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はじめ通信・子どもと教育のはた0209
石原都政の教育破壊を許さないネットワーク・・その2

◎国連・子どもの権利委員会で、名ざしで東京都の夜間定時制高校統廃合の再検討を勧告
○子ども意見表明権保障、○障害児教育の格差解消、○一面的な歴史教科書への審査強化なども最終所見に盛り込まれる


●1月27、28日に、子どもの権利条約実施についての第2回の日本政府報告に対して審議が行われた、国連の子どもの権利委員会が、30日に、最終所見をまとめました。
 前回98年の勧告では、「競争意識をあおる教育制度が子どもの成長をゆがめている」との指摘がされましたが、今回は5年ぶりの審議で、同条約実施に「十分な進捗がなかった」と批判されました。日本の国内法が条約の原則と規定を全面的には反映していない」と指摘。また家庭や学校で子どもの意見やプライバシーが尊重されず、学校内外の政治活動が規制され、通信に検閲や干渉が行われていることにも懸念を表明しました。

●28日の審査では、前回指摘された「教育の競争によるストレス軽減の根本対策は何か」「前回報告からの前進が示されていない」など厳しい質問が委員から続出。
 「夜間学校廃止では子どもの意見が取り入れられたのか」(ドイツ・クラップマン委員)などの質問に、文部科学省代表はカリキュラムや校則問題で「子どもの意見を聞く機会を設けなければならないとは考えていない」と答えて、ひんしゅくを買う場面もありました。

●本審査に先立ち、27日には「子供の声を国連に届ける会」代表の高校生の生の声を聞く予備審査があり、不登校経験の女子高校生がいじめにあった体験を話すと、もらい泣きする委員も・・。この中で、東京都の夜間定時制生徒の会の代表による訴えも行われ、この内容が、最終所見にも反映されました。

●最終所見の本文は、現地からの個人による翻訳・速報が、「ARC平野裕二の子どもの権利・国際情報サイト」に掲載されていますので参照して下さい。http://homepage2.nifty.com/childrights/
 この中で、条約第28条、第29条、第31条に基づく「7・教育、余暇および文化的活動」の第49項目「委員会は、教育制度を改革し、かつそれをいっそう条約に一致させるために締約国が行っている努力に留意する。しかしながら委員会は次の点について懸念するものである」の「e.」に「特に、中退した生徒を対象として柔軟な教育機会を提供している東京都の定時制高校が閉鎖されようとしていること。」と指摘し、さらに第50項目「委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する」の「c.」では「東京都に対し定時制高校の閉鎖を再検討し、かつ代替的形態の教育を拡大するよう奨励すること。」という二つの文章が入ったのです。

●所見には、他には自治体の名前は出てきませんので、極めて異例の指摘だといえます。
 前回の「過度に競争的な教育制度」という表現に続いて、今年の所見も、日本政府に対して、特定自治体政策の是正を勧告するという異例の具体的指摘が盛り込まれたことになります。このほかにも次のような項目が入りました。
*「障害のある子どものための特別な教育およびサービスに配分される人的および財政的資源を増やすこと。」(第44−C項)
*「審査手続の存在にもかかわらず一部の歴史教科書が、不完全または一面的であること」
(第49−G項)
*「表現および結社の自由」・・「委員会は、学校内外で生徒が行う政治活動に対する制限を懸念する。委員会はまた、18歳未満の子どもは団体に加入するために親の同意を必要とすることも懸念する。」(第29項)

●日本の政府は、2006年5月までには、勧告にもとづく実施状況を報告する事とされていますが、国は果たして都教委に見直しを求めることができるでしょうか。
 私は夜間定時制のみならず、夜間中学の貴重な教育の場である「日本語学級」の教員定数削減問題も、国連で裁かれなければならない国際問題だと痛感しました。

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