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楽   書   帳たのしみつつかきしるすノート 18

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剣尾山・横尾山に登る


(H16.11.21(日)晴)



 久し振りに横尾山(784.9m)からのルートで剣尾山(784m)に登ってきた。ここ数年は大体年に2回位が続いているが、今年は春に一度この逆廻りで登っている。 横尾山から約10分ほど下った笹の道からの剣尾山、頂上の岩は見えていない。 特に今回は真っ青な秋空とやや低めの気温という自然条件にも恵まれて、これぞトレッキングといえる素晴らしい山登りができ感激している。さほど高くない山を歩いたり、登ったりすることを楽しみにしてきているが、今日程それを心から味わい、満喫させてくれたのも珍しい。以下に今回の山往きの様子を少し詳しく記しておこう。(写真右 横尾山から向かう途中の剣尾山。)


 何時ものように車で簡保の宿"能勢"に向う。県道島能勢線からR173に入り間もなく同宿に着く。 この付近一帯は”能勢の郷”と称されリゾート施設がいろいろあり、利用者が多い。家から約45分程度でこれるので、大した負担にはならない。日曜日のせいか大きな駐車場はほぼ埋まっていた。車中で桂子と相談、今回は横尾山から剣尾山へ登るルートにすることにした。剣尾山から登る行き方が一般的だが、そうすると後半の横尾山からのやや急な下りが続くことになるので、それを避けたかったからだ。
 身支度を整え9時30分にスタート。宿の建屋の裏側に入っていく。笹や雑草が身の丈位に伸びていて道が見えにくくなっていた。今まではこんなことはなかったのだが今夏の高温の影響かもしれない。 こんな爽快なところばかりだといいのだが、そうはいかないのが山の道。 やっと「つづら折れ」の標識が出てくる。つづら折れは文字通りジグザグ状に10回以上行ったり来たりして少しずつ登っていくのだが、それが殆ど草で覆われはっきりせず、いつの間にかその道を真横に横切る新しい踏み跡ができていた。緩い坂が急な勾配に代って距離は短くなったものの、足許もあまり良くなく、その辺り全体が何となく荒れた感じを与えていた。
 そこを過ぎると何時もの状態の山道が始まり、約30分で低い前山の一つを登り終え「一休み峠」に着く。ここも未だ能勢の郷の領域で標識がしっかりと出ている。
 ここから次の標識「頂上広場」までのおよそ40分間の登りは少し険しい山道だが最高の稜線登りであった。(写真右上 稜線登りのかかり、気持ちのいい山道の 典型的な所。) 右の山裾にR173が走っている。テニスコートは簡保の宿の一部。  奥の山並みの右側が剣尾山の頂上と思われる。標高は横尾山と同じ784m。 やや左方をみると遥か下に国道173号が走っている。右側には剣尾山が伸びやかな稜線を見せて、悠然と聳えている(写真左2枚)。時々これらの風景を眼の端に入れながら、澄んだ青い空を背に、ひんやりする空気を頬に受けつつゆっくり一歩一歩あがっていくこの感触は素晴らしい。辺り一帯は落葉樹が多いのか、葉がすっかり落ちて林間の見通しが良くなっていて明るい。こんなことが重なり合って近来にない良い感じを受けたのだった。岩と岩の間であったり、また土の上に積もった落ち葉の道だったりのところを上がったり、下がったりが続く。このアップダウンを数回繰り返しつつ次第に高度を上げていく。清澄な空気、大きく広がる左右の眺め、否応無しに雑念などどこかに吹き飛ばしてくれる。 このように道に沿って張り巡らされていて眺望が遮られているのが惜しい。背伸びすると南面の広々とした景色が望める。クリックするとリンク先はこの網の始まりの所。 ただ歩をゆっくりと進めていく。山歩きの醍醐味といえようか。特に今回のこの横尾山への行程はいつにもまして、気持ちよく、心の底から来て良かったと思わせて呉れた。この頂上広場は横尾山の前のピークで、ここまでが能勢の郷の範囲ということらしい。従って表示は能勢の郷の中での一番高いところという意味と思われる。名前の通り少し開けた空間があり、眺めもよい。前方にはこれから向かう横尾山に繋がる 稜線に鉄塔が立っているのが見えている。
 頂上広場からはまた一たん下だり再び登っていくと、このルートで尤も要注意の石段登りがある。先程見えていた鉄塔の真下で吹きさらしの上、掴むものがないので転んだりしないように一段ずつ慎重に進む。眼下には素晴らしい眺めが広がっているのだが、あまり見る余裕がない。やや高所恐怖症のきらいがある自分には苦手のところである。
 ここを過ぎるとまた気持ちのよい稜線登りが多くなり、やがて笹が一面に生えているところにかかる。それと共に道の左側に丁度背丈位の寒冷紗が張られた場所に着く。鹿が樹皮を食べてしまうのでそれを避ける為に道に沿い約200mに渉って張られているものだ(写真上)。この網の脇の道は柔らかい土道だが、かなりの坂なので下だる時は滑り易く要注意だ。が今回の様に登りはその点楽である。笹が一部深くすっぽり頭まで埋ってしまう箇所もあるが、道を外すようなことはない。寒冷紗の幕は左手の視界を遮っているが、立ち止まり背伸びをすると明るい斜面が一望できる。これがないとこのルートは更に楽しめるのだがといつも思う。網の脇を登っていくと長いと感ずるが実際はせいぜい約12〜3分である。この張り巡らされた網が終わると同時に右にほぼ直角に曲がる。
  この付近から西側が少し望める。瑠璃渓G.C.など深山高原が遠くに広がる。 横尾山の頂上近くの稜線に出たのだが、これから視界は雑木林や笹に囲まれていて殆どない。程なく山頂の二等三角点の標識にきた(写真左)。時刻は11時37分で登り出して約2時間少々経っていた。ここにはかってはこの山の愛好者が付けたと思われる標高784.9mの標識が、近くの木に2〜3枚懸かっていたのだが全てなくなっていた。この頂点は空間もなく、休むのに腰を下ろす場所もない。全く道の途中そのままのところだ。ここまでの登りはこれまで記したように素晴らしいのだが、横尾山の名前があまり人の口にのぼらないのはこういった様子からなのだろう。自分達も辺りを一通り眺めただけで更に先へ進む。また下だりになり腰の深さくらいの笹中をいく。途中台風で倒された大木が何本も道を塞いでいた(写真右下)。倒木の数は他の山にくらべかなり多い気がした。 ここに写っている数本より、もっと太い倒木が目立った。余程強い風だったのだろう。凄まじい倒れ方をしていた。 摩り替る写真は少し見えにくいが倒れた木を下の方から撮ったもの。剣尾山側がひどい様だった。  跨いだり下を潜りぬけたり或いは大きく先を廻ったりで、スムーズに行けない。今年連続して来襲した台風の凄さがよく実感できた。
 この辺りで初めて単独行らしいハイカーに出会った。後から追い抜かれてもいないので今日は人が少ないと話をしていた所だった。その人に頂上の様子を聞くとかなり大勢が登っているとのこと。それから程なく夫々10数人の二組位のパーテイが前からやってきた。日曜日だからこんなものだろう。
 下った分を又登り返し横尾山頂から約40分程で二つ目の國界標識の所につく。丹波・攝津の名前が彫られた大きな石柱だ。ここまで来ると剣尾山はもう近い。
 約10分後の12時25分に頂上に立った。スタートからほぼ3時間を要していた。ややゆっくり目の行程だったが、いい登りが満喫でき、近来にない楽しさだったことは既述のとおりだ。ここはかなりの広さがあり、数組が休んでいた。自分達も東側が展望できる岩に座を占め、前方に大きく広がる山並みを楽しみつつ食事をとった(写真下)。 頂上を南から撮る。空間のゆったりした所で丸味を帯びた大きい岩が幾つも並んでいる。申し分ない眺望が楽しめる。頂上に着くころからあれほど良かった天気が曇ってきて風も出てきて少し寒くなってきた。その為折角の眺望も今一つの感じだった。
 約50分休憩して13時15分に下山開始。幅のある緩い坂を南に向って下りて行く。間もなく六地蔵を過ぎると両側とも林の下枝が綺麗に刈られ頗る見通しがいい。従って明るい雰囲気で自然と歩みも軽快になる。最近の熊騒動でどこの山もハイキングコースではなるべく見通しが利く様にされていると聞いたが、本当なのだろうか。 いずれにしても陽射しが通って明るいことに越したことはない。しばらくすると南斜面のせいもあり下りでも汗ばんできたので、着込んだ上衣を一枚脱いで身軽になる。やがて丸太の階段が始まる。階段はこの辺りと最後の部分で相当長く続く。確かこの山に登り始めた4〜5年前には階段は今より遥かに少なかった。今では次第に増えていて逆の登りの時は相当こたえることになった。
 剣尾山からの下りはこの様に総じて幅のあるやや緩い坂と丸太の階段が主である。横尾山への登りが男性的というとこの下りは女性的との表現がピッタリと思う。それくらいの違いを感ずる。
 14時07分行者山頂上(469m)に着く。標識付近は岩が多く、その一つに立つと簡保の宿、駐車場、テニスコート等が遥か下方に良く見える。それからさらに急な階段を下りて行くと大岩がそそり立つところにきた。よく若者がロッククライミングの練習をしているところだ。下に余り厚くもないスポンジのシートを敷いてその上の方を攀じ登っていくのを見たことがあるが、到底自分は真似ができないと驚いた。このあたりから巨岩が多くその間や下を通り抜けるが、根が小心もののせいか何となく気味がよくない。
 14時22分大日如来仏像を彫った磨崖仏の所まで下りてきた。被いかぶさって来るような大きな一枚岩に余り深い彫ではないが、くっきりと仏像が浮き上がっている。この前を通る度にこれを彫った人の労苦に思いを致す。それから間もなく行者山登山口の大きな看板のところにきた。ここから登っていく人の為の案内板で剣尾山のことより何故か行者山を中心に書かれている。これで一応剣尾山の下山は無事終了したことになる。14時30分だった。 横尾山の手前から見た剣尾山。
 結局下りは1時間15分しかかかっていない。途中殆ど休まなかったこともあるが、ここの下りは歩き易いこともあってこの程度でこられる。ここから簡保の宿に戻るのに、一般道を行ってもいいが、下りて来た所を右に又少し上がると殆ど直ぐに左の山に入る小道がある。そこから一たん下った後再び登っていくと約15分程で、朝の出発点のつづら折れの入り口に出る。茂ったやや暗い林を少し登ることになるが、最後迄山道を楽しめるという利点がある。
 こうして15時前に駐車場についた。簡保の宿でお茶を飲んで一服、今日の行動を振り返り、特に午前の登りの素晴らしかったことを改めて思い起こす。その後帰途に就く。途中尼崎高原ロッジで温泉に浸かり汗を流しさっぱりして家に向かった。
 今日は桂子も殆ど遅れることなくついてこられ、下山後も大して疲れた様子も見せていなかった。二人とも大満足の一日であった。                           以上   
 
(同窓の仲間と月に一度ハイキングしてるが、その時に剣
尾山に登っている。友人が書いたその記録のリンク先は)

 剣尾山
                                      


追 記 その1
(H19.1.13)
 久し振りに又登ってきた。シニアカレッジ山楽会OBとして、現役の人達と一緒に総員43名の大世帯でだった。天気は申し分ない冬日和。登るにつれ風が冷たくなったが、それがかえって体を引き締め、なんともいえない清冽な気持ちよさを感じさせるトレッキングとなった。
 11時に行者口の登山口で体操で体をほぐしてから出発。例の丸太の急階段でたちまち汗が出てくる。磨崖仏もあっという間に通り過し、12時前に六地蔵に着くその間休みは2度ほど、それもほんの数分づつ。体が冷えない内に次の行動に移すというリーダーの考えらしい。頂上は風があるので、ここの陽だまりで昼食をとる。真っ赤な新しい前掛けをつけられた地蔵さんと向き合っての美味い握り飯だった。そのあと頂上に着いて早速集合写真をとり、眺望を楽しむのもそこそこにして横尾山に向かう。途中積雪が数センチある。北側斜面のせいだ。もう少し寒いとアイゼンがあった方がいいかも。  (クリックで拡大) 横尾山頂上 以前あった標識に変わって この我々と同クラブ名の銘版が下がっていた。 (kenbi3.jpg)   (クリックで拡大) 剣尾山頂上から南西を望む。  (kenbi1.jpg)      (クリックで拡大) 真新しい真っ赤な前掛けが印象的。この左前に岩陰地蔵が並んでいる。 (kenbi4.jpg)
 
 
 
 
 
 
 
 横尾の山頂にあったどこかの登山グループの標識をみて、ここは1年半以上来ていなかった事を覚った。05年10月と記されているが見覚えがないからだった。この辺り一帯の道は踏み跡が濃く、歩き易い。
 頂上をそっけなく通り過して下りに入る。鹿避けの黒い寒冷紗も変わらずあった。この寒冷紗沿いの道からはかなり急勾配でなおかつ少し荒れ気味のところが続く。露出した岩の上を行ったり、風雨で侵食された坂だったりで膝にかなりこたえる。
 結局1時間強で簡保の宿まで戻ってきた。15時少し前だったから約4時間の山歩きであった。他に所用があったので丁度時間のバスで皆と別れ山下へ戻ってきた。
 この季節としては最高の天気で、いい山歩きの出来た1日だった。軽い疲労感がかえって心地よかった。                                           
                                                                                          以 上