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はじめ通信・子供と教育のはた0109
理工系教員の”首をかけた声明”は、石原知事への抵抗が「都立大の人文だけ」ではないことを自ら証明した

●12月26日に、都立大学や都立科学技術大学の理工系の教員110人が、石原知事の新大学構想による一方的な設立準備の中止と開かれた大学改革を求めた声明を発表しました。この声明は、昨年10月7日の都立大学総長の声明を指示する立場を明確に表明。しかも110人のうち85人は実名を公表しており、代表の小柴共一教授によって都庁の記者会見で発表されました。(声明文は下記の通り)

●この声明にはマスコミも一斉に注目しました。
 それまで石原知事や大学本部が「新構想に反対しているのは、都立大学のごく一部、人文学部の教員たちで、理由は自らの地位が危ういための保身だ」とさんざん宣伝してきたことを見事に粉砕したからです。
 都立大教員の一部だけが保身で動いているのなら、学部の教員が半分に減らされる人文学部以外の被害の少ない理工系の教員が、さらには科学技術大の教員までが、わざわざ実名を公表して抵抗するなどということはあり得ないはずです。

●ちょうど年が明けたころ、北大理学部を同期で卒業した、リーダーの小柴教授と話をする機会があって、彼らが自名を公表することで、「文字通り”首”をかけてたたかっているんだ」という覚悟を知りました。

●理工系の110人をはじめ、文科系を含めて3桁を超える大学教員が、首をかけてたたかいを挑んでいるという事態は、かつて大学立法の時でさえあり得ませんでした。
 戦争直後の、アメリカによる日本支配のための大学介入とのたたかい以来のことではないでしょうか。またこのたたかいを、全国の大学関係者が注目しているのです。まさに「明日はわが身」の問題として。

●ここまで来ても石原知事や管理本部が、まだこの大学当事者の声を知事の強権でにぎりつぶして、来春には新大学設置に持ち込めると見ているなら愚の骨頂というべきでしょう。
 何が何でもオープンさせれば、大学名を何とつけようと世間の呼び名は「河合塾付属・石原私物化大学」となるでしょう。

         声明

東京都大学管理本部主導による一方的な「新大学設立」準備の早急な見直しと開かれた大学改革準備組織の再構築を求める


 東京都立大学は50年を超える歴史と伝統を培っており,教育と研究の両面で,公立大学として多くの社会的責務を果たしてきた.また,都立科学技術大学をはじめ他の都立の大学も首都の教育と研究を支える貴重な貢献をしてきた.しかしながら,2年前,東京都は専らその財政的な理由に基づき都立の4大学の統合・改革を提起した.

 これに対して,4大学は多くの問題を抱えながらも当時の管理本部と共同して,新たな枠組みによる大学の設置の作業に取り組んできた.特に,教育を受ける現在と未来の学生達に不利益が生じないことを常に念頭に置き,教育・研究に携わる機関としての社会的責務を今まで以上に間断なく果たすことを目標として,平成17年度の新たな枠組みによる大学の発足に向けて長時間にわたる検討を進めてきた.

 ところが,本年8月1日に現大学管理本部が唐突に提出してきた「新大学構想案」は,これまでの検討結果を一方的に破棄したものであった.以来,大学の「現場の声」を無視して進められる「新大学構想」に対し,10月7日の都立大学総長声明(「新大学設立準備体制の速やかな再構築を求める」)をはじめ,教職員,学生,大学院生などからの多くの声明や抗議が出されてきているにもかかわらず,大学管理本部は全くこれらを無視し,その後も河合塾への作業の外注や教員の任期制度や年俸制の一方的公表など,大学運営の基本に関わる事項を大学との協議の姿勢を示すことなく押し進めている.

 大学の改革は時の行政が一方的に進めるべきではなく,大学を運営する大学の執行部,あるいは,法人化後であればその責任を専らに担うものが中心となり,行政と手を携えて進めるべきものである.
 この基本すら守られない状況において,これ以上管理本部がいうところの「大学改革」を認めることは,現大学で学ぶ学生・大学院生のみならず,大学の新たな出発を期待する高校生,受験生をはじめとする東京都民、国民に対する責務を大学自身が放棄することになりかねない.

 したがって,現在都立の大学で教育・研究に従事し,大学の運営に一半の責任を持つ大学人として,これを黙って見過ごすことは出来ない.
 私たちは,10月7日の都立大学総長声明で指摘されている内容を支持するとともに,現在進められている一方的で独断的な「新大学設立」準備を直ちに見直し,開かれた準備組織のもとでしっかりとした改革の方向を検討し,新しい大学を作っていくための取り組みを進めることを強く求める.

2003年12月26日

東京都立大学理学研究科・エ学研究科,東京都立科学技術大学工学研究科教員
(以下、50音順で、氏名列記)


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