あー…えー…もしかして私…

 エドと同じくらいトラブル体質!?




Gebeurende vakantie 前編




 5時間前

 アレも買って、コレも買った。後はー…

 カバンの中を見て、買い忘れがないか確かめる。

 うん大丈夫。買い物終了☆

さて教団に帰るとしますか。



「有難う神田。買い物に付き合ってくれ……て?」



 あら?隣を歩いてたはずの神田がいない…

 おかしいわね…もしかして逸れた?

 うっわ…急いで見つけなくちゃ。神田が 不機嫌 心配しちゃうわ。

 周りを見渡しても、神田らしき人物はいない。

 どうしようかしら…?

 途方にくれていた時、あるお店の片隅に子供を発見したの。

 その子…男の子なんだけど、泣くのを必死で堪えてるみたい。

 もしかしなくても迷子だわ。

 ………放っておけないわよね。



「こんにちは。どうしたのかな?もしかしてママとはぐれちゃった?」



 膝を折って、少年と目線を合わせて話しかける。

 少年は安心したのかな?とうとう泣き出しちゃった。



「ほらほら泣かないの。お姉ちゃんも一緒に探すから。ね?」



 それでも少年は泣き止まない。

 うーん…どうしようかしら?

 ………ん?あら、良い物発見☆

 近くに落ちていた木片を拾い、少年の前に置く。

 そして泣き続けている少年の頭を撫でたの。



「お姉ちゃんね、今から魔法を使うよv見ててくれるかな?」

「まほう?」



 魔法と言う言葉に反応し、少年は顔を上げる。

 本当は魔法じゃなくて錬金術なんだけどね(苦笑)

 この子ぐらいだと、魔法と言った方が興味を持ってくれるのよ。



「そう、魔法だよvいいかな?よく見ててね」



 両の掌を合わせ、木片を別の物に練成する。

 そしてそれを少年に渡した。



「はい。お姉ちゃんからのプレゼントよ」

「これはなぁに?」

「車って言うの。ここにネジがあるから、これを巻くとね…ほら!」



練成したのはネジで動くミニカー。

 流石に塗料になるような物はなかったから、木の色のままだけどね。

 それでも少年は喜んでくれている。

 実際にネジを巻いて走らせると、少年は声を上げて喜んだ。



「お姉ちゃん、ぼくがもらってもいいの?」

「もちろんよ。泣き止んだご褒美にねv」

「ありがとう!!」

 

 うっ………かっ可愛い〜〜〜!

 前に会ったミリィも可愛いけど、この子も可愛いわ!!



「それじゃあお姉ちゃんと一緒にママを探そうか」

「うん!」

「お姉ちゃんはって言うのよ。キミのお名前は?」

「アッシュ!!」

「うん。よろしくアッシュ」



 手を繋ぎ、街の中を歩き始める。

 私も神田を探さなくちゃいけないんだけど、それよりもこの子が先よね。

 この子の母親を探しているうちに、神田とも会うかもしれないわ。

 と言うか会ってほしいのが本音だけど(苦笑)



「アッシュのママってどんな人?」

「ママじゃないよ」

「じゃあパパと来たの?」

「ううん。ごえいのひとときたの」



 ………護衛?

 もしかして、どこぞの金持ちのお坊ちゃま!?

 うわー…これは護衛の人、かなり必死で探してるわね…

 早く見つけなくちゃ。



お姉ちゃんー」

「ん?なあに?」

「さっきのまほう、すごいねー。ぼくもできるかな?」

「そうねぇ。アッシュがたくさんお勉強すれば出来るかもしれないわ」

「お姉ちゃんも勉強したの?」

「うん。アッシュくらいの時から勉強してたの。お姉ちゃんのママに教えて貰ったのよ」



 繋いでいない方の手には、しっかりとミニカーが握られていた。

 余程気に入ったのね。嬉しいな。

 魔法(錬金術)の話も交えて、和気藹々と話しながら通りを歩く。

 もちろんアッシュの言う護衛の人を探すのも忘れてない。

 けれども今日は何故か人が多くて、アッシュの護衛も神田も見つからない。

 ふぅ…困ったわねぇ。

 それに気の所為かと思ったけど、やっぱり尾行されてる。

 時々立ち止まって確認してみたもの。間違いない。

 私をつけているなら厄介だわ…

 それは、追跡者はアクマと言う可能性もあるもの。

 アッシュを巻き込む訳にはいかない。



お姉ちゃん?どうしたの?」

「ん?何でもないよ。早く護衛の人を見つけようね」

「うん」



 アッシュがそう返事をした時、前から青年が歩いてきた。

 線が細く、優しそうな笑みを浮かべている。

 その足取りから私達に用があるのが判った。

 スーツを着た、一見すると人の良さそうな青年だけど………



「こんにちは、お嬢さん。この子を見つけて下さって有難うございます」

「………貴方がアッシュの護衛の人ですか?」

「えぇ。少し目を離した隙に見失ってしまいまして…探していたんですよ」



 笑顔でそう言う青年だけど、本当にアッシュの護衛の人かしら?

 この人を信用しちゃいけないと、私の勘はそう言っている。



「………アッシュ、この人を知ってる?」

「ううん。しらないひと」

「そう。申し訳ありませんが、アッシュが知っている方にお引取りを願います。
 万が一、誘拐と言う可能性もありますので」

「ははは。確かにそうですね。貴女は聡い人だ。でもね…」



 青年が一瞬、目を細める。

 しまった…!この人は危険だ!!

 急いで臨戦体勢に入るが、アッシュと手を繋いでいたから素早く動けない。

青年にあっさり後ろを取られてしまった。

 見た目に反して動きが速い。

 その上何処にそんな力があるのか、青年を振り払う事が出来なかった。

この人…戦い慣れてる!?

 

「お嬢さん、申し訳ありませんが少々お付き合い願いますよ」



 青年は私の口元に布を当てた。

 これ…クロロホルム…っ!?

 呼吸を止めるが、気化したクロロホルムが鼻へ入ってくる。

 急な眠気が襲い、私はその場に立っていられなくなった。



「お姉ちゃん!お姉ちゃんっ!!」

「くすくす。見た目で判断してはいけませんねぇ」



二人の声を聞きながら、私の意識はフェードアウトした。



 ごめんね神田…ちょっと会うのが遅くなるかも…









後書き

大っ変遅くなりました…
16710HITのリクエスト作品でございます。
ヒロインが誘拐されてしまうんですよ〜。
最終的にはラヴラヴで終わる予定です(マテ)
話の構成を考えてたら、物凄く長くなりそうな予感…
全部で3話くらいになりそうです。
最後までお付き合い願えたら幸いですv