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文教委員会2003年7月3日曽根はじめ委員の質疑

「心身障害学級を存続し、障害児教育は何よりも父母と現場の声を聞き、最大限尊重せよ」
*都の生涯教育改善検討委員会の中間のまとめ質疑*

●表題のとおりなら前進の可能性

○曽根委員 これまでもかなり質問がありましたので、ダブりを避けながら簡潔にやりたいと思います。
 今回の中間まとめは、国の検討作業とちょうど並行して行われてきた経過があって、資料でもいただきましたように三月二十八日には国の最終報告が出ているわけです。その中で、特別支援教育という名前、これも大変気になるところですが、しかしその中身はこれまでの養護学校や身障学級、通級学級などに通っている障害児に加えて、通常学級に六%程度はいるであろうADHD、LD、高機能自閉症をも、この教育の対象とすること。それで、一人一人の教育ニーズにこたえて教育的支援を行うというそれ自体は、それが本当に障害児の教育と正面から取り組むという立場で行われるならば、障害児教育をかつてなく大きく前進させる可能性を持っているということは確かだと思うのです。

●対象は4倍になるのに「既存事業の見直しで」の枠内か
 ただ、その規模はどの程度になるかというふうに考えると、現在、都内で養護学校に通っている児童生徒が七千五百人、身障学級、通級学級などが八千五十人ぐらい、合計一万五千人を超える子どもたちが通っている。これに対して、通常学級にいると思われるADHD、LDその他の子どもたちが、推定ですが四万五千人程度となっているわけですね。これを加えると六万人強の子どもたちを対象にした教育ということになる。
 これは、人数からいっても今までの四倍の規模を対象にした教育を行っていくということで、本当にまじめに一人一人について、値踏みをしないで教育をしていこうと思ったら、やはり、これはこれからのいろんな状況、実態調査も、きのうの本会議で話がありましたようにしなければなりませんが、今の養護学校や身障学級や通級学級にかけている教育の手間暇を四倍に広げるという覚悟が、私は要ると思うのです。そういう覚悟を持って取り組むのであれば、私は大いに歓迎だと思うのですよ。
 しかし、気になる部分がありまして、中間まとめの序章のところにも、それから終わりの文章のところにも、繰り返し、「現有の教育財産や人的資源を最大限に活用していくなど、現在の厳しい都財政を取り巻く社会経済状況を踏まえて、既存事業の見直しを行いつつ、より効果的な成果を挙げられるよう創意工夫が必要」だというような文章が出てきます。
 これは抽象的な言懐ですけれども、もし現在の障害児教育の予算や枠組み、人的な定数などを余りいじらない中で調整しよう、再編しようというのであれば、到底まかない切れない多くの子どもたちを抱え込む。
 そうすると、一人一人の障害児に対する教育が極めてレべルダウン、もしくは薄れてしまうんじやないかという危倶を持たざるを得ない。 これが私の第一印象なのです。
 そこで、まず盲・聾・養護学校の分野について、これは私どもの会派で、昨年十二月、第四回定例会の池田議員の質問も含めて、これまでも繰り返し求めてきた具体的な課題がありますので、その点を含めてちょっと質問したいと思うのですが。

●スクールバスや教室不足など待ったなし野課題は緊急に
 私もこの委員会で取り上げましたけれども、これまでも、例えば教員、教室の不足の問題。耐震補強がまだ不十分である問題やスクールバスの乗車時間が片道一時間半を超えてしまっている子どもが出ているという問題など、個々の待ったなしの課題について養護学校の改善を求めてまいりました。
 それから、青鳥養護久我山分校の本校化の課題、港養護のように隣のマンションのために昼間真っ暗になってしまうような養護学校の移転間題など、緊急の改善を求めてきました。
 これらの課題について、これは中間のまとめ、最終案を固めていくというのを待つことなく、どんどん取り組んでいく必要があるということは、ぜひ都教委の取り組みの姿勢として持っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 都教育委員会は、これまでもスクールバスの増車、あるいは教室の増改築、耐震補強工事、普通教室の冷房化など、緊急に対処すべき事項について適切に対処をしてきたところでございます。
 今後とも、盲・聾・養護学校の児童生徒の教育環境の整備に向けて、財政状況を踏まえつつ、創意工夫を図りながら適切に対応してまいります。
     
○曽根委員 これは中間のまとめや最終案を固めるまでもなく、緊急の課題として取り組んでいただくよう、改めて要望しておきます。
 それから、中間まとめの最終案を決めるまでに九回の検討会が行われているわけですが、私も各回に出された資料や議事録を一通り読ませていただきました。かなり膨大なものでしたけれども、その中で本当に関係者の方々が大変な労力をかけて検討してこられたということがわかりました。

●具体的目標がはずされたが後退は許されない
 しかし、非常に気になったのは、中間まとめの秦をまとめる手前の段階では明記されていた、例えばスクールバスの乗車時間を六十分標準とするという目標や知的養護などで足りない高等部の増設、病弱養護の高等部設置、これも前からの課題になっていますが、こういった目標がある程度具体的に書き込まれていた部分が、最終的には抽象的な表現になってしまったということがありました。
 私は、教育庁としては、この検討会の事務局として案をまとめる中で、実際の課題としてぶつかつている問題を出されたんだと思っていたんですね。ただ、中間まとめだから、最終的には方向を示して最終案まで待つということになったようなのですが、少なくとも出
されたスクールバス乗車時間六十分以内とか、病弱養護の高等部など、かねてから課題になっている問題については、この事業計画を具体化する中で目標どおり解決していくというふうに考えておられるのでしょうか。

○山際学務部長 中間まとめに関連してのお尋ねでございますが、中間まとめについては、四月に行った第八回の改善検討委員会におきまして、これまでの審議内容をもとにして素案を示し、審議を行い、委員長、副委員長を含む各委員からご意見、ご提案をいただいたところでございます。
 これらを踏まえて、事務局で整理し、委員長、副委員長の承認を得てまとめたものでございます。

○曽根委員 最終的には承認を委員長さんから得られたということだと思いますが、この中では、最終日、五月二十九日の検討会では、その前の素案の段階まであった、先ほどいったようにスクールバスの乗車時間の目標なんかがなぜ消えちゃったんだという意見が委負からも出されていて、これは、方向性ですからというお話があったんだけれども、少なくとも前の段階で、素案の段階で載せた以上は、これは前向きに考えているんだよということの表明として受け取っていいんですよね。

○山際学務部長 検討委員会は、あくまでも今後の二十一世紀の心身障害教育の基本的方向について諮問をし、答申をいただくということでございまして、具体的な施策の方向を義務づけるような内容では、答申の方向としては違うのではないかというようなお話をし、ご理解をいただいているところでございます。

○曽根委員 これ以上やりとりしても、らちがあかないのですが、二十一世紀の方向も結構なんですが、しかし、一たんこの検討会に事務局としてここまで考えているんだよという案が出ているわけですから、少なくともこれからの具体化の段階でこれが後退しますと
いうようなことは絶対ないようにしていただきたいと思います。

●寄宿舎の役割認めて存続を
 それから、寄宿舎については先ほどお話があったので、私も繰り返し質問はしませんが、十二月の検討会で、本当に当事者の、関係者の方から、委員の中から、これはコストの問題はあるけれども、教育的に非常に重要な施設である、役割を持っている、今日的役割があるんだということが強調されて、これを否定する発言は、少なくとも委員の中からはほとんどなかった。
 恐らく教育庁の側からは報告として、通学時間が延びる、長過ぎてという問題は解消されているというお話はありましたが、教育に現場でかかわっている方や父母の方からは切実な訴えがありましたので、これをぜひ尊重していただきたいと思います。

●養護学校は、増設が避けられない
 それから、これも私ども前から取り上げてきたことなんですが、養護学校は知的養護を初めとして、その学校自体が、子どもたちの増加によって、また対象や役割の拡大などよって、私はどう考えても増設が必要だと思うのです。
 これから、適切な規模、配置を考えていくということですけれども、その中で、例えば通っている子どもたちも平成八年の六千四百人ぐらいから、現在もう七千五百人近くなっている。千人近くふえているわけですよね。これからもふえていくでしょう。
 養護学校に今、通っているような子どもたちを通常学級に戻すようなことがない限りは、養護学校自体は、ふえているわけですから、増設しながら中でどうしていくのかということを考えざるを得ないと思うのですが、この点では、増設を含めて、今後再編を考えていくのか、お聞きします。

○山際学務部長 都立盲・聾・養護学校の再編整備に当たりましては、各障害種別の在籍者数の状況や、あるいは適正な学校配置の視点等、総合的な対応が必要でございまして、今後の最終答申を踏まえた上で増設の必要性も含め、検討をしてまいります。

○曽根委員 私は、やっぱり今のキャパシティーでは到底間に合わないということがはつきりしている以上は、これの最終答申による事業計画、具体化、また法律の整備を待ってとなれば、一年、二年はすぐ過ぎてしまうわけなので、待ったなしの課題として、増設は
今からでも計画をすべきだと思いますので、申し上げておきたいと思います。

●「総合化・地域化」の実態は
 それから、今後の方向の問題で、まだ抽象的ではありますが、盲・聾・養護学校の総合化というような方向が出されています。また一方で、地域のセンターとしての役割というものが強調されているわけです。それには、やはり新たな役割を持たせるわけですかどこまで総合化するのか。つまり、いろいろな種類の障害の種別の子どもたちを学校に通わせていくのか。クラスまで同じクラスに、そこまで混在させるのか、そういう問題や、それから、地域のセンターの役割を果たすといえば、相談窓口その他ができてくることになりますが、そのための人材は、新たに配置するのか、今の定数の枠内でやっていくのか、どういったところまで検討がされているのでしょうか。

○山際学務部長 総合化の問題とセンター化の関係の二つの質問があったと思います。
まず、総合化についてでございますが、中間まとめにおきましては、障害の重度・重複化、多様化に対応するために、複数の障害種部門を併置した学校の設置について提言をしているところでございます。
 都教育委員会では、国の動向や改善検討委員会の最終報告を踏まえて、具体的なあり方について検討してまいります。
また、地域のセンター機能としての養護学校に必要な人材の扱いについてでございますが、今後の最終報告、あるいは国の動向、都財政の状況などを踏まえて慎重に検討をしてまいります。

○曽根委員 まだこれからの検討のようですけれども、実は、国の検討が進む中で、その検討委員会に入っている京都市の障害児教育の担当者、この地元のところで既にモデル事業が始まっているということで、私も現地に行って調べてまいりました。
 京都市は市立の養護学校が、今度四つ目ができて四校になる。来年度からは、モデル事業として知的障害と肢体不自由を四校とも全部混在させた学校になる。総合化の学校になる。
 どこまで混在させるのかと思ったら、一つのクラスの中に、重度・重複の子どもたちが多いですから、三人ないし四人ですけれども、その中にも片や肢体不自由で車いす、片や多動の知的障害という子どもが同じクラスの中で一緒に授業、指導を受けるという状態を今からモデル的に始めているということでした。
 担任は先生が一人、副担任はなし。トイレなんかのときには、当然行き方が違うわけですよね、車いすの子どもと多動の知的障害児ではね。
 もう大変らしいんですね。しかし、そのときは、必要なときに応援を呼ぶだけで、一人の担任が基本的に責任を持たなきやならない。東京都から研究授業などを見学に行った先生は、もう、何が起こるのかはらはらして、本当に怖くて見ていられなかったというお話だったんですよ。
 そういうことが既にモデル事業で、国の検討会のメンバーの担当のところで始まっているということで、私はやっばり総合化というのは、本当に子どもたちの、障害児の教育にとつてプラスになるかどうかについては、東京都で考えていく場合、相当慎重に考えていただきたいということを、これはこれからの検討ですから、お願いをしておきたいと思います。

●身障学級はなぜ検討の途中で解消とされたのか
 さて、次に身障学級の問題で、これは先ほど来お話が出ているように、今まで質問をされた三人の方はいずれも、私もそうなんですけど、ファックスや手紙やさまざまな形でご連絡を受けて、身障学級がなくなってしまうことのないようにということを要望を受けております。
 大変な不安が広がっていて、けさもファックスが来たのですが、身障学級を残してほしいという陳情署名、もうこれはまもなく出されると思うのですが四万二千筆を超えたというお詰もいただきました。
 わずか一カ月ちょつとの間にこれだけの心配の声が上がっているという点では、このことは本当にその方々の声を生かしていかなきやならないと痛感しています。
 それで、今までもご質問はもうありましたので、私は、一つだけ、検討会の中で、経過についてちょつとお聞きしたいのですが、一月二十八日に、素案のたたき台という形で出された、今後のあり方の中間まとめ、この中には都の説明の中にこういうくだりがあります。
 「特別支援学級・教育のあり方としまして、国では、特別支援教室としているが、東京都では学校の配置状況や交通手段、心身障害学級の実績等を勘案すると、特別支援学級(現在の固定の心身障害学級) と特別支援教室 (現在の通級指導学級を改編した教室)が必要ではないかと考える。そして、この特別支援学級・教室を強化充実するために、校内委員会の設置や特別支援教育に対する方針の提示や特別支援教育コーディネーターの指名とその養成などが必要である。」

 これは明らかに特別支援学級、つまり今の心身障害学級を、名前は変えるけれども固定学級として残しつつ、それに加えて特別支援教室もつくるよという方針・考え方を、都の側から提示していたという経過があるわけなんです。
 それが四月二十五日の素案の段階では消えてなくなって、固定式のいわゆる心身障害学級は、それにかわる特別支援教室に移行するとされた。
 これはやっぱり不安になりますよね。
 一たんは現状の成果を認めて学級を残すとしながら、なぜ最終段階でこれが落ちてしまったのか。国の方針が間に出ているわけで、私は国の影響かなと思うのですが、その点、いかがでしょうか。

○山際学務部長 改善検討委員会の初期の検討段階におきましては、従来の固定学級に近い形態を特別支援学級、通級学級に近い形態を特別支援教室という形で整理をしてきましたところ、検討委員会の委員あるいは幹事から、両者の考え方が非常に理解しっらいという意見が多数ございました。特別支援教室では、従来の固定学級のように、週の相当数の時間を指導する形態も可能であることから、委員長、副委員長と協議した上で、特別支援教室という言葉に統一したものでございます。

○曽根委員 確かにそういう発言があったんですね。すると一転して、この学級を解消して、支援教室一本になった。
 しかし、これが私は東京の場合には大きな混乱のもとになるというふうに懸念するのです。
 他県を見ますと、京都やなんかも含めて、小中学校に置かれている身障学級は大体その学校ごとにつくって、その学校で一人か二人対象の子どもがいれば、学級に先生を一人つけるという形でつくられている県が圧倒的なんです。
 東京は、そういうのと違って、拠点方式の学級をつくっている。
大体八人ぐらいですかね、そういう定員でつくっているということで、やっぱり東京の実績やこれまでの歴史がある。
 この中でつくられた成果を東京都も評価しているわけですから、これを基本的に解消するというようなやり方が、国の全体の流れに合わせて行われるということがあって、私は、非常にやっぱり地方自治体としての独自の考え方に基づくこういう方向を出していく上では、極めて大きな問題を残すだろう、禍根を残すだろうというふうに思うのですね。

●「教室」と「学級」は本質的な違いがある
 私も心身障害学級、中野の身障学級を見学させてもらつたのですが、やっぱり「教室」というのはいろんな形を工夫してもーつの「器」だと思います。
 しかし、学級というのは、そこに通う子どもたちの、だれだれちやんの決まった机があり、いすがあって、ロッカーもある。遇番、日直が決まっていて、朝のあいさつは、きょうはだれの当番というふうに、クラスの一つのまとまりの中で運営されていくわけです。朝夕は、最後はみんな集まって、そこでまたお昼も食べたりするという、これは「器」ではなくて「場」なわけですよね。学びの場だと。
 これは本質的に、例えば特別支援教室が、仮に週の多くの時間をそこで子どもが過ごすことができたとしても、そこにはその子だけの決まった湯があるわけではないという点では、本質的な違いがあると思うのです。
 しかも、学籍はやはり通常学級の方に置かれているという点で、私は、書イL原・せ卜今の身障学級が果たしている役割がなくなってはいないということが成果としてはつきりしているのであれば、これを解消して、全部を特別支援教室にするのではなく、いってみれば、支援教室の形で、新たな教育の場所をつくり、支援のシステムをつくるということが必要な子どもも当然いるでしょうから、それを加えていくということが、私は東京のとるべき方向だということを申し上げておきたいと思います。
 それで、(「答弁が出ているじやない、もう」 と呼ぶ者あり) 混乱するから、なるべく時間を簡潔にやりたいものですから。(発言する者あり) そんなことないですよ。

●区市町村ごとに説明会を
 それで、この身障学級の問題を検討するときに、検討会に身障学級を設置している学校の校長先生がいなかったというのが私も大きいと思うのですね。
 したがって、これからの最終段階に向けて、一つは身障学級を置いている学校の校長先生ほか、教員、父母の方々の意見を、やはり今までできなかった分を十分に酌む必要があるということが一つと、それから、やはりこれは各区市町村に置かれていますので、したがって、大変でしょうけれども、各区市町村ごとに、少なくとも説明会を持つということが東京都の責任として必要だと思いますが、またそこで意見も聞くということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 中間まとめにつきましては、さまざまなツールを通じて都民への周知、あるいは意見聴取に努めておるところでございます。
 ただいまの小中学校、あるいは身障養護学校についての説明についてでございますが、これらにつきましてはP T Aの会長とか、あるいは校長会の役員の方々に内容に関する説明を行いまして、これらの代表者の方から、各学校長あるいは会長さんに説明していただくというような形で対応を行ってきたところでございます。
 今後とも、校長会等とはいろいろと意見の交換をする機会もあろうかと思いますが、そうしたときに、例えば要望があったというようなこともあるわけでございまして、そうしたことについては可能な限り対応をしてまいります。

○曽根委員 区市町村それぞれにありまして、しかも、全部合わせると五百校ぐらいに配置されているわけなんで大変だと思いますが、少なくとも区市町村単位で説明会をやりたいから、都から説明に来てくれ、または意見を聞いてくれといったときには、今のお話のように積極的にそういう場を持っていただきたいというふうに思います。
 
●LDやADHDの子どもたちの通級学級も存続が必要
 通級学級の方も、これは意見にとどめますけれども、私、北区にある桜田学級という、これはA D HDやL Dの子どもさんが通っているところに行って、担当の先生の話を聞いてきたのですが、その先生は、もともとはl一十年ぐらい普通の小学校の先生をやって、そ
れから五年ぐらい身障学級の先生をやって、それから桜田学級という学習障害、多動性障害などの発達障害の子の担当をやって三年になる。やっぱり全部違うそうなんですよ。
 身障学級の子どもたちと、それから、もちろん養護学校の子どもたちも違うし、また、それとも違う形で、通級でなければ学ぶことのできない子どもたちが、北区ですけれども、全体で二十三人、小学校で通ってきている。
 例えばLDでは、ある、例えば算数なら算数だけできない。ほかの科目は全部普通どおりできるし、決して知能が劣っているわけじやないんだけれども、算数だけできないためにどんどんどんどん追い詰められていって、それで学校に行けなくなってしまう。
 そういう子どもの指導、そういう子どもたちが集まってきて、そこには小さい体育館がついているのですが、いろんなゲームやスポーツなどを通じて、自分がいる場所と、それから仲間と、その仲間の中で、その先生はヒーローといっていましたが、自分がヒーローになれる場所がある。そのことがその本人の自信になる、生きる力になって、将来的には大きな力を、能力を発揮する、その土台ができていく。そのためには、通常学級の中だけではできない、自分が主人公になれる場所がどうしても必要な段階がある。
 そういう子どもたちが、数は限られているけれども、いて、そういう子どもたちにとつては、この通級学級でなくてはならないという話をされていました。
 私、そういう子たちというのは、一定数いるだろうなというふうに思います。そういう点で、今までつくつてきたいろんな場があります。それは、決して多くはないかもしれないけれども、そこが必要だからこそ、今、通ってきている子がいるわけで、それを簡単に、何か新しい形だということでそっちに流し込むということだけは、慎重に考えて、避けていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 
 引き続き十月の最終答申ということでしたが、私は、都民からのさまざまな意見が出れば、場合によっては時期もおくらせてでも十分慎重な検討が必要だ。恐らく東京の障害児教育の百年の計を決める大きな転換期です。
 三十年近く前ですけれども、全員入学を決断したときの、すべての障害児に学びの場をという決断のときと同じぐらいの決意が必要で、そのためにも多くの方の意見を尊重して、特に今、一番問題の身障学級に通わせている子どもさんの親、また、先生たち、関係者の意見を尊重して進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。


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