お茶会のためのお菓子作り。
 でもジェリーさんの所に行ったら、材料が足りなくて。
 今から街へ買い物に行ってきます!!












 と言うわけで、街にやって来ました。
 こうやって街へ買い物に来るのも久し振りねぇ。
 実は、ゆっくり買い物がしたくて教団コートを脱いできたの。
 ほら。あのコートを着てると、結構トラブルを招きやすいの。
 だってボタンが銀で出来てるのよ?
 絡まれちゃうのよね〜…
 いつもは神田が一緒だから、そんな事はないけど。
 女一人だと…ネ(苦笑)
 まぁ万が一絡まれても、切り抜ける自信はあるわ。
 でも色々と面倒くさいのよ。変な因縁をつけられるし。
 そんな訳で、今日は私服でお買い物ですv


「えーっと…あれは買ったー。コレも買ってー…あとは…」
「あ!おねーさんだぁ」
「え?」


 買い物リストを見ながら歩いていたとき、いきなり声をかけられたの。
 あら?この声って…


「ロードちゃん?」
「そう!僕だよv覚えててくれたんだぁ。ウレシーなv」
「忘れるわけないわよ〜」


 出会いが出会いだったし(笑)
 それに、相変わらずこの子から変わった気配を感じるの。
 何処かで感じたことのある気配なんだけど、どうしても判らない…
 うーん…気になると言えば気になるけど、久し振りにロードちゃんに会ったんだし。
 今は気にしないでいよう。


おねーさんは買い物に来たの?」
「えぇ。お茶会の時のお菓子の材料をね」
「へぇ!おねーさんって、お菓子を作るんだぁ。僕も食べたいなぁ」
「じゃあ今度機会があったら作ってあげるね。でも美味しくないかもしれないわよ?」
「大丈夫だよ〜。おねーさんって、料理上手な感じだもん」


 どんな感じですか、それは(笑)
 そうツッコミを入れつつ、二人でメインストリートを歩く。


「ロードちゃんは、どうしてこの街に?」
「僕は知り合いに会いにきたんだぁ。この辺りのはずなんだけど〜」


 ロードちゃんが辺りを見回しながら、右に曲がろうとしたとき。


「チクショーーー!覚えてろ〜〜〜!!!」


 と、泣き叫びながら男の人が走り去って行ったの。
 な…何?何が起きたの?
 視線を男の人が走ってきたほうを見ると、そこには別の男の人がいた。
 黒い髪はボサボサで、少し無精ひげを生やしてて、分厚いメガネをかけている人。
 彼の手にはトランプが。
 もしかして………


「悪いけど、ここを通りたかったら勝負してってね〜」


 ………やっぱりですか。
 どうしようかな?道はここだけじゃないんだし、他から行こうかな?
 ロードちゃんもいるから、あんまり賭け事はしたくないのよね。


「私達、他の道から行くので結構です」


 そう伝え、ロードちゃんと元来た道に引き返そうとしたとき。
 さっと、道を遮られたの。
 はぁ…何でこう、トラブルに巻き込まれるかなぁ?(自覚あり)


「まぁまぁ、そんな逃げなくても良いじゃん。今は手持ちもあるし、お嬢ちゃん達からは何も取らないって。
 ただそっちのおねーさん、かなり美人だからさ。ちょっとカードの相手をしてほしいワケ☆」


 黒髪の男の人が軽そうに言う。
 …はぁ。やっぱり神田を連れてこれば良かったわ。
 そしたら、こんな風に絡まれなかったのに。
 え?普段?神田が睨んだら、大抵の人が逃げて行きますって(笑)
 さてさて、どうしたものかしら?
 ここでずっと通せんぼしてもらってても困るわよねぇ。


「相手をすれば良いんでしょ?その代わり、私が勝ったらここでの賭けカードはやめて下さいね」
「OK!交渉成立。じゃ、何のゲームにする?」
「お任せします」
「ふーん。だったらオーソドックスにポーカーなんてどう?」
「えぇ。負けませんよ?」
「悪ぃけど、俺も負ける気ないんだわ」


 目の前にいる、黒髪の男の人は口角を上げて笑った。
 きっと、イカサマを使うのね。
 お兄さん。相手が悪かったわ。私は錬金術師よ?
 どんなイカサマも通用しません。ふふv


 配られたカードを見てみると…
 あらら…見事なハズレカードばかり。
 仕方ないわね。ちょっとズルしちゃいますかv


「何枚かえる?」
「そうねえ………3枚かえようかしら?」
「俺は2枚」


 いらないカードを捨て、山にあるカードを引こうとするときに、軽く手を合わせる。
 練成反応は、なるべく抑えて…


「それじゃ、俺からいこうかな。フルハウスだ」


 相手はフルハウス。
 同じ数のカードが3枚と2枚…ね。
 ふふv甘いわ。


「私はフォーカードよ」


 同じ数のカードが4枚。私の勝ち。


「へぇ…おねーさん、運が良いって言われない?」
「うーん…悪くはないと思うけど?」
「それじゃ、次だ」


 再びカードが配られる。
 やっぱり私は相手に気付かれないようにカードを練成したの。
 それが何回も続いたわ。
 悪いけど、全部私の勝ち。
 いくら相手がイカサマをしても、錬金術には勝てないわよ?
 そして最後の勝負。


「悪いけど…俺が頂くぜ?ロイヤルストレートフラッシュだ」


 お兄さんが出したのは、ハートで揃えられた1・10・J・Q・K。
 ロイヤルストレートフラッシュは、ポーカーの中でも最強の役。
 本来ならば、これ以上強い役はないわ。
 でもね…


「甘いわね。『スペード』のロイヤルストレートフラッシュ」


 私が見せたカードは、スペードの1・10・J・Q・K。
 同じ役なら、スペードの方が強いのよ。


「は…はは…まさかスペードで来るとはねぇ。いやー。まいったまいった」
「私の勝ちよね?ここを通らせてもらうわ。あと約束も守ってくださいね」
「あぁ。約束どおり、ここでの賭けカードはやめとくよ。
 あ!今度機会があったら勝負しようねー。今度は負けねぇよ?」
「あはは。願わくは、もう勝負したくないですよー」
「あらら。振られちゃった(笑)」


 お兄さんはそう言い、手をひらひら振りながら去って行ったの。
 はぁ…何だか無駄に疲れたわね。
 っと、そうだ。ロードちゃん。
 あんまり子どもの前で賭け事なんてしたくなかったのに。


「ごめんね、ロードちゃん。待たせちゃったね」
「ううん。おねーさんって、カードも強いんだねぇ。
 まさかロイヤルストレートフラッシュが出ると思わなかったよぉ」
「あぁ…あれね…イカサマよ。錬金術を使ったの」
「へぇ!!錬金術って、そんな事もできるんだ?」
「コレは二人だけの秘密にしておいてね。特に先生にばれると、すっごく怖いから」
「うん、二人だけの秘密だね」


 クスクス笑いながら、路地を歩く。
 暫く歩いた後、「僕そろそろ人と会う約束があるから」と、ロードちゃんは去って行った。
 さぁ、私も教団本部へ戻るとしましょうか。
































† † † † † 
 

「やぁ、ティッキー」


 一通りが少ない裏路地で、ロードは人と会っていた。
 『ティッキー』と呼ばれた人物。
 それは、先ほどまでと賭けカードをしていた人物だった。


「どぉだった?。美人でしょぉ?すっごく僕の好みなんだよねv
 ところで、いつまでその格好でいるのさぁ」


 ティキはニヤリと口角を上げて笑うと、メガネを外す。
 そしてパチパチと彼の周りで何かが弾けるような音がしたかと思うと、
 ボサボサ頭で無精ひげの生えていた青年は何処にもいなかった。
 そこにいたのは、黒のタキシードを見事に着こなし、額にクロスの印のある美青年だ。


「確かに美人だった」


 の容姿を思い出したティキは、口角を上げて笑った。


「それにさっきのカードも気になるな。
 俺はクズカードしか回さなかったのに、何でロイヤルストレートフラッシュが出たんだ?」
曰く、錬金術を使ったらしいよぉ」
「錬金術…ねぇ。ロードは見た事あるのか?」
「前にゴミが僕の頬を殴ったとき、が錬金術で治してくれた。錬金術を使う時の蒼紫の光が綺麗なんだぁ」
「へぇ。それは見てみたいね」


 感心するティキに、ロードは良い案が浮かんだかのように、後ろに控えている男を指した。
 それを見たティキは、ロードが何を言おうとしているか判ったようだ。


「おい、行ってこい」


 ティキに指差された男は、何も言わず裏路地から街へと歩いて行く。

「あのアクマ、まだレベル1じゃん?が破壊しちゃうよ?」
「いーって。どうせ千年公が沢山作るっしょ。なぁ、ってエクソシストなんだろ?」
「そうだよ。耳のピアスがイノセンスみたい」
「………偽りの神に認められし者…か」


 何かを考える素振りをするティキ。
 その様子をロードは不思議そうに見ていた。


って…イノセンスだけじゃなく、ダークマターの気配もしないか?」
「あ!それ僕も思ってたんだよねぇ。だけどさぁ、イノセンスとダークマターが一緒になるはずないじゃん」
「そーなんだよなぁ」


 ありえない可能性に、頭を抱えるティキ。
 しかし自分が感じた気配に、偽りがあるわけではない。


「ま、兎に角。今はの錬金術でも見に行くとしますか」
「そーだね。ってすっごく強いんだよぉ。アレンより強いんじゃないかな?」
「アレンって…この間言ってたヤツか?」
「そう。アレンは僕のおもちゃ。は僕のお人形なの。だから手を出さないでねv」


 にっこり笑ってティキを牽制するロード。
 しかし、それに関してはティキも負けてはいなかった。


「悪いけど、それは聞けないな。俺もが気に入ったからね。俺の好みにドンピシャだ」


 と、ブラックオーラを撒き散らしながら、アクマと戦っているであろうの元へ二人は向かったのだった。





後書き

やっとティキさん登場。
………ティキさんの口調、難しっ!!
こんな感じでしょうか…ねぇ?(おまいが聞くな)
イメージを壊して無ければ幸いです………


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