条に、埋立地は、長期の賃貸借による貸し付けのほか、いろんなことが書いてございますが、「出資の目的とするものとする。」という規定がございます。
それから出資に切りかえた理由でございますが、これは先ほど来ご説明申し上げておりますように、最近の大幅な地価の下落によりまして、民間企業への土地の貸付価格を引き下げざるを得なかったということ。
あるいはまた、土地処分方式を長期の貸付方式に変更するということにいたしました関係から、臨海副都心会計の収入が大幅に減少するということになったわけでございまして、このため臨海会計の自己資本を充実する必要がある、財政の弾力性を確保する必要がある、あるいは財政基盤、こういったものを強化する必要があるというようなことがございまして、変更をするということにいたしたものでございます。
◯曽根委員 今、根拠法令、公営企業法の第十八条と、それから今回の理由については、先ほど来、財政基盤を安定させる、確保するというようなお話があったんですが、これは財政基盤を安定化というのではなくて、実際問題としては明らかにこの開発で、このままいけば赤字が生まれてしまうということに対する、その穴埋めということで急遽考えた苦肉の策じゃないかと私は思っているわけです。
さきの委員会でも、土地処分方式を通常の長期貸付に切りかえたことによって、三十年ベースで三兆二千五百億の減収になると。これはもう間違いなく発生する赤字なわけですね。そういうことに対して今回現物出資に切りかえて、一兆二千億の土地の売却に対する支払いをやめなければどうにもならないという計算は明らかなわけですから、これは財政基盤の健全化というんじゃなくて、事実上赤字の穴埋めといわざるを得ないんじゃないですか。その実態的なところではどうなんですか。
◯石川総務部長 今回の出資につきましては、ただいま開発部長から答弁を申し上げたわけですが、あくまでも臨海会計の自己資本を充実し、財政の弾力性を確保するために行ったものでございます。したがいまして、臨海会計の赤字を補てんするためではないというふうに、我々は考えております。
◯曽根委員 このことにこだわっているのは、この公営企業法に伴って昭和二十七年九月二十九日付で自治省の出している依命通達がありますね。この中の財務に関する事項の{四}のところで、地方公共団体の行う出資の性格について、「自己資本として必要とされる一般会計等からの出資及び財産等の移管による現物出資をいうものであって、収益的収支の不足をまかなうためのようなものをいうものではないこと。」というふうに明確に依命通達が出されているわけで、このやり方を赤字の穴埋めなどには使っちゃいかぬという依命通達が出されているわけなんです。
しかも、今の答弁のようなあいまいなことがないように、わざわざその後に、これは具体的にいうと、地方公営企業の事業施設の拡張に要する経費やその建物等を出資する場合や、それから、公営企業がスタートする時点で建物などを提供するというようなことなんだよと、事業拡張かスタート時点なんだよというふうにわざわざ限定して括弧書きでつけてある。
ですから、今回のような場合、途中で長期貸付に切りかえた、財政が先々危ないということの穴埋めというのは、もう明らかに実態として赤字の穴埋めじゃないですか。
しかも、これはちょっとお聞きしますが、有償売却だった場合には、それに対する海会計からの支払いというのはどういう形で行われるわけですか。
有償売却の場合の支払いはどういう形で行われますか。
◯西澤開発部長 有償で移管をした場合に臨海会計の方が埋立事業会計にどういう支払い方をするかと申しますと、十年間据え置きまして、二十年間均等で年賦払いのような形で支払いをしていくということにしていたわけでございます。
◯曽根委員 そうすると、十年据え置きといっても、もう十年待たずして、現時点は途中段階ですから、支払いが発生するわけですね。そう何十年も先の話じゃないということが一つあります。
それからもう一つは、有償売却で現時点でもう利子払いというのが発生しているんじゃないですか。
この資料の一ページを見ますと、表の右下ですが、土地移管経費で既に発生している移管利子が五百二十七億円ある。これについては返還をさせないと、赤字の穴埋めになるということが明確になりますからね。しかし、これでいきますと、来年以降も大体年間百億円以上の利子払いというのが発生するんじゃないですか、いかがですか。
◯西澤開発部長 ただいまご指摘の五百二十七億円は利息ですが、これは平成三年、四年、五年度に既に土地を有償移管をするということで支払った利息でございます。出資は平成六年度からということを考えてございますので、六年度以降この利息の支払いは生じないということでございます。
◯曽根委員 そうすると、三年分で五百二十七億円の利息を払っていたと。しかも平成六年までそれの支払いが続くけれども、それ以降は今回の切りかえによって払わなくて済むようになると。
年間百億円以上になりますよね。百億円といったら、決して小さい額ではない。今、三百億円足りなくて羽田沖から借り入れているような状況の臨海会計が、私が前に申し上げたように、まさに底をついているような状況、財源不足になっているという臨海会計が、毎年百億円以上する利息払いを免除、これによって免れるという点でいいますと、これは現時点でもう既に赤字対策になっているというふうにいわざるを得ないんじゃないですか、いかがでしょう。責任ある答弁をお願いします。
◯石川総務部長 私、先ほども申し上げましたように、臨海会計の持っている性格は、すなわち権利金と地代でもって、それを基本にしまして基盤整備を行うということになっております。
しかし、基盤整備を行う時点と収入とにはおのずからずれがありますから、その間つなぎ資金ということで借り入れを行うというのが、この会計の持っている性格でございまして、先ほどからご質問にありました赤字補てんという意味で今回の借り入れを行ったわけではございません。
◯曽根委員 つまり、実態的にもうつなぎ資金で回っているということは、万年赤字みたいな格好になっているわけですよ。それに新たに補てんを入れたんで、赤字対策じゃないんだと。そういう意味で新たな対策であることは確かですが、臨海会計そのものがいわゆる自転車操業になっているというときに、新たな今回の長期貸付に切りかえて、そして土地の有償売却から現物出資に切りかえたこと、これはもう明らかに、赤字が目の前から生まれるものを何とかカバーしていくというやり方だと考えざるを得ないと思うんです。
それからもう一つお聞きしたいのは、この通達の中にもう一つ、法の方にも書いてありますが、この現物出資は当然開発事業に───いわば今までは売り払った後はある意味では関係ないわけですけれども、開発に出資をするという形で、事業にある意味で参入することになります。そうすると、利益が発生すれば、納付金という形の配当が得られるはずだというのは当然なんですけれども、そういう配当はどうなっているのか。
それから、今回の長期収支の見直しの中で、いわゆる配当が出せる段階、累積の欠損が解消される年次というのはどういうふうに設定されているのか、二つお聞きします。
◯石川総務部長 今回の試算では長期収支均衡年次は平成三十八年度となっておりますが、ただいまのご質問の欠損解消年次はそれよりもおおむね五年程度以前、前に来る見込みでございます。したがいまして、出資に見合う納付金というのは、その時点で発生することが考えられます。
◯曽根委員 今回は、資料にありますように、これまでの土地利用方式を長期貸付に変えたということから、長期の収支の試算を改めて出していただいているわけですが、この試算の中に、今、私がお聞きした納付金、配当ですね、これが平成三十三年以降の分について見込まれているかどうか。
◯石川総務部長 今回の試算の中では見込んでおりません。と申しますのは、長期収支試算というのは三十年、四十年というスパンで見ておりますから、年度、年度ごとにこれを積み上げている性格ではございませんので、具体的に納付金と申しますか、それを今回の試算の中では計上しておりません。しかし、その時点で具体的にその扱いをどうするかは、今後慎重に検討していきたいと思っております。
◯曽根委員 結局、長期スパンなのか、年度ごとなのかというような考え方の問題じゃなくて、出資というふうな聞こえのよい言葉を使っているけれども、事実上のただ取りだと。そういうことを考えているから、最初から本来なら出すべき配当も長期収支の中で考えていないということじゃないかと思うんですね。
それからもう一つ、条例の上で、出資を行うことができるという規定があるというお話がありましたが、東京都地方公営企業の設置等に関する条例、これは平成元年三月三十一日付で改正をされておりまして、このとき臨海会計を独立をさせたというふうに思うんですが、このときの条例の中で九項ですね、臨海会計を埋立事業会計から区別をするために、埋立事業については「東京港港湾区域(羽田沖埋立事業に係る水域を除く。)及びこれに隣接する地域において埋立地の造成、整備及び開発(臨海副都心開発事業に係るものを除く。)を行う」こういうふうになっております。
この条文をそのまま解釈をしますと、埋立事業会計というのは臨海開発地域の埋立地の造成については行うことはできるけれども、整備及び開発については除くと、除外規定になっている。
しかし、今回、売却ではなくて出資ですから、形の上であっても開発事業に参入することになるわけです。開発事業に参入するのに、この除外規定がひっかからないはずはない、開発の一因になるわけですから。ですから、これをあえてやろうとするならば、この条例そのものを変えなければならないというふうに思うんですが、いかがですか。
◯石川総務部長 臨海会計を設置した目的は、会計の収支の明確化及び開発利益を明確化するということでございまして、再三申し上げておりますように、この会計は地方公営企業法の一部を適用するものでございます。
今回の出資が両会計、すなわち臨海副都心開発会計と埋立事業会計の合併のようなことにならないかというご質問だろうと思いますけど、私どもとしては、そうしたものではないというふうに考えております。
◯曽根委員 私、合併というような言葉は使っていないんで───このときに、これは財務主税委員会で、この臨海会計の設立といいますか、設置の趣旨について当時の主計部長の方が説明をされておりますよね。このときの説明によると、九号の埋立事業の一番最後の括弧書きでございますけれども、「臨海副都心開発事業に係るものを除く。」ということで、埋立事業会計からは、この臨海副都心開発事業関連は除かれるということに相なると。
この条例については、提案理由にあるように、臨海副都心開発事業について独立採算制の確保と経費の負担区分の明確化を図るために、地方公営企業法の財務規定等を適用する必要があるため、条例の一部を改正した、こういうふうに説明されております。
つまり、当時としては新たな開発を行うということで、開発の独立採算制、それから費用負担の区分を明確にするということから、あえてこの括弧書きを入れたわけです。
ですから、この臨海開発用地については、造成は埋立事業会計でやってもらったんだけれども、開発の方はお任せください、いわばそちらの手は借りませんよ、土地は売却でいただきますという形に設定するために、わざわざこれを入れたんです。
当時はバブル経済の真っただ中で、それでも開発利益で十分賄えるというふうに踏んで、こういう規定を入れたんだと思いますが、今日バブルがはじけたので、出資という形でまた参加してください、助けてくださいといっても、そう簡単にはできないはずなんです。逆にいうと、埋立事業会計の側からいえば、この条例の規定というのは、埋立会計がせっかくつくった、埋め立てた土地について、事実上のただ取りで臨海会計に提供するような形にならない、今歯どめの条例になっている、意味合いとしてはね。
ですから、今いったようなお話の中で、簡単にこれができるんだというふうにされては、私は、都民の共通の財産としての埋立地、この用地についてこういう運営では困ると。条例については明確にしていただきたいと思うんですが、改めて答弁をお伺いします。
◯石川総務部長 出資を行うということと、事業を行う、いわゆる開発行為を行うということとは別だというふうに思っております。
◯曽根委員 今までは売却だったんですよね。今度は出資になった。この違いというのは、これは開発行為に参加することが中心じゃありませんか。だからこそ出資であって、配当も得られるわけですよ。これを開発等に参加することじゃないというんだったら、今回出資に切りかえる意味合いは余りないわけです。そういう点ではそういうあいまいな答弁では困るんです。
この問題は絶対納得できませんから、改めて機会を見つけて追及していきたいと思いますが、今まで、この法律上の通達の問題で見ても、事実上の赤字の穴埋めであるし、それから長期収支を見ても、配当なんかを出すことは想定していないと。それからさらに今の条例上のそごもあると思うんですね、これは。
そういう点から見て、実際には、無償提供ということであれば、こういう問題は起きないわけです。今回、いわば事実上ただ取りを覆い隠す、カムフラージュするために、そういう出資なんていう言葉を持ち出してきたので、こういう条例上の、法律上の問題が起きるんであって、私はこの本質というのは、結局、埋立地をただ取りするんだ、そうしなければ開発が立ち行かない、真っ赤な赤字になってしまうということからきているんじゃないかというふうにいわざるを得ないと思うんです。この点は指摘をしておきます。
臨海開発は、そういう意味で、少しでも都民の土地を大切に使うという気があれば、一兆二千億円もの財産をこういう、いわば行き詰まって泥沼になっている開発に提供するなんていうことは絶対に考えるはずがない。開発そのものの方に大きな欠陥があり、大問題があるわけですから、結論としては、やはり救いようのない臨海開発について凍結するしかないんだということが、私たちの意見です。解決の道は、今回のような小手先のいろんな改善では、対応策ではできないということを改めて強く指摘をしておきます。
それから次に、第二次公募で改めて進出企業を募集すると。三年後、契約の交渉なども入れて七年から始まるわけですが、それに向けてのオフィスビルの需要の見通しについて幾つか質問しておきたいと思うんです。
バブル時代に、つまり一九八六年、昭和六十一年ごろから、それまで二十三区内のオフィスの供給量は大体年間百ヘクタール程度というのが安定的だったんですが、昭和六十一年ごろからいきなり二百六十ヘクタール。ここからいわばオフィスにおけるバブルが始まったわけです。
その後八〇年代には二百六十、七十、八十とどんどん上がりまして、九〇年代に入って三百を超した。それが去年まで続いていて、ことしのデータはまだありませんが、激しい勢いでオフィスビルが供給されてきている。
東京都のつかんでいる現状での二十三区内のオフィスビルの床のストック、それから、そのうちどれぐらいが空き室になっているのか、また今後平成八年までにどれぐらいの量のオフィスビル床量として供給される見通しであるのか、以上三点お聞きします。
◯鈴木臨海部整備担当部長 東京都のつかんでいる予測についてでございますが、東京都の企画審議室が本年七月に公表いたしました「データファイル東京の事務所立地」という報告書によりますと、平成四年度の貸し事務所の床面積の総計は約二千二百三十七ヘクタールでございます。また、空室の量でございますが、仮に空室率を七%といたしますと、これを掛けまして、約百五十七ヘクタールが空室量となります。
また、同報告書によりますと、今後三年間の供給量の見通しにつきましては、大型の開発による供給と、それから過去の中小規模の新規供給量の平均値を前提にいたしますと、平成五年でおおむね百四十四ヘクタール、平成六年で百九十四ヘクタール、また平成七年度で約百七十五ヘクタールになると想定しております。
◯曽根委員 今お聞きした現在二千二百三十七ヘクタール、そのうちあいていると思われるのが百五十七ヘクタール。これはいわゆる貸し室、貸しビルのオフィスの量ということですよね。
ですから、自分の本社などが入っているビルについては除かれて、ここは一〇〇%入っているという想定で除いた数字だと思いますが、それにしても、これから三年間で合計しますと、五百ヘクタール以上のビルが供給されてくる。現在百五十七あいている。
現在のビル床の需要、伸びというのは昨年からがっくり落ちて、今ほとんどないに等しい状況ですので、このままの状況が続くと、大体三年後までに六百五十ヘクタール程度、場合によっては最大限見積もって、あいてくる可能性だってあるという状況なんですね。これは大変な量であります。
現在の貸しビルのオフィス量、都内二十三区で二千二百三十七の量に対して、六百五十ヘクタールがもし三年後あいているとすれば、この空き率というのは大変なもんです。そういう状況の中で、不況もこれから、まだ二番底を脱し切れないというような状況がもし続いたとすると、第二次公募の見通しは非常に厳しいんじゃないかと、率直にいっていわざるを得ない。 このとき、第二次公募で契約を予定している進出企業によるオフィスの建設量はどの程度想定しているのか、また、第三次公募以降についてはどうか、二点お聞きします。
◯鈴木臨海部整備担当部長 今回の長期収支の試算におきましては、第二次公募は平成七年度に行いまして、当選された方への土地の引き渡しは平成八年度と十年度に予定しております。この土地を引き渡しましてから建物が建ち上がってくるまでには三年から五年ほどかかりますので、こういった建築期間を考慮に入れますと、オフィス床の供給につきましては、平成十一年度から十三年度にかけまして、おおむね百一ヘクタール程度になるんではないかと予想しております。
また、第三次公募以降の土地引き渡しにつきましては、平成十二年、十四年及び十六年度を予定しておりまして、同様に建築期間を考慮いたしますと、オフィス床の供給につきましては平成十五年から十九年度にかけまして、おおむね四十二ヘクタール程度と考えております。
◯曽根委員 そうしますと、よほどの景気の回復、はっきりいえばバブルの再現でもない限りは、埋まりっこないぐらいのビルの量がこれから三年間、現実には供給されてしまう。
その上に第二次公募が始まるわけです。その中で、第二次公募でも百ヘクタール以上、第三次はかなり先になりますが四十二ヘクタールということで、これは果たして埋まるのかどうか。また、埋めるために恐らく二十三区内のほかのビルとの事実上競争、取り合いということが起きていくのではないかというふうに懸念されるんですが、この第二次公募で予定どおり進出企業が集まる条件が必ずあるというふうにお考えかどうか、この点、条件についてお聞きします。(「わかるわけない、何年先の話だと思っているのか」と呼ぶ者あり)
◯鈴木臨海部整備担当部長 先ほどの企画審議室の「データファイル東京の事務所立地」によりますと、新規の需要量は約七十九ヘクタールとしております。
また、平成八年ごろには一〇%から一五%の空室率になるんではないかという需給予測をしている向きもございまして、オフィス床の需給関係につきましては、この予測というのは非常に難しい面があるわけですけれども、いずれにしましてもこのオフィス床の需給関係につきましては、現在は非常にタイトというか、供給する側にとっては厳しい状況にあると考えております。
ただ、先ほどの報告書の数値は、中小ビルも含めた全体のビルの悉皆調査の結果でございまして、私どもが現在臨海副都心地域に予定しておりますオフィスにつきましては、高度情報化にも十分対応でき、国際水準をいく質の高いものでございますので、こういったことも含め、また第二次公募以降の土地処分時期の繰り延べ、あるいは通常の長期貸付方式への変更など、そのときどきの社会経済状況に応じて柔軟な対応を図っていくことによりまして、第二次公募以降におきましても民間企業が進出できるようにいろいろと検討してまいりたいと考えております。
◯曽根委員 今、オフィスビルの状況について大変厳しい状況だということは率直にお認めになっているわけですが、そういう状況をもし前提として考えると、どうしてもより機能のすぐれた、先ほどお話があったように、二十一世紀を見通したようなすぐれたオフィスを提供するというような方向に行かざるを得ないのかなというふうにも……。
それから、土地を有償売却から現物出資に切りかえたことから、そこのテナントの募集についても割安でというふうなことになっていきますと、ほかの二十三区内、都心を中心にしたビルがどんどんあいてきている中で、さらにそれに対して、せっかく入っているオフィスをはぎ取って臨海の方に引っ張ってくるということにもなりかねない。
結局、全体としてビルはだぶついているんですから、あとは取り合いになっていく。安くて新しい物があれば、動ける企業は動く、そちらの方が採算が合えば動くということが当然考えられるわけです。
そうすると、臨海部開発というのが、これまで我々が批判してきた問題に加えて、都内の各地域のまちづくり、それから地域産業、そういうものをある意味で破壊していく。
オフィスを引っ張って、自分のところを成り立たせるために、ほかの地域のいろんな産業や開発をつぶしていくという新たな問題も起こしかねないといわざるを得ないと思うんです。
ここまで事態が明白になった以上は、これ以上の都民犠牲をやめて、大企業のぼろもうけのための都民財政のこうした補てんも改めて撤回をして、臨海開発については凍結をすべきである。
それから、鈴木知事はこれまで都民に迷惑をかけないという趣旨の発言を繰り返していたにもかかわらず、今回明らかに公共の土地を提供し、また一般財源からも繰り入れをふやすということですから、私たちは、この重大な責任をとって辞任するしかないというふうに、代表質問でも明らかにいたしました。
臨海については、こういう点を改めて明確にして、私の質問を終わりたいと思います。
それからもう一点、意見だけを申し上げておきますが、今回、報告の資料八にあります工事請負契約の締結について、この中に鹿島建設、大成建設などを初めとして疑惑の渦中にあるゼネコンに対する工事の請負発注が、これは議会にかかるものではありませんけれども、報告に出ております。
こういうものに対しては私たちは認められないということを、意見としてつけ加えておきます。(「さっきいったじゃないか」と呼ぶ者あり)さっきのは議案で別だから。 以上です。