「ふふふ。ボクの勝ちだね、君」

「っ……そのようです、コムイさん」

「それじゃあ、約束を守ってもらおうか♪」






 クリスマス
 〜何でもありのバトルロワイヤル〜






『あーあー…テステス。うん、OK




 教団内にコムイのアナウンスが響き渡る。

 今度は何を企んでいるんだ?




『えー、教団内にいる皆に連絡だよ。
 今から15分後までに、トレーニングフロアの特別ルームに来てネ♪
 楽しい事が待ってるよ〜〜』




 アイツは何言ってんだ…?

 またくだらない事を始める気なんだろう。

 そんなのに付き合ってられるか。

 コムイの放送を無視する事に決めた俺は、外へと向かう。




『あ、念の為言っておくけど、神田君は来ないと後悔するよ〜』




 ………名指しかよ(怒)

俺に喧嘩を売るとはいー度胸だな。

行ってやろうじゃねぇかっ!!



































 † † † † †




 コムイの言ったように、特別ルームへ足を入れた。

 特別ルームは他のトレーニングルームと違い、物凄く広い。

 現に教団内にいる奴等が全員入っても、かなりのスペースがある。

 コムイはこんな所に呼び出して、何をするつもりだ?

 そろそろコムイの言ってた時間だな。

 そう思った時、ふっと部屋の明かりが消えた。

 次に、ゴゴゴゴゴと何か重たい物が動いているような音が響き渡る。

 一体何が始まるんだ?

 部屋に居た奴等が騒ぎ始める中、ある一箇所にだけ明かりが付いた。

 そこは他の場所よりも高くなっており、コムイが椅子に座っている。

………ありえねぇ(汗)

 コムイが居る部屋は、さっきまで壁で仕切られていたんだぞ。

 一体どうなってんだ?




「やぁやぁ、みんな。よく来てくれたネ。
 これからボクがプロデュースした企画を開催するよ〜」




 コムイの声がマイクを通して響いた。

 そういえば…もこの部屋に来ているのだろうか?

 全員集合のはずだから来てるとは思うんだが…

 これだけ人が多くちゃ、見つけるのに苦労しそうだな。




「はーい、みんな静かにしてね。ほら、明日はクリスマスでしょ?
 だからボクからみんなへのプレゼントを考えたんだ」




 コムイの発言に、「プレゼント?」と周りが騒いでいる。

 つか、そんな事の為に俺を呼び出したのか?

 くだらねぇ。さっさとを見つけて戻るとするか。




「だけどエクソシストも探索部隊もトレーニングが大事だよね?
 だから両方出来る事を考えたんだ」




 コムイが一旦言葉を止め、何かのスイッチを押した。

 嫌な予感がするのは、俺の気の所為か…?

 ウィィィンと機械が上がってくるような音がする。

 皆がその音に注目する中現れたのは……




っ!?その格好は何だ!?」

「あ…神田…あは…あはは(苦笑)」




 「あはは」じゃねぇ!!

 俺が聞きてーのは、何でサンタ服なのかって事だよっ!!

 しかもミニスカでっ!!




「ほら神田君。興奮する気持ちは判るけど、とりあえず落ち着いて。
 それじゃ説明するよ☆この部屋に集まったみんなでゲームをします。
 ルールは簡単。全員を倒して、君を迎えに来た人が勝ち!
 武器の使用は可だよ。でもイノセンスを発動しちゃ駄目だからね。
 あ!相手がエクソシストだったら
OK。で、優勝者へのプレゼントはコレ!」




 そう言ってコムイが指差したのは

 ちょっと待て!がプレゼントとはどういう事だ?(怒)




「優勝者には、クリスマス限定で君をプレゼントーーー!」

「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉ」」」」」




 待ちやがれーーー!

 何時の間にそんな話になってんだ!?

 周りに居る奴等を視線で黙らせ、俺はコムイを睨んだ。




「俺はそんな事聞いてねぇ!!」

「だって言ってないもーん。言ったら神田君、反対するでしょ?」

「当たり前だ!!も何でそんな事に乗ってんだっ!!」

「ごめん…賭けに負けちゃって…」




 賭けだぁ?一体何の賭けをしたんだ?

 返答次第では、お仕置きするぞ(怒)




「まぁまぁ落ち着いてよ神田君。そんなに怒らなくても良いじゃないか。
 キミが優勝すれば良いんだからさ」

「落ち着いてられるか!は俺の恋人だぞっ!」

「知ってるよー。だから他の人に夢を見させてあげるんじゃない。
 君は教団内でもリナリーと並んで人気一番なんだよ」




 「そうだそうだ!」と口々に囃し立てる奴等を再び睨みつける。

 こいつ等、まだの事諦めてなかったのかよ…(怒)




「もしかして、カンダは優勝できないんですか?」

「…んだってっ!?」




 声の主を探すと、そこにいたのはモヤシだった。

 こいつ…ゲームに参加する気満々じゃねぇか(怒)




「何でテメーが参加するんだよ」

「えー?だってサンタ服の、可愛いですからv」

の恋人は俺だって言ってんだろ!」

「それとコレとは話が別です。ゲームが嫌なら、カンダは辞めれば良いじゃないですか。
 そのかわり、クリスマスは僕がと過ごしますv」




 ふざけんな!誰がお前にを渡すかっ!

 こうなったら俺も出て、何が何でも優勝してやる!




「じゃあ神田くんも参加する気になったようなので始めようか♪
 あ、そうそう。言い忘れてたけど、優勝者がいなかったら、ボクが君とクリスマスをすごすからネ

「ちょと待て、コムイーーー!何でそうなるんだ!?」

「えーー?ボクだって君とすごしたいしー。それじゃ、スタート☆」




 あの野郎……逃げやがったな(怒)

 まあ良い。さっさとくだらないゲームを終わらせて、を連れて帰るぞ。

 一歩踏み出した瞬間、探索部隊の奴等が俺を囲んだ。




「最初に神田殿を潰させて貰います」

「お前等が俺に勝てると思ってんのか?」

「今回神田殿はイノセンスを使えない。ならば俺達にも勝機がある!!」




 囲んでいた奴等が、一斉に俺に向かってきた。

 はっ!おめでたい奴等だな(冷笑)

 イノセンスだけで戦っていると思ってるのか?

 俺は六幻を鞘に収めたまま探索部隊の奴等を迎撃する。

 頭、首筋、胴体、それぞれ急所を突いて、次々と倒していった。

 囲んでいた奴等もあと数人。

 勢いを増すため、更に踏み込んだ時。




 カチ




 ……カチ?

 何だ?この何かのスイッチが入ったような音は…?

 そういえば…この部屋はコムイが用意したんだよな。

 そしてコムイもを狙っている。

 だとすれば、コムイが部屋に仕掛けをしないはずがない!!

 しまった!!

 慌てて飛び退いた直後、俺がいた場所の床が割れ何人かの探索部隊の奴等が落ちていく。




「コムイ!!何だコレは!?」

「何って仕掛けだよ。ヤだなー。ボクが何もしないと思ったかい?
 因みに壁や天井は君にお願いして錬金術で強くして貰ったから、どんなに暴れても平気だよ」




 テメェ…自分が優勝する気満々だろ(怒)

 どうせコムイの事だ。これ以外にも仕掛けがあるに違いない。

 くそっ!ただでさえ厄介な奴が多いのに、仕掛けにまで気を使わなくちゃいけねぇのかよ。

 コムイ、ぜってー潰す!!

 心に誓い、特別ルームを走り抜ける。

 途中、仕掛けを作動させている奴がいた。

 壁から矢が飛んできたり、大きな檻が落ちてきたり、感電したり…

 アイツは俺達を殺す気か…!?

 本気でそんな事を考えながら走り続けた俺の前に、とうとう奴が現れた。

 


「どけよ、モヤシ」

「そんなに睨まなくても良いじゃないですか。それじゃカンダ。ここで潰させて貰いますv」




 語尾にハートマークを付けるんじゃねぇ!

 つかお前って、を諦めたんじゃないのか?

 寧ろ、俺達が付き合う前より良い性格になってねぇか…(汗)




「さぁ六幻を抜いて下さい。本気でいきますよ」




 モヤシが左腕のイノセンスを解放し、俺も六幻を抜く。

 一触即発の雰囲気が辺りに漂った。

 流石にエクソシスト同士の対決は近寄り難いらしいな。

 俺達の周りには誰も近寄ってこない。

 先に動いたのはモヤシだった。

 来るっ!!

 六幻を構え、モヤシからの一撃を防ごうとした瞬間。




 ドゴ  ズベシャア




 モヤシが顔面から地面に突っ込んだ。

 って…おい…何をやってんだ?

 俺はまだ何もしてねぇぞ(汗)

 そんなモヤシの後ろから感じた気配。

 それは、黒い靴(ダークブーツ)を発動させたリナリーだった。




「ほら神田。ここは私に任せて、さっさとを迎えに行きなさい」

「いたたた…酷いじゃないですか、リナリー」

「あら?アレンくんが悪いんじゃない。本当は神田を潰す気はないんでしょ?」

「あ、バレてました?」

「もちろん。だって―」




ちょっと待て。何の話だ?

 訝しんでいると、リナリーが俺を促した。




「さっさと行く。でないと、をとられちゃうわ」

「何でこういう展開になったかは、に聞くと良いですよ」

「そうそう。も健気よねー。愛されてる神田が羨ましいわ」

「ホントですよー。だから……」




「「この貸しは、今度返して貰うから(ね)」」




 二人はそう言いながら、の方へ向かっていく奴等を倒している。

 言ってる事は判らなねぇが、とりあえずここは任せて良さそうだ。




 ………この二人に借りを作る方が怖いのは俺だけか?(汗)




 まぁ良い。先を急ぐか。













後書き
前編しゅーりょー。
無駄に長いですね…(汗)
ラビ君登場前に書いたので、今回は待機と言う事で…(マテ)
アレンたんが良い感じに黒くなってきてます☆
でもさん、殆ど喋ってないデス。
後半は活躍しますよ〜〜。