神田:[装備]エプロン(防御1 萌え3 備考:一定の確率で敵が逃げていきます)








看病しましょう 後編







他愛ない話をしながらの看病をしているリナリー。

そこへ薬を貰いに言っていたラビが帰ってきた。

薬をサイドテーブルに置き、ラビはの顔を見る。



「あ〜…やっぱり顔色が悪いなぁ。何で無理したんさ?」

「無理…したつもりは無かったのよ。ただちょっと研究に集中しちゃって…」

は錬金術の研究になると周りが見えなくなるもの」

「うん………それ神田にも言われたわ」

「これからは気を付けなくちゃ駄目よ」

「はい…今回の事で身に染みました。ごめんね、迷惑をかけて…」



 しゅんとなるの頭を撫でながら、ラビは笑顔を向けた。



「いつもには世話になってるからなぁ。たまには良いんじゃねぇ?」

「ふふ。それアレンも言われたわ」

「だろ?今日ぐらいはオレ達に甘えるのも良いさ」



 ラビの笑顔と言葉に、元気を取り戻す

 リナリーはそんな二人のやり取りを微笑ましそうに見ていた。

 が、をゆっくり寝かすため、ラビを退室させようとした時。

 今まで何処かに行っていた神田がの部屋へ戻ってきた。

 手にトレイを持って――



「具合はどうだ?」

「ん〜…さっきとあまり変わらないわね」

「そうか。メシは食えそうか?」

「あんまり食欲は無いけど…食べなきゃ駄目なんでしょ?」

「当然だ。何も食わずに薬を飲むのは良くねぇ」



 サイドテーブルにトレイを置き、小さな土鍋の蓋を開けた。

 その途端、白い蒸気とともに良い香りが辺りに漂う。

 とリナリー、そしてラビは土鍋の中身を不思議そうに見た。



「なぁユウ。それって何さなんだ?リゾットとはちょっと違うみたいだけど」

「うん…私も初めて見たわ。元の世界にも無かったわ」

「お粥ともちょっと違うみたいよね。日本の料理なの?」

「雑炊だ。粥と迷ったが、の風邪もまだ酷くねぇからな。味のある雑炊にした」



 土鍋と一緒に持ってきたお椀に雑炊を入れながら神田が言う。

 神田はベッドサイドに座り、これをに渡した。

 お椀をとレンゲを受け取ったは、じっとその中身を見ている。

 「食べねぇのか?」と神田が尋ねると、はゆっくりと雑炊をすくった。



「美味しそうね。ジェリーさんにお礼を言わなくちゃ」

「ホント美味しそう。今度私も作って貰おうかしら?」

「あ!オレもオレも〜。今度は雑炊パーティしねぇ?」

「それは良い考えだわ!の風邪が治ったらやりましょう」



 和気藹々と話している三人。

 だが、次の神田の言葉に三人とも信じられない表情を浮かべた。



「盛り上がってるとこ悪ぃが、これを作ったのは俺だぜ」

「「「はぁっ!?」」」

「だから俺が作ったって言ってんだよ。の為に」



 俺が作ったら悪いのか?と言わんばかりに眉を顰める神田。

 だけど三人の言葉に罪は無いだろう。

 まさか神田が料理をするなんて――

 は恐る恐るレンゲで掬った雑炊を口に入れた。

 リナリーとラビも固唾をのんで見守っている。

 果たして、その味は如何に?



…大丈夫か?不味かったら吐き出しても良いんだぜ?」

「そうよ。風邪が悪化したら大変だもの」

「ユウの前だからって、遠慮する事はないさ」

「テメェら何気に失礼だな(黒笑)」

「あら当然じゃない。大事なに変な物食べさせられないわ(黒笑)」

「………………(怖)」



 哀れラビ。二人のブラックオーラに怯えている。

 ラビの体感温度が5度下がった時。

 ドアをノックする音が聞こえ、アレンが中へ入ってきた。



「アレン!(助かった)」

「あれ?どうしたんですか?」



 神田とリナリーの雰囲気に気付いたアレンが問う。

 ラビは今まであった事を掻い摘んでアレンに話した。

 するとアレンも驚いての手にある雑炊を見た。



「………本当にカンダが作ったんですか?」

「だったらどうたって言うんだよ」



 疑惑の目で見つめるアレンに、睨み返す神田。

 アレンは神田から視線を外すとへ顔を向けた。



「ねぇ。本当に大丈夫?口直しにリンゴを食べる?僕が剥くよ?」

「モヤシ…テメェもいー度胸だな(黒笑)」

「大事なに無理はさせられませんからね(黒笑)」

「(アレンも黒だ!白いけど)」



 黒属性の仲間が増え、心で涙するラビ。

 三人が(黒く)笑いあっている中、が神田の黒いコートを引っ張った。

 振り向く神田。

 その顔には一切の黒さはなかったと言う(ラビ談)



、どうしたんだ?」

「おかわりしても良いかしら?」



 いつの間にかお椀の中が無くなっている。

 神田は嬉しそうに土鍋の中から雑炊を掬った。

 心配そうにを見つめるアレンとリナリー。

 そんな二人にも一切の黒さは無かった(ラビ談)



「お雑炊って初めて食べたけど美味しいのね。それとも神田の腕が良いのかしら?」



 その言葉に神田はどこか嬉しそうだ。

 にお椀を渡すと、再び美味しそうに食べ始めた。

 朝食がまだだった事もあり、平らげていく。



「なぁ。本当に美味いのか?」

「うん。美味しいわ。『ラビも一口食べる?』って言いたいけど、風邪がうつっちゃうから…」

「大丈夫!の風邪ならうつされたいさ〜。だから食べさ………」

「だから…何だ?」

「イエ…ナンデモアリマセン(滝汗)」



 神田の地を這うような声に固まるラビ。

 そんなラビの様子を見て、リナリーは溜息をついた。



「それじゃあ後は神田に任せるわ。その方がも良いでしょ?」

「そうですね。あまり人がいてもに気を使わせちゃいますし」

「良い?ちゃんとゆっくり寝てなきゃ駄目よ?」

「それじゃあ僕たちはこれで。の風邪が治ったら雑炊パーティーをしようね」



 リナリーは未だ固まっているラビの首根っこを捕まえ、部屋から出て行く。

 アレンもその後を付いていった。

 部屋に残るはと神田。

 はクスクス笑いながら神田を見つめた。



「まさか神田が料理を作るなんて思わなかったわ。みんなも驚いてたわね」

「そんなに俺が作るのが変かよ」

「そうね。想像もしなかったわ」



 雑炊を掬い、口に入れる。



「でも本当に美味しい。もしかして私より料理上手?」

「そんな事ねぇよ。の料理の方が美味いぜ」

「ふふ。ありがとう。ね、またお雑炊を作ってくれる?」

のためなら構わねぇよ」



 「のため」を強調する神田。

 アレンやリナリー、ラビ達には作る気はさらさら無いようだ。

 その意図を理解したは、神田にある提案をする。



「ねぇ、お雑炊のレシピ教えくれる?」

「じゃあ今度一緒に作るか?」

「うん。風邪が治ったら教えてねvそれで、みんなでお雑炊パーティーをやろう?」

「あぁ?何であいつ等のために作らなくちゃいけねぇんだ?」

「だって、こんな美味しいも物を独り占めしたら悪いでしょ?」

「あいつ等のために作るのは嫌だ」

「たまには良いじゃない。それに…一緒に作るって、何だか新婚みたいじゃない?



 真っ赤になりながら小さな声で言う

 まさかがそんな事を言うとは思わず、神田は驚いた。

 が、次の瞬間、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 を抱きしめ、こめかみに口付ける。

 そんな神田の行動が嬉しいらしく、も神田の腕の中で微笑んでいた。



「その前に早く風邪を治せよ。ったく、心配させるんじゃねぇよ」

「ごめんね…それとありがとう」

「お礼なんか良い。さっさと薬を飲んで寝ろ」

「うん」



 食事を終え薬を飲んでから眠るまで、ずっと神田はの手を握っていた。

 その手の暖かさのおかげで、は安心して眠れたと言う。

 翌日、神田の看病のおかげでは全快した。

 数日後、教団内のキッチンで仲良く料理する二人の姿が目撃された。





後書き
看病終了!!
如何でしたか?神田さんの手料理は(笑)
私は、神田は意外と料理ができると信じています!
スケジュールの都合(笑)上、今は風邪を引くことができませんが、
神田が看病して手料理を作ってくれるなら風邪を引きたいかもです(マテ)

シオン様、リクエスト作品が遅くなって申し訳ございません
宜しければ前後編ともお納め下さい。

シオン様のみ転載可でございます。



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