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はじめ通信・子どもと教育のはた4−721
こういうたたかいをどんどんやるべき
広島大学で教職員組合が労基署にかけこみ
法人化のゆがみただす有力な方法

○大学法人化問題のネットワークで、以下のような情報を見つけました。独立行政法人化された国立広島大学で、教職員組合が、不払い残業など労働基準法違反を地元労基署に「かけこみ」告発したというニュースです。労基署側は、不払い残業の証拠となるタイムカードを調査しますが、大学には以前からありません。しかし法人化して公務員でなくなった以上、タイムカードで記録しない残業は違法行為として堂々と摘発できるんです。
 本来は、公務員だって労働者として告発できたはずで、2000年9月議会で私も都立府中病院医師のオーバーワークを立川労基署から是正勧告されたことを質問しました。
 今回の告発は、わが意を得たりという思いです。以下、広島大学教職員組合の佐藤委員長のコメントをお知らせします。

●労基署への駆け込みーーそれは法人化のゆがみをただす有力な方法である
2004年7月14日 広島大学教職員組合執行委員長 佐藤清隆

1.労基署における対応
 既報のように、広島大学教職員組合は、7月13日に、法人化後の国立大学法人広島大学・東広島事業場で行なわれている労使協定違反、及び不払い労働を根絶するために、広島労働基準監督署に立ち入り調査を求める告発を行ないました。報道各社が文科省に確認したところによれば、そのような告発は初めてであります。

 労働基準監督官など4名は、組合代表及び不払い労働文の支払いを求める当事者から、約1時間のヒアリングを行い、職場の労働実態の調査と、必要であれば改善指導を行なうことを約束しました。また、出勤・退勤時間の記録がない場合には、自己申告だけでは時間外労働の不払い請求は難しいとの示唆がありました。

 従いまして、正確な出勤・退勤時間の管理は極めて重要となり、その方向での改善指導が行なわれるかどうかを監視する必要があります。なおさっそく、16日には立ち入り調査が行われるということです。

2.マスコミの関心

 労基署のヒアリング後の記者会見には、朝日、毎日、読売、産経、中国、山陽の各新聞者、共同通信社、在広島のテレビ局が出席し、約1時間のブリーフィングがおこなわれました。記者からの質問が相次ぎましたが、そのポイントは、法人化後の業務増加の実態、実質の時間外労働の実態と残業代支給の実績の間の齟齬、法人化前との比較などに集中しました。
 満場を驚かせたのは、「ある女性事務職員の4月の実残業時間が190時間、支払い分は24時間、同じ職場の男性職員はそれ以上の残業」、「ある女性非常勤職員の4月の残業が36時間、支払い分が10時間」というものでした。
 そして、当日の夕方には、NHK,広島テレビ、テレビ新広島、中国放送のローカルニュースにおいて、私たちが労基署に入る様子や記者会見の映像とともに、組合の主張の大部分が、正確に報道されました。また、新聞報道は、当方の確認したものでは、朝日、毎日、読売、産経、中国で行なわれていました。新聞では、不払い労働の請求のみに限った朝日新聞を除いて、ほぼ当方の主張が記述されました。

3.教訓と、これからの対策

 以上の経験を通して、わたし達は3つの印象を持っています。
 第1は、労基署への駆け込みは、労働者によって、支持されるということです。本学でおきているとてつもない時間外労働と不払い労働は、おそらくほとんどの国立大学法人で横行しているものと思います。
 それを教職員組合が黙視せずに、労基署に訴えることについて、本学のほとんどの教職員には抵抗がなく、むしろ歓迎されていることです。もちろん、駆け込みに当っては、十分な調査と公表できる具体的な事実と承認を整える必要があることは言うまでもありません。

 第2は、社会的な関心や、驚きが、私たちの予想を超えることでした。これは、新聞・テレビ報道の多さに現われています。それは、記者会見の雰囲気にも明瞭にみてとれましたが、とりもなおさず、私たちの告発した実態が国立大学法人で恒常化されていることは、「社会的に見て許されるべきでない」と断じているのです。

 第3は、運営費交付金が、圧倒的に不足している中で、それを減額させず、できれば増額させるには、労基法違反の労働実態の告発が必要ではないかということです。
 国立大学を非公務員型の法人形態に無理やり引き込んでおいて、労基法に違反して労働者を働かせざるを得ないような財政保証しかしない政府の施策は、社会に対して説明ができません。
 従いまして、全国のすべての国立大学法人の組合等において、法人当局に対して、労基法にのっとった勤務を保障させる運動を起こすことができれば、国立大学法人の脆弱な財政基盤を社会に対して告発することができると思います。

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