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2000年3月16日予算特別委員会
包括補助、福祉見直しの影響、知事の共産党誹謗発言について

◯曽根委員 初めに、福祉医療施策に関連しまして、包括補助について伺いたいと思います。  昨日の質疑で、神藤福祉局長は、福祉局関係と高齢者施策推進室関係で四百二十九億円の見直しをして、新たな展開で四百四十一億円の予算措置をしたというふうに答弁をされました。これは、つまり、差し引き十二億円の福祉の充実であるという趣旨の答弁ということになるんでしょうか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 新たな展開並びに昨日の答弁につきましては、質問通告を受けておりませんので、お答えできません。

◯曽根委員 昨日の答弁について、もうご記憶がないということでしょうか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 後刻、記録を見ながらお答えしたいと思います。

◯曽根委員 天下の都議会の中で発言したことについて、きょうになってもうわからないような発言じゃ困るわけです。間違いなく、私たちも、これは庁内放送もされていまして、ビデオも見ましたが、四百二十九億円の見直しというふうに答弁をされているんです。  この金額というのは、いわゆる福祉見直しに関する平年度ベースの影響額ではないかと思いますが、それでよろしいんでしょうか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 先ほど申し上げましたとおり、本日はお答えできません。    〔発言する者あり〕

◯曽根委員 きのうの発言も、全く今答えられないんでは、事実の確認をしようがないんで、この際、議事の記録を確認をしていただきたいと思いますが、委員長、いかがですか。これじゃ進みませんよ。だって、きのうの発言ですから。正式な答弁ですよ。どうですか、委員長。

◯植木副委員長 議事をちょっととめてください。    〔速記中止〕

◯植木副委員長 議事を再開いたします。

◯曽根委員 それじゃ、私の方で確認した昨日の答弁について申し上げますと、神藤局長は間違いなく、福祉事業の見直しに関して四百二十九億円の見直しを行ったというふうに発言をしています。  それで、財務局長にお聞きしたいんですが、福祉十事業の見直しの平年度の影響額は幾らですか。

◯木内財務局長 平年度について、将来の推計はなかなか難しいので、正確な数字は申しにくいんですけれども、一定の前提のもとに機械的に試算すれば、影響額は五百億円程度、正確には、四百八十二というのは、計算上、電卓上の数字としてはございます。

◯曽根委員 神藤局長にお聞きしますが、福祉十事業の見直しに関しては、この四百八十二もしくは約五百億円、これでよろしいんですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 数字につきましては、今持ち合わせておりませんので、お答えできません。    〔発言する者あり〕

◯曽根委員 私たち、予算特別委員会の資料も求めて、資料もいただいていますし、既に局からも、何度もいろんな形での資料を求めて、いただいております。その数字が、今持ち合わせがないというのは、極めて不謹慎な話だと思いますが、それで確認されている数字を見ましても、四百九十二億、今の財務局長のお話とは少し違いますが、約五百億円ということになります。
 そうしますと、あなた方が提出した公式の資料、今、神藤局長は資料を持っていないというので仕方がないんですけれども、この公式資料によっても、新しい展開の四百四十一億円と比べて、今の財務局長のお話でも、四十億円を超える削減ということになるじゃありませんか。  予算の増か、それとも減か、これは予算審議の評価の基本にかかわる問題です。予算議会で、こんないいかげんな答弁が公然と行われるんであれば、本当に、審議はまともに進められないと思うんですよね。  知事にちょっとお伺いしたいんですが、福祉の見直し、これは知事自身も、それから担当局も、これからの二十一世紀を担う福祉をどうやってつくっていくのかということで、いわば局を挙げて検討してきた問題ですよね。その問題について、根本的な、基本的な問題の数字がこれだけ違ってくるということについては、やっぱり責任をきちんと明確にして、二度とこういうことがないようにしてもらいたいと思うんですが、これは知事の基本的な見解をお聞きしたいんです。

◯石原知事 議会で激しい質疑応答の応酬があるということは、私は大変好ましいと思います。しかし、それが正確を欠いては、いたずらな誤解を招くわけでありますから……(発言する者あり)人の話を最後まで聞きなさいよ。話している途中でしゃべるなよ、そちらで。同じ君らの同志が回答を求めているんじゃないか。

◯植木副委員長 知事、続けてください。

◯石原知事 でありますから、私は、そこで質問の事前通告というシステムがあるわけで、それを守って初めて、幾ら激しくても、正確な質疑応答があって、都民の正確な理解が得られると思っております。

◯曽根委員 質問についての事前通告は、すべての質問について行わなければならないという規定は何もありません。私たちは、重要な質問についてきちんと皆さんにお知らせすると同時に、それ以外にも、これは質疑の流れの中ですから、基本的な問題についてはお聞きすることはあるということを申し上げておきます。  時間があれですから、次に行きます。
 それから、昨日、本委員会で、我が党の宣伝物を取り上げて、福祉見直しで百八十万人に影響というのは、都民に大変な不安を与える過大な宣伝であるとの質疑がありました。それを聞いていて、私、案外共通の認識があるものだなと思ったんですが、百八十万人の影響というのは、都民に大変な不安を与える大きなものだという、これは共通した認識です。  神藤局長、いかがですか。百八十万人の影響というのは、これは都民に大変な不安を与える大きなものだというご認識をお持ちですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 先生、私は、議論をすることは一向にやぶさかではありませんが、きょうは介護保険をご質問いただくという通告を受けておりますので、そういう点でぜひお願いしたいと思います。

◯曽根委員 包括補助の質問も出してありますので、それに基づいて質問いたします。  福祉の見直し、包括補助等新しい福祉の展開、これに関してお聞きしているんですが、百八十万人という影響があるんだ、これは大きな不安を与えるものだということについては、この人数そのものについての局長のご認識はいかがですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 現行制度の対象者ということでございましょうか。    〔曽根委員「影響人数です」と呼ぶ〕

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 影響人数ということについては、正確を期すために、後日、時間をいただきたいと思います。

◯曽根委員 昨日の質疑について全く失念されているようですけれども、百八十万人というこの数字は、私たち、昨日、ここでそのビラを使って質疑が行われましたので、申し上げますけれども、根拠のある数字であります。  予算資料に出ていますけれども、重度障害者手当、心身障害者福祉手当、児童育成手当の所得制限が外れる人が、財調算定分を含めて二万人、障害者医療費助成、ひとり親家庭医療費助成が合わせて十九万四千人、これは資料に載っています。老人福祉手当とマル福の廃止で四十九万二千人、シルバーパス全面有料化で千円のパスと、経過措置終了後の高額パスの対象人口、およそ百十万人、合計で百八十万人であります。  これに加えて、実は乳幼児医療費助成の対象者が二十一万人いらっしゃるんですが、このうち、入院食事代の影響を受ける人数を、何度聞いても都側が出してくれませんので、この試算に入れておりません。決して根拠のない過大な宣伝をしているのではないわけです。
 しかも、これに加えて、老人福祉手当、心身障害者福祉手当など区市町村単独事業への影響も加味すると、実際はもっと大きな影響になるはずであります。  さらに、都民に影響がある見直し全体でいうと、福祉局、高齢者施策推進室以外でも、衛生局の医療助成十四種類の見直しの有料化、都営住宅減免制度の見直しもあるわけです。  百八十万人が過大だというのであれば、こうした見直し案を再検討することこそ必要ではないかと思います。  そもそも、都民に不安を与えているのは、東京都が進めている福祉削減ではないですか。この予算特別委員会で議論をしてきましたが、まともな実態調査もしていないし、昨年十二月に方針決定して、この一定ではもう決めてしまおうというのでは、都民の十分な納得を得ることはできないと思います。  そこで、見直し案について神藤局長に一つお聞きしたいんですが、これは見直しの基本にかかわる問題です。マル福廃止、老人福祉手当廃止、これはまさに廃止ですけれども、低所得者に十分な配慮をしたというふうに盛んにいっているんですが、この二つの制度については低所得者への配慮はあるんですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 議論をきちんと進めるために、本日につきましては、介護保険でもって質疑をさせていただきたいと思います。

◯曽根委員 先ほど申し上げましたように、私たちは福祉の問題について通告をしております。福祉、医療の問題について基本的には質問できるわけですから、答えていただきたい。

◯植木副委員長 神藤局長に申し上げます。きちっと質問者に答えてください。    〔発言する者あり〕

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 ご通告をいただかないものについて、きちんと答えることはできません。    〔発言する者あり〕

◯曽根委員 委員長、これじゃ、質疑できませんから。ちゃんと通告は出してあるんですから。

◯植木副委員長 神藤局長、きちっと答えてください。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 通告をいただいておりますのは、介護保険についてでございます。    〔曽根委員「事実を確認してください。違い    ますよ。包括補助というのをやることにな    っているんですから」と呼ぶ〕

◯植木副委員長 通告がないというのは、事実と違うのかどうか、きちっと確かめてください。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 今申し上げたとおり、全部について議論をされるということになりますと、私どもも大変でございますので、ご質問を、介護保険についてというふうに、また、包括補助についてということでございます。    〔発言する者あり〕

◯曽根委員 本当に、この問題は、高齢者施策推進室長として──長年続いた制度の廃止ですよ。そして、この制度を見直し廃止をするといっても、新しい福祉をやっていくんだといっている。しかし、低所得者への配慮というのをいいながら、その中身がないということじゃないですか。あるんだったら答えてみなさいよ、あるんだったら。それで、わからないんだったら、高齢者施策推進室長として、わからないと答えてください。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 先ほどから申し上げておりますとおり、議論は、私は十分いつでもやりますけれども、準備をしてきちんとした議論をさせていただきたいと思います。

◯曽根委員 わかりました。わからないということらしいですから、結構です。  包括補助について、最初から全くお答えが出ないんで困っちゃうんですけれども、じゃ、財務局にちょっとお聞きしたいんですけれども、福祉局と高齢者施策推進室と合わせたいわゆる福祉費、これの平成十一年度予算と来年度予算案の額をそれぞれお示しいただきたい。

◯木内財務局長 質問通告があったものが、款の数字をいえということで、那辺に意図があるのかわからないので、単純に、款、福祉費の数字は、平成十二年度が五千三百六十九億円、平成十一年度が五千六百十三億円でございます。  この結果、増減率は、三角四・三%ですけれども、全体が減となる中にあって、予算上の福祉費は、相対的に、何といいますか、重点的に行われていると思います。  また、分野別の数字で申しますと、福祉と保健については、計数的には増減が三・二%のマイナスですけれども、これも、全体に対して、四・九%に対して、福祉と保健の分野については、その構成比が過去最高の一一・五%になるなど、この福祉の分野については、大きく財源を重点的に配分しているというふうに私どもは考えております。

◯曽根委員 聞かれたことだけ答えてください。聞かれても答えない人と、聞かれた以上に何倍も答える方と、本当に困っちゃいます。  問題は、福祉費が、今年度から来年度にかけて、予算上で見れば、二百四十四億円の削減だということです。これがあるにもかかわらず、福祉を格段に充実したなどという話が昨日ありましたが、とんでもないことです。
 きのうも、福祉、高齢者施策推進兼任の神藤さんからもお話がありました包括事業ですね、これについてお聞きしていきたいんですけれども、包括補助事業がいわば目玉だというふうに、明確にきのう答弁がありましたよね。こういうところは覚えているんですよね。  財務局長に伺いますけれども、これらの包括補助事業は、今後永続的に発展、充実させていくと約束できるんでしょうか。

◯木内財務局長 先ほど申しましたように、十二年度の予算におきましては、福祉の見直しとあわせて、福祉改革ビジョンや二十一世紀高齢社会ビジョンに基づきまして、新たに、重度心身障害者への二十四時間巡回型ホームヘルプサービスの実施、さらには介護保険導入に向けた基盤の整備など、施策の充実を図ったところでございます。  そうした中にあって、包括補助金制度を、議会のご要請にこたえて創設したわけでございまして、その趣旨は、区市町村が、地域の実情に応じまして、自主的、主体的に、在宅サービスを中心とする福祉施策を展開するために創設したものでございます。
 この補助制度については、基本的には時限的な制度と考えておりますが、その今後のあり方につきましては、新たな福祉施策がどの程度区市町村において進められ、定着されていくかなどを踏まえて対応していく必要があるのだろう、そのように考えております。

◯曽根委員 今回の福祉見直しは、二十一世紀を見据えた福祉改革だというふうに銘打たれていますが、その目玉である包括補助事業が、今お答えにあったように、基本的には時限的な制度であるというのは、私、とんでもない話だと思います。  なぜなら、包括補助は、区市町村が事業の主体となっているわけです。補助率は原則二分の一です。区市町村は自前で福祉と高齢三十億ずつ、つまり、その同額の六十億を用意しなければなりません。そうでなければ、包括補助は使えないわけです。  しかも、それが時限的な制度だというのでは、区市町村が財源を何とか用意して新規事業を始めたら、数年後に都の補助は見直します、あとは区市町村でやってくださいと。これまでにも例がありましたからね、はしごを外されるのではないかということで、区市町村は心配で、手を挙げるに挙げられないということになりかねないわけです。
 きのう、コミュニティバスの話がありました。区市町村から問い合わせがたくさん来ているというのは、いいことだと思いますよ。しかし、新たな包括補助全体の状況はどうなんでしょうか。来年度予算で新規事業を計上している区市町村は、どれぐらいあるんですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 包括補助に関しましては、区市町村の、どの程度計上しているかにつきましては、把握してございません。

◯曽根委員 つかまえられるはずがありません、ほとんどありませんから。そもそも、予算原案で突然出てきて、まだ補助要綱案もないわけですから、区市町村は予算をつけようがありません。  今まで都は、新規事業を立ち上げるときは、一年ぐらい前から区市町村と相談を重ねて、都が予算計上するときは、区市町村も十分対応できるようにして、信頼関係を積み上げてきました。ところが今回、そういう手順を踏んでいないんです。当初予算に計上されていなくて、六十億円もの規模の事業を、本当に来年度立ち上げることができるかというのは、大変疑問です。
 鳴り物入りで包括補助制度をつくったわけです。私たちも、包括補助という方式そのものを否定するわけじゃありません。しかし、年度末に予算をたくさん使い残したということにならないように、これは強く要望しておきます。  しかも、包括補助は、これからの新しい事業だというふうにいっていますが、新しい事業だけじゃないんです。従来から実施してきた事業も入っているわけです。住宅改造助成、これは、今まで別に独自の事業としてやってきたものを、包括補助に組み込まれたために、各区市町村は、この事業が継続できなくて、予算がつけられないでいるわけですよ。
 確かに、介護保険なんかで二十万円を限度についていると。しかし、それ以外は、東京都の要綱がないんだから、今までできたものができなくなって、例えば北区でいえば、十分の一ぐらいに予算は減っちゃったんですよ、介護保険の中の事業だけに絞られて。  こういうことは、やっぱり住宅改造助成については、独自に事業を行うべきじゃないんですか。

◯神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 包括補助につきましては、区市町村が大変期待しておりまして、私どもは、区市町村が必要であれば、補正予算などを計上して対応していただけるというふうに思っています。  お尋ねの在宅でございますが、その住宅改造費でございますが、そういうものにつきましても、区市町村に魅力ある中身にしまして、区市町村から大きな申請があるように頑張りたいと思います。

◯曽根委員 そういうふうに積極的に考えているんだったら、やはりきちんと来年度も継続して、これは今までやってきた事業なんですから、できるようにするのが当たり前のことだと思います。  以上見てきたように、包括補助が目玉だといいますが、片や、シルバーパスや医療費助成、福祉手当など、都民のかけがえのない福祉事業を削って、それにかわるという包括補助自体が、具体的な中身が見えてこない。そればかりか、包括補助に無理やり組み込んだために、大後退に直面している事業もある。これを、新たな包括補助をもって福祉の格段の拡充を図ったなどといえるものではないことは明らかであります。  次に、少し財政問題についても触れておきたいと思うんです。  昨日も、また、この間、東京都も盛んに、東京都は財政危機であり、このままでは財政再建団体に転落するという宣伝を行ってきました。きのうもそういう質疑がありました。  これらの主張の最大の特徴は、財政危機だ、転落だと叫びながら、では、その原因と責任がどこにあるかを巧妙に避けていることです。原因と責任に触れないということは、財政危機を、その大もとから解決する姿勢がないということです。  なぜそうなっているのかということは、私ははっきりしていると思うんですよ。かつて自分たちが、都財政の赤字の原因づくりを推進したり、手をかしたりしてきたし、今もそれを続けている、それだからにほかならないと思います。  例えば、深刻な都財政を立て直すためには、先日来我が党が明らかにしているように、臨海開発の、例えば有明貯木場跡の埋立事業に見られるように、これをきちんと見直していく、むだ遣いはということがもう欠かすことができない、このことを申し上げておきたいと思うんです。  そこで、この間、東京都は盛んに、いや、投資的経費は減らしました、都債の発行も抑えるように頑張っていますというふうにいっているのですが、実際には、投資的経費は、今年度、九九年度についても九千九百三十四億円で、ほぼ一兆円という額にとどまっています。したがって、高どまり状態が続いているといわなければなりません。この何年かの平均をとってみても、一兆円をはるかに超える投資的経費、そして、それに見合うだけの都債が発行されています。平均して毎年七千億円以上です。  こういう財政運営を続けてきたことの責任は、きちんとここでとって、路線を変えなきゃならないと思うのですが、これは基本問題なので、知事のご認識をお伺いしたいのですが。

◯石原知事 いろいろ考え方の違いがあるでしょうけれども、しかし、行政としましたら、やっぱり都民の要望にこたえた最低限の公共投資というものもしなくちゃならない。同時に、喫緊の問題であります景気対策も行うと同時に、経常経費についても、これは何に使われるかというのはもうご存じでしょうけれども、衛生とか福祉とか中小企業対策とか、いろいろあるわけです。そういったものもやっぱり都民へのサービスの水準として確保したい。なかなか両方やるわけにいかない。だからやっぱり、そのために、つまり都債という、一つの基金というものを備えて、財政の対応力というものを活用しながら、歳出の水準の維持に努めてきたわけであります。  その後も、依然として都税収入はもう余りよくない。また、歳出面においても、投資的経費は財政状況に応じて大幅に減少したものの、経常経費の見直しはなかなか十分ともいいがたい。  現在、そうした認識のもとに、財政再建推進プランに基づいて、全庁を挙げて財政の構造改革に取り組んでいるわけでありますが、どうも、いわれることを聞いておりますと、つまり、大型の公共事業というのはすべて悪であるという、そういう乱暴なくくり方というのは、本当に近代社会というものの認識がない証拠でありまして、つまり、空港にしろ、新幹線にしろ、例えば東名高速にしろ、これがやはり国民全体にどれだけの経済効果を与え、役に立ったかということは、もう自明のことであり、歴史が証明しているわけでありますから、ちょっとそういう発想というのは変えられたらどうですか、共産党もそろそろ。

◯曽根委員 まあ長々と……。  今のお話であった新幹線を、私たちは反対していませんよ。しかし、東京の行っている大規模開発については、やはり明確なむだ遣いがあるんです。    〔発言する物あり〕

◯植木副委員長 お静かに願います。

◯曽根委員 私たちは、大型公共事業のすべてがだめといっているわけではなくて、浪費的な事業があると、臨海開発はどうなんだということを明確にいっているわけですので、申し上げておきます。  そして、全体としてどれだけのスケールに持っていくのかというときに、いいですか、今、毎年四千億円ずつ都債の返還をしているんですよ。四千億円ずつ返還している一方で、毎年七千億円ずつ新たな借り入れを行っているんです。だれが考えたって、借金はふえ続ける構造なんです。ここを変えない限りは、財政破綻路線は脱出できないということを申し上げておきます。  それから、もう一つ、我が党が、財政再建について、じゃあ提案がないのかというふうなお話がありましたけれども、私たちは、減債基金の積み立てを適切に半分に減らすと、これは、私自身が二年前に提案したことです。土地開発基金についても、これを廃止すべきだと、これも財政委員会に提案した。二年前には、銀行課税についても提案しています。それが今日取り入れられているわけです。  ですから、私たちは、そういう意味で建設的な提案もしてきたし、これからもしていく。今回も、四年目になりますけれども、予算の組み替え動議も出す予定でおりますので、このことを申し上げておきます。  さて、次に、財政問題に関連して、昨日、公明党の曽雌議員が、革新都政時代に共産党は水道料金値上げに賛成したなどと述べて、福祉切り捨てに反対する我が党を攻撃する発言をしたことについて、一言述べておきます。  革新都政は、都民生活を圧迫する公共料金値上げは極力抑え、都民の暮らし優先を貫いてきました。当時、水道料金値上げなどを余儀なくされたのは、石油ショック後の不況で、全国的に自治体が深刻な財政危機に陥ったためであります。そのときも我が党は、都民向けの料金の値上げ幅を極力抑える修正案を提出し、実現させましたが、そのときに、公明党も共同提案者になったんですよ。革新都政のもとでの我が党の態度を云々するのだったら、その後、鈴木都政になってから、上下水道料金を初め、三年ごとの公共料金値上げにどんどん賛成していったその態度こそ問題だということを申し上げておきます。  財政の見直しは十分に可能だということを申し上げて、時間の関係で、財政問題は終わります。  最後に、知事の基本姿勢について伺います。これは通告してありますのでね。  昨日の本委員会で、我が党の歴史に触れた知事発言がありました。知事は、公明党の曽雌議員の質問に答えて、日本共産党は、六全協で暴力革命から大豹変したと発言し、そのことをもって、日本共産党は御都合主義とかデマゴーグであると述べました。  六全協を前後した事実について触れておきたいと思いますが、まず、我が党は、七十八年の歴史がありますが、その中で、暴力革命という方針を正式に採用したことは一度もありません。では、なぜ、知事がきのう発言されたような事件が起きたのかと。それは、五十年前のアメリカの占領下で党が分裂し、そのとき分裂した一方の側にソ連と中国がくっついて、ソ連、中国で用意したとんでもない方針が持ち込まれたんです。我々はその痛恨の経験を踏まえて今は活動しています。その後、日本の現状には暴力的なやり方は全く誤りだと、正面から批判をして、そういうところに活動に参加した人たちも、今は誤りを認めています。  同時に、我が党としては、こうした誤りは二度とあってはならないことであり、公党の責任として、その真相や原因を明らかにするために真剣に努力してきました。その出発点になったのが、きのう知事がおっしゃった六全協、第六回全国協議会です。
 以上のような真相から見ても、御都合主義でも何でもありません。  さらに、こうした経過から我が党が学んだ最大の教訓というのは、ソ達、中国であれ、またアメリカであれ、どんな大国であっても、内政干渉は許さない、自国の問題は自分たちで考え、自分たちで決める、責任を持つという自主独立の立場であります。  知事にお伺いしますが、以上述べたような我が党のこの間の歴史について、私たちは国民にも明らかにしていることですが、知事はご承知の上で昨日の発言をされたのでしょうか。

◯石原知事 あなたが今くどくどなぞられた共産党の歴史は、必ずしも国民が眺めてきた共産党の歴史と重なるわけではないと思います。

◯曽根委員 私よりも年上の知事ですから、年上に対する尊敬の念は私も持っていますよ。しかし、知事は知事として、昨日、個人的な体験も述べられました。また、私たちの党外の方のいろんな本も読まれたかもしれません。また、ご自分の体験もあるでしょう。  しかし、相手の政党についてあれこれいうからには、その政党が発行している、歴史について国民に対して明らかにしたものをちゃんと読んだ上でやるのがエチケットというものじゃありませんか。このことはいっておきます。  知事は、東京都の代表であり、都民の代表なんですよ。それぞれの会派も、私たちも含めて、都民から負託を受けて都議会で活動しているわけです。したがって、意見に違いはあっても、それぞれの立場を尊重した関係を築くことが、自治体の運営の基本でなくてはなりません。  とりわけ、この議場は、都民から選ばれた議員が、事実に基づいて政策と主張を闘わせる場であります。事実に基づく堂々とした論戦は大いに行うべきですが、自分と意見が違うからといって、公党を誹謗中傷するようなことはあってはならないということを強調しておきたいと思います。  次に、知事は、我が党について、御都合主義とかデマゴーグという発言がありました。これは、六全協を経て、私たちが、つらい体験でしたけれども、そこを乗り越えて、いろんな教訓も得て──そのときに党をやめた人もいましたよ、しかし、それを乗り越えて私たちは前進してきた。知事も個人的にそういう体験をお持ちかもしれません。そういう犠牲の上に私たちは前進をしてきたんです。それを、御都合主義、デマゴーグなどという発言はとんでもありません。
 我が党は、常に都民の利益を守る立場から、具体的事実に基づいて提案を貫いております。卑近な例をいえば、さきの地下鉄十二号線問題の質問、マスコミでも大きく取り上げられたとおりです。大銀行への課税についても、我が党は二年前から指摘をし、提案してきました。さらに、石原都政の福祉切り捨ての問題についても、それが都民生活の実態に照らして、まさに命と健康の支えを奪うものだからこそ、事実に基づいて再検討を求めているわけです。  国政においても、我が党は、行き詰まった自民党政治を転換し、二十一世紀に向けて新しい政治を開くために全力で活動しております。  だからこそ、都議会でも、この間の選挙で第二党に躍進をさせていただいているし、地方議員数では四千四百五十二人、第一党の位置を占めさせていただきました。  こういう私たちの公党としての活動に対して、もう一度きちんとご認識を改めていただきたいと思いますが、知事、いかがですか。

◯石原知事 あなたが先ほどおっしゃった、あなた方が書かれた共産党の歴史なるものは、私自身も熟読いたしました。何と都合のいいうそが書かれているかなというのが私の印象でございました。そういう認識の上で、私は、決して誹謗中傷じゃない、開かれた場所ですから、私は私なりの共産党批判をしているわけで、それだけのことであります。

◯曽根委員 私、もう一度繰り返さなきゃならないのですが、ここは都議会の場です。知事は都民の代表で、また、東京都の行政の代表でもあります。したがって、その都議会に、それぞれ会派、違いはありますが、参加をして、それぞれ都民の立場を代表して議論をし合っているわけですから、そのことに対して、真摯に、事実に基づく政策論争を大いにやろうじゃないかということでありまして、その政党の歴史についてあれこれ云々されるというからには、その政党に対してのきちんとした認識を持っていただきたいということは、改めて申し上げておきたいと思うんです。  最後に、石原知事の基本姿勢について、この間、私たちは、福祉の見直し問題を中心として、この予算特別委員会でも、具体的に一つ一つ事実を挙げて議論をしてまいりました。福祉の問題は、何といっても三十年来の都政の最大の大きな宝であり柱だと私たちは認識しております。  したがって、実態調査もやっていない見直しに対しては、やはりこの場で物をいわなきゃならないということでやってきたわけです。私たちは、必要な、行政がやらない実態調査を、かわって行ってでも、重度心身障害者手当、老人福祉手当については、そのご本人に直接一人一人議員が会って調査をしてきました。そういうことを行政はやるべきなんですが、やらないんです。  このことが大問題だということを指摘しておきたいし、この私たちの活動について、いろいろ意見の違いをお持ちになるのは知事のご自由だと思いますが、少なくとも、私たちが都民のそういう実態をもとにして行っている発言や活動について誹謗中傷を行うような態度は今後慎んでいただきたいということを明確に申し上げまして、私、質問を終わります。(拍手)

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