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楽   書   帳たのしみつつかきしるすノート 17



笠 形 山 に 登 る

(平成16年11月7日(日)晴後曇)



 秋天の気持ちのいい一日、播州の笠形山(939m)を楽しんできた。播磨富士と別称され兵庫県内では屈指の秀峰として知られている。高さの割にはそう無理をせず登れるので手頃なハイキングコースとして地元には愛好者が多い様だ。 この地図は市川町のHPにリンクしている。地図のどこかでクリックすると出てくる。   笠形山南斜面上空からの写真。(市川町発行のパンフレットより)登った時はたまたま見晴しはもやに霞んであまり望めなかったが、南は瀬戸内海から四国まで、北は但馬・丹波の連山が一望出来る見晴しの良さでも知られているところ。コースは幾通りかある様だが、今回は初めてでもあるので最も利用者が多い笠形神社を経て、山頂、仙人滝、出発点へ戻る一回りするコースをとった。神社や滝の他、笠の丸、笠形杉、ほうらい(蓬莱)岩など見るべきものが多く、トレッキングに加え楽しめた。以下例によって少し詳しく記しておく。


 朝7時半に車で家を出る。天気は上々で楽しい期待で気持ちが昂ぶる。何時ものようにコンビニで食料を調達してから中国道に向う。ラッシュには未だ早いので簡単に乗り入れられた。一路西下して 福崎ICで播但連絡道に乗り換え、市川南ランプで降りた。この間約50分、宝塚IC付近は車で一杯だがそこを離れるに従い空いてきて快適なドライブとなった。 県道の途中から頂上を覗かせている笠形山。 そこから更に県道34号を北に進むと、やがて山と山の間の遥か向こうに笠形山が姿を現す(写真右)。そして約20分で、市川町の寺家バス停を少し上ったところにある駐車場に着く。1週間前の雨の日にわざわざこの辺りまで下見に来て、通りかかった地の人に付近の様子を教えて貰っていたので、迷うこともなかった。
 車を止めて気付いたのだが、そのあたりに3〜40人のハイカーが集まっていて、今や遅しと出発を待っているようだった。聞いてみると地元の観光協会主催の登山会で予め参加者を募集していたものとのこと。こちらは全く初めての山で道が分かっておらず一抹の不安をもっているものの、日曜日なので登山者は多くいて、分からない時には教えてもらえるだろうと考えていた。しかし丁度いい機会と思い仲間に入れて貰えないか係りの人に尋ねると、会費を出せばOKという。早速住所、氏名を申告し会費2名分を支払い入会の手続きをとった。
 9時5分、近くの高校の先生というリーダーの簡単な説明を聞いてから出発となった。最後尾には元気な高校生が数人つくので安心して登山を楽しんで下さいとのこと、甚だ心強い。駐車場からしばらく村落の車道を上がっていく。家並が途切れて林道に変り、かれこれ20分程で大鳥居のある広い所に出た。車でもここまで来れるようだが、降りて来た時に又ここに上がってこなければならない為、下の駐車場の使用が一般的らしい。その鳥居の脇の山道に入り緩い坂を上がっていく。途中で先程の林道に合流する。笠形寺は合流する前にあるらしく、拝観することはできなかった。
 更に杉の木立に囲まれた広い道を進むとしばらくして「休み堂」と書かれた東屋のある一寸した広場に着く。ここで10分休憩しますの声がかかった。ただ自分達は休憩は5分もあれば良く、それより歩くスピードがどうしても他の人達より少し遅いことがここまででもう分ったので、そこからはいつも休憩を早めに切り上げ先に歩き出す様にした。 約1300年前に創建されたといわれる。本堂の観音堂(拝殿)は江戸享保の年代に建てられた。 深い山中にありながら境内は広い。それでも程なく追いつき追い越され、次の休憩地点でどうにか一緒になれることの繰り返しだった。
 休み堂を出てから林道がなくなる手前で山道に入る。やや急な坂を25分程上って10時20分笠形神社に着いた(写真右)。山中の神社としては立派な本殿のほか中宮、拝殿と三棟が並び折りから綺麗に色づいた紅葉の中に古い神社らしい厳かさが漂う。辺りの冷気と共に気持ちを引き締める雰囲気だ。その境内の林の一角に杉の巨木がある(写真右下)。昭和30年代の姫路城の大修理に 一見すると能勢の深山の登りとよく似ている。南に面していて気持ちよい山道。 
 高さ50m、根周り9.5m。ご神木であり、うしろの杉林のそれと較べるとその凄さが分る巨木。ここから檜の大木も心柱として切り出されたという。もともといい土質で杉や檜の成育に条件があっている場所らしい。
 境内で5分程休みまたしばらく進むと、今度は右手一面がすすきの生えている眺めのいいところに出る。 4区間に分かれて全部で450段程ある。かなりの高度を一気に上がることになり、相当堪える。 ベンチが置かれていたが、辺りのススキを暫し眺めただけで、そのまま上り続ける。南面の稜線の道で、振り返ると下の方に小さく八千代町の街並みが見えていた(写真右中)。
 やがて丸太で作られた階段が始まった。あとから分かったのだが、この木段は次のピークの「笠の丸」まで全部で450段位あり、今回のトレッキングでは最も難関であった(写真右)。
 階段を苦手とする桂子は流石につらいのか、 完全な一つの頂上を形作っている。整備されていていい休憩場所。眺めもいい。ともすれば遅れ勝ちで、終わりのほうではやや間隔が開き自分が少し早く笠の丸に上がった。前の休憩場所の神社から約40分かかっていた。ここは笠形山の前峰で完全に一つのピークを作っていて標高は787mある。眼を上げると直ぐ前に笠形山がどんと控えている。また東屋風の展望台があり、草も綺麗に刈られていて腰を下ろして休憩するのに絶好だ(写真右)。木段の登りで相当汗をかいたので、しばらく休み呼吸を整える。
 11時20分にいよいよ山頂を目指して出発。柔らかないい感触の土の道を一たん鞍部まで下って再び緩やかなアップダウンを三回程繰り返しつつ登りつめるとやがて笠形山山頂(939m)だった(写真下)。時刻は11時45分で登り始めてから2時間40分位かかったことになる。 山頂は30人もいると一杯の感じの広さ。360度の展望がある。位置は市川町と八千代町にまたがっている。何時の間にかグループの終りになっていたようで先着の人達は既に昼食を楽しんでいた。そこは標識とベンチ、極小さな東屋があるが、登山会の人達でほぼ一杯の広さである。一番期待していた眺望は残念ながら四方とももやがかかっていて遠くは見えない。隣の山の山肌が色づき始めた紅葉と緑の斑模様で綺麗だった。幸い風は全くないので寒くもなく、程よい気温だった。汗ばんだシャツは登りきる直前の藪の中で替えてあったので、自分達も早速食事にかかった。北に面して座り霞む遠望を眺めつつお握りをほおばる。霞みのような雲は食事中殆ど動かず眺望は変らなかった。他の方向も同様で何枚か写真を撮ったが、よくは撮れていなかった。
 結局かれこれ1時間ほど休んで12時45分に下山開始。先程登ってきた少し湿った柔らな土の道を約20分で笠の丸まで戻る。そこで朝登ってきた道との合流点を右に折れ、下ると笹原に出る。 ほうらい岩を背後から。逆光で面白いシルエットになった。殆どの人はここまで来ずに通りすぎていく。偶々いた先客一人。背丈以上あるが道の両側を刈りとってくれていて歩き易い。鹿ガ原と名付けられていてしばらくそれが続いていた。笹の道が終わると、かなり急な坂に変りやがて「ほうらい岩」の標識がでてきた。表示に従いルートから少し外れて急な斜面をやや下ると大きな岩がある。それがほうらい岩で足許は完全に切り立っていて上に人が数人立てる。立つと眺めが素晴らしい所だ(写真右)だが、今日は雲が張り出してきていて周囲が霞んだ状態は頂上と同じだった。
 もとに戻って更に30分ほど下った14時25分に仙人滝に着いた。二条の細い流れが高さ35mから落ちている(写真下)。水量が少なめで落下地点ではハイキングの子供達が一服して遊んでいた。 仙人滝。 昔殿様が雨乞いの為、千人の百姓を連れて祈願にきたという言い伝えから、千が仙に変ってついた名前とか。その滝壷から流れている沢を横切ってやや登りをしばらく進む。次第に山腹を捲くように今度は下るとやがてかって林道だったような広い道に出た(14時40分)。
 そこを下っていくとだんだん川原のような様相を呈してきた。土の部分が全くなく一抱えもある岩がごろごろしていてその間を大小さまざまな石が埋め尽くしている。歩きにくいといったらない。初め道を間違えたのかと思ったが、よく見ると片側にわずかにアスファルト舗装の跡が見えているのでかっては林道だったことが窺える。それが雨で流されてこんな姿に変ってしまった様だ。流されたというよりは土砂が全部地下に吸い込まれてしまったように見える。兎に角今まで見たこともない荒れ方である。下の写真はその終りの部分で石の大きさもかなり小さくかつ揃ってきている。始めのひどいところでは転ばぬ様に歩くのに精一杯でとてもカメラを手にする余裕が出てこなかった。 あとから聞いたのだが、 林道の荒れて変わり果てた姿。石が真中で盛りあがっている異様な状況。これはかなり下の方で上は石が大きい。 これは今年の幾つかの台風が持ってきた大雨で林道の元の姿がなくなってしまったとのこと、回復不能かもしれないと言っていた。
 やっとの思いでこの荒れ川原を1kmほど下るとどうやら普通の林道に戻り、さらに少し進んで15時30分に瀬加の村はずれに着く。ここで今日のリーダーと高校生が待っていてくれ、先程の川原の話を聞いた後、挨拶をして分かれた。そこから駐車場まで約10分、かくして本日の笠形山初登山も無事に且つ楽しく終えることができた。
 その後朝出発の際貰った入湯券で直ぐ近くにある「かさがた温泉」にゆっくり浸かり、汗をすっかり流して心地よい疲れを感じつつ中国道に向った。
 登山を終えて思ったのはこことほぼ同じの六甲山に較べると大分楽だったことだ。多分登り初めが既に210m位あるためだろう。また往き帰りを違う道で一廻りできるのは変化に富み面白かった。後半は約3時間で午前よりも多くかかっているが、距離が長いのと最後の荒れた林道で時間をとられたせいと思う。 村の外れの棚田から撮った笠形山。村全体がかなりの傾斜地にある。棚田は丁寧に築かれた石垣に支えられている。昔の農民の労苦が偲ばれる。下の写真は下りてきた村の棚田の向こうに見える笠形山。
 桂子の本日の感想は ここは一度だけでよい、だった。階段が大の苦手だから手前のピークである笠の丸への木段が大分こたえたようだった。しかし同時に久し振りのグループでの登山にどうやら落伍せずついて行けたのは嬉しかったとのこと。最近は入っている女性の登山の会に以前ほど出て行かなくなっている。少し負担に感じ初めているのだろう。だが今日は昼食も美味しそうにしっかりととっていたし、今回の行程の程度であればこれからもまだ十分挑戦できると見た。近いうちにまた六甲山に行きたいなどともう次を頭に描いている間は問題ない。                                   以上


(参考) 冒頭の地図に市川町の笠形山についての公式ホームページ
をリンクさせてある。地図上でクリックすると出てくる。




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