はじめ通信・子どもと教育のはた0117 「この授業のどこが問題なのか」一目瞭然の日本テレビの報道と石原知事のぶざまな答弁 ●1月15日の深夜のニュース、日本テレビの「きょうの出来事」で、大量処分が行われた都立七生養護の性教育は、どういうものだったのかというビデオ映像が放映されました。これは、七生の先生たちが、記録のために授業の様子を撮影しておいたもので、昨年7月の都教委の調査の際に没収され、都庁に保管されているものです。 ●ビデオでは、7月2日の都議会本会議の土屋議員の質問でとり上げられた「からだのうた」を使った授業が映し出され、この歌には知的障害児に自分の体の各部分の名称を覚えさせる、大事な役割を果たさせていることが良くわかるものでした。性器の名称は歌のごく一部に出てくるだけで、「口にするのも恥ずかしい」などという、議員や都教委の主張はまったく説得力がなく、「どうしてこんなことを理由に大量の処分になってしまうのか」と、誰もが思わざるを得ないものでした。 ●一部マスコミや議員が「まるでポルノショップ」と決めつけ、都教委に没収されている、男性性器のついた股引は、授業の中で実際に男性教員が、やってはいけない便器の使い方や排便の仕方を見せるために、子どもたちの様子を真似てみせるのに使っていました。股引をはいているとはいえ、教員が子どもたちに排便のマナーを教えるために、ズボンを下げてお知りを丸出しにしてしまう子どもたちのよくやるしぐさをまねて、「これはバツ」とみんなで確認する。ここまでやって見せるのかと、ビデオを見ていて、感動で目頭が熱くなったほどでした。 ●たまたま翌日が、予算原案発表の知事の記者会見でしたが、日本テレビの女性記者が、「昨日の報道に、大きな反響があった」と番組を紹介しながら、七生の処分について率直な疑問を知事にぶつけていました。 知事は、いつもの威丈高な様子は消えて、非常に答えにくそうにしていました。私は、おそらく誰かが放送かそのVTRを見せておいたのではないかと推測します。昨年7月の本会議答弁のような決めつけ調の発言はできませんでした。 ●知事が答えたのは、 @性教育の評価と処分を決めたのは、都教委の専門家たちで、私はこれを是としている。 A七生の教員たちは子どものことを考えてやっているのだろうが、世間の常識から見て小学校低学年まで行うのはどうか疑問だ。 B(障害児の性被害を防ぐ必要があるからと聞かれて)養護学校はともかく、ノーマルな子どもにまでジェンダーフリーの連中がああいう授業をやっている。 C(没収されたままの教材について聞かれて)都庁にあるとは知らなかったが、私自身の目で見て判断したい。 ということだけで、自分自身が七生の教育をおかしいとは、ついに言えませんでした。 ●やはり、映像の力は絶大です。七生養護の授業のビデオを、もっともっと多くの事実を知らされていない人々、とくに都から教材の不当な調査を迫られている区市町村の教育関係者に見てもらう必要があると痛感しました。 |