例によって例の如く。
は調べ物の為にセントラルへやって来ました。
もちろん神田も一緒です。
この二人がセントラルへ来て何も起きないはずがありません。
今回もほら………
Theater Ticket ―前編―
セントラルの図書館で調べ物を終わらせたは神田と共に歩いていました。
目的地は中央司令部。
神田はそこへ向かうのが嫌でした。
何故なら、中央司令部にはロイがいるから。
けれどものお願い(+上目遣い)には勝てず、渋々付きあっています。
重い足取りのままロイの執務室を開けた瞬間―
「「「げっ!!」」」
三人の声が重なりました。
一つは神田。もう一つはロイ。そして最後の一つは………
「鋼の錬金術師」として名高いエドワード・エルリックだったのです。
どうやら彼はロイに用があったらしく、アルと共に中央司令部に来てたのでした。
「久しぶりねエド!それにアルも!!元気そうで何よりだわ」
三人の睨み合いに気付いていないは、久し振りの再会に嬉しそうです。
アルに近付き「元気そうだね〜。エドは相変わらず?」などと話しています。
その問いに困ったように頷きながら
「兄さんは相変わらずだよ〜。『あの』言葉に反応するし」
と言いました。
アルの言葉が面白かったのか、は声をあげて笑いました。
「あはは。エドは変わってないのね。懐かしいわ。でも…前会った時より大きくなってない?」
この言葉に反応したのはエドです。
言い争いを止め、音速のスピードでの手を握りました。
「なぁ!!やっぱりオレ背ぇ伸びたよな!?」
「えっ?えぇ。前よりも伸びたわ。ほら、目線が前よりも高い位置にあるじゃない」
突然エドが目前に来て驚きましたが、そこは。
にっこり笑って話しています。
の笑顔と背の高さを肯定されて嬉しそうに笑うエドに、も微笑みます。
アルはアルで「よかったね〜兄さん」と涙を流しながら喜んでいました。
家族との再会の和やかな様子を微笑ましく見ている中尉や少尉達。
けれども、この様子を快く思っていない人も当然いる訳で………
神田やロイが文句を言おうとしたとき―
バァン!!
勢いよく執務室の扉が開きました。
入ってきたのはそう――
「「「「アームストロング少佐!!」」」
「あの時の魔よけ…凄ぇな、無駄にキラキラしてやがる」
驚いたような感心したような神田の呟きに疑問を抱くも、はアームストロングに声を掛けました。
の姿を見たアームストロングは、みるみるうちに涙を溢れさせました。
滝のような涙を流しながら、へと駆け寄ってきます。
「!ではないか。心配していたのだぞ!!」
両手を広げ抱きしめようとするアームストロング。
エドだけでなくアルやロイ、リザ、ハボック達まで慌てています。
あの力で抱きしめられたら、流石のも大怪我してしまいますからね(苦笑)
あと少しで大怪我か!?と思われた時、神田がを引っ張り己の腕の中に閉じ込めました。
いきなりの事では驚いています。
「か…神田!?」
「俺の女に触んじゃねーよ」
アームストロングは初めて見る青年に疑問を浮かべていました。
リザやアル、ハボック達は、に怪我がなくて安心しています。
ロイとエドはと言うと…
さり気に発火布をはめ、さり気に機械鎧を甲剣に変えていました。
二人とも何をする気なのでしょうか…?
ロイとエドの様子に気付いていないは、大物ですね。
早速アームストロングに神田を紹介しています。
「アームストロング少佐も国家錬金術師なのよ」
「国家錬金術師?アイツと同じ?」
神田は視線でロイを捕らえました。
それに気付いたアームストロングは大きく頷きます。
「我輩の二つ名は『豪腕』!とくと見よ!我がアームストロング家に代々伝わりし筋肉美を!!」
バッ!!と上着を脱ぎ、スポットライトを浴びながらマッチョポーズを決めるアームストロング。
胸筋がピクピク動いています。
その背後には『盛』という効果音と、グレードアップしたキラキラが見えました。
慣れているメンバーは『またか』という感じでそれを見ています。
では間近で見た神田はと言うと………
「……………そろそろ教団に帰らねぇか?」
彼の中でアームストロングが脳内削除された模様です。
アームストロングを視界に入れないようにの方を向きました。
ロイ達との挨拶も済んだし、思いがけずエド達とも再会しました。
もう思い残す事はないと思ったのでしょう。
ですが、を帰らせたくないロイとエド。
ロイは急いで話題転換をしました。
「ところで少佐は何の用だね?」
「む?おぉ!忘れるところでした」
アームストロングはチケットを2枚取り出しました。
それは今大人気の演劇チケット。
チケットを知り合いから貰ったのですが、仕事のため行けないとの事です。
ですのでチケットを譲る事にしました。
それをに渡すと、颯爽(?)と去って行きました。
さて、部屋に残った人達はと言うと…
「、折角だから行ってきたら?」
リザに言われ、慌てて断る。
前評判の良いこの演劇を、確かには見たいと思っていました。
けれども、ここで頷くのには罪悪感があるのでしょう。
見たいのはみな同じなのですから――
「遠慮しなくても良いのよ。それに私達も仕事があるから無理なの」
「うーん…本当にいいのですか?」
の問いに、みんな笑顔でOKしました。
大好きなの喜ぶ顔を見たいのです。
事実、チケットを貰ったは誰もが見惚れる笑顔を浮かべていました。
見ているだけで幸せになれる天使の微笑みです。
ここで終われば問題ないのですが………
重要なポイントが一つ。
チケットは『二枚』あるのです。
一枚はが使うとして、もう一枚は誰が?
「、私と一緒に見に行かないか?エスコートは任せたまえ」
「寝言は寝て言うもんだぜ。大佐は仕事だろ?なぁ、久し振りに二人で出かけようぜ」
「ふ…残念だったな鋼の。私には有給休暇と言うものがあるのだよ」
「ちょっと待て。誰がテメェ等と一緒に行かせるかよ。つか早く諦めろ!」
「はぁ?おまえこそ何言ってんの。オレは諦めが悪いんだ!」
「私も諦めるつもりはないのでね」
「上等じゃねぇか…!その喧嘩買ってやるぜ」
「「「勝負だ!!」」」
あわや神田vsロイvsエドとなるかと思われたとき。
「いけません。中央司令部を破壊する気ですか?」
リザが三人の行動を止めました。
正論を言われ、言葉に詰まる3人。
しかしロイが頑張って食い下がります。
「しかし中尉…」
「いけません」
「中「い・け・ま・せ・ん」
リザ愛用の銃を構えられ、あっさりと引き下がるロイ。
大佐の威厳は何処にいったのでしょうか…?
「あなた方三人が戦うと、大きな被害が出てしまいます」
「ならどうすれば良いんだ?」
神田の問いに、リザは大きく頷きました。
そしてアルを呼び、練兵場まで皆を連れて行きます。
「アルフォンス君、お願いね」
「任せて下さい、中尉」
パン パシィ
掌を合わせ、アルは地面からある物を練成しました。
それは某クイズ番組で見るようなテーブルです。
ご丁寧に、『カンダ』『ロイ』『エドワード』とネーム入り。
「ちゅ…中尉…これは?」
恐る恐る尋ねるロイに、リザはきっぱりとした口調で答えました。
「どうしたら被害が最小限に抑えられ、かつ決着のつく方法を考えた結果、クイズと言う事になりました。
参加したい人は座ってください」
色々疑問を浮かべる3人だが、銃を構えたリザを前に何も言えません。
渋々ながら席に座りました。
続いて安全な場所に解説者席を練成するアル。
そこにはとリザとアルが座りました。
リザもアルも司会をしないと言う事は…ハボック少尉達の誰かでしょうか?
「「「「一般人を巻き込むなーーーー!!」」」」
確実に安全圏まで避難しながらツッコムハボック少尉達。
司会者がいなくてはクイズが成り立ちません。
さぁ困りました。
とリザとアルが悩んでいるとき。
「こういう楽しい事は俺に任せろ!!」
何処からともなく聞こえてきた声。
この声の正体は―
後書き
大変遅くなりました!!
45000hitを踏まれた桜簪様リクエスト「神田vsロイ&エド」でございます。
いやもう、お待たせして申し訳ないです…
しかもまたまた1話完結しませんでしたし(もう何も言うまい…)
桜簪様、アームストロング少佐との出会いは、こんな感じになりました(笑)
どうですかねぇ…?
後編は只今執筆中ですので、お待ち下さいませ。
桜簪様のみ転載可でございます。
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