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はじめ通信・子どもと教育のはた0114

学歴差別と競争の教育を再生産する新たな企みがぞくぞくと・・都立高の夏休み削減OKに

●1月9日付の各紙が、いっせいに「都立高校で夏休みの規制緩和」との趣旨の報道をしました。都教委が来年度から15校ほどモデル実施で、夏休みの日程をずらしたり、短縮して補修などの授業をする裁量を認め、結果を見て全体に広げていく方針を打ち出したのです。もちろん休みを減らすことはあっても増やす方向はまず絶対ありえません。

●すでに2学期制に踏み出したり、夏休みに独自に補習を組んだりしている学校には、正式にお墨付きが与えられます。他の県では最大7日間縮める規定は例がありますが、都の場合、日数の歯止めもないようで、学校間で競争がエスカレートするのが心配です。

●都立高校「改革」として、
進学重点校、単位制進学重点校、及びその予備軍、中高一貫校、「有名大学合格人数」など学校経営方針と数値目標、そこへの「ヒト・モノ・カネ」重点支援、その保証として校長権限強化、主幹制度、副校長制度、「校長は5年、教員は3年」の人事異動要綱改定、単独選抜、推薦制度、学区制廃止、独自入試問題、自己PRカード、一芸入試、2学期制や7時間制導入や土曜補習の制度化容認、有名塾の授業放送や教員の研修、などなど数えればきりがない「制度改革」のうえに、また一つが加わって、今度は受験学習のためなら夏休みも返上できることになるのでしょうか・・。

●都立高校を、私学に対抗して進学争いで上位に復帰させようという狙いでしょうが、ここで大きな疑問がわきます。
 企業社会ではいまや終身雇用制も年功序列もほとんどなくなり、入社試験もパフォーマンス・自己表現や適用力が試される傾向が強く、「いまや企業社会では学歴主義は崩壊し実力主義になりつつある」と言われていながら、なぜ相変わらず、公立や私立の高校では、有名大学への入学を競い、学歴競争の再生産をくりかえすのかという疑問です。

●おそらくこれは長期の不況と就職難で、大卒で5〜6割の採用率など、極端な“買い手市場”となっている労働市場に大きな原因があると思います。
 大手の企業が就職希望者に、「実力も、資格も、学歴も」ときわめて横暴・勝手な要求を突きつけて、それでも好きに選べる力関係にあるということです。
 一方で、安上がりで劣悪な労働条件のアルバイトや派遣労働者が、大量に生み出されています。若年労働者の定着率の低さが問題にされますが、これで青年の雇用が安定して定着するはずがありません。

●労働組合の組織率がついに2割を切りました。労働者の生活と権利を擁護すべき労働運動の低迷が、いまや高校生の夏休みすら無制限に奪っていくところまで影響しているというのは、言い過ぎでしょうか。
 私には日本の労働者の「1億総無権利状態」が近づいている気がしてなりません。世論と運動、そして政治の力を働く国民の側に引き寄せなければならないと痛感します。

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