顧問秘書の嘆き

〜第6章〜      

 前回は自然現象に干渉して無理矢理晴れにしてしまった。しかし、その無理がたたったようで今回は雲ってしまった。そしてやむなく 中止になったのでした。おしまい。

 ………で終わってしまっては、このリンクに苦情(?)が殺到しかねない。仕方ないので、ここでは中止になるまでの短い軌跡を お話しましょう。

 最初っからこのようなことを言ってしまって良いのかどうか判らないが、もう終わった事だからいいですよね?実は、 10日前になっても観測会の準備を全くしていなかったのだ(あくまで『自分は』だが)。 やるときには観測するものの資料を作っているのだが、それすらもやらずにのほほんとしていたのだ。我ながらよくサボるなあ。そうして いると、見かねたのか4日に受験の資料を取りに来た迫田先輩がついでにと地学室に来た。

   迫田先輩 「どーもー」
   塩野   「資料とかはもう取って来たんですか?」
   迫田先輩 「そーだよ。で、どうなってるの?」
   鈴木先輩 「“どうなってる”ってなにがですか?」
   迫田先輩 「何って、星見会に決まってるだろ!!」
   鈴木先輩 「どうって言われても………ねえ」
   塩野   「そうですねぇ………」
   迫田先輩 「まさか何もしてないとか言うんじゃないだろうな?」
   塩野   「はははは………」
   鈴木先輩 「はい!」
   迫田先輩 「お前らやる気あるのかよ〜!!」

 怒鳴りたくなるのも無理は無い。実際本当に何もしていなかったのだから。ここで、「怒鳴られたので準備し始めた」と考えた方は 朝霞高校地学部をよく理解していない人だ。1年間怒鳴られ続けてきているので、とっくの昔に耐性が出来ているというものだ。もういくら 怒鳴られようとものれんに腕押し………いや、ティッシュペーパーに腕押し状態である。先輩もこんなのが相手だから今まで大変 だったんだろうなぁ。自分も「こんなの」だったのだけど。

 それにしても先輩がいなくなってからこんなんじゃ先が見えとるわな。かつての栄華はどこへやら………。一時期には20人ぐらい居て 、なんとあのNHKの番組にも出演した(「元部長のNHK出演秘話」参照)らしいのだが、黄金期がおわって からというもの、あれよあれよと言う間に6人になり、しかもその半分はほとんど来ない。中国の蓁帝国をも凌駕する衰退速度だ。まあ、 今はそんな事よりも準備準備!
 と、始めようとはしたものの、今度は何をしたらいいのか分からずオロオロするだけだった。いや、お恥ずかしい………。自分たちで準備 できることといったら前日にEM−10を組み立てるぐらいだ。他は何も出来ません。勘弁してください。

 それから数日後の3時限後の休み時間、鈴木先輩がなんと私の教室にやって来た。もちろん始めてである。そして開口一番 「お〜い、少年〜〜〜」。あの〜、地学部関係者以外の人間がいる場所じゃ絶対に判らないですよ。私の席が入り口に近かったから良かった ものの、窓際だったら絶対聞こえませんよ、周りがやかましいし。それはともかく先輩がここまで来るというのは、よほどの非常事態か、 よほど寝ぼけていたに違いない。まあ、もう昼なので寝ぼけているという事は無いだろう。つまりは非常事態という事だ。あまり芳しい 状況ではないようだな。何が起きても驚かないように密かに呼吸を整え、気合を入れたのち、すまし顔で話を聞きに行った。内心では ビクビクしていたが。

  鈴木先輩 「星見会の資料、こんな感じにしようと思ってるんだけど………どう?」
  塩野   「あ、ああ………良いですねぇ」
  鈴木先輩 「そんじゃコピーしておくよ」
  塩野   「お願いしま〜す」

 星見会の資料を作ってきてくれたようだ。そういえば、数日前に「資料どうする?」という内容のメールがあって、鈴木先輩が 「じゃあ、一本書いて明日持ってくよ」てことになってたんだっけ。最近の事も思い出せないとは、ついにワシも痴呆が始まったか。 そこまで老衰が進んでいたとは、なかなか侮れんものよのぉ。とにかく資料の問題も解決。後は前日にちょちょいとやるだけだ。これで なんとか光明が見えてきたか!?
 しかし、その夜のことである。テレビで天気予報を見てみると、「10日の天気です。関東では午前中は晴れますが、午後から天気は 下り坂でしょう」とのことだ。突然ですが、ここで少し論理的に考えてみましょう。

 @天気予報での「下り坂」とは、「だんだん悪くなる」という意味だ。
 A「悪くなる」とは、すなわち「曇る」という事。
 B次に、「朝霞高校」は「関東」地方にある。
 Cそして、「午後から」ならば「夜」も該当する。

 以上の要素から考えられるのは、「朝霞高校の10日の夜は曇り」という事だ。がびょ〜ん。もう慣れっこだがやはり悲しいものだ。
 当日は曇ったにも関わらず、参加者がゾロゾロと集合場所の地学室に入ってきた。この雲でも諦めないとはよほど見たいんですな (後で気付いたが、地学Tの選択者は強制参加だったそうな)。だったら入部してくださいよ。しかし、その熱意も雲に遮られ太陽 様には届かず、あえなく観測中止。結局私は6時頃まで残っていたが、そのあと帰った。ちなみに、後日分かった事だが、私が帰った後 晴れたらしい。ちくしょー。

 私が記憶している限りではこんな感じでした。今回はいつもに比べて大変短いですが、まあ、ご容赦下さい。





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