紀行文・画報 / Documents page3

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北米皆既日食2017年

2017年8月21日(現地時)北米大陸太平洋側から大西洋へ横断する皆既日食があることを意識し始めたのは 2012年5月の金環日食を見た後からだった。
2017年北米日食の魅力的な点は、
○ 晴天率が日本より良い。透明度が良い地域が多い。
○ 宿泊・交通の便が良い。治安が良い。休みがとりやすい時期。
○ 緯度が日本とほぼ同じなので赤道儀がそのまま使える。
○ 日食の他に行きたい所が多くある。
など良い点が多いのに対し、短所は、
● 皆既の時間が少し短い。日本から近くない。
● 一般旅行に比べ日食ツアー料金は高い。

日食1年前になるとツアーの募集が始まった。日本からのツアーは晴天率の良いオレゴン州〜ワイオミング州へ行くのが多かった。 この地域へ行く場合、人口密度の低い地域なので宿が少ない。午前中に皆既が終わるので朝が慌ただしい ことが少し不満だったが晴天率が最大の魅力だった。
自分は日食帯の中心(図の水色の丸)に近いテネシー州ナッシュビル近郊(図の☆印)へ個人旅行で行くことに決めた。
永らく会っていない米国知人が観測予定地から200km南の町に住んでいるので知人との再会、日食観測ができる可能性があるからです。 滞在中は全面的に知人のお世話になり、ツアー参加より大幅に安く渡航できた。
観測場所は日食前日に下見。 第一候補の州立公園は木々が多く、視界が広くなかったので日本の日食ツアーと 同じギャラティン(Gallatin)市の運動公園に決めた。野球場が12面ある大きな公園だった


公園は日食目的で訪れる人たちへのイベント会場のようになっていた。前日から既に交通整理員が立っていた。 ほぼ全ての観測者が車で来るので広い駐車場も朝には入れなくなった。東部の州、カナダからの車も見られた。 彼らは前夜から公園に泊まっていた。
私たちは夜明け頃駐車場に到着。駐車場はまだ十分スペースがあったが9時頃には80%ほどの満車になり、 その後到着する車は舗装していない臨時駐車場へ導かれていた。
TV中継車が来ていて公園の奥では部分日食中まで野外コンサートをやっていた。


機材は球場近くの芝生上にセットした。緩やかな斜面だが木製2段三脚なので問題なく水平にセット出来た。 木陰があり、球場のトイレへ行ける。駐車場に近い。視界が開けている。晴天! 申し分のない環境だった。
熱中症予防に水筒と木陰での休息は絶対必要だった。
部分食は6分間隔で写した。撮影間隔内でトイレへ行って帰ってこれるのはありがたかった。 多くの人は持参した椅子に座り友とおしゃべりをしながら日食グラスで見ていた。場の雰囲気を楽しんでいる様子だった。 赤道儀に望遠鏡で写している人は意外と少なかった。
日が昇ると夏の日差しで暑い。機材、人間共に暑さ対策が必要。しかし食が90% にもなると暑く感じられなくなった。 既に金星が見えている。話し声がなくなり静かになった。 太陽が糸のように細くなり、第2接触。ダイアモンドリングが見えた! 会場は人々の歓声とシャッター音があちこちから聞こえる。 自分はシャッター速度を変えながら撮影を続ける。空を見上げるとコロナの太陽が見える!! 肉眼ではコロナは意外と黄色っぽく見えた。


シャッターを切り、空を見上げて、周囲を見ている間に第3接触。
歓声、拍手が周囲で起こる。太陽が三日月状に戻ると皆既食を見て満足した人々が帰ってゆく。 私たちは食分50%まで部分食を撮影して撤収した。 日本から持参した赤道儀は1983年インドネシア皆既日食でも使ったミザールAR-1赤道儀。 日食に再度使うため1年前にグリス塗り替えのオーバーホールをした。 MMDモータードライブは20年ぶりに通電したら動いたのでそのまま使った。 長時間使って壊れたら困るので部分食の間は手動でウオームを動かした。 ホワイトバランスを太陽光にセットして写したコロナはほとんど真っ白に写っていた。 プロミネンスはノーマルのEOSでも良く写っていた。
Borg 71FL 屈折望遠鏡+フラットナー(口径6cmに絞る。f=410mm)Canon EOS80D 直焦点撮影


皆が帰るため道は日食渋滞。ハイウエイでは渋滞が原因の追突事故も起きていた。 ナッシュビル近郊の町を過ぎるにつれ渋滞が緩和してゆき、ぶじ宿泊地に戻ることが出来た。

改めて日食遠征に重要なことを記すと、
晴天率(晴れなければ見えない)
透明度(PM2.5の高い地域ではコロナは良く見えない)
治安、交通・宿泊の便が良いこと。そして見やすい場所であること。
(2018年1月 記)



ジャックダニエル蒸留所見学

2017年8月テネシー州ナッシュビルで皆既日食を見た帰り道で「ジャックダニエル蒸留所へ」と書かれた道路案内があるのを見た。
後日、アラバマ州との州境付近の農業地帯を通り醸造所のあるテネシー州の小さな町 Lynchburg へ見学に行った。 緩やかな丘陵地を、上下に波打つ起伏の続く続く地方道を進んでゆくと、運転している知人が「スカンク」と叫んだ。 車にに轢かれたスカンクは死して強烈な臭いを周囲に放っていて、窓を閉めていても臭いが入ってきた。
途中Davy Crockett通りという道を通った。念のためあとで調べたら毛皮の帽子で有名なあの人物であることが分かった。
【左写真はビジターセンター】



【ビジターセンター内の展示品】

リンチバーグのあるムーア郡の人口は約6000人。 町の中心部は観光地化しているけど、昔の建物が保存されている。 メインストリートにある商店街だった建物は観光客向けの土産物店になっていた。 醸造所と土産物店があるだけの小さな町で立地環境は日本のウイスキー蒸留所と似ている。
醸造所内見学では年齢の確認できるパスポート等の身分証明書がないと試飲はできない。
見学ツアー前にカバンはロッカーに預ける。ツアーコースの物品・展示品の盗難防止と思われる。 製造工程内は撮影禁止だった。 非常階段のような所を上り下りするため足の弱い人には不向きだった。 見学コースと別の製造ラインがあるのかもしれないが、従業員が手作業でボトルにラベル張りをしているのには驚いた。



【メインストリートの商店街】

ビジターセンターの売店、町の土産物店でウイスキーを売っている。 日本で入手しにくい銘柄を買うのでなければ、スーツケースの中で割れるリスクを考えると日本の酒店で買う方が良いと思う。 産地で買えば特別安いわけではない。
この町のあるムーア郡は米国に禁酒法があった時代の法律を守っていて、居酒屋のような店はありません。 西部劇に出てくるような店があれば覗いてみたかったですが…。
(2018年6月 記)



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