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2002・3・19 文教委員会(教育庁予算・議案)議事録本文

●国旗・国歌問題は、生徒の心の自由を保障すること

○曽根委員 私からは、ちょっとテーマがいくつかあるので、順次やっていきたいのですが、それに先立ちまして、先ほど小美濃委員の質問の中で、今度、国旗・国歌として法制化された日の丸・君が代の卒業式などでの扱いの問題のお話がありました。私も小美濃委員の実体験ということで大変印象深く聞いたんです。私の素直な印象を申し上げると、やっぱり高校生は、もういろんな社会の問題にも関心を持っていく世代ですから、その高校生の人たちの心の自由をどう保障するのかという問題としてとらえる必要があると思うんです。小美濃さんが、この君が代以外は非常に感動的な卒業式だったというふうにお話しになったので、素直にとらえれば、やっばりその卒業した子どもたちは心の自由が侵されていたということはないんじゃないかと。
 その君が代のところだけが、何というか、おかしければ、見ていて大体わかるわけで、私は心の自由が守られているからこそ感動的な卒業式を行って、巣立っていったんじゃないかなというふうに思います。( 「そうじゃないよ」と呼ぷ者あり)そういう点で、それは私の素直な印象なんです。
 いずれにしても、学校教育の中で特定の思想や何かで子どもたちが侵されるのではないかということを心配する人は、いろんな角度からあるわけです。したがって、本当の意味で子どもたちが伸び伸びと必要な学力を身につけ、教育を受けるにはどうしたらいいか。
 これは、私は、後に出されたストライキの問題なんかも含めて、タブーなく大いに議論していくべき問題だろうというふうに思います。

 確かに、法を守らなければならないというストライキの問題が現にあります。(「当然だよ」と呼ぶ者あり)同時に、戦後五十七年たっても、いまだに公務員に労働基本権が認められていないという国際的におくれた現状もまたあるわけで、( 「司法判断が出ているんだ、司法判断」と呼ぶ者あり)その克服が急がれていることも私は当然だと思うんです。

 それと同時に、私は、形式論ではなく、学校の現場で先生方がどういう状態に置かれ、本当に教育に打ち込める状況になっているのか。それを解決するために一労働者、一教育専門家として誇りを持って、いわばいいたいことをいい、自分の権利を守ることができるよぅになっているのかということについて、やっぱり実態から語っていきたいし、また話もお聞きしたい。
 いつも卑近な例で申しわけないんですが、もう学年度末になりますので、毎晩、私のかみさんも遅くなって帰ってきます。通信簿を家に持って帰るようなことになったら、万が一にも途中でひったくりに1私のかみさんも途中で自転車でひったくりに遭ったことがあるものですから、絶対に持ち出せないんです。そのひったくりの被害に遭ったら、それでもうテレビと新聞に名前が出て、その先生は終わりですよ、たとえ一被害者という立場であってもね。ですから、それは全部学校でやらなきゃならない。学籍簿なんかも特に大変です。
 ですから、学年末、学年度末になると、大体九時、十時、十一時と学校に残らざるを得ないという事態になり、最近は学年度末じゃなくて、これが常態化している、日常茶飯事になっているという状況です。それでもって翌日の授業の準備をまじめにやろうと思ったら、何時になったら家に帰れるかわからないと思います。したがって、どうしても学校でやらなきゃならないものはやって、あとはふろしき残業をやっているわけです。したがって、こういう状態で本当に教育に打ち込めるのかどうか、ここの実態から私は出発したいと思っています。ちょっと長くなるとあれなので、質問に入ります。

港養護学校の環境を守って

 さて、それで、最初に養護学校の関連で、二つの緊急課題について質問したいと思います。
一つは、港養護学校の日照権問題です。
 最近、港養護学校の関係者から遠路がありまして、隣にありました政府の港湾合同庁舎跡を民間業者が購入して、四十階建ての超高層マンションを建設する計画が浮上している。
これによって、港養譲学校の午前八時半から午後三時くらいまでの日照がほとんどなくなってしまうということが心配されているそうです。東京都は、この計画についてご存じでしょうか。

○比留間学務部長 港養譲学校敷地の南側に隣接する国有地が民間に売却をされまして、高層マンションの建設計画があるということについては承知してございます。具体的な建設計画の詳細につきましては、今後正式な説明が学校に対して行われる、このように伺っております。

○曽根委員 こういうのは現場に行かないとわからないものですから、行って、写真を掘ってきました。(写真を示す) ちょっと遠い方は見えにくいかもしれませんが、ここの向こう側はもう運河でして、その運河べりにあるのが港養譲学校で、ちょっと白い線で囲ったんですが、こういう低い建物の学校です。築二十数年だそうです。ここにある合同庁舎跡のビルがそのまま残っていて、間もなく取り壊されて、これぐらいの高さのマンションが建ちます。これだけであればお昼ぐらいまでで日照は回復するわけですが、既にここにマンションが一つあるわけです。ちょうどこの二つのマンションの関係で、十二時ごろにこのマンションの影が切れたときには、次のこのマンションの影がかぶってきて、午後三時までの日照がなくなってしまうということになるそうです。
 したがって、この環境を守るためには、教育庁としても当然法律は守って計画しているんでしょうけれども、既にある高層住宅の影響を受けるという点も含めて、建設業者に対して養護学校の通学生の教育環境を守るという立場で全力を挙げていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○比留問学務部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、今後、正式な説明が学校に行われる予定になっておりますので、その正式な説明を受けまして、具体的な対応を図ってまいります。

○曽根委員 ぜひ子どもたちの立場でやってもらいたいんですが、この学校のちょうど裏側、この写真を撮った裏側に玄関があります。逆光になってちょっと見えにくいんですけれども、玄関の前は産業道路といいまして、非常に車の激しい通りで、それから、すぐ目の前に東京モノレールが通っている。こちらにあるのは新幹線、それから湾岸道路がこのすぐそばに高架で通っている。物すごい交通量です。騒音が切れるときがありません。私は日曜日に行ったんですけれども、それでもごうごうたるものです。
 前に私も決算委員会か何かで、この学校のスクールバスの出入りが極めて危険だということで、ここに警戒灯といいますか、黄色いランプをつけるのをお願いして、今見たら、ついていました。
 しかし、今回、マンション問題で環境を守るために頑張っていただきたいんですが、どう考えてもこれ以上、この養護学校の環境がよくなるとは思えません。前々から、こうしたことから移転の要望が出ているようなんですが、これについては検討はどうなっているのでしょうか。

○比留間学務部長 港養護学校につきましては、今お話しのように、周囲を交通量の激しい幹線道路に囲まれているという状況がございまして、学校の教育環境や児童生徒の通学の安全等を確保するため、これまで学校と協議しながら必要な整備を行いまして、環境の改善を図ってきたところでございます。
 現在、郁の財政が非常に厳しい状況にあること、あるいは都心の周辺地域で必要となる校地が適切に確保できるかなど、いろいろ難しい問題もございますけれども、港養譲学校の教育環境の向上に向けて、移転も含めて今後総合的に検討してまいります。

○曽根委員 通学区域は港区だけではなくて、品川、大田の方がどちらかといえば多いように聞いていますので、そちらも含めて探せば、何とかいい場所が見つかるのではないか。
 少なくともここよりも環境がいいところを一日も早く見つけて、移転を実現させた方が子 どもたちにとってはよりよいのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

●片浜養護廃校のしわ寄せが・・

  二つ日の緊急課題は、養護学校の寄宿舎で、つい最近明らかになったらしいですが、寄 宿舎の指導員の方が、定数はもう来年度に向けて決まっているらしいんですけれども、急に欠員があちこちの寄宿舎で8名ぐらい出た。それが埋まらない見通しだという話を聞いたんですが、何とかして欲しいという陳情も受けたんですけれども、これはどうしてこういうことが起きたのでしょうか。

 ○中村人事部長 寄宿舎指導員の配置につきましては、平成十六年度、片浜養譲学校が閉校になることに伴いまして、寄宿舎指導員が解任となることが見込まれております。このため、新規採用職員による補充はできず、結果として欠員となっているという状況でございます。

○曽根委員 これはいろんな事情があるにしても、まだ二年先の片浜の廃校、これも私たちはこの問本当にいろいろ陳情を受けて、何とかならないかと私はまだ思っているんですけれども、それにしても、そこの寮がなくなると、そこで働いている指導員の方、養護学校の寄宿舎というのは限られた職場で、今度、寮母という名前から寄宿舎指導員と正式に名称も変わるわけですが、職種としては極めて狭い限られた範囲しかない。今度片浜がなくなると、初めて本格的な減員が出るわけです。それを都内に持ってこなきゃならないので、その方々を二年前の今から欠員にしてあけておくということですよね。それでなくた
って寮の指導員というのは限られているわけですから、ちょっと私はひどいんじゃないかなというふうに思います。 第一、片浜養護学校の廃校ということは決めましたけれども、その先の使い道、あの寄宿舎も含めて決まってしまったのならまだしも、まだたしか決まっていないはずなんですが、その点はいかがですか。

○比留間学務部長 片浜養護学校閉校後の跡地の利用計画につきましては、今後、関係部局と協議しながら検討をしてまいります。

○曽根委員 片浜の活用法はまだ決まっていないわけですね。あそこの寄宿舎の施設、食堂などを本当に全面的に活用しようと思えば、私は、やっぱり何らかの養護学校なり、障害児か病弱児の入れる寄宿舎として活用するのが、一番今までと同じような形で活用できるんじゃないかと思うんです。そういう点では、まだ今後もいろいろ検討の余地がある。               
 それから、都内に今欠員が生まれようとしている養護学校の寄宿舎ですけれども、実態
としては、それぞれかなり重度の子どもたちを扱っていると聞いております。寄宿舎のあり方については、今回減員という、定員が減るという問題が出たんですけれども、私は、やっばり父母の皆さんが要望しているように、寄宿舎全体として拡充が必要じゃないかと思うんです。確かに、かつての囲の基準でいう遠隔地からの通学が困難な子どもたちというのは、実態としては減っているかもしれません。しかし、重度の障害児の自立のためのいろんな訓練という点では、今、新しい時代で新しい役割を十分果たしていると私は思います。それで、ぜひ養譲学校のあり方として、この寄宿舎の充実ということを検討しても
らいたいんですが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 まず、都立盲・ろう・養護学校の寄宿舎の入舎の対象について申し上げますと、一つとして、通学困難と認める者、二つ目として、家庭の事情により入舎させることを適当と認める者、三点目といたしまして、教育上入舎させることを必要と認める
者、こういうふうになってございまして、寄宿舎の設置当初の大きな役割でありました通学困顛な者への対応は、交通機関の整備、スクールバスの増車、学校の新増設、こういったことに伴いまして大幅に減少している現状にございます。
 このため、寄宿舎のあり方につきましては、その必要性や果たすべき役割を含めまして、現状を踏まえつつ検討をしていく必要があるというふうに考えてございます。

○曽根委員 少なくとも、はるか昔の国の基準が現状に合わないからといって、今果たしている大変重要な役割を無視して後退させることがないように、実情にこたえた充実策をお願いしておきたいと思います。時間の関係があるので、次に行きます。

●養護学校制の5日制対策を 

学校週五日制に伴う対策については、私も前回の代表質問、それから文書質問のあれでもお願いしたことがあります。特に今回、養護学校の通学生の対応についてお聞きしたいんですが、地元の小中学校の障害児学級に通っている障害児もいますが、特に私が今度の
完全週五日制実施で心配しているのは、遠隔地の止蚕護学校に通っている重度の子どもさんたちです。地元にほとんど、いわば地域と結びつきがないわけですね。スクールバスで一時問とかそれぐらいかけて遠いところの学校に通っている。今度、土、日が完全に毎週休みになってしまうと、地域に出るのもなかなか困難。かといって、家庭だけではとても面倒を見切れない。今までは隔週で土曜日があったけれども、なくなるということで、父母の・方々からの心配の声が出ています。また、学校の先生からもそういう話を聞いています。
 それで、お聞きしたいのは、教育庁は、月二回土曜休みが実施された際に、七年前になりますか、区市町村に対して障害児の土曜日対策の事業に補助を始めたと思うんですが、現状はどうなっているでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 障害のある児童生徒の学校週五日制の対応事業の一つといたしまして、心身に障害のある児童生徒のための地域活動促進事業というものを平成七年度から実
施してございます。

○曽根委員 その事業が時間経過の中で終わりを迎えようとしているというふうに聞いているんです。たしか十二年度、二〇〇〇年度で新規の事業が打ち切りになって、今続いているところはまだやっているところもありますが、そういう計画になっているんでしょうか、その点を確認したいと思います。

○嶋津生涯学習部長 この障害のある児童生徒の地域活動促進事業でございますけれども、この事業につきましては、本来的にいえば、区市町村が地域の実情に合わせてなしてしかるべきものかというふうに考えてございます。しかし、この事業を開始いたしましたころ、まだ障害のある児童生徒の地域での受け入れ体制が未整備である、そんなこともございまして、東京都として先導的にこの事業をやる必要があるのではないかということでやってまいりました。しかし、それが今一定の定着を見まして、既に地元の自治体の方からは遠
う要望が出てまいりまして、地域活動を支える人材を養成する事業を行うことということで出てきております。そんな背景の中で、この地域活動促進事業については変要を考えているところでございます。

○曽根委員 違う要望が区市町村から出たかもしれませんが、教育庁が独自に月二回のときに始めた事業が間もなく終わる。今度は、毎週、少なくとも今までの二倍以上土曜休みがふえるというときに、それじゃ、新しい事業を何か立ち上げて、都立の養護学校に通っている子どもたちの地元でのさまざまな受け皿をつくることを支援するということに取り組むことが考えられているのかどうか。それとも、それじゃなくて別の事業を考えているのかどうか、新しい事業についてお聞きします。

○嶋津生涯学習部長 心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業でございますけれども、平成七年から始めまして、二十五の自治体にこの間実施をしてまいりました。先ほども申し上げましたけれども、それぞれの自治体はそれを継承して発展させていく、そういう形で今進められており、そういう点では一定の成果があったものというぐあいに考えてございます。
 それにかわるものとして、改めて地域の要望の強い、これからは地域活動を支える人材を養成する事業、そういったものに取り組んでまいりたいというぐあいに考えてございます。

○曽根委員 実際に、各区市町村は週五日制の対応で非常に今苦労しています。予算も相当つけてやらなきゃならないということで、北区なんかも先日の本会議で紹介しましたが、やっばり億の単位の金を積んで対応をやっています。そういう中で、まだ障害児の分野が非常におくれているわけです。したがって、これは囲や区市町村任せだけではなくて、都立の養護学校に通っている子どもさんたちの問題ですから、東京都が独自の補助事業をや
ってもらいたいと思うんです。
 そして、その中で一つお願いしたいのは、今、障害児の学童保育を取り組んでいる自主グループが都内にたくさんあるわけです。今までは地域福祉財団から補助を受けて頑張ってきましたが、今度、地域福祉財団が廃止されて、老人研究所でしたか、そこの財団と一緒になるわけです。補助は継続されるとは思いますが、今度、土曜休みについてもそういう自主グループが取り組もう、積極的に受け皿になっていこうと考えたときに、私はこういう趣旨からいって、教育庁が何らかの援助をしてもいいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業につきましては、都が区市町村への補助として行うものでございまして、民間の団体への直接的な補助を行うというものではございません。
○曽根委員 私は、都の社会教育団体の助成もありますから、民間団体に対しても助成は現に教育庁でも行っているので、また、福祉局は地域福祉財団というものを通じて援助をするというやり方もとっています。いろいろやり方は工夫できると思います。ぜひ、教育庁としての独自の障害児の土曜日の休み対策拡充をお願いしておきたいと思います。

●文化・スポーツ施設の利用料金制は果てしない値上げの要因に

次に、都民負担の問題で幾つかお聞きしたいのですが、一つは、今度、文化スポーツ施設を含めて全庁的な方針のようですが、利用料金利が導入されることが提案されています。また、これが導入されると同時に、利用料を改定しようとする動きもあるようです。
 この問題は、今まで、ほかの局ですけれども、例えば駐車場公社とか若洲海浜公園とか部分的には実施されていました。これを全庁的に広げるわけです。上限額を設定して、その範囲の中で知事の承認があれば利用料金が値上げもできる、いろんなバージョンもつくれるということのようです。これを文化スポーツ施設に適用することでどういう問題があ
るかという点で幾つか質問をしたいと思います。

 今までは、文化スポーツ施設の都からの出費というものは、一定の予算を組みますが、もし収入が、利用料金、使用料がその予定した額に達しなかった場合は、当然今出費している都の支出をふやして最後に精算をする。決算の段階で精算しますよね、これを全額精算方式といっているそうですが、今度利用料金制になった場合は、これは基本的にどういう形になるでしょうか。

○桜井体育部長 東京都は、文化施設、体育施設に対しまして、委託料という形で経費を支出してございます。
 ただいまの質問でございますが、利用料金制におきましては、委託料の額は施設の管理運営に要する経費から利用料金収入見込み額を控除した額となります。原則として精算を行わないために、利用料金収入見込み額を上回って収益が出た場合は管理受託者の収入と
 なり、将来に備えた内部留保や自主事業の原資に充当することなどが可能になってまいります。
 また、収入見込み額の未達成により損失が生じた場合、あるいは経費の増大により支出超過となった場合は、内部留保の取り崩し等により管理受託者が対応することになります。
 このような取り扱いにより、管理受託者の経営責任を明確にするとともに、自主的な経営努力を発揮しやすい環境を整えるものでございます。
 なお、当分の問は、従来と同様に委託料の全額精算を行うことを予定してございます。

○曽恨委員私も、やっばり当分の間、今の全額精算方式を行わざるを得ないという事情があると思うんです。つまり、利用料金制になりますと、東京都から出す額は、予算で決めたら、例えば六割出しますよと決めたら、その残りの四割は必ず料金収入で回収しなさ
いということになります。回収できなければ赤字になりますから、どこかから持ってこなくちゃならない。東京都は出さない。東京都は今財政事情が厳しいですから、こうすれば一定額の委託料を決めて、来年は財政事情が厳しいから一〇%シーリングということでどんどん減らすことが可能になります、全額精算しないんですから。残りはどんどんどんどん広がってきて、使用料を  今度は利用料金ですね  多く取らなきゃならなくなってくる。そういう東京都側の財政の切り詰めは、仕組み上は非常にやりやすくなると思うんです。逆にいうと、運営管理する方は大変なんですよね。もうかればいいですよ、蓄えが
できるから。しかし、今のご時世で、もうかるなどというのは、いろいろ工夫はするでしょうけれども、大変だと思います。
 文化、スポーツというのは、都民が生活を豊かにするために利用している施設であって、何しろ今厳しいですからね。豊かにしたくたって、食べるもの、着るものの方が大変だと
いう状況もありますから、やっぱりどうしても利用が渋りがちになる。そこに来て料金が、収入が減ったので個別料金を高くしなきゃならないということでだんだん上がってくる、私はこれは悪循環になりかねないと思うんです。
 具体的にお聞きします。最初に体育施設のことからお聞きしたいんですが、東京都のスポーツ施設については、利用料金の上限額というのはどういう基準で設定するのか。
 それから、あわせて、当面料金の具体的な値上げを、また改定を計画しているのかどうかをお聞きします。

○桜井体育部長 条例で定める利用料金の上限額でございますが、体育施設につきましては、事業運営に必要な経費として、人件費、維持管理経費及び設備の減価償却費をもちまして利用料金に反映させる原価とした上で、各施設ごとに算定した額を上限額としております。ただし、原価により算出した額が現行額と比較して一・五倍以上の乖離が生じた場合には、激変緩和の観点から、現行額の一・五倍を上限額と考えてございます。
○曽根委員 そうすると、具体的に、当面この上限額は設定をするということになっても、料金改定を例えばアマチュアスポーツ団体とか、やる予定はまだないということでよろしいのですか。確認だけしておきます。

○桜井体育部長 今回の料金改定に当たりましては、専用使用の場合の入場料等を徴収する場合及び個人使用の場合について原価まで改定するものとしたものでございます。先ほど申し上げましたように、現行額と比較して一・五倍以上の乖離があるときは、激変緩和の考え方から一・五倍までを上限額としてございます。
 なお、アマチュアスポーツに配慮いたしまして、専用使用の場合の入場料を徴収しない場合は、現行使用料の額を維持していく考えでございます。

○曽根委員 私は、スポーツ施設というのは非常に景気の影響を受けやすいところだと思
うので、各団体も厳しい中で料金を払って会場使用をしているので、こういう方々にさらに重い負担をかけることのないようにぜひ強く要望しておきたいと思うんです。
 多くの他県、他市などでは、例えば場沢市などで四十歳以上の市民の無料パスで健康体操などを取り組んだり、むしろ積極的に多く気軽に参加してもらうような企画もやっています。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 それから、文化施設なんですが、時間の関係で具体的にお聞きしますけれども、やっぱり一・五倍を条件とする利用料金や、それから、もう少し低い割合のもあるようですが、やっばり原価主義で導入されようとしているんですけれども、特に具体的にもう四月から、もしくは近々料金改定を予定しているというところもあるようですが、具体的な料金改定の文化施設の計画が出ているようでしたら教えていただきたい。

○嶋津生涯学習部長 四月以降の使用料等の件につきましては、東京都歴史文化財団とか、あるいは生涯学習文化財団とか、そういったところで管理受託者として検討しているということは伺っております。

○曽根委員 具体的には、どことどの施設が料金改定が見込まれているのでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 財団が検討している関係上、詳細はつまびらかではございませんが、例えば東京文化会館においては小ホール、あるいは東京都の現代美術館においては講堂、研究室、都の美術館においては工房、展示室などを検討しているというぐあいに聞いております。

○曽根委員 過去の駐車場公社の場合にも、最初はそこまでは行かないんだけれども、数年たつとたちまち上限額に張りついてしまうというのが今までの通例でした。今回も四月一日から上限額を設定した途端に、もう上げようという計画になっているようで、特に東京都美術館については、現管理者である生涯学習文化財団ですか、ここから三月一日付で利用団体に、まだ議会で何も審議していないのに、もう四月から値上げの見込みという通知が行って、関係者はびっくりして、利用団体の方々が問い合わせてみたら、いや、まだ審議がされていないのでということで、文書は間もなく撤回になったそうです。
 しかし、とにかく上げる勢いだということで、利用団体の方々が先日、東京都にも行かれたと思うのですが、私どもの会派にも要望書を持って来られました。
 とにかく絵画の美術団体もそれぞれ大変厳しいですから、特に美術品の搬送、搬入はこん包その他で大変費用がかかります。したがって、大変な費用をかけて全国から作品を集める、またもとに戻すという作業をやっているわけで、会場使用料だけは据え置いてもらいたいという強い要望がありました。東京都美術館を利用しているほとんどの団体の名前が恐らく連ねて出されたんだと思うんです。三十近い団体がリストアップされました。
 それで、この三月一日に出された文書が撤回されたというものの、一体何でこういうことが起きたのか、それから、今度は歴史文化財団が生文局所管でやるわけですよね。
 私は、三月二十八日に仮に議決されたとしても、四月一日から上げるのに三日間しかないわけで、しかも財団は一日から管理がかわるわけですから、その合間に値上げを検討し、決定し、周知するなどということは到底できないと思うんですが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 先ほども申し上げましたように、館の料額の決定につきましては、受託管理者であります財団が決定するものでございます。したがいまして、手順として申し上げれば、条例の施行日以降、東京都は財団からの利用料金の申請を安けまして、それに対して都が承認をいたしまして、各舘が利用者に通知を行っていくということを予定してございます。

○曽根委員 今のご答弁を再確認をしておきたいと思います。条例の施行日というのは四月一日です。したがって、もし仮に値上げの計画がその後検討されるとしても、その後であるということですね。この点は、管理も移らないうちに、もう値上げの問題を移るはずの団体の方で先取りして計画するなどということがあってはならないわけなので、このことは厳に申し上げておきたい。
 大体、もし四月一日に仮に上げてしまったとしても、利用料金の手続というのは、今度は実際にかかってくるのは東京都美術館は秋の申し込みらしいんですね。もう去年の秋から暮れにかけて、再来年度、十五年度の利用は全部決まっている。料金も、ですから現在の値段でやる。今度、ことしの秋に申し込むのは十六年度の利用らしいんですよ。そうすると、何か慌ただしく値上げを決定しても、実際の団体が払う段階というのは秋になるわけですから、もっとその前に利用団体との協議やーー大体この要望書を見ると、声をほとんど聞いていないようですよね。そういうことは当然あってしかるべきだということを申
し上げておきたいと思います。

●国と横並びの高校授業料値上げ反対。増収5億円はやりくりできるはず。

 それから、都民負担という点で、これは資料を個別にお願いはしたんですけれども、都立高校の授業料の、また入学料の値上げが出されていました0全体の影響額といいますか、都立高校全体で今回の改定によるどれぐらいの影響額があるのでしょうか。

○比留間学務部長 現在ご審議をお願いしております高校の授業料等の改定でございますが、平成十四年度における授業料の改定は新しい一年生のみが適用になるということでございますので、それに伴う増収分は約一億六千二百万というふうに見込んでおります。入学料の改定は、平成十五年度入学生からになりますが、実際の歳入は平成十四年度になりまして、それに伴う増根分が約五百万。合計いたしますと、十四年度初年度分といたしまして約一億六千七百万円というふうに見込んでございます。

 この改定は、授業料でございますけれども、学年進行で行いますので、全学年が適用になるのは平成十六年度になります。この十六年度がいわゆる平年度ということになるわけでございますが、この平年度の授業料改定分といたしましては約四億九千五百万、先ほどの入学料の改定分五百万円と合わせまして、合計で約五億円というふうに見込んでございます。

○曽根委員 五億円のいわば収入増になる、高校授業料、入学料の増額になると。この収入増を東京都が受け取ることによる財政的なメリット、それをまた当然還元してもらわなければなりませんが、しかし、払う側の高校生やその家族の負担感、私はそれを考えたら、今、私立に行けずに、都立高校を目指さざるを得ないという財政事情の家庭が非常に急増しているというときだけに、この五億円という負担を何とか都民にかけないで東京都が吸収できる道は、工夫のしようは幾らでもあるだろうと思います。
 時間の関係でこの程度にしておきますが、高校の授業料改定は国に合わせて行うようですけれども、こんなことで国に横並びにする必要はない、都民の立場や生活実態を見て、東京都として独自に判断していい問題だというふうに思います。

●都立図書館の蔵書処分に抗議。今後のあり方を問う

 さて、次に都立図書館の問題で、これは既に何度か質疑をしておりますので今後のあり方の問題についてを中心にきょうは取り上げさせていただきます。
 まず最初に、かねてより問題になっておりました多摩図書館の約十万冊の図書が、お聞きすると既に処分が実行されつつある、日比谷からの児童書の移転も既に大体終わりつつあるという段階にあるそうです。このことについては私、これまでにいった意見を繰り返しませんが、厳しく抗議をしたいと思います。
 大体「再活用」などと都がいえる立場にはないということを申し上げておきたい。再活用するのは受け取った方の区市町村であります。東京都はそれをあえていうなら再活用をお願いし、してもらったという立場です。本当の再活用というのなら、どういうことを考えるべきかということについては後でお聞きしたいと思うんですが。
 それともう一つ、私、取り上げてきて、まだ決着がついていないなと思っているのは、今後の問題について、あり方検討会報告の中で、日比谷図書舘のあり方について抜本的に再検討をするとなっております。
 今度ばかりは東京都内部で勝手に決めずに、しかるべく図書館協議会という法定の審議会があるわけですから、直ちに協議会を立ち上げて論議してもらう必要があると思います。日比谷図書館の今後のあり方について、図書館協議会に諮問をするなり、意見具申を求めるなりすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 都立の図書館協議会につきましては、来月四月のうちにはこれを設置して発足させたいというぐあいに考えてございます。その協議していただく中身でございますけれども、私どもといたしましては、この間の都立の図書館をめぐる論議などを勘案いたしまして、そのテーマを整理している段階でございます。

○曽根委員 今まで図書館協議会で取り上げてきたテーマの中には、日比谷のことも何度か含まれていると思うんです。しかも、あり方検討会では今後の検討というふうにゆだねられているわけですから、東京都として最も信頼すべき協議の場である図書館協議会に、これはテーマとしてお願いするということがあって当然しかるべき課題だと思うんですが、もし全く筋違いだというなら別ですが、可能性はあるということでよろしいでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 図書館協議会での議論の素材でございますけれども、二つのプロセスがございまして、一つは中央の図書館長から諮問をお願いするというものがございます。もう一つは、審議するテーマを委員の議論の中で決定して、それを図書館長の方に意見具申するという、その流れがございます。いずれにいたしましても、どういうテーマをいただくかについては、協議会の中で議論されていくことになるというように考えてございます。

○曽根委員 東京都が協議会に対して、昨年行ったような、全く協議会に何も示さずに、並行して内部で検討を進めるようなことをやらなければ、当然、今後の都立図書館、最も歴史の古い日比谷図書館のあり方については、都民の多くの関心もあり、新しい図書館協議会においても自然に論議があってしかるべきだと思いますので、このことを指摘しておきます。

 さて、それで今後の都立図書館が、いわば今まではバックアップ機能を多くの区市町村の図書館について果たしてきましたが、東京都内にある図書館の相互連携を図っていく上では、いずれにしても区市町村の図書館同士の相互連携が必要だということは、私以外の方々からも意見が出ていました。ただ、これがなかなか現状では進んでいない。そのネットワークをつくればいいのはわかっているんですね。わかっているんですが、なかなか進まない。このネックというのはどこにあるんでしょうか。○嶋津生涯学習部長 お答えする前に、先ほど図書館協議会について、何の相談もないというお詰もございましたけれども、私どもといたしましては、あり方検討会を発足するときに協議会にも報告し、その後、九月にも十月にも十分議論をいただいたというぐあいに認識してございます。
 さて、ネットワークづくりでございますけれども、確かにこのネットワークづくりにつきましてはネックがございます。
 一つは、自治体の間で持っている本の数、蔵書の数に格差がございまして、資料をお互いに貸し借りする際に、受益と負担のアンバランスが生じるということが一つございます。
 それからもう一つは、これから横断検索システムといったものをすべての図書館に導入していこうではないかということを私どもとしては考えているところでございますけれど
も、この横断検索システムは、インターネットを利用して、各区市町村の図書館の蔵書の中にどこに必要な本があるかということを検索するシステムでございまして、そのためには各図書館が持っているすべての本のデータを入力して、それをホームページの上に公開するということが必要でございます。そうなると、データの入力にお金がかかります。
 すなわち一定の財政負担を伴うということがございまして、これがもう一つのネックでございます。

○曽根委員 これは技術的には当然可能なはずですが、案外、費用の点でも負担が大きいし、手間の上でも大変だという実態なんだと思うんです。時間的には、やっばりある程度かからざるを得ない。したがって、都立図書館が今まで果たしてきた個別の区市町村に対するバックアップ機能は今後ますます重要になっていくと思うんです。
 少なくとも東京都内の公立図書館の全部のネットワークができるまでは、都立図書館が個別の図書館にない
本は提供するという関係が続いていくと思います。したがって、かねてからよくいわれてきた都立図書館には最後のよりどころといいますか、都民の図書館としては最後のよりどころとして、大抵の本はあるという、その役割といいますか、わかりやすくいえば、そういう役割を引き続き堅持していく必要がある。
 そこで、先ほど申し上げた再活用ということなんですが、私、いろいろ調べていてちょっと驚いたのですが、今年度、いわゆる図書の再活用事業といわれるもので、東京都立図書館が区市町村の図書館が廃棄した図書を都立図書館に引き取るという事業がやられていたということを知りました。最近始まったらしいんですが。もちろん東京都に蔵書があればダブっていますから、それは除いて、たまたま区市町村が廃棄するんだけれども、その本が都立図書館になかった場合、これは貴重な図書ですから、都立図書館は引き受けるという事業が始まっているそうなんですね。これを再活用といって
いるらしいんですが、この実績についてお聞きしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 区市町村の図書館の方で除籍をする資料の都立の図書館での再活用につきましては、今年度、平成十三年度に多摩の図書館で試行的に実施をいたしてございます。試行に当たりましては、三つの条件というか、考え方がございまして、一つは、区市町村から除籍した資料であるということ、二つ目に、都立の図書館の方で未所蔵、持っていないということであること、それから三つ目に、都立の図書館が将来にわたって行うサービスに必要な資料であるということ、これを考え方といたしまして、実績としては三つの市から二百二十九冊の図書を受け入れてきたところでございます。
 いずれにしても、収集率を高めるというのが私ども都立の図書館のスタンスでございまして、そういう一環としてこのことは試行したということでございます。

○曽根委員 公立図書館にとって、本を捨てなければならないというのは最も残念なこと
だと思うんです。しかし、区市町村の図書館で本を廃棄しても、それが都立図書館にない本で、都立図書館が引き受けてくれるならば、その区市町村も含めて都民全体がその本を再活用できる、これが本当の再活用だと私は思うんです。そういう意味で、その本の価値は守られた。図書館システムの中で守ることができた。
 冊数としては二百二十九冊ですけれども、譲り受けるのですから当然無償ですよね。
 この事業は試行だそうですけれども、モデル的にやっているのでしょうけれども、当然、何しろ十万冊近くを再活用だといって区市町村に譲り渡しているぐらいですから、逆に区市町村が恐らく東京都に一冊しかないかもしれない本を捨てるのをとどめて、これを都民全体が利用できるように都立図書館は引き取る。わずか二百冊ちょっと。
 当然、来年度以降も続けられるし、続けるべき事業だと思いますが、いかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 私どものスタンスは、図書の収集率を高める、そのことによって区
市町村のバックアップ機能を果たしていくということでございまして、十万冊のお話が出ておりますけれども、必ずしも量にこだわるものではないという考え方をとってごどいます。
 今回の区市町村からの再活用につきましては、多摩の図書館で試行的にやられたものでございますけれども、今後は都立の三館が一体的になって図書の運営をやっていくということでございます。したがって、今回の試行の結果を踏まえまして、今後の取り組みのぁり方については改めて検討してまいりたいというように考えてございます。

○曽根委員 別にスペースがそれほど必要なわけでもない。お金もかからない。しかし一冊、一冊の本を大事にしようと思ったら、図書館の姿勢としてこういう事業を大事にする。ようやく今始まったところなんですが、これはお金の問題でも何でもない。都立図書館の姿勢の問題だと思うんです。
 それで、ささやかな事業ですけれども、押切さんに、図書館長としてこういう事業こそ・・ネットワークが全部できちゃえばまた違うやり方があるでしょうけれども、まだ当分ネットワークは難しいわけですから、こういう事業こそ大事にしていくべきではないかということで見解をお聞きします。

○押切次長 図書館のあり方検討委員会の報告書にありましたように、これからは都と区市町村が連携をとっていくことが非常に重要だと考えています。この一環として、お互いに不足を補い合うという意味で、この事業もご提言どおり大変大事だと思いますので、前向きに検討してまいります。

○曽根委員 お互いに相互提携すると。それはもう当然です。しかし、私はあえて最後に意見として申し上げるんですが、東京都の都立図書館を離れた本は、行った先の区市町村では利用されても、ネットワークがない関係で、都民全体の利用にはなりません。逆に区市町
村を離れた本が都立図書館に来れば都民全体の利用になるという、そこはやっぱり大きな質的違いがあります。それだけ都立図書館の役割は大きい。こういう数百冊のささやかな事業ですが、ここに僕は図書館の本質があると思うので、ぜひよろしくお願いします。

●主幹制度導入は学校現場を破壊する

 それでは、次に行きます。
 最後に、主幹制度の導入について時間の範囲内で頑張りたいと思いますが、あと十六分しかない。それで、これも幾つか質疑をしています。前回、意見だけ表明して、導入の過程などについて質問するということで予告したんですが、その際、要望したこれに係る経費の試算、これは、財政的な措置がはっきりしないのに、もう再来年度導入ということはあり得ないので、ぜひはっきりさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○中村人事部長 これについては、前回もお答えしましたとおり、給料表の作成は人事委員会の勧告をもって行うものでございまして、現時点で私どもとして人件費を試算できる
状況にはないということで、現時点ではお示しすることはできません。

○曽根委員 もう余り時間がないので、率直な話、私もこの問、個人試算を、個人的な試みの計算を出しました。部長さんの個人的な計算でいいですから出していただけないでしょうか。

○中村人事部長 私が申し上げた答えがひとり歩きをしないだろうという前提のもとに、個人的な見解として申し上げますと、制度が全面的に導入された段階では六千三百人に適用になります。これに仮に一人当たり月額---これは一般教員と教頭との中間で当然人事委員会は決めてきますので、大体一人当たり月八千円上がるかなと。仮に八千円だとすれば、これに十二カ月、それから諸手当のはね返り、これを入れると六千三百人で十二億円程度になろうかなというふうに私は考えております。

○曽根委員 私の計算より大分少ないんですけれども、そうですか、八千円ぐらいしか上
がらないんですか。( 「八千円もだろう」 と呼ぶ者あり) そうですか、大変な仕事だと思うんですけれどもね。
 それで、主幹制度の問題点については、私の主張は前回述べたとおりです。この最終検討報告にも載っていましたが、学校現場で何よりも重視しなければならないのは子どもたちの問題です。とにかく不登校が非常にふえていて、相変わらず増え続けていることや、それから学校の中でのいじめもなくならないだけではなく、学級そのものが成り立たないということが中学生から小学生までおりてきているという状況です。したがって、これを解決するために、現在の主任制度ではどうしようもない限界があって、主幹制度が必要なんだ、ここのところに私はこだわりました。その主任制度では不十分で、主幹制度が必要だという理由は、四つほどありましたが、大体どれも校長先生のリーダーシップを発揮するいろんな条件が悪いということが中心でした。しかし、現場で起きている問題の本
質はそこではないというふうに私は思います。ここが私が主幹制度導入でこの子どもたちの事態は解決しないと思う最大の理由です。
 同時に、いろいろ心配するご意見があるわけですよ。教師間の人間関係を心配する意見もあります。先ほどの野上さんのご意見もありましたし、それから、主幹という仕事が新しくできれば期待が集まる面もあるので、どんどん仕事が集まってくるということもあり得ます。本当に大丈夫だろうかと、私はそのなった方の過労死も心配ですよ。
 学校現場では、または区市町村の教育委員会ではどういう検討をされているのか・・・率直なところをお聞きします。
 今、区市町村で正式にこの主幹制度導入を決めたところはどれぐらいあるん
でしょうか。

〇中村人事部長 東京都教育委員会では三月八日に規則改正を行っております。この旨、各区市町村教育委員会に通知しまして、それぞれ学校管理運営規則を改正していただきた
い、こういうお願いをしたところ、二つの市、ここで学校管理運営規則を既に改正しておりまして、学校に主幹級を設置することを教育委員会で決定しております。

○曽樋委員 何か語気強くおっしゃったんですが、もう既に中間報告が出て、年を越えて、三月八日には最終決定されているわけですから、待たれていた制度であれば、もっと多くの区市町村が手を上げるのではないかと思いますが、まだ正式決定は二つしかないというところにも、区市町村の側の戸惑いといっておきましょうか、があると思います。
 今後は、まだわかりませんよ。恐らく東京都は大宣伝をかけるでしょうからね。
 それから、現場の教職員の方々はどう考えているか。これは東京都の方にも恐らく伝わっていると思いますが、都教組の投票が、この問題で行われています。また、現場のだれでも参加できるという形で、都教組の組合員以外の方もたくさん投票したようですが、それによると、もちろん都教組ですから小中学校、幼稚園ですね、教職員四万一千百五十名のうち投票参加が三万一千七百九十九名で、七二・五%が参加し、参加したうちの九五・一%、二万九千八百四十五名が導入に反対だ。導入賛成は七百八十二名で二・六%にとどまったということであります。あわせてアンケー卜が記入できるようになっていたらしいんですが、いろいろな意見がありますが、圧倒的に反対で、明らかに管理職の方が書いたなと思われるのもありますよ。
 ですから、うまくいっている学校をなぜこの主幹制度導入で混乱させなければならないのかというのは、前回だったか、どなたかもおっしゃっていたと思うんですが、学校の校長先生の中に相当あるんですよ。
 私、北区の小学校の校長会の会長さん、中学校の校長会の会長さんにお会いして意見を聞いたら、二人とも、とんでもない、共産党は頑張って何とかやめさせてほしいというんです。こんなことは珍しいですよ。めったにありません
よ。何しろ校長会の会長さんですからね。名前はわかっちゃうんですから。そういう方で
も、やっぱりこれは困ると。その方は、都立高校はいざ知らずというんですよ。しかし、小中学校は何といったって職場の人数が少ない、中間管理職を設けるほど人数がいないんだというわけですよ。それで前に心配されていたような人事異動の問題もあったり、・・これは若干変更があったようですけれども、という意見が出ているわけです。
 こうした声について、人事部といいますか、東京都はどう受けとめておられますか。

○中村人事部長 校長会の話は情報としてお聞きしておきますけれども、教職員組合のこのアンケートといいますか、投票したということは私ども聞いております。このような投票結果になったのは、組合主催の投票であったということもございますけれども、新しい制度であるということから、教職員会に、これは野上先生からもお話がありましたけれども、ある一定程度の不安がまだおありになるのかなと。それから、主幹制度を導入する趣旨がまだ教職員に周知徹底できていないと、我々も十分反省しております。 このために、
全教職員に対しましてリーフレットを配布するとともに、今後、研修を実施して、本制度の目的をより周知徹底させていきたい、こういうふうに考えております。

○曽根委員 私は、東京都の教育環境を公平にするということを絶えず強調されておられる以上は、これほど足並みのそろわない制度を再来年度、一年後に東京都だけでなく区市町村も全部といっても、実際には足並みはばらつきが出ることは今から予想されるので、これは本当によくないと。事の是非は置くとしても、これだけ足並みがそろわない制度がスタートしてしまうのは非常によくないと思うんですね。後で、なった人だって傷つきますよ。何か浮いちゃったみたいになりますからね。したがって、これは何といっても区市町村も一緒にというのであれば、東京都自身の実施も待って、全体の合意を図るべきだ。
 私は、そういうふうに慎重に議論をしていけば、また現場の声も吸い上げれば、これは実施は難しいと思いますけれども、少なくともそういうことは手だてをとるべきだという意
見を申し上げておきたいと思います。

○中村人事部長 既に導入したところは二つの市だというふうに申し上げましたけれども、既に私どもにそのほかの六つの区市町村から、近々教育委員会に提出する、こういう報告が参っております。
 なお、そのほかの区市町村につきましても、教育長会、それから室長会、これの事務的な折衝に入っておりますので、私どもは全区市町村が足並みをそろえていただける、こういうふうに考えております。

○曽根委員 先はど申し上げましたように、職場の圧倒的な教職員が異論を挙げているということも含めて、ぜひ慎重に検討していただきたいし、私たちはこの問題は白紙撤回すべきだという意見を申し上げておきます。

 いずれにしても、区市町村はともかくとして、東京都は都立高校、養護学校について
は、とにかく来年春に実施ということを考えており、これは東京都自身の責任においてやろうとしています。
 そこで私は、都立高校で今どういう学校の中の現状があって、主幹制度の導入がその中でどういう役割を果たすかということについて、一つは、私の母校であります都立小石川高校で、最近非常に残念なことが起きました。そのことをちょっと紹介しておきたいんです。
 それは、校長先生が新しくなりまして、進学校として重点的に頑張っていきたいという表明をされて、来年度から始まる五日制対応では土曜補習だとかそういうものをどんどんやっていきたいということに対して、異論を唱えた教師が一人、異例の異動を本人の意思に沿わずさせられる結果になりました。
 これはその学校の先生方、職員の方々、大半の方が待ってくれと校長先生にお願いもし、いろんなこともあってPTAにも情報が漏れ、またそれがたまたまきっかけが、PTAの運営協議会で三年生の学年主任だったその先生が
校長先生に対して発言したことがきっかけだったものですから、PTAの会長さんもいろいろ努力をされたんですが、結局異動になりました。
 その先生は、学校をこれ以上混乱させたくない、皆さんに迷惑をかけたくないということで異動を最終的には合意されたわけです。しかし、後に混乱が残ったわけです。
  PTAの方から相談がいろいろ私たちの方にも入りましたし、その校長先生の前任の校長さんのところにも入りました。その方はたまたま北区の教育長に今なっているんですけれども、その方のところにも相談が入ったそうです。
 最後にPTAの会長の所感が出まして、その中で、「残念ながら校長先生と教職員側の間で歯車がかみ合わず、意思の疎通を欠いた事態になったのは事実のようです。これまで九年間、その先生がそのことを愛し、尽力くださった小石川高校の何でも話し合える自由な校風をこの先も残してもらいたいという強い思いを残して去っていった。他の教職員の方
々も全く同じ思いでおられるように感じられます。そして、菅沢校長先生も今回の件を深く踏まえた上で、この小石川高校の校是であります立志、開拓、創作と、自由、誠という創立以来の伝統を維持発展するよう、今後の運営にご尽力くださると伺っております。今後このようなことが決して起こらないよう学校運営をお願いしたいと強く要望いたします」・・こういうことです。
 私、自分の卒業した高校であるだけに、進学率、東大に何人入るかという点では確かに私立に抜かれ、都立高校の中でもランクが落ちたかもしれません。しかし、脈々と自由に何でもいい合えるという校風や、自分のやりたい勉強を思い切ってやれる。しかし、卒業してみんなそれぞれ一浪はするけれども、大体自分の目指す大学に入っていくという、なかなかいい校風の高校だと自分では思っているんです。それが、とにかく進学指導重点ということでこういう事態になってしまった。
 ここに今、主幹制度が導入されようとしているんですが、私は率直にいいまして、今までは校長先生が一人、とにかくおれはこういうふうにしたいんだといって、教職員の人たちが、いや、学校はみんなでこういうふうにつくってきているものだからといっても、そうすると、いわばワンマンになってしまう。そのワンマンを助けるための制度にしかならないんじゃないかと。校長先生のいうことを聞く職員を、とにかく味方をふやすというんですか、そういうことにしか都立高校の場合でもならないんじゃないかという思いでならないわけです。
 現にこういう問題が起きている中で、主幹制の導入を強引に進めることは、私は、都立高校のそれぞれの学校でも、教職員や生徒たちの思いや願い、努力に反する結果を生み出す危険性が非常に高いのではないかと思うんですが、全体、いろんな話をしましたけれども、どうでしょうか。

○中村人事部長 例で示されましたその異動の件ですけれども、これは異動基準にのっと
って異動しているものでございまして、そもそも異動自体がご本人の希望どおりに異動するなんていうことはあり得ないわけでして、これはオール都立学校の中で私どもが異動基準の中でやっているものでございますので、その点はご承知おきいただきたいと思います。                   
 それから、その異動あるいは校長の権限を強化するために主幹制を導入するわけではございませんで、児童生徒のために、よりよい学校教育のために導入するということをぜひご認識いただき・・・ご認識といいますか、失礼ですけれども、私ども説明しているわけでございまして、児童生徒の現状をよりよくするために学校を組織として機能させる。
 いろんな課題がありますけれども、これに対する課題解決能力を高めるために、この主幹制を導入するものでございます。よろしくどうぞお願いします。

○曽根委員 こういう小石川の例、これは表ざたになってしまった問題だったので具体例
を申し上げましたが、名前はいえないけれども、たくさんの高校の中の方々からの訴えが私どもに届いています。
 私の知人の先生の訴えも、ここも進学重点校になりたいということで、校長先生がとにかく六時限授業を七時限にしようとか、三学期制を二期制にしよう
とか、今まで何年かかけてつくってきたプランを全部捨てて、校長先生の考え方でやろうとする。その中で、もう主幹には、君、頼むよというようなことで、教頭先生にいって飲み会を開いて、そこで組合員じゃない先生に、肩をたたいて、君にお願いするからねと、何というんですか、隠れ内定みたいなことをやっている。こういう校長先生のやり方に、一人の先生を除いて、みんな辟易としているという訴えが来ています。
 これは複数、たった一つの学校じゃなくていろいろ来ているから、私、本当に心配なんです。こういう校長先生が何でこんなにふえたのだろうなと思うぐらい不思議なことですが、現にそういった訴えが来ております。私は区市町村の小中学校はもちろんですけれど
も、都立高校、養護学校においても、今こういったものを導入することが決して子どもたちの教育を高めることにならないだけじゃなくて、学校教育の教育労働者としての現場そのものを破壊しかねないということを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。

○東委員長 それでは、この際、議事の都合によりおおむね五分間休憩いたします。

●職員給与問題で自民野島委員と論戦

○曽根委員 それでは、私から議員提出議案の方について質疑させていただきます。
 この議案は、既に教育以外の職員については総務委員会で質疑をして、都の方への必要な質問はされてきておりますので、ここでは議員提出議案に絞って、もとから提案されている自民党の説明役の野島委員に主にお聞きしていきたいと思います。
 この委員会の最初に申し上げましたように、私はタブーを置かず、形式論ではなく、職員の皆さんの実態や都民の実態に基づいて、ぜひお答えいただきたい。
 私が聞きたいのは二つだけです。
 これは既に総務委員会でも、我が党の木村委員からお聞きしていますけれども、一つは、二年前に労使合意がなって、二年間の時限措置として四%の給与削減が議会に提案されました。
 このとき、我が党も総務委員会で、人事委員会の意見が出ているにもかかわらず、それをさらに削減すること自体については、大いに異論があると。しかし、ぎりぎりの労使交渉のもとで決定したわけですから、その合意については尊重するという立場を表明いたしました。都議会でも、自民党さんを含めて、各会派がいろいろな意見を述べたと思うんです。不満はいろいろあった。しかし、お互いぎりぎりのところで議決が全会一致でなされたんです。したがって、これを決定した我々都議会の各会派についても、この決定について二年間の時限措置、職員がきちんとそれを守るというだけではなく、私たち議会人として、この決定に対する責任があるというのは当然だと思うんですが、先日、総務委員会でこのことをお聞きしたとき、あんまりはっきりした反応がなかったような気がするんですね。それで、野島委員にも、この点を改めて、我々政党、会派としての政治責任の問題をお聞きしておきたいと思います。

○野島委員 時限措置ということでおやりになってきたから、すなわち、期限が到来すれば、本則に戻るだろうから、当然、職員の期待可能性というのは推測されただろう。それを改めて二年間どうだというのは、政党としていささかという話がございました。
 私は、大変申しわけないです。答弁にならない答弁で申しわけないんですが、当時、事実関係とか、質疑録を読んでなくて申しわけなかったんですが、その臨場感がないものですから、十分な答えができないというふうに思っておりますけれども、私どもは、二年間やってきたということについては労使合意がありじやなくて、労使合意もあって知事の給与政策として二年間やってきましたよ、こういうふうに私は理解をしております。したがって、二年が来たと。状況の変化がいろいろあったよと。したがって、またお願いするのが筋だろ
うし、都民の都政に対する目、あるいはよく状況適応といいますけど、きょうの新聞報道でもまたほかの県でもそんな話が出てきたというふうに思っておりますが、責任をということであれば、二年間を議決した責任と、今厳しい状況の中で、なおお願いをしなきゃいけないという苦渋の選択でありますけれども、そのことによって自由民主党としての責任は果たしていきたい、こういうふうに思っております。

○曽根委員 つまり、労使合意を踏まえて、提案されたことについて、これを尊重し、議決したことに対する責任は当然あると。しかし、状況が変わったというふうにいわれました。私、二年前の決定について、もし本当の意味で議会を構成する会派として責任を持つのであれば、これは単に四%、二年間ということだけではなく、労使合意で時限立法を労使がお互いぎりぎりの交渉の末に決めたわけですから、そこで決められたルール、仕組みはきちんと最後まで全うすると。時限立法ですから。その上で、新たな状況の変化があれば、交渉を開始するなり、次の方法を考える。これが筋だと思うんですが、そのことにつ
いて明確なお答えがなかったのでもう一度ーーー。

○野島委員 一つは、労使合意があったからというふうに私は認識してないんです。労使合意があり、知事の給与政策として議会に提案されたという経過の中で、私どもの自民党も賛成したというふうに認識しております。次の二年たったんだから、まさしくそのとおりでございまして、今の条例は三月三十一日で終わりになるわけですね。四月以降、厳しい状況も踏まえてお願いしたいという条例でありますから、日にち的にはなるほど三月三十一日、四月一日だということで、連続性ということは、結果としては出てきますけれども、背後にある都政への都民の目、あるいは情勢適応、こういうことの背景の中でご提案
を申し上げている、こういうことでございます。

   〔服部委員発言を求む〕
   〔曽根委員 「基本的には野島委員にお願いしたいんです」 と呼ぶ〕

○東委員長 議事録、とめてください。
    〔速記中止〕
○東委員長 議事録を再開してください。

○服部委員 今の質問に対して、私も正確にお伝えしていかなければいけないと思いますが、これも昨年十二月十四日の当文教委員会の速記録です。これは同席されていましたから、ご存じと思いますけれども、和田委員が教育長に質問したときの答弁がありますので、それを読ませていただいて、答弁とさせていただきたいと思うんです。
 和田委員の質問に答えて、横山教育長は、こう答えられています。
 「二年前に私、総務局長をやっておりまして、給与財政の当事者でございましたので、その経緯をご説明しますが、当時、組合に対する提案は四%、三年で提案いたしました。その結果、労使協議の結果として、三年先の経済状況をにらんで、三年というのは、組合として非常にのみづらいと、そういうことから、四%というのは当時日本で最高の削減率ですが、四%で二年。ただし、二年後にその状況の変化によって再度協議をすると、こういう決着になっております。」
 これは横山教育長が当時総務局長だったことで、答弁された速記録です。

○曽根委員 私は、先ほど申し上げましたように、四%、二年間の結論だけを我々は受けとめてやったんじゃないと。先ほどから申し上げておりますように、人事委員会の意見は既に出ていて、なおかつ、その上に労使の交渉の中で、ぎりぎりのお互いの、先ほど三年間という提案があったけれども、二年間という結論が出た。議会にもいろいろ意見があった。しかし、これまでの労使間の関係を、やっばり我々は尊重して、人事委員会の結論があったけれども、労使がお互いに話し合って、みずから決めたルールを、議会も尊重した。
 その結果としての四%、二年間削減ですが、それは尊重されるべきもので、我々はそれを受けとめて議決したはずです。
 違うというんだったらば、それでは、労使合意で一般論じゃなくてですよ。全国最大の削減をぎりぎりの交渉で決めたと。それが議会に提案されたということについて、野島さんは先ほどそれについて尊重するというようなことは必ずしもないというんだけど、これは尊重しないでどうするんですか。これは当然尊重すべきものでしょう。労使合意ですから。ぎりぎりの交渉をやったんですよ。その点だけ、はっきりさせてください。

○野島委員 労使合意を、私は否定もしませんし、先ほど申しましたように、機関均衡論の中で、私は、地方自治体というのをとらえていますから、給与決定もそれであるわけですね。今までのいろいろな経過の中で労使合意をなさったよと。尊重をしますよと。それはあり得ると思いますし、そうでいいと思いますよ。
 だけども、だから、指一本触れるなということにはならぬだろうと思うんですね。都政を取り巻く状況とか、あるいは都民の意識、あるいは制度論的な機関均衡論で考えたときに、私は、そういう意味でこの議員提出議案を提出しているというふうに思っていますから。労使合意ありき論と尊重論と否定
論ということであれば、どこですかということであれば、それは尊重はされるけれども、申し上げたような背景の中で給与政策が決定されてしかるべきだろう、こういう立場に立っております。

○曽根委員 いろいろおっしゃったけれども、尊重はするということだと受けとめて、言葉はいろいろあったけれども、尊重するということで受けとめて、私、単純に申し上げます、意見だけ。
 2年前は労使合意を提案されてから、我々、それを議乱したわけです。今回は労使合意がされる前に自民党さんが提案されたわけです。この予算も同じですね。そして、労使合意への交渉が始まったのにおろしてないわけです。そういう点で、私は、二年前と明らかに態度が違うし、尊重したとはいえないということを申し上げておきたいと思います。

 何かお答えはありますか。尊重するというんだったら、二年前と同じルールでやるべきじゃないですか。(「二年前とは違うよ」と呼ぶ者あり)どこが違うんですか。労使合意を尊重するということに関して2年前とどこが違うんですか。

○東委員長 傍聴者はお静かに願います。

○曽根委員 いいでしょう、もう、この辺で。いいでしょう。はっきりしていると思うんです。
 我が党は、もともと労働基本権が制限されている公務員については、人事委員会の意見を最優先すべきだ。少なくともそれぐらいのことは守ってやらなくちゃ、なりませんよ、やっぱり。五十何年もスト権を奪われているんだから。それで・・まあ、いいや、そのことは・・奪われているわけですから。
 しかも、人事委員会の見解をあえて踏まえつつも、独自の交渉で独自の合意をなし遂げたんですから、そのことを受けとめないわけにはいかない。
 私は二年前、いろいろ不満はあったけど、そういうことで議決に参加した。自民党さんもいろいろ意見があったし、あのとき、ストのことについても批判されていましたよね、あの議会の中で。しかし、全会一致で受けた。その尊重は、今日、経済悪化があるかもしれない。都民の暮らしも悪くなっているかもしれない。しかし、直接、そのことに責任を負っていない都の職員に、そのことに配慮しよう、配慮せよというふうに、求めるのは自由ですけれども、それに対して縛りをかける都の条例案を出すのであれば、労使合意尊重の二年前の態度は変えるべきじやないということを申し上げたいと思います。

 もう一つ、二点目です。これも簡単なことです。総務委員会には眞仁田さんという人事委員会の委員長さんが出席されたそうで、私、直接聞けなくて残念だったんですが、この四%カットを、自民党、公明党の提案のように、知事側の提案は管理職について一年延長でしたよね。そうではなくて、管理職、一般職員ともに二年延長という提案をされた。四年間延長といいますか、続けるということですね、削減を。この提案は、職員に対する影響は余りにも重過ぎて、しのびがたいという発言をされたそうです。
 私は、この発言は非常に重いと思うんです。
(「しのびがたいとはいってないよ。影響が大きい」と呼ぶ者あり)
 影響が大きいと。松本さんがおっしゃっているんだから、間違いないでしょう。そういうことですから、私はこの発言は重く受けとめるべきだと思うし、当日、木村委員が松本委員に質問したときにも、松本委員からもこの影響についてはやっぱり受けとめるという話があったように思います。この点を改めて野島委員に確認しておきたいと思います。

○野島委員 影響という部分が、本来、給与本則を持っていまして、この特例、四%ということですから、当然のことながら、手取りという生活にかかわる費用と。生活にかかわる費用、要するに、給料としてもらう分が減額されるということの影響は当然あるというふうに思ってございますし、一方、大変厳しい事情の中で、人事委員会の意見といいましょぅか、それはそれとして、私も真撃に受けとめるべきだろうというふうに思いますが、最終的な給与の決定、こういうことは財源論も含め、都民の目を含め、あるいは先ほど申し上げました機関均衡論に立つときに、ぜひともご理解をいただきたい、こういう立場で
ございます。
○曽根委員 受けとめていただいたと思いますが、あのとき、私、ちょっと現場にいなかったので、詳しくはわかりませんが、大関局長が、生活者ネットワークの大西さんの質問の答弁の最中に、答弁ができなくなってしまったという場面があったそうで、どういう話のときになったのかなと思ったら、・・( 「難しくて答弁できなかったというんじゃないんだよ」と呼ぶ者あり)・・そうじやないんですね。大西さんが、二年前のルールを議員提案で変えようとしていることについての見解を求めたんじゃないかと思うんですね。詳しい速記
はまだ出てないものですから。
 そうしたら、・・成績率とか、五十五歳昇給停止とか、人事制度の見直しとか、いろいろやってきたと。都民にわかりにくかったかもしれないが、二百二十億円ぐらいの人件費を浮かしてきたと。また、退職金など、今後に大きな効果も上がるはずだ。残念ながら都民に理解はしにくかったかもしれない。恐らく都の職員も非常に残念だったと思うが、二年間、ほかの全国の自治体がほとんど給与削減をやらない中で、協力してきた経緯がある。国もやっていない。
 二年前に協力した都の職員が、今回、これをもとに戻すことが、あたかも都の職員が、・・・といったところで、発言ができなくなったらしいんですね。一分ぐらい、速記停止になっていまして、それから後はつながってなくて、・・・わかっていただいた上で、今回の提案内容を、社会状況を踏まえて、新たな解決を目指したい、こういうふうにおっしゃっています。
 この言葉としてはつながっていない中に、大関局長の万感の思いがあるんじゃないかと私は思います。つまり、四年間、四%続けるということは、あのときに明らかになりましたように、四十七都道府県の中で、今、東京都の給与水準というのは四十六位だそうで、四%切られていますから。これをさらに二年間延長することになると。全国一物価が高い東京で、しかも遠隔地通勤を余儀なくされている職員が大半の中で、なおかつ全国四十六位、沖縄の一つ上の給与水準をあと二年間続けさせなきゃならないとすれば、せめて幹部職員は一年問は泣くとしても、一般職員はもとに戻させてやりたいと。そのためにほかにいろいろ苦労してきたけれども、都民にはわかってもらえなかったかもしれない・・・。こういう議員提案を受けたことについての忸怩たる思いですよ。
 しかし、この局長の思いは、私、やっぱり受けとめなきゃならない、議会としては。そう思うんですよね。
 自民党さんだって、都の職員が怠けているとかいうことでない。都民の暮らしにもっと、何というか、配慮してくれということでしょう、要は。しかし、ほかの自治体、国と比べても、十分過ぎるほど配慮してきた。全国最大の削減なんですから。二年間やってきたんですから。

 私は、この重みを受けとめ、今後のことについては余りにも影響が大きいという眞仁田委員長の言葉を多とすべきだと思いますが、いかがですか。
                
○野島委員 質問は要するに、眞仁田委員長の、非常に影響が大きいということを答えろということなのか、大関局長の総務委員会の答弁の絡みの中でのある種の空白時間、そのことの重みをとらえるということなのか。二つあっていいんですか。
(曽根委員「両方で結構です」 と呼ぶ)
 私も、実は傍聴を申し上げておりました。なるほど、そういう場面に遭遇いたしたというふうに記憶いたしております。なるほど、労政当局の事務方の最高責任者という立場に立てば、二年前のことが脳裏を横切り、あるいはまた、その後積み上げてきたさまざまな制度改正、組合とも合意が得られた。大変ご苦労なさっている。そのことが都民に理解されてない。そういうことに対する思いというのが、私は、当然あるというふうに思っております。不肖、私も、ある自治体の助役をやっているときに、議場で涙したことがあります。それは、なぜわかってくれないんだ、こういう涙を流したのは事実でございます。し
たがって、前段の部分は、労政当局の事務方の最高責任者としては、当然、そういう気持ちになるだろうというふうに私は受けとめております。
 後段の眞仁田人事委員会委員長の言葉は、先ほどもご答弁申し上げましたように、影響が大きいと。そのことは十分理解をいたしておりますし、そういう中でも、なおかつ、こういうことで都政の進展のために、給与という面で、職員の皆様にもご協力をお願いを申し上げていきたいという立場で議員提出議案をいたしておりますので、ひとつご理解をいただきたいと思います。

○曽根委員 本当に率直なご答弁、ありがとうございます。失礼があったらお許しください。今の野島委員の答弁をしっかり受けとめさせていただきます。
私は、結論は、今、大詰めに来ていますから、やっぱり都の職員の立場を守ってやるのも、いわば、それを縛るのも、我々議会の権能として両方持っているということを深く受けとめて、私たちもこれから仕事をしていきたいと思います。
 我が会派の立場は先ほど申し上げた通り明瞭ですので、説明するまでもないと思います。終わります。

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