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はじめ通信・子どもと教育のはた4・714
教育庁が盲ろう養護学校の再配置計画を発表
470教室を増やしスクールバスは60分以内に改善の一方で、
●盲ろう養護55校1分校の数はそのまま
●寄宿舎大幅削減と校外学習施設廃止の乱暴な提案


◆本日14日、教育庁は「特別支援教育推進計画概要(案)」を発表し、議員にも説明に来ました。
 この計画は、国が障害児教育の対象をLDやADHDなどの学習障害児まで広げる一方で、心身障害学級と盲ろう養護学校の学校や教員の数を原則として増やすことなく、「既存の資源を活用」して特別支援教育に再編していこうとする流れの中で、東京都がそれを一部先取りして具体化しようというものです。

◆今回、概要を発表して関係者に説明し要望を聞いた上で、11月に最終計画をまとめようというもの。一見、保護者などの意見が反映されそうに思えますが、これと基本的に同じやり方をとった都立高校統廃合の3回にわたる計画策定の際にも、生徒・保護者や教員、PTA、同窓会、地域住民、地元議会など、総ぐるみの反対運動が広がったところでも、ほとんどそれらの声が無視されて強引に進められた経験から、障害者やその家族の声で計画をすんなり変更するとは考えにくいといえます。
 しかし一方で、心身障害学級を解消する計画などは10万を越える急激な署名運動の力でかなり押し返してきた経過を見ても、ひきつづき運動と世論の力が決定的です。
 当面、7月28日(水)10時から北とぴあ(北区王子駅前)、29日(木)10時からアミュー立川(立川駅前)での父母説明会が重要です。

◆「推進計画」の期間は、04(平成16)年度から13(平成25)年度までの10年間で、これを3次に分け、第1次は07年度までで、今回は具体的に第1次再配置計画を立てています。(別紙図表を参照)
 配置計画の基本的考え方はおよそ以下の通りです。

(1)10年で都立盲ろう養護学校全体で8079人から9003人へ増加し、中でも養護学校が知的養護を中心に7222人から8177人へ増加する予想を踏まえながら、養護学校を4校増の47校1分校にする一方、ろう学校は大幅な統廃合を計画し、学校数は全体として現状を維持。知的障害と肢体不自由の併置を進めていく。

(2)10年後に推計470に及ぶとみられる教室不足を、主に学校増設と学校ごとの教室増築(寄宿舎の転用など)で解消していくといいます。スクールバス乗車も60分以内に短縮させます。

(3)懸案だった病弱養護の高等部を久留米養護に設置。軽度の知的障害児や盲・ろう児などの職業訓練や進学指導を重視。

(4)寄宿舎の自立訓練など活用の意義を認めず大幅縮小し、校外施設は民間施設利用を前提に2箇所とも廃止。

(5)小中学校の心障学級や通級学級については「法改正を待つ」として、「特別支援教室」のモデル実施を継続。

◆問題は、知的養護学校を増やす代りにろう学校を大幅に減らし、全体の学校数は変えないこと、青鳥久我山分校が、増改築の可能性はあるものの、原則として分校のまま残されること。そして、知的障害と肢体不自由の部門統合を現在2校から8校まで増やしていくこと。
 そして、寄宿舎を現11舎から5舎(盲学校4校と久留米養護に限定)に減らし、つぶした宿舎は教室に使っていくというもの。また土肥や聖山の校外学習施設を2校とも廃止するという計画です。

◆障害児学校の計画については、教室不足解消やスクールバス乗車時間の軽減など要望実現で前進する部分と同時に、全体として学校数も増やさず、ろう学校、寄宿舎、校外施設の統廃合など、校外活動は自己負担が重い「民間」に移し、障害児教育を安上がりにおしとどめる考え方が貫かれています。
 おそらく教員体制も、増員どころか心障学級担任も含めて大幅にリストラし、「専門化」を理由に非常勤化を進め、質量ともに空洞化されていく危険があります。
 また都の教育政策全体が、「日の丸・君が代」強制など教育基本法改悪の先取りが進む中で、障害児は「お国の役にたつ者と立たない者」に選別された戦前の思想の復活や、差別教育が持ち込まれていく恐れさえ感じさせられます。
 障害児にかかわるあらゆる方々の要望・意見を十分に出し合って、正確な分析をする必要があると思います。

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