「それじゃあねぇ。オマエ等、無事に帰ってこれると良いねぇ」


 と、ノア一族のロードは言い、私達を残して異世界への扉を閉めてしまったの。










「イテテ…ここ何処さ?」
「さあ…見た事がない所よね」
「あそこに何かありますけど…」
「うーん…これはもしかして…」
「…………………」


 上からラビ、リナリー、アレン、コムイさん、神田の順。
 何が起きたかと言うと、ロードちゃんが作り出した扉に吸い込まれたの。
 そして気付けば知らない場所へ。
 でも…でもね。ちょっと気になる事が…
 私が口を開きかけたとき、今まで沈黙を守ってきた神田が先に喋ったの。


「ここは…日本だ」
「は!?日本てアクマの製造場所だろ?の割にはアクマの気配なんかしねぇさ?」
「だが、確かに日本だ。あの城が物語ってる」


 ラビの言葉に神田はムッとしながらも反論してるわ。
 そしてラビは神田が指差した方を見たの。
 私達もつられてそっちを見る。
 神田が指差した遠くの方に、見たことないお城があったのよ。


「ふむ…まさしくあれは日本のお城だね。作りが文献とそっくりだ」
「間違いないの?兄さん」
「間違いないよ。千年伯爵の動きを掴む為に、日本の事を調べたんだから」
「じゃあ、あそこに千年伯爵がいるんですか?」


 アレンの言葉に、みんな対アクマ武器を構える…けど…


「ちょっと待って。ここには千年伯爵はいないと思うの。ううん、それどころかアクマもいない」


 私の言葉に、みんなが一斉に振り向く。
 その表情は、驚いたものだった。


「どういう事だい?君。アクマがいないなんて」
「上手く言えないんですけど…ここは私達がいた世界じゃないと思うんです」
「へ?どういう事さ?」
「僕達のいた世界じゃないって…?」
「私達ね、異世界に来たんだと思うの」
「異世界!?何でには判るの?」


 リナリーが驚いた声をあげる。
 判るというか…感じると言った方が正しいかな。
 一度、世界を渡ってるから何となく…ね。


君がそう言うなら異世界なのかもね」
「だとしたら…どうやって元の世界にもどりますか?」
の錬金術で戻れないの?」


 そうねぇ。一刻も早く戻らないと…
 ノア一族との戦いもあるんだし。
 皆を近くに集め、両の手を合わせる…………けど………あれ?


「あれ?あれ?え…えぇ…!?」
「どうした、


 神田が訝しげに尋ねてくる。
 どうしよう…こんな事、初めてだわ…


、どうしたんですか?」
「何かあったんさ?」
?」
君、どこか痛むのかい?」
「いいえ…あの…錬金術が発動しないの」
「「「「「えぇ!?」」」」」


 本当なの。何度手を合わせても、空間転移の錬金術が発動しないの。


「他の錬金術はどうなんだい?」


 コムイさんに言われて試してみる。
 両の掌を合わせ、地面に手をつく。
 すると蒼紫の光を放ち、地面から短剣が現れた。


「錬金術は…使えるみたいね」
「えぇ…錬金術自体に問題はないみたい。イノセンスも発動できるし。
 そう言えば…みんなはイノセンス発動できるの?」


 私の問いに、みんな自分のイノセンスを発動してみる。
 …………………うん。問題ないみたいね。
 やっぱり…空間転移の錬金術だけが発動出来ないみたい。


「うーん…困ったねぇ。
 元の世界に帰るには君の錬金術を使う以外、方法はないんだけどねぇ」
「コムイ、何で術が発動しない?」
「空間転移の術だけが発動しないのは変ですよ」
「まぁ僕も専門じゃないから詳しく言えないけど…
 あの扉からこの世界に来たときに、君の体に負担がかかったのかもしれない」
にだけ?それって変さ。俺達は何ともないぜ?」
「私、元々みんなと違う世界から来たでしょ?それも原因の一つだと思うの」
「じゃあ私達、帰れないの?」
「ううん、それはないわ。『今』が使えないだけであって、暫くすれば使えるようになると思うの」


 その言葉に、みんな安どの表情を浮かべる。
 だから…目下、私達がしなくちゃいけない事は…


「ここが何処なのかの確認と、帰れるまでどうやって生活するか…ですね」
「そうだね〜。ここにアクマがいないなら、黒の教団もないだろうし」
「あ!そっか。今までは全部経費で落としてたけど…」
「チッ。文無しか」
「う〜わ〜。それは困ったさ。俺達、どうやって生活してけば良いんだっ!?」


 「う〜ん…」って感じで、みんなで頭を捻る。
 流石に文無しはキツイ。
 暫く沈黙が辺りを支配していたけど、突然アレンが低く笑い始めたの。


「ふ…ふふふ…いざとなったら、僕がカードでイカサマを…」
「く…黒っ!アレンが黒いさ…」
「ふふ…そうねぇ。私もいざとなったら錬金術でこの石を黄金に…」
っ!落ち着いて!」
「金の練成は禁忌なんだろっ!」


 思わず黒くなったアレンと私を、3人は慌てて止める。
 

「「チッ」」


 (((アレンとが舌打ちしたーーーー!!)))


 3人の気持ちが一つになった事を、私とアレンは知らないのでした(苦笑)
 私達の様子を微笑ましく(?)見守っていたコムイさん。
 そんなコムイさんが、打開策を出してくれました。


「とりあえず街に行ってみよう。ボク達にもできる仕事があるかもしれないよ」
「そうで−」


 「そうですね」と言おうとして、私は途中で言葉を止めた。
 人の気配を感じたから。
 一人、二人というレベルじゃない。
 数十人いるわね。


「へへ。何か話し声がすると思いきや、こんな所に良いカモがいやすぜ、兄貴」
「しかも、形は変だが上等な着物じゃねぇか。おい野郎共!
 コイツ等の身包み、全部剥いじまえ!女は生け捕りにしろっ!」
「「「「「「「「「「おぅ!」」」」」」」」」」


 えっと…とりあえずあの人達の会話を聞いて思ったのは…


「言葉、通じるんですね」
「みたいだな。その方が楽でいい」
「間違いないさ♪ところであいつ等って悪?」
「そうじゃないですか?見た所、追いはぎか賊ですね。アクマはいないです」
「兄さんは下がってて」
「ほいほい♪みんな気をつけてね」


 こんな感じで気楽に構えてるわけなんです。
 数は多いけど、エクソシストである私達の敵じゃない。
 みんな武器を構え、賊を倒していく。
 もちろんイノセンスは発動しませんよ。
 神田に至っては、相手が弱すぎてつまらなさそうね(苦笑)
 結果…5分もかからずに決着がついたのよ。
 うーん…警察を呼ぶべき?
 悩んでいたとき、背後から声が聞こえたのよ。


「ヒュ〜♪アンタ等やるねぇ。ただモンじゃねぇな。Who are you?(何者だ?)」


 出てきたのは、青い鎧に三日月がついた兜を身につけた人。
 今までの気配の消し方や今出している殺気といい…
 この人、只者じゃないわ。


「あぁ?人に名前を尋ねる時は、自分から名乗れよ」


 神田のバカ!何で喧嘩腰なのよっ!
 ほらぁ。相手の方が睨んでるじゃない(泣)


「Ha!この俺を知らないとはな。何処の田舎出だ?」
「なんだと!?」
 

 一触即発の雰囲気を止めてくれたのは、コムイさんでした。
 流石コムイさんです!


「まぁまぁ、神田君。ねぇ、そこのキミ!ここは日本かい?」
「あ?日本に決まってんだろーが。そしてここは奥州だ」


 この人の言葉で、異世界決定。
 私達がいた世界だと、日本はアクマの製造場所。
 こんな穏やか…というか、アクマの気配がないはずがないもの。


「やっぱり異世界でしたね」
「これからどうするの?兄さん」
「まずは街へ行って…」
「だから僕がカードでイカサマを…」
「私も錬金術で黄金を…」
とアレンが黒いさー(泣)」
「やめとけって…(呆)」


 ひそひそとは会議をしていると、青い人が痺れを切らしたみたい。


「俺は奥州筆頭、伊達政宗だ。テメェ等は何モンだ!?」
「私達はエクソシストです」
「因みにボクは室長だよん♪」
「『えくそしすと』だぁ?何だそれは」


 この世界…というかこの国にエクソシストはいないのね。
 何て説明しようか迷った挙句、私達は全て話したの。
 伊達さん(こっちがファミリーネームなんだって)は、最初は驚いてたんだけど、


「異世界から来た!そいつは面白れぇな。気に入った。俺の城に招待してやる」


 と、仰ってくださいました。
 とりあえず行く当てもない私達は、伊達さんに着いていく事にしました。







 この始まり…何だか身に覚えがあるのですが(苦笑)




企画第2弾の連載。
トリップのトリップです。
何だかややこしいな(笑)
リクエストで多かった『ハガレン以外の世界へ』と『DグレメンバーがBASARA』を纏めてみました。
さて…作ったはいいけど、どうやって話を終わらせるかな?
そこの所を考えてない、いきあったりばったり作品です(マテ)
それでも、お付き合いいただけると嬉しいですv