何とかコムイとのいる台座まで辿り着いた。

 あとは台座に行くための斜面を登ればいい。

 これ位の斜面なら楽勝だな。

 下から見上げると、コムイは眼鏡を光らせて笑った。

 ………まだ何かあるのか!?




「ふふふ。やっぱり神田君が来たね。こうなる事は判ってたよ」

「俺と戦うつもりか?」




 コムイは科学班で俺はエクソシスト。

 はっきり言って、結果は見えている。

 なのにあの余裕の笑みは何だ?




「さぁ最後の勝負だ!いでよ!コムリン!!




 ゴゴゴゴゴと斜面が開き、中からロボットが出てきた。

 ……………ちょっと待て!!

 何だ、そのお前に似たロボットは!?

 しかも何でサンタクロースの格好をしてるんだ?




「驚いたかい?この日の為にボクが作ったんだよv」




 この日の為って……お前仕事はどうしたんだよっ!




「コムイさん…もしかしてお仕事をサボって作ったんですか?」

「………(汗)」




 の言葉に、冷や汗をかくコムイ。

 図星か(呆)

 コムイはそんな自分を誤魔化すかのように、懐からリモコンを取り出した。


「覚悟してねv神田君」




 コムイがリモコンを押す。

 するとコムリン(Verクリスマス)が動き始めた。

 コムリン(Verクリス略)は真っ直ぐ俺に向かってくる。

 振上げられた拳を横に飛んで避け、六幻で反撃する。

 だが、キィィィンと金属音がしただけで、傷一つない。




「無駄だよ〜。これは特別な金属で出来ているからね。
 ちょっとやそっとじゃ傷付かないよ」




 チッ。厄介だな。

 コムリン(Ver略)に攻撃できないとなると、コムイ本人を潰すしかねぇが……

 今度は腕をドリルに変え攻撃してくるコムリン(略)を後方に飛んで避けた。

 更にコムリンが踏み込んで蹴りを入れてくる。

 それを交わす為に右へ飛んだ直後。




 カチ




 しまった!ここにも仕掛けが…!

 慌てて退いた直後、天井からナイフが降ってきた。

 んの野郎…マジで殺す気か!?




「ほらほら〜。余所見してる暇はないよv」




 コムイが更にリモコンを操作する。

 それに合わせてコムリンが攻撃してきた。

 コムイの持ってるリモコンを奪えば何とかなるんだが、コムリンの攻撃が凄まじく近付けない。

 コムリンの攻撃を避けたら、また仕掛けを作動させてしまう。

 それを回避し、体勢を立て直そうとした瞬間、コムリンの拳が頬を掠った。

 頬にうっすらと線が入り、血が流れてくる。

 チッ。避けそこなったか。

 手で血を拭った時、今まで見ていたが口を開いた。




「コムイさん…今まで賭けの事もありましたから何も言いませんでしたが、やり過ぎです。
 
神田を傷付けるなら、例え貴方でも許さない…!




 拳を震わせながら言うに驚くコムイ。

 はコムイの持っていたリモコンを蹴り上げた。

 それは落ち俺の近くへ落ちたが、拾うより先にコムリンが踏み潰す。




「「ヤバ……」」




 とコムイが焦ったような声を上げる。

 何がヤバイのか気になるが、気にしてる余裕はねぇ。

 心なしか、さっきよりコムリンが強くなった気がするんだが…(汗)




「うーん…リモコンが壊れた事により、コムリンが暴走し始めたか」

「落ち着いて分析しないで下さい!!ヤバイ…神田が」




 が台座から降り、地面に手を着く。

 俺達とコムリンの間に壁ができ、攻撃を塞いでくれた。




「大丈夫?神田」

「あぁ…助かった」

「もう!コムイさんも、とんでもない物を作ってくれたわね」

「間違いねぇ。今度シめる!!」

「六幻で切れないとなると、私の練成した武器でも無理そう」

「何か策はあるか?」

「うーん……ない事もないけど、出来るかどうか判らないわ」

「だが、それしかアレは壊せねぇだろ」

「そうね。やってみるわ」

「俺がアレの気を逸らす。その間に頼む」

「えぇ」




 俺は六幻を発動させ、飛び出した。

 コムリンは俺に攻撃を定め、俺を追いかける。

 良し、まずは上手くいった。

 チラっと練成された壁を見ると、が飛び出しコムリンに向かっていった。

 何をするつもりかは判らねぇが、なら何とかしてくれるだろう。

 俺はを信じて、コムリンの気をから逸らせ続ければ良い。

 銃型に変えた腕から発射された物を弾き返した直後、はコムリンの背後にいた。




 パン   パシィ




 両手を合わせ、それをはコムリンに向ける。

 はコレを別の物に練成するのか?

 だが蒼紫色の光の後に見たのは、破壊されたコムリンだった。




「良かった…上手くいったみたいね」

「何をしたんだ?練成したんじゃねぇのか?」

「んっとね、練成を分解過程で止めたの。エドが一度やってたのを思い出したのよ。
 でも私はやった事がなかったから、出来るかどうか不安だったわ」




 は「よかったー」と言いながら安堵している。

 錬金術師って凄ぇな……

 いや、俺のが凄いのか。




「コムリンも壊したし、行こう?」

「行くって…何処にだ?」

「台座よ。先に行ってるから、迎えに来て」




 そういえば、そんなルールだったな。

 が台座に戻ったのを見計らい、俺も台座を登る。

 俺が手を取ると、は嬉しそうに微笑んだ。

 その笑顔は卑怯だろっ///

 天使の微笑みっつーのは、今のの笑顔をいうんだろうな。




「優勝は神田に決定だね。迎えに来てくれてありがとう」

「当たり前だろ。俺がを迎えにいかなくてどーすんだ」




 横で泣いているコムイを無視して、の手を引き台座を降りる。

 ルールからいくと、は俺のクリスマスプレゼントなんだよな?

 なら、さっさと部屋に戻るか。

 ドアへ向かうが、行く手を阻む者が現れた。

 誰かって?決まってんだろ、あいつ等だよ…




「優勝おめでとう!カンダ」

も、優勝したのが神田で良かったわね」

「うん。賭けに負けちゃった時はドキドキしたけど、結果オーライだわ☆」

「全く…カンダが羨ましいですよ」

「ホントよねー。にそこまで愛されるなんて幸せだわ」




 ちょっと待て。リナリー達はの賭けの理由を知ってんのか?

 つか俺だけが知らない…?

 ふーん…俺だけが知らないねぇ。

 これはに聞くしかねぇだろ。体でな(黒笑)

 モヤシと話しているを半睨みしていると、リナリーがボードで俺を叩いた。

 何処から出したんだ…?




「神田、あまりに無理させないでよ」

「あぁ?何の事か知らねぇな」

「………まあ良いわ。それと『貸し』も忘れないでね。
 誰が他のエクソシストや探索部隊の人達を足止めしたと思ってるの?」

「チッ」




 今度からこいつ等に借りを作るのは止めよう。

 心に誓いながら、俺はを連れて部屋に戻った。





































 † † † † †




 部屋に戻った後、俺はに言われるがまま椅子に座った。




「先に怪我の手当てをするね」




 渡されたチョコを口に入れると、は合わせた両手を俺の頬に翳す。

 すると傷がみるみる消えていった。

 便利…だよな。この治癒錬金術は。

 余程の大怪我…それこそ生死を別ける程の怪我じゃない限り治せるらしい。




「これで大丈夫よ」

「あぁ。ありがとな」

「………神田が素直にお礼を言うなんて。大丈夫?」

「犯すぞコラ」

「あはは。冗談だってv」

「それより、何でコムイの賭けに乗ったんだ」




 こんなにも俺に苦労をかけたんだ。

 それなりの理由があるんだろうな。

 を見ると、言いにくい事なのか視線を彷徨わせている。




「え…と。言わなきゃ駄目かしら?」

「駄目だ」




 二人の間に沈黙が流れる。

 は暫く迷っていたが、とうとうその口を開いた。




「コムイさんにね、クリスマスに休みが取れないか聞きに行ったの。
 そしたら賭けで勝ったら休みをくれるって。
 でも負けたらコムイさんの企画に強制参加しなくちゃいけなかったの」

「なんでまた休みなんか……」

「だって…クリスマスは神田と一緒にいたかったんだもの」




 頬を染め、俯きながら恥ずかしそうに言う様子が可愛くて、俺はを抱きしめた。

 服越しに伝わってくるの体温が心地良い。

 の頬に手を添え、そっと上を向かせた。




「愛してるぜ」

「私も愛してる」




 嬉しそうに微笑むの唇を、自分のそれでそっと塞ぐ。

 何度も何度も優しいキスを繰り返した。




「賭けには負けちゃったけど、結局は神田と過ごせたから良かったわ」




 キスの後、嬉しそうに言う。

 …………クリスマスか。

 チラっと横目で時計を見ると、針は12時を過ぎていた。

 と言う事は、今日はクリスマスだな。

 ふーん。クリスマス…ねぇ(黒笑)




「なぁ。サンタはクリスマスにプレゼントをくれるんだよな?」

「え…!?ちょっと…神田?」

は今サンタだろ?もちろん俺にクリスマスプレゼントをくれるよな」




 妖しく笑いながら言うと、は冷や汗を浮かべながら俺から離れた。

 俺が一歩進むとは一歩下がる。

それを繰り返し、俺はをベッドに追い詰めた。




「プ…プレゼントは良い子にしかあげないのよ?」

「俺も『良い子』だろ?」

「神田の何処が良い子なの!?」

「愛する恋人の為に体を張ったんだぜ?滅茶苦茶良い子じゃねぇか」




 をベッドに押し倒す。

 ドサっという音と共に、ベッドのスプリングが軋んだ。

 真っ赤な顔で見上げてくるが愛しくてたまらない。

 俺はそんなの唇を再び塞いだ。




 その後はどうなったかって?

 もちろん、サンタクロースからプレゼントを貰ったぜ。

 サンタ自身をな(ニヤリ)













後書き
神田さんが偽物ちっくだなぁと思ってたら…
やはりいつもの神田さんでした。
でも、神田さんはこうでなくちゃネ(親指グ☆)
というか、コムリンネタ好きだな私。
相変わらずツッコミ所が満載な話で済みません。

様、長々と読んで頂き有難うございましたv

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