北の一揆から3日経ちました。
今のところ伊達は平和ですが………
私は米沢城から出れません(泣)
木洩れ日のような 28
はぁ〜〜〜。退屈ですよ。
暇なんですよ。
縁側に座り、足をプラプラさせながら空を見上げた。
雲ひとつない快晴。
気温も暑くなく寒くなく。
お散歩日和なのにな〜〜。
実は私、外出禁止令を出されてます。
理由は3日前の一揆の件。
あの時、無茶をした罰として怪我が治るまで外出禁止なんです。
『無茶なんかしてないです』と訴えても、政宗さんは聞き入れてくれず。
政宗さんが駄目なら小十郎さん!
小十郎さんなら、政宗さんを説得してくれると思いきや…
「今回はさんが悪いです」
と、一蹴されてしまいました。
因みに成実君も駄目だと言いました(泣)
誰か政宗さんを説得してくれ〜〜!
そう思いながら寝転がったとき。
「殿!!部屋にいないと駄目であろう!!」
ドタドタと大きな足音と共に、幸村さんの声が聞こえました。
あ〜あ…この声からすると、幸村さん、怒ってるなぁ。
「幸村さん、心配してくれるのは嬉しいんですが…このくらいの怪我なら大丈夫ですよ?」
「大丈夫ではない。殿の体に傷がついたのだぞ。
某、お館様に殿を守ると約束したのに…これではお館様にあわせる顔がないでござる…」
しゅん…と幸村さんが落ち込んでいる。
幸村さんに申し訳ないけど、落ち込んでいる仔犬みたい。
垂れ耳の幻が見えますよ。
可愛いv
「幸村さんが気にする必要ないですよ」
今回の怪我は、私があえて受けたんだから。
この傷は農民の苦しみ。いつきちゃん達の痛み。
この世界に来てから、ぬくぬく生きてきた当然の罰。
「といっても、完全に私のエゴなんですけどね(苦笑)」
「『えご』とは…?」
「う〜ん…我侭…でしょうか?自己満足かな?」
「自己満足…?某はそう思わぬ。殿のおかげで、北の一揆は収まった。
殿のおかげで、戦も起きず誰一人死ぬ事がなかった。
戦をして泣くのは民だとお館様も言ってたではないか。流石はお館様の娘でござるな!」
にっこりと、満面の笑みを浮かべながら幸村さんはそう言った。
信玄様の娘。
幸村さんのこの言葉、凄く嬉しい!
だって、家族って認めてくれてるって事でしょ?
「ありがとう、幸村さん」
「??某は殿にお礼を言われる事は何もしてないでござるよ」
「そんな事ないでーす」
幸村さんの言葉は、私を救ってくれる。
何気ない一言が私を幸せにしてくれる。
幸村さんに出会えて良かったわ。
「ところで幸村さん、私に何か用でした?」
「おぉ!忘れておった。殿の包帯を替えようと思って来たのだ」
「あ、ありがとうございます」
幸村さんは懐から真っ白な包帯を取り出した。
もしかして幸村さんが替えてくれるのかな?
ん〜…でも、包帯って足なのよね。
まぁ足と言っても太ももとかキワドイ(?)場所じゃなく、膝なんだけど…
「あの…幸村さんが替えてくださるんですか?」
「某に任せるでござる〜〜♪」
良いのかな?幸村さん、怪我の位置知ってるのかな?
と言うか、足だから自分で替えれるんだけど…
目をキラキラしてる幸村さんにそんなこと言えないわね(苦笑)
「それじゃあ、お願いします」
足を床に上げ、着物の裾を捲ろうとしたとき。
幸村さんの顔が真っ赤になって口をパクパクし始めた。
これは…もしかして…
「殿!破廉恥でござる〜〜〜っ!!」
あぁ、やっぱりですか。そうなりますか。
予想通りの幸村さんの反応に、苦笑が漏れる。
仕方ない。自分でやりますか。
そう思って、幸村さんから包帯を受け取ろうとしたとき。
「さ〜ん、真田の旦那。何やってんの?」
「あ、佐助さん。こんにちは」
「はいはい、こんにちは〜。で、どしたの?」
「実はですね〜」
「だいじょーぶ。事情は大体飲み込めたから」
幸村さんの包帯と私の怪我で、佐助さんは判ったようです。
流石は真田忍隊の隊長さんですね(笑)
「ほら旦那。俺に包帯貸して」
「いやだ」
佐助さんが幸村さんから包帯を取ろうとしたけど、幸村さんはそれを渡さない。
むっとした佐助さんは、幸村さんの手から包帯を取ろうとする。
が、幸村さんはそれを佐助さんの手を、ひょいっと避けた。
更に佐助さんは幸村さんの手を追いかけ、包帯を取ろうとする。
またまた幸村さんが佐助さんの手を避けた。
何回かそれを繰り返した後、お互い睨み合ってます。
険悪な雰囲気は気の所為デショウカー?
「包帯の替えは俺がやる。佐助はさがってろ」
…えぇ!?『俺』!?今幸村さん『俺』って言いましたよね?
「さんの足を見ただけで真っ赤になる旦那が、包帯なんて替えれるの?俺がやるって」
佐助さん、上司の幸村さんに意見しまくりだなぁ。
私が働いてたときは、恐くてそんな事できなかったよ。
それだけ二人が信頼してるって事なんだよね。
「破廉恥な佐助なんかに任せたらややができる!」
「ちょっ…!それ酷くない?流石の俺だって、そこまで急がないって。旦那こそムッツリ助平だろっ」
お互い罵りあってる。
…信頼しあってる…んだよね…?
止めようにも二人の言い合いは白熱してる。
こうなったら自分で包帯を替えるか。
佐助さんみたいに、幸村さんが持ってる包帯を狙っていたら…
「Shat up!テメェ等、何騒いでやがる。ウルセェんだよ」
「ちゃん、足の具合はどう?」
伊達従兄弟の登場です。
話がややこしくなりそう…というか、このお二方がややこしくしそうです。
そっと逃げようかなぁ。
「足は大丈夫ですよ。あ、私はそろそろ「」
おぉっと!政宗さんに呼び止められてしまいました!
脱出不可ですか!?
「ななな何ですか?政宗さんっ」
「あ?何どもってんだよ。それより、足を見せてみろ」
「へ?」
「包帯を替えてやるってんだよ」
「あー…その事なんですけどねぇ」
政宗さんの言葉に、さっきまでの事を思い出して目を泳がせていたら、
政宗さんは不審に思ったらしく理由を聞いてきたの。
私も深く考えずに、さっきの出来事を話したんだけど…
うわぁ…政宗さんの顔が般若になってますよぉ。
「テメー等は誰に断っての包帯を変えようとしてんだ?あぁ!?」
「そうだぜー。俺のちゃんに勝手に触らないでくれる?」
「成実、テメェのでもねぇだろ」
「ていうかさ、何でさんの包帯を替えるのに伊達の旦那の許可がいるのさ」
「殿は政宗殿のものではござらん」
「Hold your tongue!包帯をさっさと貸せ!テメェ等にを触らせるか」
「うわー。独占欲が強いねぇ」
「そーそー。ウチの殿ってばさー、ちゃんの事になるとねー」
何でも良いケド、包帯はどうなってるんだろう?
完全に私の事忘れてませんー?
もう自分で替えた方が早そうだわ。
女中さんを探して、包帯を貰ってこよう。
そう結論付けて、立ち上がったとき。
「おや?さん?」
「あ、小十郎さん」
小十郎さんが書類を持って歩いてきました。
お仕事かな?
「さん、怪我は良いのですか?」
「それがですねー」
事の顛末を小十郎さんに話した。
すると小十郎さんは大きな溜息をついたのよ。
うん、私も気持ちは判ります。
「では、さんの部屋に戻りましょう。そこで包帯を替えますね」
「小十郎さんが替えてくれるんですか?」
「はい。怪我が酷くないからといって、あまり無茶はしないでくださいね」
「ありがとうございます〜〜」
にこやかに言う小十郎さん。
どっかの誰かさん達とは大違いだなぁ。
優しくって大人で…
頼りになるお兄さんって感じ。
そうだ!包帯を替えてくれたお礼に、小十郎さんのお仕事を手伝おう☆
後書き
あー…何だかワケの判らない話になってしまいましたねぇ(マテ)
前回までがシリアスだったので、今回はほのぼのにしたかったんです。
逆ハーチックになれたかな?
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