ラブ・シンフォニー 第1話
「 はぁ… 」
本日、何度めから分からない溜息が彼女、キラ・ヤマトの口から漏れる。
彼女は今かなり切迫した状況に陥っていた。それを思うと己の口から溜息が零れるのを抑えることができない。
俯きトボトボと歩く帰り道。彼女の溜息の元凶とも言える人物が唐突に姿を現した。
「 キラ 」
びくりと揺れた身体。恐る恐る顔を上げるとそこには彼女の予想どおりの人物が立っていた。
「 …ザラ君… 」
溜息と共に呟かれた名前。呼ばれた少年は漆黒に近い艶やかな髪に翡翠色の澄んだ切れ長の瞳。
一つ一つのパーツが見事なバランスで配置されている整った顔。美少年という言葉がぴったりの少年だった。
一方、キラと言えば赤いフレームの眼鏡と長めに伸ばされた前髪で顔を隠し、長い亜麻色の髪は肩のあたりで二つに結って
まさしく、勉強一筋の優等生っと言った感じの成り立ちだった。
そもそもキラが通っているのは女子高。彼とは学校も別で普通なら接点のない…筈なのだが…
それは溯ること一週間前。キラがいつも通り帰路についていた時だった。
普段は、何の部活にも所属していない為もっと早い時間に家路につくことが出来ていたのだがその日は担任に頼まれた仕事で
帰るのが些か遅くなっていた。日も西に沈みかけている為、若干急ぎ足で家に向かい歩いていた。
しかし、慌てすぎて居た為に前方に意識がいっていなかったようで十字路で急に現れた人物にぶつかってしまいキラはその衝撃で倒れこんだ。
「 大丈夫?」
振ってきた声は自分と同年代くらいの正しく男性の声。
まずい。キラは咄嗟にそう思った。背中に嫌な汗が流れる。大丈夫と言って早くこの場から離れなくてはと思う反面、
口が上手く言葉を発してくれない。
そんなキラの葛藤を知らず、声の主は心配そうに覗き込み手を差し伸べてくる。
なんの反応もないキラに更にその距離を縮めようとした時、事は起こった。
「 っっ!!いやーーーっ近寄らないでっっっ!!!! 」
そう叫んだと思った刹那、彼、アスランの身体は宙を舞った。
その間、僅か数秒だったのだが彼には自分がスローモーションの様に空を飛んでいる感覚だった。
それ程見事に背負い投げられたのだ。
僅かな沈黙のあと、彼女ははっと我に帰り、
「 あ、ヤダ、、、ご、ごめんなさいっ!! 」
ぺこりと頭を下げて、パタパタと慌てて走り去って言った。
一人取り残されたアスランは道端に倒れこんだまま動けずにいた。
アスラン自身、自分が話しかけた相手がこんな態度を取ってきたのは初めての経験だった。
容姿端麗、成績優秀、その上大会社の御曹司という自分の立場の為、いつも自分の気を惹こうとしたり機嫌を取ったりという輩ばかりだった。
その為先程のキラの態度は彼にとってはとても新鮮でそして何よりアスランの中に不思議な感覚を与えてくれたのだった。
「 もう一度、会いたい 」
ついさっき出会ったばかりの相手に可笑しいとは思うのだがそれが今の彼の正直な気持ちだった。
もう一度会って、彼女の人となりを知りたい。彼女がいったいどういう子なのか…
◆あとがき◆
始めてしまいました…現代パロ女の子版…。他のシリーズモノもあるのに自分の首を自分で絞めています私。。。
でも、書いてて楽しいです。非幼馴染じゃないと起こりえない二人の関係性みたいなものを書けたらなっと思います。
長い目で見てやってくださると嬉しいですvvv