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2001年1月22日決算委員会総務局・環境局質疑
●災害対策事業の縮小を批判、個人住宅の耐震助成、学校避難所機能強化を要求
◯曽根委員 まず、災害対策費について質問します。 資料の二ページにいただいておりますが、防災対策ということで、その出発点の大きなきっかけは、もちろん阪神・淡路の大震災であったと思います。先日、六周年ということで、幾つかの報道番組がありましたが、行政としては、五年計画の事業が多いので、一区切りというニュアンスが非常に強くなってきているんですが、しかし、現地の状況も含めて、この痛恨の教訓を踏まえての、一区切りにさせてはならないたくさんの課題があると思うのです。 そこで、私は二つの点をお聞きしたいと思うんですが、一つは、やはり六千人を超える死亡者の九割近くを占めたのは、倒壊住宅内での圧死もしくは焼死という、これをいかに未然に防止するかという課題です。
もう一つは、避難した方々の大半が最寄りの学校に避難をした。そこで事実上、避難生活を送らざるを得なかった。かなり長期にわたったという実態を踏まえて、学校の避難所機能を強化する、この課題であります。 この二つの課題の、まず最初の、特に木造住宅などの耐震強化を進めるという問題では、私は、今、三宅の方々に適用されているような、個人住宅、個人財産に対する支援等公的な資金の投入というものは、やはり避けて通れないと思うんです。この三宅の被災者生活再建支援法の場合は災害後の支援ですけれども、地震対策で、私、特に求められているのは、災害が起きる前に、特に地震が起きれば危ないとわかっている老朽木造住宅などに事前に手を打つと。そのために、負担能力のない高齢者世帯などに対する補助が必要じゃないかというふうに思います。 そう思っていましたら、ちょうど平成十一年度あたりから、国の方の景気対策の一つとして、個人住宅に対しても、耐震補強の改修に対して補助が出るという制度が立ち上がったというふうに聞きました。東京都ではどういう取り組みが行われているのか。それから、都として、この木造住宅などの耐震強化の問題について、条例を含めてどういう位置づけを行ってきているのかをお聞きしたい。
◯岡部災害対策部長 個人住宅などの一般建築物の耐震性の確保につきましては、これまでも、民間及び公共を問わず、その所有者または管理者が行うべきものとして行っております。 都は、平成十二年七月に策定しました、ご指摘の国の制度も取り込みました、既存建築物耐震改修促進実施計画に基づきまして、耐震診断講習会の開催、耐震診断技術者の育成等、技術面からの支援を行っております。 また、平成十二年第四回都議会定例会で成立しました東京都震災対策条例第十五条におきましても、この趣旨を明らかにしているところでございます。 なお、耐震診断、耐震改修の助成につきましては、地域の実情を把握している区市町村が行うべきものであるとして、これまでも各区市町村が実施しているところでございます。
◯曽根委員 これはやはり後退だと思うんですよ。というのは、私、九五年の第二回定例会で、これも個人住宅の一つなんですが、マンションに対する耐震補強、耐震診断の助成をやるべきだと。あのときは木宮さんが都市計画局長だったんですが、個人の財産は自分が管理するものという前提は置きながらも、しかし、マンションなど個人住宅で公的な助成が必要なものがあるということで、耐震診断に対するさまざまな支援を考えていきたいという前向きな答弁がありましたよ。 国でさえ──国でさえというとあれなんですが、九八年十一月には、一戸建てを含めた耐震改修費補助をスタートさせると。マンションなどの建てかえ、改修に対して、約一千百戸とあわせて、戸建て住宅等の耐震改修にも約五千五百戸考えるというのまで打ち出したわけなんですね。 実際、災害後の対策でありますが、公的な資金を個人の財産に投入するという道も、今切り開かれてきているというときですから、私、この課題はぜひ全力で取り組んでいただきたい、これが一点。 それから、先日、今お話のあった震災対策条例に改定された際に、第十五条、これは旧条例では第二十条になるわけですが、わざわざ東京都知事の一つの義務として、一般建築物の、必要と認めるときには、耐震性の診断を知事が行わなければならないとされていた規定を、さっきご答弁のあったような考え方で外してしまったわけですよね。これは自分の責任だと。しかし、横浜、川崎を初めとして、木造密集地域を抱えている大都市では、それでは耐震補強は進まないということから、わざわざ助成を行っているところや、さまざまな支援を考えているということなんです。 阪神の場合もやっぱり、老朽木造住宅の多くは、高齢者しか住んでいなくて、財政力も乏しいし、いざ壊れたときには抜け出す力もない、そこは待ったなしだというふうにいわれたわけで、この課題は、本当に改めて考えていただきたいということをまず申し上げたい。 二つ目の学校避難所の機能強化なんですが、これについては、資料にもあるように、平成八年度から始まって、十年度あたりかなり減ったので、どうなるかと思ったら、十一年度少しふえたりしてきたんですね。現状では、どこまで小中学校にろ水器だとか井戸だとかが整備されているのか、到達点をお聞きしたいと思います。
◯岡部災害対策部長 避難所に指定されている小中学校への井戸、ろ水器の整備は、従前から区市町村が実施してきたところでございますが、都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、平成八年度から、島しょ町村を除く区市町村が、避難所に指定されている小中学校に井戸、ろ水器を整備する場合に、経費の補助を行っております。 平成十一年度末現在、避難所に指定されている全小中学校二千二十一校のうち、井戸またはろ水器が整備されている学校は、区市町村が独自に整備した学校を含めまして千五百十一校あり、整備率は七四・八%となっております。 このほか、都は応急給水槽等の整備を実施しておりまして、応急給水充足率は、平成十一年度末現在で九四%でございます。また、都立学校の避難所機能を強化するため、平成十一年度までに全校にろ水器の整備を行っております。 これらを総合的に勘案した、実質的な応急給水充足率は九八%となり、震災時の飲料水はほぼ確保されていると考えております。
◯曽根委員 今のご説明だと、小中学校は七割五分、七五%まで来たと。あと残り四分の一残っているが、近くの応急給水槽もできてきていて、それは九四%進んでいるので、どっちかを利用すると考えれば、大体大丈夫ということですよね。ある程度のところまで来たと。 しかし、近くに水があるとわかっていても、そこに移動すること自体が大変な事態というのがあったということは、阪神の苦い教訓なんですよ。車自体が動けなかったわけですから。したがって、私は、避難したところ、そしてそこで生活せざるを得ないという最悪の事態を考えた場合には、避難先に水が確保されているというところに、あと四分の一まで来ているわけですから、これはやっぱり完成させるべきじゃないか。区市町村もやっているし、東京都も補助していると。両方が力を合わせれば、あと四分の一、決して困難な課題ではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◯岡部災害対策部長 小中学校の避難所機能の強化につきましては、従前から、井戸、ろ水器及び救急箱の整備に対する補助事業を実施してきたところでございます。 今後、新たに制定いたしました東京都震災対策条例に基づきまして、都民の方々みずから食料や飲料水の備蓄に努めていただくとともに、区市町村との連携を図り、総合的な震災対策に努めていく所存でございます。
◯曽根委員 被災者個人でやるべきことも、もちろんたくさんあると思いますよ。しかし、個々の住民が、最悪の場合、自宅に戻れない、避難先で一定期間生活せざるを得ない場合を考えますと、その場所に水などを確保するというのは、もう個人の力ではできなくなる。そういうときに、自治体の最小限の任務として、あと四分の一残った小中学校を、最も身近な避難先として現に活用された場所に水を確保するという、やるべきことをぜひやるよう、努力を求めたいと思います。
●3セクの経営評価と清算など厳しい措置を
次に、ちょっとテーマが変わりますが、総務局が取り組んできております財政監理団体の経営評価とそのあり方の検討の取り組みについて、簡潔に質問したいと思うので、答弁も簡潔にお願いします。 私たちは、この間、財政監理団体を評価し、あり方を検討するのであれば、何しろ開発関連の三セクが問題じゃないかと。都民の利益にかなうかどうかという問題でも、都民の利益に反した開発が、またそれに関連した三セクがありますし、財政的にも大変な逼迫した状態になっているということで、この問題の追及、解明を求めてきたし、私たちもやってきました。必要ならば、清算を含めて手を打つべきだともいってきました。 現状をお聞きしたいんですが、債務超過に陥っている、つまり最悪の事態になっている第三セクターはどことどこがあって、いつごろからそういう状態になっているのでしょうか。
◯山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 債務超過となっている監理団体は、五社でございます。株式会社多摩ニュータウン開発センターが平成六年度、竹芝地域開発株式会社が平成八年度、株式会社東京テレポートセンター、それから東京臨海副都心建設株式会社が平成九年度、東京ファッションタウン株式会社が平成十一年度から、それぞれ債務超過となっております。
◯曽根委員 これは結局、単に赤字が生まれているだけじゃなくて、資本金さえ、その赤字が超えて、普通の企業ならどうするかと、もう最後の決断が迫られている状態が五社あるんですよね。しかも、平成六年度から、早いところはもう債務超過になっているという状態で、何で一個も整理がないのかと。 この赤字の合計というのは、幾らぐらいになっているんですか。
◯山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 平成十一年度決算では、債務超過五社の累積損失は、合計で一千五十三億四千六百万となっております。
◯曽根委員 当然ながら、今、この赤字を取り戻す手だてがない状態で債務超過になっている。このうち、いろいろ財政的に支援したり、我々が反対している臨海三セクなどもありますが、しかし、それにしても、五社もあってどうして、この間問題にされてきたにもかかわらず、きちっとした清算などを含めた決断が下されていないのかということで、これ、答弁をいろいろ聞いても仕方がないので、ちょっと先へ飛ばしますが、私、はっきりいって、臨海三セクについては、銀行の支援も求めたけれども、お金を投入したわけですよね。これは私たちは反対ですよ。臨海開発にどっぷりつかって、幾ら助けたって赤字は膨らむ一方だということは、前から指摘してきたわけです。 しかし、その手さえ打てない状態の三セクもあるわけですよね。その代表例が多摩ニュータウン開発センターですよ。平成六年から債務超過になったきり、もうほとんど死に体の状態で七年目に入るわけですね。既に九八年度の総務局の指摘でも、多摩ニュータウン開発センターについては、経営は厳しい、打つ手がないと、はっきりいえば。そういうニュアンスのことが書いてありました。実際に聞いてみたら、三十五億円、多摩ニュータウンの事業会計から借りたっきり、いろいろ事業はやっているけれども、いまだに返せないし、返す当てもないと当事者もいっていると。これだけ問題がはっきりしてきているんですから、打開策についてどう検討したのか、その結果どうだったのか、総務局としてはどうお考えですか。
◯山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 平成九年度、それから平成十年度の株式会社多摩ニュータウン開発センターの経営評価は、資金繰りが困難な状況にあることなどから、厳しい経営状況と評価しまして、収入の増加策等の取り組みを、総務局の経営評価でしてきたところでございます。それは委員ご指摘のとおりでございます。 その後、収入の安定化に向けて、会社としてさまざまな取り組みを行ってきましたが、収支の改善には賃料の大幅な改定が必要でありまして、現状では、地域の開発状況の動向、現在の経済状況などから見て、大幅な賃料アップは困難な状況となっております。このため、自主再建の見込みが非常に厳しい経営状況にありまして、所管局である多摩都市整備本部が、現在、金融機関などの関係者と協議を行っているところでございます。 先ほど発表いたしました監理団体の経営改善計画でも述べておりますが、今年度中には会社経営の今後の方向性が出せるよう、ただいま努力しているところでございます。
◯曽根委員 この多摩ニュータウン開発センターは、はっきり決断を下すべきだ。これは間もなく結論を出すというので、その結果を待って、また意見が必要ならばいいたいと思いますが、ただ、ほかの三セクは大丈夫なのかというと、決してそんなことはないと思うんですね。 総務局に、私、ちょっと注文をしておきたいんですが、例えば臨海三セクで東京テレポートセンター、これに港湾局が支援をするとしたときに、総務局は経営評価をする立場ですから、そんなことをしても仕方がないというふうに、厳しく、必要ならば指摘をしなければならない立場だと思うんです。ところが、その東京テレポートセンターに総務局は職員研修所を置いている。その職員研修所のテナント料をどうするかということが、平成十年度に問題になったときに、ほかの民間テナントは、賃料値上げにどこも応じなかった。当たり前ですよ、土地が上がっていないんだから。
ところが、総務局だけがテナント料のアップに応じて、五千万円ぐらいですか、増額分を払っているんですよね。 そういう点では、私、こういう問題のある財政監理団体、なかんずく三セクに対して、甘いという過去が──これは今の局長さんのときじゃありませんから、それ以上いうつもりはないんですが、甘いという過去の前歴がありますので、あえて注文をしておきたい。厳しくやってもらいたい。 ましてや、これは決算の域を超えますので、意見だけにしておきますが、返す刀で女性団体とか福祉団体が当てにしているようなところをばっさりやるようなことは、全く逆立ちだということを指摘しておきたいと思う。
●幹部職員の人事異動の問題
最後に、一つだけ聞きたいんですが、最近、都民にとって大事な分野がいっぱいあるんですが、それを担う職員の配置転換が早過ぎるんじゃないかということを、実は実際に当事者の方々からもちらっと聞いているんです。それで、最近、幹部職員でいいんですけれども、どれぐらいの期間で異動しているんでしょうか。
◯三宅人事部長 幹部職員の在職年数につきましては、組織の名称変更とか、あるいは在籍のままで昇任昇格人事がございますので、正確に把握することは容易ではございませんが、直近の平成十二年夏季人事異動におきまして異動した幹部職員を抽出して調べましたところ、平均の在職年数は、部長級において一年十月、それから課長級においては一年七月でございます。
◯曽根委員 実務的に一番こなさなければならない課長さんのところで、一年半ぐらいでもう動いてしまうというのは、私、ちょっと驚いたんですが、四、五年前と比べて、傾向としてはどうなんでしょうか。
◯三宅人事部長 四、五年前というお尋ねでございますが、平成八年の夏季人事異動における人事異動者につきまして、同様に平均在職年数は、部長級においては二年ゼロ月弱でございますが、二年。それから、課長級におきましては一年九月でございます。
◯曽根委員 大幅にとはいえませんが、じりじりと短くなっているということかなと思うんですね。 かつては、逆に弊害を指摘されるんでしょうけれども、一つの部署に長くいて、かなりその問題にたけてくるというベテラン職員さんというのが、割と各部署にいたものです。それだけでいいとはいいませんけれども、少なくとも二年程度、できれば専門性を確保するために、三年、四年と一つの部署にいなければならないところはたくさんあると思うんですね。 私、特に現場の建設事務所などでは、都営住宅をつくったり、さまざまな建設局の仕事をしたりするのに、ある程度技術的な資格も必要だし、技量も必要だというところの人手がどんどん入れかわって、具体的な仕事ができる人が現場に少なくなっているという話も聞きました。それで、適切な人事異動の期間というものは、もう少し是正する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
◯三宅人事部長 幹部職員の人事異動につきましては、行政ニーズに応じた人材の適正配置とか職場の活性化、あるいは人材の育成などの観点から、適時適切に行われるべきでありますし、これまでも、各事業の円滑な遂行が確保されるように、人材配置については十分意を尽くしてまいりました。 昨年七月に発表いたしました東京都における人事制度の現状と今後の方向という報告書におきまして、管理職については、総合性を求めるだけではなくて、専門性の向上を目指す任用や、人材配置の必要性について強調しております。こうした報告書の趣旨も踏まえまして、今後は、類似の行政分野の局や、あるいは経験のある局への異動の割合を高めるということ、あるいは在職年数も、業務状況に応じましては三年以上の配置も考えるなど、各事業の継続性や専門性の一層の向上を実現するよう、人事異動方針を、先般、各局に通知したところでございます。 今後とも、都民サービスの一層の向上と事業の効率的な実施に向けまして、能力と業績を十分に踏まえた適材適所の人事配置を目指してまいりたいと思っております。
●清掃事業を区に移管した後の都の廃棄物行政
◯曽根委員 私から、まず九九年度、平成十一年度をもって区に移管された清掃事業、それに伴う都の新しい課題の問題について、何点かお聞きしたいと思います。 九九年度まで長期にわたって検討されてきました清掃事業の区移管が実施されまして、ごみ問題の解決は、都民に最も身近な基礎的自治体が住民と協力し合って主体的に取り組む必要があるわけですから、その点で、ごみの収集、運搬処分の大部分が区に移管されたことは当然だと思います。 同時に、仕事を移すのであれば、当然十分な財源保障をという点では、まだ極めて不十分でありまして、これは今後財調協議の中で区側の要望にきちっとこたえていくように、まず求めておきたい。 もう一つの課題として、当然十一年度においても検討されていたと思いますが、九割方の人と予算が区に移ると、その後、スリムになった清掃局が環境局と今一緒になっているわけですけれども、新しい都のごみ問題、資源問題、環境問題の解決にどう取り組むべきなのかということですが、その点で、まず一つ考えなければならない問題としては、東京全体の広域にわたって、省資源やリサイクルの活動で、ごみをつくらないという努力を進めていく、そのための都の役割は何か、方向性はどうなっているのかという問題があると思うんです。 その点で、十一年度を含めてそのことは検討してきたと思うんですが、新しい方向性というのはどういうふうに考えておられるでしょうか。
◯梶原企画担当部長 都は、これまでも、循環型社会づくりの推進に向けて、廃棄物の発生抑制、資源化の促進、適正処理のための広域的なシステムづくりに取り組んでまいりました。 今後の廃棄物リサイクル施策につきましては、現在審議中の廃棄物審議会での施策のあり方の検討の内容や、廃棄物をめぐる状況を踏まえながら、的確に推進してまいる考え方でございます。
◯曽根委員 以前から東京都はごみの収集、運搬、処分をやりながらも、広域的な役割も持っていろんなことをやってきたと。私たちは、例えば住民対応のリサイクルは区市町村の仕事だけれども、商店街、事業者に対するリサイクルの指導は東京都の仕事だということで、商店街に対するリサイクル支援などを求めてきました。 今度は、それも区の方に移ったわけですが、では広域的な意味で東京都がどうやって取り組むのかという点では、やはり業界──さまざまな生産、流通、廃棄にかかわる業界全体に及ぼす行政の力を発揮すべき問題、それから、個々の分野で、例えば今家電をやっていますが、そうした一つ一つの物品、品物についてのリサイクルや省資源化をどう進めるかという問題があろうかと思います。 それで、具体的な、例えば物品一つ一つについてのリサイクルでどういう取り組みをやってきたのか、この間の経過を聞かせていただきたい。
◯梶原企画担当部長 生産、流通、消費の各段階を視野に入れた効果的な施策の推進が重要と考えております。 具体的に、これまでやってきた施策を例示いたしますと、新聞社、製紙メーカー、古紙回収業界や、七都県市とともに設置した新聞リサイクル推進会議による古紙の利用拡大に向けた取り組み、また家電リサイクル法の施行を控えまして、区市町村や関係業界とともに、家電製品の効率的なリサイクルに向けた取り組みなどがございます。
◯曽根委員 今二つの例が挙がりましたが、家電リサイクルについては、昨年、我が党も質問しましたので、古紙のリサイクルの取り組みについて、ちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、新聞のリサイクルについては、いわばリサイクルの頂点に立つといいますか、最も質のよいパルプから直接つくる部分として、ここは十分リサイクルされてくることや、古紙の混入率を高めることは、その後のリサイクルのサイクルをより大きくしていく上で非常に重要だといわれているわけですね。しかも消費量も多いと。 そういう点で、前から新聞の古紙混入率を高めるには、一つは重さが重くなって新聞会社が嫌がるということや、紙切れが多くなるというふうにいわれていましたが、その辺の取り組みで、たしか九九年、十一年の四月ごろにリサイクル推進会議ですか、ここが古紙混入率を高める宣言を出していると思うんです。その後の取り組みについて、現状どこまで進んだんでしょうか。
◯梶原企画担当部長 平成十二年までに新聞古紙配合率五〇%の新聞用紙を導入するように努めることなどの新聞古紙の利用拡大宣言を行って以降、各製紙メーカーにおいて脱インクパルプ製造設備の導入が進んでいること、また新聞社におきましても、古紙配合率の高い新聞用紙を採用する動きが高まっていることなどから、古紙の利用拡大に向けて確実に成果が上がってきていると見ております。 なお、古紙配合率の具体的な数値等実績につきましては、現在、各新聞社において集計中でございます。
◯曽根委員 十二年度までということで、その結果はもうすぐ出ると思うんですが、つまり五〇%混入まで高めていこうという当初宣言した内容というのは、基本的に達成されつつあると考えてよろしいんですね。もう一度お願いします。
◯梶原企画担当部長 ただいまお答え申し上げましたとおり、古紙の利用拡大に向けての成果は確実に上がってきていると見ております。ただ、実績につきましては、現在集計中でございます。
◯曽根委員 それはそのうち出るでしょうからお待ちするんですが、そういう技術的な面での開発と、私、たまたま先日、古紙回収業の方にお会いして実情をお聞きしたんですが、昔ほどの古紙のダブつきによる価格の低迷という、何といいますか、悲惨な状況は一歩脱したものの、かつてキロ二十数円という時代があったのに比べると、いまだに十円以下という状況で、相変わらずもう人を使っている場合じゃなくて、おやじさんと息子さんで二人で何とか食べられるかどうか、しかし仕事は膨大にあるという状況は変わっていないというふうに聞きました。この点では、やはりそうした技術面の開発と同時に、関連業界の指導や、また支援というものにも力を入れていただきたい。 それからもう一つ、東京都に残されている大きな仕事として、産業廃棄物の対策問題があります。これは予定した質問を、時間の関係で少しはしょりまして、私、ずばりお聞きしたいんですけれども、例えば、この間、問題になってきた野焼きの問題ですね。これは、たしかことしから、四月に法改正により全面禁止になるということですよね。 それから医療廃棄物の問題も、私たち昨年の一定で取り上げましたが、広域にわたって他県に不当投棄されている場合があると。こういうものも罰則を強化することになりましたよね。追跡調査も必要になると。つまり、罰則の強化や法の改正はあったけれども、これを本当に守らせるには、これは大変な、やっぱり実態の調査も含めた、人手をかけた、パトロールだとか警戒とかいろんなことが必要になると思います。 その点で、はっきりいって、この部門の職員数がこの間、九八年から九九年にかけて二人ふえて、四十六名が四十八名になっただけということで、本当にこの法改正に対応した手だてが全部打ち切れるのかなというのが心配なんですが、いかがでしょうか。
◯薄廃棄物対策部長 野焼き等の不適正防止を解消するために、都としては、通常からの監視ですとか立ち入り指導のほか、随時、早朝、夜間、休日のパトロールなどを実施するとともに、東京都だけでなく多摩の市町村または警視庁、これらと連携して不適正処理の監視、指導に努めているところでございます。 また、不法投棄などにつきましても、同様に監視や立ち入り指導を行っているところでございます。今お話がありましたように、ことしの四月からは、法改正に伴いまして野焼き等は全面禁止になります。そういうことから、さらに厳正な、厳格な対応をしていくという必要がございます。 特に、東京都職員の体制だけでは十分でないということがございましたが、区市町村等の協力または市民の通報等、それから昨年の十一月には、近隣自治体との広域連携のための組織も、産廃スクラム21というのもつくっておりまして、今後とも、近隣自治体とも連携を強めながら不適正処理の防止に努めてまいりたいと思っております。
◯曽根委員 他の自治体とか、それから他の機関との連携は当然だと思うんですが、それにしてもその中心に座るべき都の環境局、この分野での職員配置は、もう少し手厚くするよう求めるべきだと思います。このことは意見として申し上げておきたいと思います。
●掘船印刷工場計画問題
さて、ちょっとテーマを変えまして、私の地元北区で今計画されております北区堀船の新聞印刷工場建設事業のアセス手続に関連して質問いたします。 これは、平成十一年、九九年の十二月に評価書案が出されましたが、この計画というのは、関東一円の読売新聞と朝日新聞という二大新聞の印刷を一手に行うという、日量二百五十万部の全国最大の巨大工場の計画であり、しかも、にもかかわらず、わざわざ隅田川沿いの狭い住宅密集地域に建設するというもので、この工場の近辺で車がまともにすれ違えるのは、計画地前の六メートルの区道一本しかないという前例のない計画です。
したがって、この計画のアセスメントに関しては、工場自体の日照とか排気とか騒音とかいうことはさほど問題にはならず、問題は、住宅地域の幅三メートルちょっとしかないような細街路にまで入り込んでくるという、深夜、早朝の集配トラックの騒音、排気、交通事故の危険性、これに尽きるといっても過言ではありません。
したがって、一般的なアセスの調査項目を表面的になでるだけではなく、この課題、この深夜、早朝のトラック走行に伴う環境への影響が住民生活にいかなる被害を与えることになるのか、この影響について、いかに実態に即して明らかにするかというのがアセスメントの課題でありました。
そのときに、ちょうどたまたまなんですが、私は、九九年、十一年の六月に施行になりました新しいアセスメント条例は、今回のようにアセスの調査項目の立て方自体が、実態に即し住民の意見、要望を取り入れるべき課題についてこそ適用されるべき内容を持っていたと思うんです。
というのは、今回の新アセス条例は、東京都の広報にもありますように、皆さんの意見をより反映する手続に改定しましたということで、アセスメントの調査計画そのものについて住民に公聴会を開き、どういう調査をやるのかということを事前に意見も求めて、それについての審査をするという仕組みが新たに加えられたからです。
ですから、この年の六月に、九九年六月に施行開始になった新条例が適用されていれば、その年の十二月に評価書案が出ているわけですから、十分に私はこの条例に基づく調査の内容についての住民の意見も出す場を保障しながらのアセスメントができたのではないかと思うんです。ところが、事業者は新アセスメント条例を選ぶこともできたにもかかわらず、経過措置期間だということを理由にして、旧条例適用で評価書案を提出しました。 私は、この点でいいますと、マスコミでもあり世論の一つを代表する新聞社のこういう工場計画について、読売や朝日の事業者が、やはり何といいますか、より民主的、住民の意見を反映できる新条例を選ぶべきであったと思いますが、それにしてもアセス条例がもうできた、新しい条例ができた中での評価書案だったんですから、事前の東京都による指導、この中で十分にこうしたアセスメント条例の新しい形のものが、この評価書案にも反映されるように指導すべきだったんじゃないかと思うんです。ちょっと過去のことになりますが、十一年度のことなので、この点で環境局のご意見をお聞きしたい。
◯町環境評価部長 北区堀船印刷関連施設建設事業の環境影響評価につきましては、今、曽根委員の方からもお話がありましたように、条例改正の施行が十一年六月でございまして、事業者が、既にその時点で環境影響評価のための調査に着手しておりましたため、経過措置によりまして、こういう状況にありましたほかの事例とともに、改正前の条例が適用されております。
このため、本件につきましては、改正条例により新たに規定されました環境影響評価書案作成の前に環境影響評価項目の選定等について、都民や区長の意見を聞く機会は適用されておりません。
しかし、事業者に対しましては、条例改正の趣旨を踏まえまして、評価書案に対する都民意見等についての見解書を事業者が作成する段階で、追加調査などを求め、できるだけ早い段階での関係者への情報提供に努めてきたところでございます。
さらに、知事の審査意見書におきましても、騒音、振動の予測評価結果を検証するため、自動車配送トラックの実際の走行テストの実施、さらにこの結果に基づきます環境保全対策の検討を事業者に求めるなど、改正条例の趣旨に沿った環境影響評価を実施できたものと考えております。
◯曽根委員 今のご答弁は、ずっと後の問題までひっくるめてお答えになったので、ちょっと分けてお聞きしたいんですが、まず評価書案を出す前に、事前の調査を事業者はやっているわけで、その段階で、非公式とはいえ東京都のいろんな指導があります。その段階で、もう既にその前の年の十二月に制定され、その年の六月に施行されている新条例の内容を事業者も十分知っているわけですから、それに対して、この新しい条例の趣旨もよく酌んで、調査項目に落ち度がないようにというふうに指導するのが当然だと思うんです。
ところが、経過をいうと、評価書案では事もあろうに、集配トラックが夜間出入りする、この最大の問題について、集配トラックの配送ルートについて、六本のうち一本しか調査をしていないと。あとの細い道については調査をしていない。そのまま評価書案を出してしまった。見切り発車をしたという問題や、それから走行テストなど、後で知事の意見はついたとはいえ、評価書案の段階で、もっときちんと調査項目について、実際の走行テストも含めて調査をやるべきだったのにそれを怠って、後で見解書その他が終わってから知事の意見で出たと。こういう経過をたどっているわけで、私はちょっと、やっぱりたちが悪いと思うんです。
それでこの後、知事の厳しい、確かに前例のないほど厳しい意見書が出ました。それをきちんと盛り込ませた評価書にできるのかどうか。
それから住民の意見もたくさん出ています。それについて盛り込ませることができるかどうか。 そして、出された評価書について、さらに住民の意見を反映する場が、この条例の手続の中であるんでしょうか。
◯町環境評価部長 環境アセスメントにおきます住民及び関係自治体の意見につきましては、評価書案に対する意見の提出の段階、見解書に対する意見の提出の段階、公聴会における意見の陳述の機会を通しまして、審議会の答申及び知事の審査意見に十分反映される仕組みという形になっております。
事業者は、こうして作成された知事の審査意見書に基づきまして、環境影響評価書を作成することになっております。
都は、評価書の作成過程におきましても、事業者を通例、指導しておりまして、本件におきましても、住民及び関係区長の意見も踏まえまして、走行テストの結果等に基づいた適切な環境保全対策の具体的な記載を求めるなど、知事の審査意見を十分反映した評価書を作成するように指導をしてまいります。
それから、今のご質問の冒頭に、経過措置の適用についてのお話がございましたけれども、経過措置につきましては、先ほどのご答弁で申し上げましたように、条例の附則第五項におきまして、この条例の施行の際、環境影響評価書案等を作成するための調査等に着手しているもの、あるいは完了したもの等につきましては、調査計画書の作成及び提出を要しない、こういう要しないという規定になっておりまして、この段階で事業者の方はこれを提出しなかったということでございまして、その出された内容につきまして、今お話のあったような問題点もあることを踏まえて、その後の指導で対応させていただいたというところでございます。
◯曽根委員 後のお話はさっきいったので、もう繰り返しません。向こうは重々わかってやっているんですから、新しい条例の中身。それで、あえて旧条例──どちらでも選べるんですよね。事業者の判断ですから、これは。要しないというだけで。それで旧条例を選んできているというのは、私はやっぱりマスコミとしてとるべき態度じゃないというふうに思うんですよね。
それで今後のことなんですが、評価書が出されてしまえば、少なくとも工事が始まったり、工事が終わって事業を開始されるまでは、住民の意見を出す場がありません。したがって、評価書の中に住民や知事及び地元区長さんたちの意見を盛り込ませるかどうか、ここは評価書案と違って、一層都の権限や指導ができるところですから、ここをぜひきちっと行っていただきたい。
あえて最後にいわせていただければ、それをきちっと行うならば、この場所をわざわざ選んで工場をつくるということ自体がいかに実態に合わないかというのが浮き彫りになるはずです。
なぜなら、工場自体に騒音、公害、そんな問題、ないんですから。ちょっと郊外を選べばどこにだって場所がある。わざわざこんな六メートルの道路しかないところに持ってくる必要はさらさらないわけで、これは私、昨年の二定で代表質問でもいいましたが、高速道路王子線の出入口が近くにできると、関東一円に集配トラックが回れるという、その地の利を生かさんがために、住民の環境を犠牲にしてでも、経済効率優先で入ってきたわけです。この点では、高速道路のもたらすものという点でも私一つ意見はあるんですが、きょうは環境の問題について、今後万全の対策をとることを求めて質問を終わります。