神田も迎えに来てくれる事だし、さくさく脱出しましょう♪



Gebeurende vakantie 後編 



 ドアの前に行き、両手を合わせる。

 それをドアの横の壁に向けた。

 ドアの完成☆

 そっとドアを開けた瞬間、目の前には人が立っていたの。

 うわーお…ばっちり目が合っちゃいました(汗)



「お…おま…お前…一体何を…?」



 どうやら錬金術も見られてたらしく、驚いている。

 裏拳で相手を沈め、監禁されていた部屋へ放り込んだ。

 あとは錬金術で壁を元通りにして…と。うん終了♪

 さ、気を取り直してさくさく行きましょー。

 まずはアッシュを探さなくちゃ。

 屋敷の中を走り回りドアを見つける度に開けていった。

 けれどもアッシュを見つけれない。

 しかも、犯人の一味が沸いて出てくるし…



「おい!いたぞ!!こっちだっ」



 ………また見つかっちゃったわ(汗)もう!いい加減にしてよ〜。

 手当たり次第襲ってくる誘拐犯達をなぎ倒していく。

 うん…なんて言うか…私って凄いね(笑)

 これも全て先生のおかげです!有難うございます先生!!

 心の中で感謝しつつ、視界に入ってきたドアを開けた。

 どうやら広間みたい。

 3階まで吹き抜けになっていて、大きな柱が左右対称に計6本立っている。

 は〜…走りながら思ったけど、広いお屋敷よねぇ。

 脱走するのには向かないわ(汗)



「ホント…どこにいるのかしら?」

「それは私の事ですか?」



 呟いた言葉に返事が返ってきた。

 驚いて辺りを見回すと、広間の別のドアの近くに奴が立っている。

 この誘拐を企てた…そして私にとんでもない事を言って下さった方よ。



「屋敷の中が騒がしいと思ったら…貴女だったんですね。まさか脱走するとは思いませんでしたよ。
 ましてや、あいつ等を倒すなんて」

「ふふv言ったでしょ?慣れてるって。ついでに貴方も倒してアッシュと逃げます」

「私はあいつ等とは違いますよ?」



 自信満々に言う。

 確かに今まで戦ってきた他の犯人とは強さが違うわ。

 この人相手に丸腰は辛いかもしれないわねぇ。

 だったら、アレ…いくしかないでしょう(笑)

 両手を合わせ、その手を床につく。

 練成した物は『棍』よ。流石に人間相手に刃物はねぇ…



「おや…なかなか凄い事ができるのですねぇ。もっとお淑やかなお嬢様だと思っていたのですが」

「見た目で判断しちゃ駄目なんでしょ?」

「そうですね。その通りです。ですが私は倒せませんよ?」



 男が指を慣らすと、別のドアから犯人の一人が出てきた。

 その腕の中にはアッシュがいる。

 アッシュは今にも泣きそうな表情をしていた。

 そいつはアッシュを主犯の男に渡し、隣に立った。



「これで攻撃できないでしょう?」



 ナイジェルがアッシュの首元にナイフを当てる。

 っ…!!アッシュを人質に取るなんて…!!

 恐怖のあまり、アッシュは目に涙を浮かべていた。

 棍を握る手に力が入る。

 考えるのよ私。何かアッシュを助ける方法が……そうだ!!



「貴方にアッシュは殺せない。アッシュが必要だから誘拐したんでしょ?」

「えぇ。ですが貴女が手にしている棍で私を攻撃すると、その衝撃で手が滑ってしまうかもしてませんねぇ。
 そこにいる男を攻撃しても、驚いて手が滑るかもしれません」

















































「だったら、その前に俺がお前を切り裂いてやるよ」














































 ナイジェルの背後から、聞きたかった声が聞こえた。

 その人はナイジェルが持っていたナイフを掴み、腹部に蹴りをいれる。

 そして、アッシュを抱きかかえた。

 もう一人の犯人が『彼』に襲いかかるけど、これもあっさり沈めてしまったの!

 綺麗な黒髪が流れるように動き、『彼』が私を見た。



「迎えに来たぜ」

「神田っ!!」



 綺麗な笑みを浮かべながら言う神田に、嬉しくて思わず抱きつく。

 別れてから数時間しか経っていないのに、もう随分と離れていた感じがするわ。

 神田の鼓動、体温が心地良い。

 髪を撫でてくれる手が嬉しくて、私は神田の背に腕を回した。



「ったく…いなくなったと思ったら、誘拐されてたなんてな…心配したんだぜ?」

「うぅ…ごめんなさい」

「まぁ今回はが悪いわけじゃねぇからな」



 神田はそう言うけど、エクソシストが誘拐されてちゃ駄目よねぇ…

 もっと体術の鍛錬をしなくちゃ。

 錬金術ばかりに頼っていたら危険だと言う事を感じたわ。



「それじゃ、さっさと帰るか」

「そう言う訳にはいきませんね」



 ナイジェルが立ち上がり、神田を睨みつける。



「その方が、貴女の言っていた方ですか?」

「えぇ、そうよ」

「ならば、まず最初に、その方を始末させて貰います」



 会話の流れが掴めない神田は、訝しげな顔をしている。

 そんな神田に、私は部屋での出来事を話した。

 話を聞いた神田の機嫌が、どんどん悪くなっていくのが判る。

 

「ハッ!!は俺のもんなんだよ」

「それはどうですかね。今ここで別れて貰いますよ。死と言う永遠の別れをね」



 ナイジェルが持っていたナイフを構え、神田に向かっていく。

 けれども神田はそれを難なくかわし、反撃をいれる。

 やはりナイジェルは弱くはなかったの。

 神田の攻撃を退け、ナイフを神田に向ける。

 二人の立ち回りが続いたけど、やはり一般人がエクソシストに勝てるはずもなく。

 数分後にはあっさりと勝負がついた。

 鳩尾に蹴りを入れられたナイジェルは、そのまま床に伏した。



「大丈夫、神田!?」

「問題ねぇよ。俺のを誘拐した…つか手を出そうとした罰だな」



 どこか満足そうに神田は言う。

 さて…と。誘拐犯との決着はついたし、まずは警吏に連絡しなくちゃね。

 そう考えていた時、広間のドアが勢いよく開いた。

 入ってきたのは、30代くらいの男の人。

 あの人…誰なのかしら?



「ジェフリー!!」



 アッシュが嬉しそうに駆けていく。

 ジェフリーと呼ばれた人も、アッシュが無事で喜んでいるわ。

 あの様子からすると、あの人が本物の護衛のようね。

 後の事は、ジェフリーさんにお願いして、私達は屋敷を後にした。

 警吏隊に見つかって、いろいろ話を聞かれるのも面倒だしねぇ。

 


















































 † † † † †



 やっと帰ってきた教団本部。

 久しぶりの休日に、まさか誘拐されるとは思わなかったわ(笑)

 ちょっと楽しかったかも。

 そう言うと、神田は深い溜息をついた。



「勘弁してくれ…どれだけ探したと思ってんだ…」

「うん、ごめんね。探してくれてありがとう。あと、迎えに来てくれてありがとう」

は俺の大切な恋人なんだ。迎えに行くのは当然だろ。
 ましてや誘拐されたなら、必ず助け出す」


 断言してくれる神田が嬉しくて…

 神田の背に腕を回し、頬にキスをした。

 私も、神田に何かあった時は必ず助けるからね。

 助けて貰ってばかりは嫌だから。支えあう存在になりたいから。

 だから………もっともっと強くならなくちゃね。



「あ、今回の誘拐で再確認した事があったのよ」

「再確認?何の事だ?」

「私は神田じゃないと駄目って事よv」



 ナイジェルに告白されても、全然嬉しくなかった。

 寧ろ、あの時は嫌悪感を抱いたわ。

 そして浮かんだ神田の顔。凄く会いたかった。

 ピンチの時に、颯爽と登場した貴方はとてもかっこ良かったわ。



「神田は?私じゃないと駄目?」

「愚問だな。俺はさえ居ればそれで良い」



 神田は渡しの頬に手を添え、上を向かせた。

 重なる唇。

 その甘さに酔いしれながら、神田の想いに応えた。














後書き
お…終わりました。
最後…最後甘い…ですか?
ダメダメ?
今回、神田さんが黒くないっス。
寧ろお姫様のピンチに駆けつける王子様っぽいですねぇ…
こんな神田さん、ウチの夢小説初じゃないですかっ!?

こんなので宜しければ、3話全てシオン様にに捧げます!!
シオン様のみ、転載可でございます。


最後までお付き合い頂き、有難うございました。

   

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