左車、新調・番組表(平成十三年大祭版)紹介

 平成十三年の大祭を取材するにあたり、随分お世話になっている「さ組/左車」の”番組表”が出来上がりました! ”番組表”とは大祭当日、ご祝儀を戴いたお宅に対して、感謝の意味を込めて配られるモノです。 番組表には芸人衆の名前や、担当楽器、素唄と踊りの番組などがかかれている小冊子なのです。 番組表からご希望の演目を伺い、山車がそのお宅の前に到着すると、ご祝儀に対してのお礼と演奏・踊りが始まります。
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 『 豊秋祭芳栄緑源氏車 』
みのりのあきまつりよしむらゆかりのさぐみのだし

一、山車の特徴
 「左車」の名は、その昔、鎌倉幕府の六代目の将軍となるために後嵯峨上皇の皇子・宗尊親王が、京から鎌倉への東下りの途中、御所車の左の輪が壊れて修理する間、お休みになられたと云う縁に由来します。 これに因んで、左車の定紋である「源氏車」を山車の輪として使用しています。 前輪は女の厄年、後輪は男の厄年の数から成る部品から作られており、山車を引くことは、厄を落として清めるという意味があります。 また、前輪と後輪で一対の夫婦車が一代を表わしており、左右で二代、そして山車を引く者を合せた三代で、代々繋がるように山車を引いて、引き継いでいくと云う意味があることから、この「源氏車」を大切にして引き継いできました。
 また、山車の懸魚には、左車が末永く栄えるようにと亀を配置しています。
 さらに周りの幕は、歌舞伎の引幕に由来するもので左から黒、萌黄、柿色の順です。 これは<<初代芳村伊三郎>>と、<<初代芳村伊十郎>>が顔見せ番付に初めて名を連ねた市村座の引幕と同じもので、<芳村の創立と市村座の関係>を示しています。 また、上踊りができるよう迫り出し式の舞台となっています。

二、誇る長唄正統の伝統
 長唄・囃子連は左車区自慢のお家芸です。 明治・大正・昭和の初めにかけて豪快な芸風で一世を風靡した長唄名人<<六代目芳村伊十郎>>は左車の出身。 また、鳴物名人<<三代目福原鶴三郎>>も左車の出身です。 飽波神社大祭には、一門を引き連れて出演して大祭を盛り上げ、藤枝に長唄の流行をもたらしたことは、よく知られており、左車の山車には当代一流の専門演奏家が出演する長唄正統の伝統を誇っています。
 この度、長年の夢でありました芳村伊十郎の出演が八十五年ぶりに実現し、左車自慢の特別 番組「素唄」では、芳村宗家の<<八代目芳村伊十郎>>家元が迫力ある長唄を披露します。 また、囃子方には、福原流鶴三郎派の<<福原鶴祐>>家元代行が出演して、名演奏を聞かせ、長唄の芳村と囃方の福原の両家元が共演することにより、二十一世紀初めての大祭にふさわしい伝統を重ねることができました。

三、踊りは華麗な振り付け
 「上踊り」も伝統演目の一つです。 町内の子供が<<花柳太枝静>>師の厳しい指導のもとで稽古を重ね、 その成果を舞台の上で披露し、華やかに色を添えます。
 また、歌舞伎舞台同様の本格的な振り付けによる芸心のこもった「地踊り」も御披露します。 難しいながらも子供連、青年連の熱意により、見事にこなします。 本年の演目は大祭の原点にかえって、長唄づくしとしました。

 小さな町内ですが、老いも若きも心を一つにして、代々伝わる左組の山車と芳村ゆかりの伝統を今年も引き継いでいきます。
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