これでいいのか!!!!外務省
米海軍原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れに関する外務省の見解
2008年8月3日 ブログ『現地闘争本部ニュース』
今回の米海軍原子力潜水艦の放射能漏れについて、外務省は以下のようなプレスリリース(記者発表)をおこないました。
マスコミでは「放射能漏れ」とされている点を「冷却水漏れ」としているところが姑息ですが、一読してみてください。
●原子力潜水艦「ヒューストン」の冷却水漏れ
平成20年8月2日
昨1日午後、米政府から外務省に対し、米原子力潜水艦「ヒューストン」の冷却水漏れにつき、概要以下の旨の連絡があった。
(1)原子力軍艦の安全性に係る問題については、いかなる情報についても日本政府と共有し、説明責任を果たすとの観点から説明するものである。
(2)現在ハワイで行われている原潜「ヒューストン」の定期点検中、冷却水が一部しみ出していることが確認された。いつからこのように冷却水がしみ出るようになったのかは分からない。
(3)原潜「ヒューストン」の今回の全航海中に漏洩し得た全体の放射能の量は、0.0000005キュリー(肥料1袋に存在する程度の量)であり、人体や環境に影響を与えるものではない。
当方からは、漏洩し得たとしても全体として人体や環境に影響を与えるものではないことを確認したい旨述べたのに対し、先方より改めて右につき確認を受けた。また、当方からは、引き続き、何か新しい情報があれば迅速に連絡を得たい旨述べた。
米原子力艦が寄港する際は、文部科学省において放射能調査を24時間態勢で行っているが、原潜「ヒューストン」が3月及び4月に日本に寄港した際の放射能調査では特異な数値は検出されなかったものと承知している。
なお、本2日午前、上記の趣旨は長崎県、佐世保市及び沖縄県等に通報している。
☆原文はココ↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/8/1182262_914.html
さて、この文書を読んだ後に、以下のサイトを見てください。↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/pamph/usa_kaigun.html
これは06年に外務省が作成した、「米海軍の原子力艦の安全性」というカラーのパンフレットです。このパンフレットの8ページには「Q5原子炉の事故は一度も起こってないって本当?」「A5本当です。」という解説が載っています。
ここには太文字で「艦外への放射性物質漏出は極めて想定し難い」と書かれています。
また、「厳しい基準をクリアした安全な設計」の説明として、「原子炉を守る4重の障壁――放射性物質を閉じ込める極めて頑丈な4重の障壁」、「異常の早期発見――極めてわずかな漏洩でも探知可能な検出系」とあります。
ところが現実には、放射能漏れを起こした原子力潜水艦は、放射能を垂れ流していることに気づかないまま、航海を続けていたのです。この1ページを見ただけでも、米国の説明を鵜呑みにし、国民をだまし、ウソを平気でついてまでも、米国に奉仕しようとする外務省の姿が明らかになってきます。
ところでこのページの右側では、1986年にソ連で起きたチェルノブイリ原発事故を引き合いに出して、(1)チェルノブイリ原発には構造的な欠陥があった。(2)想像を絶する安全文化・モラルの欠如があった――と書いています。
横須賀に配備予定の原子力空母ジョージ・ワシントンの火災原因は、禁煙エリアでタバコを吸った兵士がいたこと、その兵士が火のついたままの吸殻をポイ捨てしたこと、そのタバコの火が保管が禁止されている場所に置かれた可燃性物質に引火したこと――が原因であることが判明しました。
そこで、このパンフレットの発行元である外務省の日米安全保障条約課に電話して、「米兵のモラルも相当低いようですが、原子力空母は安全なのですか?」と聞いてみました。
電話に出た「この問題の担当」という女性職員は私の質問に対して、「原子炉の事故につながるほどは、モラルは欠如していない」と回答しました。
タバコのポイ捨てが原因で、12時間に及ぶ火災が発生し、その責任をとって艦長と副艦長が解任されているにもかかわらず、です。外務省の回答は能天気です。
ちなみにこのパンフレットは、チェルノブイリ原発は「黒鉛減速軽水炉沸騰冷却型」という原発なので事故を起こしやすい。米海軍の原子炉は「加圧水型原子炉」だから安全と説明しています。
私は「1973年に米国のスリーマイル島でメルトダウン(炉心溶解)をおこした原発は、「加圧水型原子炉」ですよね」とも聞いたのですが、この女性職員は、まだお若いのか、スリーマイル島の事故を知らないようでした。
横須賀に停泊中の原子力空母がメルトダウンを起こした場合、栃木県の宇都宮市までを含む関東一円で、120万人から160万人が死亡するという試算がでています。こんな重大な問題を、外務省にまかせていいのでしょうか。