★このお話は現代パロシリーズの設定です。バレンタインまでには完結させるようにがんばります★






   
世界中の好きよりもたったひとつのありがとう  Vol.1








 「 ・・・・・・・ 」

自宅の自室の隣の部屋。アスランは今、そこにいた。
その部屋は彼と今同居している幼馴染で最愛の人でもあるキラ・ヤマトの部屋だった。

高校進学する時、お互いの高校が自宅から遠い為同居生活を始めた。
キラが自分と違う学校に通うと言う納得のいかない事態も起こってしまったが、
幼い頃からキラに想いを寄せていたアスランにとって今の状況は至福以外の何ものでもなかった。
一応学生の本分は勉強。と部屋は別々に宛がわれているのだがが、
基本的に一人が余り好きではないキラとキラと少しでも一緒にいたいアスランは眠る時以外はどちらかの部屋にいるか
リビングで一緒にいると言うのが二人の生活パターンだった。
そして、今アスランは主のいないキラの部屋で只一点。机の上の物体を見つめ固まっていた。


 ( これは…あれ…だよな? )


普段、キラの机の上に何が乗っていようが余り気に留めたりはしない。一応、キラにもプライベートと言うものがあると言う事も分かっているからだ。
まあ、気にならないといったら嘘になるけれど。
しかし、今この時期にと言うのが問題だった。
季節は暦の上では春と言うけれど、まだまだ寒い日々が続く時。そして、年に一度、愛しい人に想いを告げる勇気を貰える日。
そう、もう直ぐバレンタインなのだ。キラも自分も男だし関係ないと思っていたのだが…
キラの机の上には可愛らしくラッピッングされた箱。そんな物が好意を寄せている人物の所においてあれば気にならない訳が無い。

そして、アスランの葛藤が始まる。


 ( 誰かに渡すつもりなのか?それともいち早く誰かから貰った物なのか?それとも… )


自分に?そう思ったとたんいつもは凛々しく整った顔がへにゃっと崩れる。
しかし、自分以外の誰かにだったら…途端に崩れた顔が戻り今度は青くなる。

ぐるぐる思考を回し、一人キラの部屋で百面相をしている姿は怪しい事この上ない。
そこにいるのは学校での優等生アスランではなく、只の恋に翻弄される一人の少年だった。




 ( ここでいろいろ考えても埒が明かない、やっぱりキラ本人に確かめるのが手っ取り早い)




暫くの間、延々グルグルとやっていたアスランだったが僅かに冷静さが戻ったのかそう決め込むとゆっくりとキラの部屋を後にした。






                              Vol.2につづく★