2004年2月19日文教委員会質疑(大学改革問題の請願・陳情審査) 「意思確認書」を踏み絵に批判者を排除し、大学自治を破壊するやり方を厳しく批判 ○曽根委員 それでは、請願陳情の各項目についてお聞きする前に、今話題になっておりました意思確認書なるものについての事実確認で、今幾つか質問もありましたが、私が聞きたかったことが幾つか抜けておりましたので、確認だけさせてください。 まず、これを出したことについて、この中に、文科省からもこういう意思確認書を出すべきだとの示唆があったというふうに文書の中にあるわけなんですけれども、これは、労働組合だとか新聞社が文科省の担当者に確認をしたところ、そういう、意思確認を早期にやるというようなことはいっていないと。これは事実に反するので、誤解を招くものとして、訂正を求めたんだというような話があったそうです。 一番厳密に扱ったのは教職員組合だと思いますが、ここでは、その担当者の名前を挙げて、労働組合のニュースの中で、文章についても文科省の担当者と確認をし合って、文科省の見解というのを載せています。恐らく管理本部の側でも入手されていると思いますが、ここでも改めて文科省は、そうした意思確認書は求めていないと。むしろ、しっかりと大学側と協議してほしいということを求めたんだというふうにいったとされています。 これについて、一つは、管理本部としては、結局最初に文書を出したとき、文科省の意向を、いわば解釈の中でそういうふうに受けとめたのか、それとも文科省から間違いなくこの言明があったのか、その点での管理本部の見解はどうかということと、文科省に対してこの記事が出たり労働組合から指摘があったときに再確認をしたのかどうかということ、二点をお聞きしておきたいと思います。 ○大村参事 今回の意思確認書につきましては、法科大学院での今までいろいろ議論されました問題がございました。これに伴いまして、受験生や多くの皆様に大変ご迷惑をおかけしました。 このようなことが二度と起こらないようにというふうなことを非常に設置者として強く感じたところでございます。 そして、意思確認書の依頼文につきましては、東京都の責任で出したものでありまして、東京都が設置者として大学開設に向けて正式に意思確認をとるというふうなことでございます。この趣旨や大学設置の仕組みにつきましては、そういう説明とともに全文をホームぺ−ジに掲載してございます。 また、文部科学省とのやりとりということでございますけれども、これにつきましては、組織と組織でやりとりをしているところでございまして、その経過等については申し上げられませんけれども、法科大学院の問題が発生してから文部科学省には大変ご心配をおかけしまして、我々としてもその重大性を深く受けとめているところでございます。 こうした経過を踏まえて、法科大学院のような事態にならないようにということで、設置者として意思確認をこういうふうにやったということで、先ほど申しましたようにホームぺ−ジにも掲載いたしましたし、また現在、文部科学省とこの件で特に問題は起きてございません。 ○曽根委員 じゃあ今、二点わかりました。教員に対する文書は、管理本部の責任でつくって出したものである。ホームぺ−ジに説明は出したそうですが、それについてのその後の文科省とのやりとりはしていないということでよろしいですね。間違いありませんね。 ○大村参事 その前、その後も含めまして、組織としてのやりとりについてはここでは一つ一つちょっとつまびらかに申すことはできませんけれども、基本的には現在ホームぺ−ジにも出させていただいていますし、文部科学省とも特にこの件で問題が起きている状態ではございません。 ○曽根委員 それでは、そのように確認させていただいた上で、まず、そうしますと労働組合として文科省とのやりとりがここで公表されており、そのことについての本部としての明確な反論が今なかったようなので、やはり教員に対して文書を出した責任は管理本部にあるということを確認します。 この中に、文科省からこの示唆があったような表現については、一人一人の教員にとって、ある意味で大変大きな影響を与えたと思います。というのは、これまでの経過から見て、大学管理本部の暴走だとか、それから、知事の横暴ではないかという批判が強かったわけで、そういう先生方にとっては、手続上の最後の防波堤は文科省だと。文科省がこんなやり方は認めないだろうという思いを持っていた方もたくさんいたわけです。これは私も直接何人からも聞きました。その文科省が意思確認書を認めたというふうに書いてあったことは、これがもし事実でなかったとするなら重大な影響を与えるものですので、私は改めて意思確認の文書は訂正が必要だというふうに思いますが、いかがですか。 ○大村参事 依頼文の中で、文科省からこの意思確認書をとるというふうなことは直接書いてございませんので、訂正の必要はございません。 ○曽根委員 まあほんとに教員を欺くものですよ、これは。これでもってどれだけ教員の人たちが眠れない日々を送ったことかね、この一週間。即決即断を求められたわけですよね。十日の日に発送して十六日が締め切りだよと。間に土日が入っているわけですよ。したがって、これだけのことを要求しておいて、あとはもう日にちがないんだというふうになっている。このこと自体が、全く非常識、異常としかいいようがありません。 しかも、余りにやり方が異常なので、理事長予定者の高橋さんが、総長と会ったときにこの話が話題になって、私もこれはどういうことかなと思いますが、その理事長予定者の高橋氏は、「いい大学へ合意を得た」というふうな記事が出ていますが、この話し合いについて、茂木総長から各教員に既に報告が出されていて、事実上、学内では公表されているわけですが、理事長予定の高橋さんがいうには、(意思確認書を)出してもらいたいところだけれども、出さないからといって新大学に採用しないというようなことがないようにしたいと言明したと。で、茂木総長が、何も意思を確認しなくても、見込み数を文科省は求めているんだから、意思確認数を報告するかわりに、当局としての見込み数を出してくりやいいじやないかというような話についても理解を示したというふうに、茂木総長が各教員に既に送っています。 これは宮下さんが同席していたということも書いてありますので、これが事実かどうか、高橋さんの言明が事実かどうかをまず確認します。 ○宮下参事 まず、二月十七日に理事長予定者であります高橋さんが都立大学に出向きました経緯について申し上げますと、二月十三日に経営準備室運営会議というところで人事給与制度等について議題といたしまして種々議論をしたところでございます。その際、都立大の総長の方から、都立大に来ていただいていろいろ説明をしていただきたいと。それについて、理事長予定者の方から了解ということで、二月十三日に伺ったところでございます。 そういうわけで、十三日に伺った趣旨は、人事給与制度の説明と、それにまつわる意見聴取、それとあわせまして、初めて伺うということでありましたので、表敬訪問を兼ねてという趣旨でございました。 その場で、人事給与制度についていろいろご意見がありましたが、最後に、意思確認書の問題について都立大の教員の皆さんからいろいろ意見が出されまして、これは教学に関する問題でございまして、西澤座長を初めとして教学準備委員会で種々検討している中身について、概要は理事長予定者は承知しておりますが、詳細についてどういう手続でどう進んでいくだのということについてはよくご存じがないということもありまして、いろいろ出た意見の中で、そういうことがあれば、西澤学長予定者にも、それから大学管理本部長にも伝えましょうと。とにかく十七年四月開学に向けて皆さんと力を合わせていい大学にしていきましょうということを述べたと承知しています。 茂木総長が送ったメールにつきましては、私も見させていただきましたけれども、ニュアンスがちょっと違うのではないかというふうに認識しているところでございます。 ○曽根委員 最後におっしやったことは、ニュアンスの問題といえばその問題なんですが、重ねて私、茂木総長に、その話は教員の皆さんに伝わっているんですかといいましたら、メールで全員もう送っているんですと。これについては高橋さんから了解とったかということをお聞きしましたら、高橋さんからは、このメールを見ていて、この内容は基本的に間違っていない旨の話があったというか、メールが来ているということもお話しいただいたので、高橋さんの方は、確かに自分の権限ではないということはご存じのようだったようですが、学長予定者や管理本部に伝えたいとして、就任承諾書を意思確認書が出ないからといって送らないことがないようにという教員の皆さんの希望を伝えていくと。また、そういうふうに自分も希望するということをおっしやったといっています。 これは、その後の最終的にどういう形でどうなるかというのは別にしても、理事長予定者もこの問題については、やはり何らかの、何といいますかね、常識的な解決の道を図らなきゃならぬというぐらいのことは考えているというふうに私は思います。 それから三つ目ですが、これはもっと厳密に考えてみて、先ほど法的な力があるのかという質問があって、法的な文書ではないという話がありました。管理本部として責任を持って大学をつくるために、期限が迫っているので、これは出さざるを得ないというか、確認せざるを得なかったんだというようなお話だと思うんです。 したがって、この文書を出したことの根拠は、十七年四月に何としてもこの新大学を発足させなければならないと。そのためには、四月には申請を出さなきゃならないというそのスケジュールからきているわけで、これが前提となっています。 この前提がもし万が一崩れるような事態、つまり開学が延期になったような事態、それから、それが延期にならなかったとしても、就任承諾書は七月ごろというふうに聞いていますので、それまでの間に、高橋さんや西澤さんと、それから茂木総長ら今の現大学の教員の皆さん、評議会の皆さん、また学生・院生の皆さんなど、話し合いの場が開かれたとして、合意がされてきたというふうなことが起きた場合に、意思確認書が現時点で意見の対立があるために出なかったけれども、就任承諾書を出す期限の七月までには改めて合意に基づいて就任したいという希望が教員から出た場合、法的根拠を持たないこの意思確認書がどうなるのかということをお聞きします。 ○大村参事 手続的な問題としては、就任承諾書は七月に提出すればいいというのは、文部科学省の方からは当然そういう規定でございます。 ただ、四月に本申請にするときには科目を全部出しまして、その科目を担当する専任教員が何人であるとか、非常勤教員が何人であるという、この時点では数でありますけれども、そういうのを出してまいります。 ただ、この数につきましても、先ほど申し上げましたように、法科大学院の件がありまして、専任教員が何人いるかというのはやはりきちっと確認しておかないと、ただ数だけではなくて、その数の裏にある人の名前、これがきちっと確認されてないと、我々としては出せないということになります。 通常、何でもなくスムーズに進んでいる大学の申請であれば、七月になってようやく就任承諾書をとればいいのかもしれませんけれども、その裏づけとなる先生が本当に来るのか来ないのかわからない。もし来なければ穴埋めの人事もしなければいけないとか、あるいは、非常勤の手当てをしなければいけない。そういうのからさかのぼっていきますと、今就任するかどうかの意思を確認していただいて、そして科目にその先生が割りつくかどうか、そういうふうなのをやって、足りない教員については公募をかけるなり非常勤の手配をするなどして、四月の申請の時点では確かに数だけですけれども、名前はその後ろにないと出せないということになります。二度と法科大学院と同じようなことがあっては、その時点ではもうそれが空中分解してしまいますので、本申請自体ができないということになります。 そういう意味で、私どもは、四月の申請時点ではきちっと、どの科目にどの教員が張りつくという形を固めたものを出さなければいけないということになりますので、今の時点で名前を確定し、そして科目の割りつけ、その他の作業に入らなければいけないということで就任承諾書をおとりしているもので、法的な根拠は確かにございませんが、七月に出す本申請からさかのぼると、今これを出すことが必要不可欠だというふうに考えております。 ○曽根委員 大村さんは実務派ですね。もうほんとに実務的な手だてとスケジュールだけに沿ってのお話しなんですけれども。 しかし話の前提にあったように、何でもなく大学がつくられていくんなら七月でよかったんだとあなた自身がおっしゃった、何でもない事態じゃないからこそ、ある意味じゃ皆さんがつくった原因を、一因があるわけですが、異常な事態だということを事実上認めるからこそ、四月にわざわざ意思確認書をとるという、法的でもない措置をやらざるを得なくなっているのは、そちらの側に問題があるんじやないですか。 結局は、それを判定するというのは、私は正式に就任承諾書が出された時点で文科省が最終的にそれを含めた大学の新設を承認するかどうかに最後はかかっていると思いますので、例えば、意思確認書を今回出さなかったが就任承諾書を出したいという希望があるという教員が多数いるということが文科省にわかっていて、それを含めて新大学の教員に加えていいじやないかと、手続がどうのこうのじやなくて、仕組み、システムをつくることはそれから急いでやってもいいじやないかというふうに文科省が最終的には判断する可能性いだってなくはないと、最終的には文科省の大学の認可にかかっているというふうに思うんですが、その最終判断についてはよろしいですか。 ○大村参事 四月の本申請の時点での数字での申請をするわけでございますけれども、先ほどいいましたように、法科大学院の問題を考えますと、ここで専任教員何人と出したときに、見込みで、あ、あの人行くだろうなという思い込みで我々仕事を進めるわけにはいかないわけでございます。そういう意味では、その数字の裏に個人の確実な意思を持って、足りなければ、ちゃんとそれを補充するといったものをちゃんとやった上でないと、正式な申請ができないということでございますので、そういったような手だてをとって、例えば募集をして新たな方を割りつけた、あるいは非常勤の方をお願いした後で、実は自分も参加したいというふうにいわれても、それはちょっと困るということでございますので、今ぜひ各教員の方については意思を出していただければというふうなことで呼びかけているところでございます。 ○曽根委員 まあ、あなた方の主張はわかったんですけれども、手続論として、最終的に大学の申請を認めるのは文科省ですよね。七月に承認承諾書が出されたのを含めて最終的に認めるのは。 ○大村参事 文部省の設置審で通れば文部大臣の認可が出るのは確かでございますけれども、その前の申請書の先ほどいいました数字、そしてさらに七月に人を出すときの責任は私ども設置者の方でございますので、責任ある内容として出すには、四月の部分で既に数字が必要でございます。そして裏づけとなる個人のお名前が必要でございますので、ここでこういう手続をとらせていただいたところでございます。 ○曽根委員 あなた方の事情はわかりました。もともと何もなければ、あなたがおっしゃったとおりに、七月に承認書を出していいわけですよ。 ここで陳情の項目に入りたいんですけど。四本の陳情請願がありますけれども、出された要望項目というのは、どれ一つとっても、いわば大学管理本部のやり方について、なにかごく一部の意見でそれがおかしいとか何とかいうよりは、マスコミも含めて大方のところで今回の大学をめぐる異常事態ということを、いわば良識的に、また都民から見て納得がいくように解決してもらいたいという考え方で、いずれの請願陳情も貫かれているだろうと思います。 ところがこういう要望について、いわば聞く耳持たないという態度をとってきたところに、私はわざわざ議会に出してこなければならなかった事情があるんじゃないかと思うんですね。 順次お聞きしたいんですけれども、まず最初が、落合さんを初めとする大学改革を考える会・・等が出された請願は一項目だけで、これは、都立大学がつくってきた知的財産の蓄積を大切にして新大学にいかしてほしいということですね。これについては、私、今までもいろいろ聞いてきて、全く新しい大学をつくるということが盛んに強調されました。そうすると、今までの都立大学のよさはどこに残ってどう生かせるのかというのが心配なのは当然だと思います。 その点で、改めて、これは基本中の基本かもしれませんが、現都立四大学のどういう点を大事にし、今後に生かしていきながら、どういう点は見直し新しくしていくというふうに考えているのかを簡潔にお答えください。 ○大村参事 それぞれの教員の方個人のそれぞれの研究内容やその蓄積を否定するつもりは毛頭ございませんけれども、やはり新しい大学の理念に基づいて進めていくわけでございますから、これまでの蓄積を生かした上で、例えば新たに展開するナノテクセンターのように、今後の、学際的に、また産業界等も含め、地域の活性化にも役立つような展開をしていただくとか、一方で、見直しをする必要もございますし、その部分としては、例えば語学教育などの見直しをするというふうなことでやっていくということで、教育・研究の蓄積については、生かす部分、見直す部分、そしてそれらを組み直す部分が必要かなというふうに考えてございます。 ○曽根委員 そうすると、今のお答えの範囲でいえば、今の大学、今までの大学、各四大学の研究成果、実績として残す基本は、教員個人個人の研究成果、実績については否定しないと。 しかし、確かに私が見ても大幅な学部変更、学科変更がありますので、どういう研究の体制を残すかという保障は、今のところどの部門をとってもありませんから、そういうことは恐らくどこを残すとはいえないんだと思うんですね。 そして新たにつけ加えるものとして、語学については、これが一番大きく変更されるからお答えになったと思いますが、今度の大学の教育の特色でもありますように、実践英語など英語を中心とした語学教育こ一部、言語学にも入っていますが、非常に実践的、話す・聞く・書く・読むを徹底習得させるということを中心に語学教育が再編成されるということは間違いないようです。これが、一部のマスコミだとか学内の関係者からNOVAにするのかというようなことがいわれている内容かと思いますが、私の理解では、語学教育というのは、一つの国の言語をなしてきた歴史や文化、またその言語を操ってといいますか、使っての最も高い水準の結晶である文学、そういうものを学問として研究する分野だと。 都立大学はそこにおいて国際的にも国内的にも極めてすぐれた実績を持っている評価されているというふうに認識していましたが、その部分について、今お話しのとおり、最も厳しい切り込みをかけて解体するということにほかならないと思います。 したがって、私は都立大学のよさを残すという請願の趣旨を正面から受けとめるならば、人文学部こそきちんと残し、さらに充実、発展を目指すというぐらいのことが都立大学の改革の方向としてあってしかるべきだということを申し上げておきたいと思います。 それから、学習・研究の条件の保障について、これまたごく当然の院生・学生の勉学条件の保障の要望がありました。これについては、常識的にいって、やりますというふうに今までも本部は答えてきたと思いますが、先ほどの改善の条件が出されました。 それでちょっと補足してお聞きしたいんですが、つまり平成二十三年以後、大学院などに残る方について、大体都立大学なんでしょうけれども、現大学の教育課程を保障するというふうにしたそうですけれども、教育課程というのは、まず指導教官とか、それからカリキュラムで構成されているわけですが、人、学科、研究のシステムというものについても保全されるのかどうかということをお聞きします。 ○大村参事 現在の大学の学生さんに対する卒業するまで責任を持って現在の大学の教育課程に沿った授業科目を提供するということでございますけれども、その具体的な内容といたしましては、新大学の授業科目を旧大学の授業科目に読みかえたり、講義の内容によっては読みかえ不可能な授業については、必要に応じて当該学生向けに一部科目を開講するなどの方法が考えられるところでございます。 いずれにいたしましても、現大学に在学している学生が卒業するまでは責任を持って現在の大学のカリキュラムを提供するものでございますけれども、ただ、このことは、現在の大学の教員による指導体制を残すということとは必ずしも一致するものではございません。既に、普通の場合でも、大学院において教員の割愛とか退職という事態がありまして、その場合は組織的に対応するなとの措置をとっておりまして、新大学においても同様な対応をするというふうな形になるものでございます。 ○曽根委員 もし二十三年以降の扱いが、新大学のカリキュラムではめ込めるものは読み替えてはめ込むということが基本であるならば、これは教育課程の存続ではないというふうにいわざるを得ないと思います。それから、教員の指導体制については、確かに今でも、また今までも、教員には退官もありますし、また転出もあるわけで、そういった場合にどういう保障をしてきたのか。 これはもう既に何年か前から教員の補充がされないために崩れてはいますけれども、それまではまず研究講座や研究室の中で、その先生が抜けた場合、後にそれを埋める、水準を落とさずに埋めるだけの先生はいるのかということを学内で調整し、どうしても学外から招へいする必要があるとなれば、そこにかかわる教員の人たちが話し合って候補者を挙げて、どんなことがあっても今までの研究より落とさないような方を招くという非常に手間暇かけて研究の質を守ってきたというふうにお聞きしました。 こういう体制が守れる保障は今のお話ではないと思います。 私はやはり今の都立大学の、院生の人たちが受けている教育のシステムがあってこそレベルがあるわけで、このシステムをきちんと保障するということを強く求めておきたいと思います。 それから管理本部に対して、学生やまたは院生、それから教員の人たちも、なかなか直接意見を聞いてもらえないと。 先ほど、教学準備会には、十人ぐらいですか、教員の方の代表が出ているという話がありましたが、学生や院生も含めれば、大多数の大学構成員にとっては、管理本部に意見を出したり、またそれを反映させる道がほとんどありません。 要望の多くの項目の中でこのことを強く求めているわけです。開かれた協議というのは、そういうことだと思います。 まず学生については、直接学生の意見を聞くという場を持ってしかるべきではないかと思いますが、本部の見解はいかがでしょうか。 ○大村参事 現在の大学につきましては、直ちに廃止をして新大学に移るということではなくて、現在の学生さんが現在の大学の名前を持ったまま、授業科目も含めて平成二十二年までは存続するということでございますので、現在の大学の方で、これにつきましては基本的には現在の大学の状況、そしてそれぞれの学生さんの状況を見ながら指導していただいて説明していただくというものかなと思っておりますので、私ども現在の大学の方に学生さんに直接私どもお話しするということではなく考えてございます。 ただ、逆に、現在の大学の学生さんたちに先生たちがいろいろやっていただいた中で、問題が起きれば挙げていただいて、いろんな不満も検討し、またそれをフィードバックさせていただいて、より問題を少なくするようにしたいと考えてございます。 先ほどの平成二十三年以降の取り扱いについても、そのような中から出てきたものでございますので、そのような体制でいきたいと考えてございます。 なお私どもは、新しい大学、これは新しい大学の学生さんが今度新しく入ってくるわけでございますから、それについては、私どもは受験生や受験指導をされる方については直接説明する責任があるかなと考えてございますけれども、当面、現在の大学の学生さんについては、大学を通じてご説明をしたりご要望を聞いたりしていただければというふうに考えてございます。 ○曽根委員 それでは二つの点でちょっとお聞きしたいんですが、一つは、現在の学生の勉学諸条件。都立大学のですね。これは新しい大学がもし発足しても残るという意味では、その学内で解決をするということで直接やってほしいというお話でしたが、それにしても、勉学諸条件を保障する大もとの予算とか運営の基本については大学管理本部がつくっていくわけで、皆さんからしても、大学側が管理本部の意向を学生にきちんと伝えているとはいえないというお話が盛んにあったし、学生側が、じゃあ大学に意見をいえばそれが本部にきちんと伝わるのかということの保証も逆にいえばないというふうに考えた場合、学生さんたちが、今の大学の自分たちの置かれている条件の問題の改善などを本部に要望するというのは、どういう立場に立っていても常識的にあり得ることだと思いますが、この点は、それでもやっぱり直接意見を聞いたり、また説明したりすることはしないのかどうか。 もう一つは、学生や、また大学院生もそうですが、新しい大学、どういうふうな大学をつくるのかということについての意見を本部として聞くというルートについて、今、全く話しが出ててなかったんですが、全くこれは拒否しているわけですか。いかがですか。 ○大村参事 一点目につきましては、大学の方でやはりいろいろ今ある問題点というのも全部掌握していただく必要がございます。 そして新しい大学ができるときに、併存するときにどういう問題点があるだろうかも含めまして、それぞれの大学の事情、学生さんの事情もよく掌握しているわけでございますので、現在の大学のところでまず今の現在では掌握していただいて解決をしていただく。 それに対して、必要があれば私どもに挙げていただいて、いろいろ考え、必要な改善点があればそれを改善していきたいというふうに考えてございます。そういう意味で、まず一義的に、今の段階では各大学の学生さんは各大学の方にしていただければと思っております。 先ほどの学習保障の見直しにつきましても、現在、例えば都立大学のホームぺ−ジでも丁寧に出していただいておりますし、何か問題や意見があれば大学の教員や事務局の方に知らせてくださいということで、大学の方でも一生懸命やっていただいていますので、そういう形で学生さんは大学の方に次々と、いろいろ問題があれば、あるいは意見があれば出していただければと思っております。 なお、新大学につきましては、私ども新大学に入る方、新大学の対象になる方についてがターゲットでございますので、今いる学生さんについては今いる大学としてどうしようということについては、大学を通じていろいろ積極的な意見をいただければと思いますけれども、新しい大学は新しく入ってくる方の大学でございますので、これについて現在の大学の学生さんから直接私どもが意見を聞くということは考えてございません。 ○曽根委員 一点目だけ、もう一回ちょっと確認ね。つまり、大学を通じて意見を出してほしいとか、改善要望を出してほしいよ、それはいいですよ。しかし、ちゃんと伝わっている保証がないから、直接大学管理本部に、学生もしくは学生の団体が要望したいというときに、それを断る理由はあるんですか。私はないと思うんですよね、基本的に。それが一点。 それから、二点目はわかりました。つまり新大学をどうするかということについて学生の意見は聞かないということですね、学生・院生の意見を。聞く耳は持たないということですね。一点目についてお答えください。 ○大村参事 一点目につきましては、そういう形で、私どもに例えば来ていただいても、個々の事情を私ども承知しているわけではございませんので、十分それに対して対応できるわけではございません。 どういう背景で来ているとかどういう状況にあるというのは、やはり大学の方が承知しておりますので、来ていただいても、そうですかというだけで聞き置くだけになってしまいますので、それでは意味がありませんので、やはり基本的にはまず今ある大学の方で、どういう問題があるかも含めて整理をしていただいて、そしてその中で改善の必要があれば大学を通じて出していただくというふうに考えております。 そのような意味で、私どもは個々の大学の内容、そして学生の個々の置かれた立場について掌握している立場でないので、来ていただいて、いろいろ具体的な質問とか具体的な意見を出されても、ちょっとそれに答えられる状況にはないということをご承知いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○曽根委員 よくわかりました。 私ね、大学ってやっぱり学生がいなきゃ大学じやないんですよね。大学の学生にとってよりよく学べる大学にしようという改革のはずだったのが、その全くの当事者である大学の意見、学生の意見を聞かない本部が今やっていると。 すると、大学改革の本部というのは何のためにつくったんだと。学生の意見を排除するためにつくったのかと。だったら都立大学とか各大学でそれぞれ人を出して、四つの大学共同で改革本部をつくったっていいじゃないですか。その方が学生の意見が直接聞けるじゃないですか。わざわざ本庁舎にこれだけの人数の、またこれに何倍もするような職員を置いて本部をつくって、改革だといってて、当事者である一番の利益享受または影響を受ける学生の意見は、直接は聞きませんと。新しい大学についても聞きませんと。こんな改革本部はどこにあるかといいたい。いくら何でもほかの自治体で、そんな非常識なことをやるところはないと思いますよ、世界じゅう探したって。これはいっておきたいと思う。 法人化についてお聞きしたいんですけれども、法人化の問題で国会決議ありますよね。 先ほど既に飯塚部長から見解を述べられたので、つまり大学の自治とか学問の自由は、新しい大学の構成員において保障されるもので、現大学の構成員は別だというお話がありました。そうしますと、これについても新しい大学における学問のあり方、それからいわば運営のやり方の中でどのように大学の自主性、自律性が貫かれるのかということについての広く−一代表はもちろん一部出ているでしょうけれども、広く大学の教員の方々の意見を聞く、いわゆる民主制、そこでの大学の、いわば意見を出せる、それが反映できる自律性、これがどこで保障されるのか。現大学の構成メンバーのもと、特に教員のことについて。これについてお聞きします。 ○宮下参事 新しい大学の教学的な中身については教学準備委員会で教員も参加しながらやっているということは、先ほど来、大村参事が述べているとおりでございます。 それから、国会の附帯決議の中で、地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに、関係職員団体または関係労働組合と十分な意思疎通を行うと。 これに関する質問であるとするならば、現在、新法人の人事給与制度の構築に当たりまして、この国会の附帯決議の趣旨に沿いまして、これまで組合と接触を図ってきたところでございますが、今後とも組合との協議を重ねていく予定でございます。 また、経営準備室の構成員に、各大学の総長、学長の参加を得て検討を進めているところでございます。さらに、各大学からは人事任用制度の概要をお示しした後に、種々の疑問点、意見等を出していただきまして、それを集約いたしまして、回答をお示ししているところでございます。 そして今後の予定ですが、各大学に順次出向きまして、教員の方々に制度の説明を行うとともに、その場で建設的な意見等があれば、制度の詳細設計に当たりまして取り入れてまいりたいと、このように考えているところでございます。 ○曽根委員 最後の点はちょっと重要なので、改めて確認をしたいんですが、今後そうすると各大学に皆さんのほうで出向いて、そして教員の方々とも話し合いをしたいということでよろしいですか。何らかの形で。 ○宮下参事 先日、都立大学に赴きまして説明をしたところですが、その後、三大学につきましても、今、日程調整を行っているところでございますが、近々伺って意見交換等を行いたいと、このように考えております。 ○曽根委員 それはどういう形かというのはちょっと細かくはやりませんが、やはり、初めて、去年の八月一日以降、一部の先生だけを入れた委員会での論議を超えて、皆さんの方から、いわば何らかの話し合いの場を持つということは、一歩前進といえるかどうかはともかく、前に進むのかなと思います。 ただ、これがもうちょっと早く、少なくとも八月一日に構想を出す前の段階でそういった話し合いが持たれていれば現在のような事態には少なくともならなかったということは申し上げなきゃならない。 そして、もし話し合いを持つのであれば、この多くの要望の中で出されているように、やはり大学の自治を今担っているのは、教員でいえば評議会とか各学部の教授会、それから学生の自治会があり、院生の会もある、助手の皆さんの集まりもあるということで、それぞれの構成員ときちんと胸襟を開いて改めて話し合うということを求めておきたいと思います。 最後なんですが、これはもういい答え出ないので要望というか意見にしておきますけれども、新大学の設立の時点までに教員の身分、つまり雇用制度とか給与水準とか昇任昇格仕組みとか、すべて仕上げなきゃならないわけです。あと一年。 少なくとも四月の申請までに何らかの労使合意がされないまま申請されるということになれば大混乱になります。これはかつて、私も記憶にいまだに焼きついているんですが、父親が国鉄だったものですから、国鉄の分割民営化になったときに、やはり一千名を超える労働組合員が切り捨てられました。それから十七年間ぐらいたちますか、いまだに闘っているんですよ。 亡くなった方もいれば家族散り散りになった方や、もう悲惨ですよ。しかしまだ闘っているんです。まだ解決していない。 最高裁の判決でも、とうとう不当判決で負けましたけれども、でも納得していませんよ。十数年間引きずることになるんです、これ間違うと。 都立大学でそういう事態を招くと、後々に大きな傷を残し、そして新しい都立大学にもやはり大きな、なんていいますかね、やっぱりダメージが残ることは間違いありません。 こうした事態を絶対に招かない、労使合意に基づく身分のことだって解決してもらわなきゃならないんですよ。 そう考えると、ほんとに四月申請、来年四月開学できるのかと。今の話し合いの現状からいって、私は、はっきりいって、どう考えても難しいと思うんですよね。 そういう点では、ちょっと最初に戻りますが、意思確認書問題を含めて、改めて労使合意が成立していく、合意がされていく中で、意思の確認なんかがされるという、仕組みの上でも手続の上でも、段取りをきちんと踏んでいただくと。良識ある段取りを踏んでいただくと。改革を進めるならば、最小限それだけのことをやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 それから最後に、これらの請願、先ほど何度もいっているように、極めて真っ当な請願陳情の内容です。 私、これについて採決を求めるというような意見がほかの会派の方から出ていますけれども、もしこういう請願を議会として受け入れられない、のめないということになったらどういう事態かと。同じ文教委員会で、例えば都立高校の統廃合については二百以上の都立高校のうち半分ぐらいが統廃合の対象になって、今まで六年間やってきましたが、これに関する膨大な請願陳情のただの一つも否決されておりませんよ。その学校が、場合によっては廃止になって条例上消えてなくなるまでそこの学校を残してほしいという請願陳情には保留で対応してきたんです。これが文教委員会の誇りある歴史だと私は思うんだ。 一個も否定していないんですよ。それは「学校廃止やめてくれ」「撤回してくれ」というのもありますよ。しかしその、どれ一つも、やっぱりその学校を残してほしいという思いに、教育というのは多数決でやっぱりそれを断絶することはできないということで、私は保留でやってきたんだと思うんです。 それが文教委員会としての最小限の節度だと思います。 私は、都立大学に関して、もっと良識的で、ごく当たり前の要望に対して、当委員会がほんとに良識ある判断を下すように最後に呼びかけまして、質問を終わります。 |