それは遠い記憶。

 私は東部内乱終戦間際に一人の男性と出会った。

 赤い瞳に褐色の肌。

 そう、それはイシュヴァールの民。

 彼との短い逢瀬…

 それは私にとって一瞬の出会いでしかなく、何時しか記憶の彼方に忘れていった…




軍の男と傷の男




 どうも、今日は。と申します。

 今は両手一杯の書類を抱えて、大佐の執務室へ向かっています。




 この書類を見たら、大佐は絶対逃げるだろうな…




 大佐が逃げた後のホークアイ中尉を静めるのは大変なのよ?

 全く…普段から大佐がもっとしっかり仕事をしてくれれば良いのに。

 「視察だ」といって、イーストシティーの街へ行くの、やめて欲しいなぁ。




 どうやってこの仕事を時間内にやって貰うかを考えている内に、大佐の執務室へ辿り着いた。

 


コンコン




「入りたまえ」




 ドアを叩くと中から大佐の声がする。

 どうやら、今はしっかり仕事をしているらしい。

 良かった…




「失礼致します」


 一礼をして部屋の中に入る。

 筆を持ち、やや目を細めて書類を見ている大佐は、悔しいけどカッコいい。

 世の女性達が騒ぐのも無理ない。




「あぁ。か。何の用だ?」

「新しい書類をお持ち致しました」


 腕に抱えていた書類を、大佐が使っている机の上に置いた。

 すると、微かだけど大佐が眉を潜める。




…これは?」

「先日に起きた『青の団』の事後報告書です。犯人達の処罰と被害者へのお見舞金等の見積りです。
あ、あとエド君とアル君が片付けてくれたユースウェル炭鉱の報告書もあります」




 書類の内容をいうと、今度は大きく眉を潜めた。

 うん、まぁ…無理もない気もする。

 だって大佐の机の上には、まだまだ書類が沢山あるもの。




…これを皆で分担する事は」

「できません。全部大佐のサインが必要なので」




 これでも、大佐以外でも出来る仕事は終わらせてきたのだ。

 あとは大佐にやって貰わないといけない。




「ならば少し休憩を…」

「ホークアイ中尉に怒られますよ?」

「う…」




 あ、やっぱり大佐、ホークアイ中尉が恐いんだ。

 私には優しい上司だけどなぁ。

 


大佐を見ると、ぶつぶつ文句を言いながら筆を進めている。

 はぁー。仕方ないなぁ。




「大佐、コーヒーで宜しいですか?」

?」

「大佐がちゃんと仕事をしてくれるなら、私はコーヒーを入れてきますが?」

「私は何時でもしっかり仕事をしているではないか」




 「ははは」と白い歯を見せて笑っている。




 嘘くさい(汗)




 何時も仕事をしているなら、ここまで書類は溜まらないのに…

 それと、さっきから…と言うより何時も気になっている事が。




「大佐、それと私の事は『』と呼んで下さい」




 そう、何故か大佐は私の事を「」と呼ぶ。

 他の方々はファミリーネームなのに。

 これじゃぁ示しがつかないよ。




は将来『マスタング』姓になるんだ。だからで構わないだろう?」

「な///




 そ…それって…///

 段々と顔が高潮していくのが自分でもわかる。

 きっと今の私はタコより顔が赤いだろう。




「ははは。は可愛いな」

「大佐!からかったんですか!?」




 肩を震わせて笑っている大佐を思いっきり睨む。

 この上司は乙女の純情を何だと思っているの!?

 まったく、世の女性はこの人の何処が良いのだろう?

 絶対に騙されてる!

 って言っても、私も騙されてる一人なんだけどさ(苦笑)




「何ですか!?」

「コーヒー、入れてくれるのだろう?」




 う…その顔は卑怯っス。

 さっきとは全然違う…私をからかう顔ではなく、何て言うのかな?裏の無い(失礼)笑顔だった。

 きっと、女性達はこの顔に騙されるのだろう。




「わかりました。そのかわり、しっかり仕事をしていて下さい」

「もちろんだ。との時間を堪能したいのでな」

「また私をからかうつもりですか?」

「まさか。私は何時でも本気だ」

「はいはい。そういう事にしておいてあげます」

「ははは。私は姫君に信用されてないな。あぁ、。コーヒーは二人分だ」

「はい!」




 そう言うと、私は執務室から出て給湯室へ向かった。





後書き
おそらく甘くなるだろう夢小説。
友人のイラストお礼に書かせて頂きました。
あの時はメールで一括で送ってゴメンよ!
きっと重かっただろう………(謝)

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