2001.11・28 文教委員会(請願陳情審査)議事録本文
●東京都平和祈念館(仮称)建設促進に関する陳情
〇三好文化振興部長 一三第六五号、東京都平和祈念館(仮称)建設促進に関する陳情についてご説明申し上げます。
本陣情は、千代田区の東京都平和祈念館(仮称)建設をすすめる会代表高岡琴郷さん外八名の方々から提出されたものでございます。
陳情の要旨は、東京都平和祈念館の建設を促進していただきたいということでございます。
次に、現在の状況でございます。東京都平和祈念館につきましては、平成十一年第一回都議会定例会におきまして、次のような付帯決議が付されております。
平和祈念館については、次の事項に配慮すること、
一、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分に踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後、さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること、
二、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと、
三、東京空襲犠牲者名簿の収集作成を平成十一年度の早期に開始することとなつております。
これを受けて、平成十二年度には、東京空襲犠牲者追悼碑の建立及び東京空襲犠牲者名簿の作成をいたしております。
東京都平和祈念飴の建設につきましては、都議会の付帯決議の趣旨を尊重するとともに、平成十一年七月に策定された東京都財政再建推進プランに基づき、適切に村応してまいります。
その他詳細につきましては、お手元の資料をご参照いたださたいと存じます。
以上簡単ではございますが、説明とさせていただきます。よろしくご審査お願い申し上げます。
○東委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○曽根委員一言意見を述べさせていたださま
す。
陳情の趣旨にもありますように、二十一世紀に入って、戦争のない世紀、平和の世紀を求めるのは、だれしも共通の思いだと思いますし、また、今日、アフガンで起きている事態などを見ましても、一日も早く東京都としても、都民の総意として平和を願うという意思を明確にする、その施設としての建設が急がれていると思います。
同時に、平成七年、九五年三月十日の東京都民平和アピールの趣旨を踏まえたものにすることは当然です。
ことし三月に、私たちも参加しまして、その中で、特に大空襲の犠牲者の名簿の収蔵施設とモニュメントがつくられた。これは大いに歓迎すべきことですが、やはり残された資料の収集、これが散逸しないうちに、一日も早く収集をし、そして後世に残していくというためにも、祈念館の建設は急ぐべきだということで、大いに私たちもこれから議論を都議会の場でしていきたいというふうに思います。
以上です。
○東委員長 ほかに。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二二第六五号は保留と決定いたしました。
請願陳情の審査を終わります。
以上で生活文化局関係を終わります。
●都立大学B類存続を求める請願
○曽根委員 私からも、この請願に関連して何点かお聞きしたいと思うんです。
まず、都立大学のB類が持っている全国的また都内での大学の中での役割ということで、都立以外に都内に本学のある大学で、二部、夜間部などがある大学は、公私立どれぐらいあるのか。
それから、今、私学の授業料の平均、大体年間八十万円前後ですかね、都立大が五十万円弱ですから二倍弱というところでしょうか。それに比べて夜間の授業料でいうと、都立は半分、二十数万円くらいですか、私学の夜間部の授業料というのはどれぐらいが平均なのか、二つお聞きします。
○佐藤改革推進担当部長 まず、都内にあります夜間課程を持つ大学の数ですが、公立は都立大学一校、そのほか私立大学が十七大学ございます。
それからもう一点、授業料の関係ですけれども、都立大学のB類は、ご承知のとおり、全学部共通で二十四万八千四百円というふうになつておりますが、都内の私立大学の夜間課程の授業料につきましては、文系と理糸でも差がございますが、平均をいたしますと、年間約四十三万円程度となつております。
○曽根委員 そうしますと、やはり授業料の面、それから公立大学が東京都立大学しかないという点でいうと、全国的にも国立また自治体立合めても公立の夜間というのは本当に少ないですから、いわゆる苦学生というふうによくいわれますが、所得が低い、もしくは低い家庭の出身で、授業料の負担ができるだけ軽くなければならない、でなければ大学に進めないというような受験生にとっては、全国的に希有な役割を果たしているのかなというふうに思います。
そういう位置にあるということを踏まえた上で、今回大綱でB類は廃止という報告が出され、その根拠としては、きょう請願に対する説明でもあったんですが、定職を持って働き、夜間でないと学べないという学生は減ってきているんだという話がありました。先ほども、定職を持ったB類の学生が二%、そういうような統計が示されたんですが、まあ聞いた方もびっくりしたように、私もびっくりする数字なんですよね。
考えてみれば、都内の企業、大手になれば大体都心に集中していますが、そこを定時に、仮に五時としましょう、終わって、六時開講の八王子南大沢のキャンパスに駆けつけるということが、毎日、五年間ぐらいですか、やり続けられる勤労学生というのは果たして一般の企業に定職で働く人にいるのかなと。ちょっと想像すると、かなり困難じゃないかというふうに思えるんです。したがって、以前のようなイメージで勤労学生というのを単純にとらえることはできないと思うんです。
そこで、大事なのは、今B類の学生が、実際にどんな生活と仕事をしながら大学生活との両立を行っているのかという、まさに実態をきちんと大学側もしくは管理本部がつかむと。またそれに伴ういろんな要望もあるでしょうから、意見も聞くということが大事だと思うんですが、そういう機会を持たれたでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 都立大学におきまして、学生の生活実態調査という調査を、隔年かと思いますが、実施をしてきております。
○曽根委員 先ほどお答えのあったのは、何か新入生の調査のようですね。それ以外に隔年で生活実態調査をやっていると。これは、形式としてはアンケート形式と聞いていますが、どうですか。
○佐藤改革推進担当部長 抽出調査によりますアンケート調査でございます。
○曽根委員 私、大学の大綱を出す前に、もっと血の通った学生の声を聞く、または実態をきちんと、対面といいますか、面接して聞き取るぐらいのことはあってもよかったんじゃないかというのをまず前提として申し上げたいと思うんです。
それから、今回大綱がもう出されておりまして、その説明会が学生向けにあったそうなんですが、いつ、どのような形で行われたのでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 発表されました大学改革大綱の説明会、学生を対象にした説明会につさましては、去る十一月二十二日、都立大学におきまして、通常第五限の授業の時間帯に該当いたします、十八時過ぎから約一時間半にわたり開催をしたところでございます。
○曽根委員 ビれぐらいの学生が出席して、そのうちB類の学生はどれぐらいいたんですか。
○佐藤改革推進担当部長 対象者につきましては、特にA類、B顆、あるいは大学院生等に区分することはせずに、広く在学生を対象として開催をしたものでございます。全体で約八十名程度が出席したと報告を受けておりますが、特にB類学生の出席人数等については把握してございません。
○曽根委員 今回の改革で、学生として一番影響を受けるのはB類です、何しろなくなってしまうけですから。したがって、そのB類の学生が一番影響を受ける大綱の説明を学生向けにするときに、何でB類の授業中にやるのかと。六時から開講の五時限目は、B類でいえば一時限目ですよね。
なぜ授業が終わつてからやらないのかと。ちょっと私、信じられないことだなと思うんですょ。学生向けに、しかもB類が一番影響を受けるという説明会をやるときに。B類が何人参加したかもわからない。これは実態として、本当にきちんと説明しようと1大綱出す前に本当はちゃんと様子を聞いたり調べたりするのが当たり前だと思うんですが、まあそれがなかった上に、大綱の説明もそういう形だと。これは説明会としては全くおざ
なりだと思うんですが、きちんともう一度、特にB類の方を対象に授業の時間とダブらないところでやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤改革推進担当部長 今般十一月二十二日に開催をする説明会に当たりましては、さきに、七月の段階だったかと思いますけれども、学生説明会を開催した折の時間帯につきまして、今回については学生からの要望もありまして、十八時過ぎからの時間に設定をいたしまして、できるだけ多くの学生が出席できるように配慮して設定したものでございます。
なお、大学改革大綱につきましては、この説明会のほか、大綱の概要版の事務局窓口での配布ですとか、都立大学のホームページからも大綱本文を閲覧可能とするなど、学生の周知に努めているところでございます。
○曽根委員 租の質問にちゃんと答えていただいてないし、私は、何も学生一緒に、もう一度夜授業が終わつた九時過ぎにやれといっているわけではないんで、B類の学生が一番影響を受けるわけですから、その人たちに柑して、特に授業が終わつた後に設けるというくらいのことは考えていいと思うんですけれども、いかがですか。
○佐藤改革推進担当部長 十一月二十二日の説明会におきましても、学生から、必要があれば再度説明会をという要望があり、都立大学の総長もそのようにしてまいりたいというふうに答えたところでございます。
○曽根委員 そういうふうにしていたださたいと思います。私は、学生一般で片づけられない問題が、B類の場合は実態としてやっぱりあると思います。したがって、大綱は出しちゃつたわけですけれども、改めて、私はもとに戻して検討をやり直すべきだと思うんです、特にこのB類廃止問題は。
その上でやっぱり実態をさちんと把捉してもらいたい、また意見も聞いてほしいと。学生自治会が頑張って、自分たちの仲間の学生のいろんな意見を聞いたり、自治会の大会を開いたりして、意見を集約しているのをインターネットでいただいたんですけれども、私も学生の経験があるものですからー。
大体夜間となると、多いときでも一日に二百人ぐらいだそうですね、キャンパスに夜になると授業で来るのが。そういうB類の学生自体、大学に来ること自体が大変ですから、そういぅ中で千人ちょっとの学生のうち、三百人が集まって二回にわたって大会を開いたそうです。その中で、なくさないでほしいという決議も上がったと、いろんな意見は出たそうですけれども。
その中で私、特徴的だなと思ったのは、一つは、やはり都立大学の特徴としてのB類の個性を大切にしてほしいという意見が多かったということです。
やはり、B類を残してほしいんだけれども、それは多くの選択肢があった方がよいからだと、まあ時間帯の違いとかいうことでしょうね。それから昼より夜間の方がいろんな人たちが集まっていて、自己成長にもなるし、費用が安いこともあると。社会人が通えるということもすごいメリットだと思うという意見とか、社会人の立場なんでしょうね、社会人としてはなくしてもらいたくないという意見。
それから、だれにでも開かれたこの大学制度を絶対なくしたくないなどなどの意見が自治会の方の集めたアンケートやそういう場での議論の中で出たそうです。
もう一つは、やはり授業料が安いという問題で、授業料が安くて、高い水準の教育を受けられるところを全国から探して都立B類を見つけたと、なくさないでほしい。それから、新聞奨学生で、予備校に通い、どうにかB類に入れたと、そういう人はたくさんいるんだ、後輩のためにも残してほしい。
こんなに学費が安いところはない、国宝級だという意見も出されている。まだまだ知名度が低いんで、もっとアピールすべきじやないかという意見もありました。
数えれば切りがないんですけれども、そういった形で、やはり一つは都立大学の全国に誇る特徴である昼夜間開講制、もう一つは授業料の負担が軽いと。先ほど定職についている人が少ないといぅ問題がありましたが、私は、八王子キャンパスに移ったこと自体がB類学生にとっては極めて厳しい、目黒だつたらまだ通える人も通えなくなつてしまったという条件を大学側でつくつた、東京都側でつくつたということと、あわせてもう一つは、今日の時代状況からいって、五時に定時で終わつて、大学に行ける人はどれぐらいいるのかと。労働状態、就業状態が、半分ぐらいが普通の企業でも残業が当たり前という状態や、それからフリーターにしかなれない、就職できない人が非常に高卒でも多いという状況を緒まえれば、さまざまな状況が出てくるのは当然だと思います。
それから、授業料負担についても、親が負担している人が確かに多いようですけれども、親からは、もう公立しか行けないんだよといわれてきているというふうに、バックにいる家庭そのものが極めて所得などで不安定になつているという問題も、今日だからこそあると思うんです。そういう状況をぜひともきちんと把握してもらたい、これは要望しておきます。
先ほど説明会の話がありましたが、総長は、今いる学生は、たとえ何年かかっても、B類の現行制度で卒業させますというふうに学生に説明したと。これは非常に重要な問題なので、改めて、これは本部も承知の上での総長の発言というふうに考えてよろしいんでしょうね。
○佐藤改革推進担当部長 B類の廃止に伴って募集停止を行うこととなりますが、それまでB類として入学した学生につきましては、当然のことながら卒業までの間、責任を持って教育を行っていくということでございます。
○曽根委員 先ほど私が申し上げました都立大学のA類、B類、昼夜開講で、特に夜間を維持してきた意義を改めて強調しておきたいと思うんです。そして、今いる学生が、今の制度で卒業まで授業を受けられるということを保障するのであれば、まだ十分な検討する時間があります。したがって、私は、この請願の趣旨は最大限酌むべきだと考えますが、少なくとも性急な結論を出さず、十分議論を尽くすべきであります。都議会として、大綱が出たことを理由にして、もう学生の願いはシャットアウトという結論をとるべきではないということを申し上げて終わります。
●病弱養護学校に高等部設置の請願
○曽根委員 前のお二方とかなりダブりますので、その部分は省略をし、また、予定した質問もまとめてお聞きしたりするかもしれませんので、よろしくお願いします。
できるだけ簡潔にやりたいと思います。
まず、先ほどもちょっとありましたが、病弱児という子どもの義務教育のあり方というのが非常にさまざまな形になっているなというのを私もいろいろと勉強しました。
大きく分けて、寄宿舎つきの養護学校久留米のような場合、それから病院に入院していて、そこに分数室がある場合は病院の中で通っている、分数室がなくベッドサイドで訪問教育を受けている場合、在宅で訪問教育を受けている場合、主にそう分けた場合、中学校段階でいいんですけれども、時間数や何かにしたらどういうふうになるんでしょうか。
○比留間学務部長 分教室あるいは訪問教育の子どもたちへの時間数でございますが、病院内に設置してございます分教室は、今お話がございましたように、子どが病室から通学する、こういう形をとっておりまして、指導時間も学習指導要領に示されております各学年の標準時数を確保することを前提に時程を組んでございます。教員が子どもの病室へ行って教育を行う、あるいは家庭に訪問して教育を行うという訪問教育では、子どもの病状に合わせる必要があることから、週三回、一回二時間、この授業を基本に実施しているところでございます。
○曽根委員 病院に入院していても、仮に同じ病状であっても、そこに分教室があるとなしでは、過に六時間しか受けられない子どもと、基本的な標準時数を受けられる子どもとの差が生まれている。義務教育段階でも既にこういう差がある。これはやはりすべての子どもに教育の機会を基本的には公平に供与しなければならないという立場から見ると、やはりまだ課題が大きいなと、それ自体、課題が大きいなというふうに思います。
そこから先、中学校年齢を卒業して、入院したまま高校年齢を迎えた場合、それから在宅で訪問教育を受けていた子が高校年齢を迎えた場合、寄宿舎つきの養護学校の場合は高校がないわけですよね。先ほど進路についてはお聞きしたので、それは省略します。
入院状態、または訪問教育を受けていた場合にはどういう学校があり、どういう形の教育になるんでしょうか。
○比留間学務部長 入院あるいは家庭、病院でもございますけれども、訪問教育を受けていた中学部の生徒が高等部に進んだ場合に、どういう形態の教育があるかと。その病院の中に分教室が設置されておりまして、高等部があれば、その高等部で教育を受けることができる。それから、分教室がない場合、その病院に入院しているお子さんがごく少数な場合、あるいは家庭の場合は、高等部の訪問教育という形で対応することになります。
○曽根委員 ここから先がさらに大きく教育の機会の差が開いていくということなわけですよね。
分教室がある場合でさえ、例えば清瀬小児病院の中の分教室は、久留米養護から先生が行っているわけですから、久留米養護に高等部がないために、分教室があるんだけれども、中学校で終わりと。
高校年齢の子は、入院していて、中学までは病院の中の学校に通うが、自分はベッドにいなければならない。しかし、例えば小平養護から派遣している都立病院の子どもは、高等部が、肢体不自由校ですかね・・から派遣されて先生が行っているので、受けられると。同じ病状であっても、入っている病院によっても違う、分教室があっても、また差があるという。
本当に病弱児の教育、義務教育も含めて、私は、できれば高校も含めたトータルな教育のあり方、公平性、そしてできるだけ、どんな病状の子どもであっても.最大限、生きて、頑張って勉強しようという意欲にこたえられる体制をつくると。
また、財政的には対象が限られているという点から見ても、それほど莫大な費用を要するものではないだろうと。この点で、特にその中の大きな空白になつている、病院に入院までは必要ないけれども、寄宿舎つきの小中学校の養護学校に通ってきた子どもたちの先が、同じ状態では保障できないという問題。
普通学校に行くか、先ほどのお話だと、どっちかというと知的養護の、小中学校までは肢体不自由の学校から先生が来ているのが多いんだけれども、今度は知的養護の方に行く場合が多いと。その中間がないという、ここのところの課題は、さっき研究とかいう話もあったけれども、具体的に期限を切って、それにふさわしい人も集めて、教育庁が検討に入って、いつまでには結論を出しますよという願いにこたえる具体化をすべきときに来ていると思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、病弱養護学校高等部の対象というふうに想定される生徒の数は極めて限られてございます。今後とも、病弱養護学校高等部につきましては、団の特殊教育の動向を踏まえますとともに、対象となる生徒の見込み数や進路状況等を十分に調査しながら検討してまいります。
○曽根委員 ぜひ検討を急いでいただきたいと思うんですね、もう十年来の要望ですので。これは前回も取り上げましたので、私はこれ以上繰り返しませんが、今、数が非常に限られているというお話があったので、一点だけつけ加えておさたいと思います。
小中学校段階で、全国で見ても二十二万三千人の子どもの長期欠席がありますが、残念ながら、平成九年の数字なので、今はもっと多いと思いますが、そのうち病気を理由にしした長期欠席が四割にも及んでおります。それから、高校での話は先ほどあったとおりで、高校でも長期欠席を病気を理由にしている生徒がいるということ。
それから、一カ月以上入院をしている子どもの数も、入院者数が三千六百人に対して半分以上、千八百人以上の子どもが一カ月以上の長期入院を経験しているということから見て、病弱児のための学校が小中高と、先ほど私が指摘したように、いろいろな形でばらばらになつているんではなくて、どの地域、どの場所でも、受け入れがあれば、それを必要としている子どもは、都内だけでも数千名はいるだろうということが予想されるんです。そのことを指摘して、ぜひこの受け皿をつくっていただきたいと切に要望して終わります。
○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第二二五号は保留といたします。
●都立小石川工業高校の統廃合計画の見直しを求める請願
○曽根委員 それでは何点か、この問題でお聞きしたいと思います。
先ほどお話があったように、これは繰り返し請願が出されていて、我が会派からも、ことしの春も含めて何回か質疑をしております。しかし、教育庁は、繰り返し十分説明したし、今後もするといっていますが、請願者は納得していないというのが、この問題では特にこの傾向が強いと思います。
そこで、今まで出された問題で改めて聞くんですけれども、まず一点目は、小石川工業は地元だけではなく、城北地域全体、私のおります北区も含めて、物つくり、特に北区には王子工業がありますけれども、建築士木はここしかないと、小石川しかないということで、この分野を志望する若者に、世田谷まで通えというのは無理じゃないかという声が強いわけですが、この点について十分に納得のいく説明がされたんでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 小石川工業高校の統合に関しましては、関係者の方々に繰り返しご説明をしてきたところでございます。これについては、生徒の減少に合わせて、学区や地域のバランスを考慮して、規模と配置の適正化を図ることにしたと。
具体的には、校舎が老朽化し、改築や改修の必要があること、あるいは継続的な二次募集校となっており、中途退学者も多い、さらには、先ほどご質問ございましたが、都市計画道路によりまして、校地面積が大幅に減り、使い勝手が悪くなるというようなこともございます。
一方で、世田谷工業の敷地については五万七千平米と広いということでお話をしてきておるわけでございます。建設科について、都内で二つということでございますが、東京の交通事情から、利便性は十分確保されているというふうに考えております。
○曽根委員 都内に二つで、世田谷まで、私の北区から通えというのはちょつと酷だと思いますが、それにしても、生徒減が確かに傾向としては今続いていると。
しかし、少子化は大体あと数年で底をつくといわれているわけです。しかも日本の、特に東京の、いわば物づくりの再生を今こそやらなきやならぬと、工業高校の役割というのは、これからこそ大事だといわれているのを皆さん否定しないと思うんですよ。
さらに、今職業志望で何が多いか。これはかつての時代と全く違うんですね。トップは大工さんですよ。建設分野が、今、男の子たちの、小学校、中学校も含めて、職業志望のトップなんです。
確かに住宅問題というのは、東京都においても、全国的にもやっぱり今後の物づくりの中で大きな分野を占めるということは間違いないと私も思うし、ちゃんと子どもたちは、それを的確にとらえているんですね。それが都内に二校しかない、しかも土木といえば小石川と、全国の御三家に入っているというふうにいわれていた学校ですよね。
そういう点でも、貴重な資源を、本当にこのまま生徒減を理由にしてやっていいのか、統廃合していいのかというので、やっぱり簡単に納得できる問題じゃないと思います。
しかも、校地が狭くなる、道路問題というのはちんと、学校の先生が、専門家としてつくったという話も、これは前にやったそうですので余りくどくどやりませんが、そういう点でいえば、統廃合に私は道理がないなという印象を受けています。
それから説明の仕方も、これはちょっと聞いてみたいんですけれども、あなたの学校は、これは同窓会の方が実際にいわれたというんですけれども、都内で最もできの悪い高校だと、都内で一番不便な高校だというようなことをいわれたと、道路問題以外に。
これは本当に事実なんでしょうかね、私たちに説明するのと全然違う言葉が出ているように思うんですが、いかがですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 統合の理由については、先ほど申し上げたようなことでございまして、ただいま委員ご質問の、私どもの説明で、例えばできが悪いとか、そういうようなことについては、一切お話はしておりません。
ただ、小石川工業高校あるいは工業高校で学ぶ生徒の中で、目的意識がない、中退が多い、その中でも、小石川工業あるいは世田谷高校において、そういうような傾向が強いということは事実でございます。
○曽根委員 私、そういう子どもがいるだろうということは、多くの高校と同じように小石川でもあるかもしれません。それは事実としてあるかもしれませんよ。
しかし、工業を目指そうということで、三年間きちんと勉強して卒業している子どもたちがほぼ一〇〇%就職できているという、この伝統の重みといいますか、この力、これは私、本当に他にかえがたいものがあると思うんですよ。
これも学校関係者からお聞きしたんですが、市民講座の中で、宮大工の藤森先生という方が、宮大工という特殊な技能を持つ世界の内容をかみ砕いて子どもたちに教えてくれていると。最近は、あるお宅に、藤森さんが家を建てると。敷地があるので、生徒たちに、物置といいますか、納屋というふうな話でしたが、つくる実習をその家でさせてもらうというところまで手はずをつけて・・高校の先生と藤森さんと、相当苦労があったと思いますよ、実際に民家の納屋を生徒につくらせるというのは。
そういう実習までさせたというのが、私記録を読ませていただいたんですけれども、こういうことが、藤森さんは残念ながら、世田谷に吸収合併されるんだったら、そこまで私は出かけていって、この講座を続ける義理もないし、小石川をつぶして世田谷に来てくださいというんだったら協力できないといっていると。こういう伝統を、本当に引き継げる自信はあるんですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 私どもは、発展的統合ということで、実際、適正規模、適正配置計画をやっておるわけです。そういう中で、ただいまお話がありました、例えば学校間連携あるいは地域との連携、特に地域との連携というお話が出ましたが、これはやはり、今の工業高校全体が抱えている課題でございます。新しくできる学校におさましても、そうした連携を強め、社会人講師の登用など、そういうようなことについても積極的に展開していさたい、こういうふうに考えております。
○曽根委員 私、世田谷の工業高校を新しくして、そこでの新たな地域のつながりをつくつていくことは否定しません。しかし、何でそこに小石川を引っ張ってこなくちゃいけないのかということは、小石川の同窓会や生徒や先生たちから見れば、あると思うんですよ。
それからもう一つ、私、なぜ就職率一〇〇%なのかということをいろいろお聞きしたら、これはすごい同窓会のカがあるんですね。この宮大工の先生に習った女子生徒がいまして、その女子生徒は、自分はどうしても建築士を目指したいので設計事務所に就職したいと。ところが、この学校に来ている就職口の中には、設計事務所、女子を採るというのはなかったと。
それで学校の側から相談して、同窓会に何とかなりませんかといったら、同窓会の中で、人脈でダーッと探したと。そうしたら、自分のところで採ってもいいよという設計事務所が合って、その女の子が就職した。
そうしたらその子も非常に頑張って、後からその設計事務所から、男以上に頑張っていると、男・女という区別をするのはあれなんですけど、非常に頑張っているという事で、無理して採用してもらったのに、逆に感謝されたということがあったそうなんですよ。
こういうこと、その同窓会のそうそうたる建築関係の大学教授もいれば、鹿島の重役もいる、かつては工業系の大学進学のトップレベルを持っていた高校の同窓会、これは新しく統廃合でぴかぴかの校舎を作って・・作る計画もないようですけれど、新しい学校を作って、それでできるようなものじゃないですよ。
こういう就職100%を維持できる、そういうなんといいますか、ネットワークというか、連携を、じゃあ教育庁の統廃合の中でつくれますか。
○山際都立高枚改革推進担当部長 今の就職についてのお話でございますが、特に専門高校、工業高校などにおきましては、就職などの進路対策が極めて重要でございまして、学校が全体となって対応しているところでございます。
統合後の学校が、さまざまな方の支援を得て対応していくということにはなるわけですが、今委員ご指摘のように、仮に新設で、例えばOBの支援が得られないというようなことができて、就職状況が余り芳しくないというようなことであるならば、仮にそういうことであるならば、私ども都政育委員会としても、必要な支援を全力を挙げてやっていきます。
○曽根委員 私、今度のことを勉強して改めて思ったんですけれども、学枚というのは、今の、現時点でいる生徒がつくつている、先生がつくっているだけじゃないと。過去の伝統に支えられ、かつ未来どうなるのかと。特に専門学校、工業系の学校は、これから日本の産業を支えていく担い手・・経営のトップなんかは大学出の人がやるかもしれない、しかし、現場で実務、技術を支えていく働き手を育てるところですよね。
そういうところこそ、本当の意味で、仕事の上でも勉学の上でも・・やる気のない子というのは、それはどの世界にもいますよ。しかし、やっぱり先輩たちがしっかり見守って、学園祭でもちゃんと先輩たちのコーナーがあって、その先輩たちが行った会社の最先端の製品が並べてあると いう、こういう伝統こそきちっと守っていく。
そのために、学校一つ、統廃合の計画を変えたっていいじゃないですか。それぐらいのことを考えたっていいと思うんだ、東京の教育は。そうじゃないと、これからの物づくりを東京都、行政も都民と力を合わせてやっていくことはできませんよ。そのことを申し上げたいと思います。
●区市町村の教科書採択のあり方に都の調査を求める陳情
○曽根委員 簡潔明瞭に質問しますので、簡潔明瞭なお答えをお願いします。
まず、この二つの陳情は、ほぼ同じ趣旨で、今回、教科書採択をめぐつての例年にない異常な事態が起きたということについて陳情していますが、我が会派は、この異常な動き自体の大もとの原因は、中学校の歴史教科書に、新しい教科書を「つくる会」のいわば戦争賛美の教科書を持ち込もうとしたところに発端があり、原因がある。文部省がこれを決定、合格させたことは間違いだという見解をこれまでも繰り返し述べてきました。
しかし陳情者は、つくる会の教科書を採択すべきではないという各区市町村や東京都の教育委員会に対する働きかけや運動そのものが不当であり、採択をゆがめた疑惑があるとして都に調査を求めている。
そこでお聞きしますが、東京都には、適正な採択が行われるよう指導助言する法的な権限はありますが、区市町打数育委員会が責任を持って採択したことの変更を求めたり、また、そのことについて意見をいったり、それはおかしいぞといったりする権限はあるんでしょうか。
○斎藤指導部長 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、第十条の規定によりまして、都道府県の教育委員会の任務として、文部科学省の指導等に基づきまして、区市町村教育委員会等の行う教科書採択に関する事務について指導助一言または援助を行っておりまして、その結果について、あるいはその内容についてどうのこうのということではなくて、手続として指導助言、または援助を行う、こういうことでございまして、
この一環として、ヒアリング等の調査を実施しているところでございます。
○曽根委員 区市町村教育委員会が責任を持って教科書を選んだ、その結果はもう出ています。それの結果が出た後に、その経過について調査をするというのはどういうことか。それは、まずその採択の経過に重大な疑義があるとか、例えば区市町村教育委員会のどこかからか、採択が歪められたんだと、だから調査してほしいと東京都に要請があったとかということがあったんでしょうか。
それとも、影響が明らかにあったというようなことが教育委員会の方から声が上がったんでしょうか。
○斎藤指導部長 これまでの教科書採択事務の状況と違いまして、今回の採択事務状況につきましては、従来にないような働きかけ等がございましたものですから、そのことについて影響がなかったかどうかも含めて実篇調査を行っているところでございます。
○曽根委員 質問にちゃんと答えてもらわないと時間がかかってしようがないですよ。教育委員会から声は上がったのかと、ゆがめられたとか押し切られたんだとか、運動に。そういう声が上がったんですか。影響があったとかという報告はあったんですか。
○斎藤指導部長 教科書採択、九月に行いました実態調査で、実施した調査で、外部からの働きかけ等が直接影響を及ぼすような事例はございませんでしたけれども、一部の地区でさまざまな働きかけがあったと報告がございまして、その結果を踏まえながら、ヒアリング等を行っているところでございます。
○曽根委員 区市町村教育委員会に・・結果が出た後に調べたこと自体が、私は問題があると思いますが、しかし、調べたら、直接の影響はなかったということになったと。その後に、なおかつさらに調査をする。結果は出ている。いろいろな働きかけはあったでしょう。深夜の電話があったとかいろいろ聞きますよ。それはいろんな人がいますからね。しかしその影響はなかったと。区市町村教育委員会の責任においてちゃんと選んだんだと。答えが出ているのに、なおかつヒアリング調査をするというのはどういう根拠ですか。
○斎藤指導部長 先ほど申し上げました根拠法令に基づきながら指導助言を行うものでございます。
○曽根委員 今回の教科書採択にかかわって、私どもは、採択の仕組みそのものがゆがめられたということは前に指摘してあるので、もう繰り返しません、時間がないですから。
しかし、それでもなおかつ区市町村教育委員会は、それぞれ責任において選んだといっているし、いろんな運動はあったのは事実だけれども、影響を受けずに自分たちで考えてやったんだといっている。
にもかかわらず、その結果について教育委員会はそういうふうにいっているわけですね。したがって、そういうふうに責任を持ってやったといっている相手に、なおかつ調査をかけるということは、これは事実上、結果に対する意見や変更を求める干渉に及ぶ危険があるじゃないですか。
しかも、さらに働きかけ、どういうものがあったんだと調べるということは、教育委員会に対していろんな意見を持って、またそれを訴えている都民のさまざまな運動や団体の意見に対して調査をかけると。これは、表現の自由、思想信条の自由に対する重大なじゅうりんにつながる可能性がありますよ。
私は、今後の教科書採択のことを考えても、東京都は、(発言する者あり)いいですか、結果について責任を持って・・・結果は出ているんですから、それに対して何ら調査をかける必要もないし、また影響はなかったといっていることをさらに追っかけ調査をやるようなことは断じて認められない。したがって、この陳情者の方のいっている東京都に対する要望は全く筋違いだということで、不採択すべさだと考えます。
以上でございます。