Vixen社 GP, GPD赤道儀は前モデルのSP赤道儀の発展型で鏡筒の取り付けがアリミゾへの取り付けに変わった。
この便利な取り付けは小口径望遠鏡の世界標準と言ってよいほど普及している。
マイナーチェンジのGP2シリーズを含め、1992年から2014年まで販売されていました。
GPシリーズは極軸望遠鏡、モーターなし、手動でウオームを回す安価型の「GPE」。
2軸モーター付き「GP」。軸とウオームホイールの材質を強化した「GPD」。
赤緯軸を省いたポータブル仕様の「GPガイドパック」。大きく4種類のモデルがあった。
2軸モーター コントローラーは発売順にDD-1, DD-2, DD-3があった。
コントローラの大きさは変わらず内部のロジックICが替わっている。
コントローラとモーター間1本のケーブルには6本の電線が入っている。
6本で一つのステッピングモーターを回している。1本でも断線すると正しく回らなくなる。
望遠鏡を片付ける時に毎回ケーブルを小さく折り曲げていると断線することがある。
テスターで導通を1本づつ確認してみる。この時予備パーツでDINコネクタを持っていると導通チェックがやりやすい。
赤経・赤緯軸それぞれのモーターへ繋ぐケーブルでステッピングモーターを回転させている。
接続はDIN8ピンコネクターが使われているがコントローラーに使われているコネクターの質が悪い。
誤挿入防止の突起があるが、電子パーツ販売店で入手できる(名のあるパーツメーカーの)DINプラグに比べ突起が貧弱。
そのため暗がりでやみくもに接続すると誤挿入してしまうことがある。プラグ側突起部をソケット側と合わせるためゴソゴソしている時に
ソケット側に傷が付き、これも誤挿入の原因になる。 何年も使っていると写真のようにソケット側に傷がついています。
コントローラーのケーブル先端のプラグ部とMT-1モーター側ソケットを電子パーツ販売店で入手できる良い部品と交換することをお勧めします。
(左)Vixen DD-3に使われているDIN8ピンプラグ。プラグ外周部の凸部は先端から少し奥にある。右に比べ凸が小さい。
(右)電子パーツ店より入手したDIN8ピンプラグ。凸部は先端に近い所から出ていて凸が
はっきりしているので誤挿入が起こらない。
プラグ部は右の部品と自分で(自己責任で)交換した。
DIN8ピンプラグを差し込む MT-1モーター側のソケット表面は
(左)MT-1に使われていた部品はプラグ差し込み時の傷で穴が大きくなってしまい誤挿入が起きやすくなっていた。
(右)電子パーツ店より入手した新品
(注意!) 電線のハンダ付けが上手にできない方にはDINコネクターの交換はお勧めしません。
Vixen GP系赤道儀のMT-1モーター用(DD-1〜3互換)コントローラーを試作しました。
赤道儀には手を加えず、メーカー販売の終了したコントローラー同等に赤道儀を動かします。
速度切り替えは、望遠レンズの半自動ガイド用の1.5倍速はオートガイド普及で使われなくなったので省略。
月を中倍率で見ている時に南部・北部間を移動するのに32倍速では早すぎる、2倍速では遅すぎるので、8倍速モードを作った。
32倍速は省略。オートガイド端子未装備。100円ショップで買った食品用密閉容器をコントローラのケースにしました。
試作機ですが十分使えています。MT-1モーターへは、しなやかなケーブルを使用。
純正コントローラより使いやすいです。
2022年11月皆既月食と2022年10月〜12月火星接近の観測、撮影は自作コントローラを使用しました。
Arduinoはパソコンでプログラムを作り、Arduinoに書き込むことで色々な動作を実現できるマイコンボードです。
書き込んだプログラムは電源を切ってもArduinoは記憶しています。
ステッピングモーターを使うコマンドがあるので楽にプログラムが作れます。
初めに電子部品店から安いステッピングモーターを入手し、Arduinoでモーターを回す練習。
時計回り、反時計回り、停止、倍速回転 … とプログラムの練習、動作確認をしてゆくと楽しく作れます。
実際に作ったArduino使用コントローラのブロック図例 PDFを付けます。
コントローラ・ブロック図の表示 (PDF 237kB)
ブロック図例の解説:
ArduinoにはD0〜D13 14個のデジタルI/Oがあり、D0〜D7の8本をステッピングモーター駆動に使います。
Arduinoの信号を入手しやすいトランジスタ・アレイIC TD62003経由でモーターに送ります。
D8〜D11は赤経・赤緯方向操作ボタン入力に使用。D12は操作ボタン作動時のモーター速度 2倍/8倍切り替えスイッチ。
これら操作ボタン、スイッチは右利きの人ならコントローラーを持った時、右手で操作しやすい所に取り付けると使いやすくなります。
Arduinoを使ったコントローラにMT-1(ステッピングモーター)動作用プログラムを作りことで赤道儀を動かすことができます。
Arduino入門書を読み、動作練習をしながら作ってください。学習したことはメンテナンスに役立ちます。
参考にした書籍:
「Arduinoをはじめよう」 第3版 オーム社 ¥2000.
Arduinoの日本語マニュアル。Arduino言語の公式リファレンス。
「Arduino電子工作」 東京電機大学出版局 ¥2000.
ステッピングモーター記事を参考しました。
マイコンボード Arduinoは(2023年)¥4000.程で入手できます。円安のため少し値上がりしました。
動作練習に使うステッピングモーターはジャンク品なら1個数百円で入手できます。
GP赤道儀のモーターはユニポーラ型、ステップ数48、減速ギア付のステッピングモーター。
動作練習用モーターはユニポーラ型でステップ数が大きく違わなければ48でなくても動作テストに使えます。
ステップ数が異なると1ステップ毎の回転角度が変わるので、プログラム内パラメータを変えればGP赤道儀で使えます。